朝6時に起床してテントをたたみ、湖の方へ行く。
ここアードルイから水上バスが出ていて向こう岸に渡ればウェストハイランドウェイの途中アードリッシュについてそこから歩くことができるのだ。
前日に水上バスの時間を調べてなかったのだけれど、朝確認するとアードルイからは9時が始発で、その時間まで待つとちょっと出発にしては遅く、できるだけ早く先に進んでいたかった私たちは、水上バスを待たず、約7キロ先の水上バス乗り場インバーアグラスまで車道を歩くことにした。
この選択が良かったのか悪かったのか、少し後悔はすることになるのだけれど、とにかくもくもくと薄曇りの中歩くことにした。
時折大型車も通る車道はなかなかスリリング、ただ森の中の車道なので気持ちがいい。
それに行きかう車は自転車やカヤックを積んでいてなんだか雰囲気がいいのだ。
2時間歩いて着いたインバーアグラスには開店時間を迎えたカフェとビジターセンターがあり、ケーキとコーヒーを頼み、水上バスのパンフレットを手に入れたので今後の工程を確認することにした。
そして、わかったこと。
なんとここインバーアグラスからの水上バスは午後3時半の便しかなくて、この周辺には駅もない。
向こう岸に渡るにしても鉄道を使うにしても、6.5キロ先のターベットに行くしかないのだけど、また約2時間の車道歩きになりそうで、それはさすがにもうやだなあと思っていたところ、ターベットの近くアローチャーという街にフットパスを歩きながら行けることが分かった。
「どうせ歩くならフットパスがいいよね」ということで、湖畔のウェストハイランドウェイは一旦あきらめ、少しでも前に進むために「スリーローチーズウェイ」と「ロッチローモンド&カウルウェイ」というフットパスを歩くことに。まずは約9.5キロ。
発電所が途中にあるからかまずは整備された道なのだけれど、途中何頭もいる牛が道を塞いでいて、動物が少し苦手な私は、そこを横切るのが怖かった。
目の前にいくつかのピークも見える場所があり、途中唯一すれ違ったハイカーはピークを目指していた(よく聞きとれなかったけど)。
針葉樹の道や他にも様々な植生の道は歩いていて楽しく、フットパスを選択して良かったねと話しながら歩いた。
アローチャーまでたどり着き、さすがに疲れてもいて、湖畔に近づくにはまだまだあるなと思って地図を確認すると、水上バスの時間からしても、今日の宿泊を考えてもこの後湖畔歩きをするのはなかなか難しく、このままバスで南下してちょっと大きな観光地にもなっているルスという街に行ったほうがいいのではということになった。
ルスはロッチローモンド湖の中腹より少し下だけれど、向こう岸に渡るバルマハは、向こう側の湖の端っこでロッジもいくつかあって泊まれるし今後の予定を考えてもバスで進んでおいたほうが良かった。
実際バスに乗ると車道歩きを思い出すと笑ってしまうくらいアッという間だ。
そしてたどり着いたルスは湖畔の街で古い建物が残されていた観光地で大勢の人で賑わっていて、午前中全く静かでほとんど人に合わなかったのでその差がちょっと面白かった。お土産物屋さんを見たり、ゆっくりランチしたい気持ちもあったのだけれど、丁度水上バスの出発時間が迫っていたので、乗ることにした。
船で向こう岸に渡って、またフットパスを歩くというのもなんだか良かった。全部歩けたらいいけれど、船やバスや、いろんな乗り物を乗り継いだり自分の足で歩いたりして、いろんな景色の中を通っていくのは良い。
約30分で、バルマハに着く。風がだいぶ強くて寒い。降りてすぐフットパスがあって、大勢のハイカーが歩いていた。
とにかくお腹もすいていたし、山小屋風のカフェに行きコーヒーとチーズトーストを頼む。大きなザックを持った私たちに激励だったのか、ピンクのコートを着た可愛らしいおばあちゃんが微笑んでくれて、コーヒーも美味しく、この日やっと一息付けたのだった。
この日泊まるB&Bを探したが、朝食付きのところが見つからず、素泊まりのゲストハウスに予約をすることにした。
オーナーはとっても陽気で時にジョークを織り交ぜながら設備を紹介してくれたのだけど、話が長いのとスコットランドの人たちの話す英語が私たちには難しすぎて、なんとなくしかわからなかった。
それでも、すぐ後ろにある「コミックヒル」というピークに登ったほうがいいよと教えてくれたのはわかったので、私たちは明日朝ではなく今日のうちにコミックヒルに登ることにした。
薄曇りの中登っていく。ここもまた沢山のハイカーが歩いていた。ウェストハイランドウェイはグラスゴーからフォートウィリアムへ北上する人が多く、ここバルマハは2日目や3日目になり、コミックヒルは前半のメインピークだと思う。
ピークに着くと湖や山々が見渡せて気持ちがいい。ああ、湖畔を歩きたかったなあと思いながら、湖の先にある前日までいたフォートウィリアムやベンネヴィス山を思い浮かべた。1時間半くらいのハイクを終えて、先ほどのカフェの隣のパブに行きビールと軽食を食べる。マッシュルームのソテーがとても美味しかった。
スーパーにも沢山並んでいたけれど、スコットランドはキノコ類が美味しい。
ビールを飲みながら翌日の予定を話すのも恒例となってきた。ビール好きには各地で美味しいクラフトビールがパブで手ごろに飲めて、スーパーにも沢山のクラフトビールが売っているのはとても嬉しい。
翌日はウェストハイランドウェイのスタート地点ミルンゲイヴィまで約30キロ歩くので、早く寝ることにした。
いよいよというかやっと、ウェストハイランドウェイを歩くことになる。