山と渓谷社より発行されている「東京周辺トレイルランニングコースガイド 首都圏」ではアクセスしやすい24コースのトレイルが紹介されている。その中で丹沢方面を担当させていただいた自分。
丹沢にはたくさんのトレイルコースが存在するが、マイナーでもトレイルランナーにとって、かなり居心地のいいルートがある。本書で紹介されている「七沢温泉~大山ラウンド」もその一つ。正直、紹介するのをためらったくらいだ(笑)
本書に従って、読者の気持ちになって走ってみた。詳しくは、「東京周辺トレイルランニングコースガイド」を拝読していただきたい。
東丹沢七沢観光案内所でフィールドの情報収集するのもあり。コース全般にしっかりとした道標が小まめ設置されているので、ビギナーでも安心して走ってほしいコースと言えよう。
七沢温泉には地元の食品店やコンビニエンスストアもある。万が一の調達ミスには助かる。
準備が整ったらフィールドに向かおう。しばらく舗装された林道を走る。若干、登り基調なので、きつい方は歩いてもいいだろう。
日向梅園に向かう途中。林道脇に見えるのが亀石。木が生えた巨石(高約4m、幅約10m)。その神聖な存在は、思わず一礼をしたくなるパワースポット。
いったい、いつからあるのか…。
序盤から6km程進んだトレイル。目の当たりにするのは浄発願寺奥の院。1600年代に建てられた230坪にも及ぶお寺の跡地。土砂崩れにより、ほとんどが埋没した跡地ではあるが、その奥深いスケールは実感できる。
大会ではないのだから、ぜひとも立ち止まって古来の息遣いを感じてほしい。古の人々が、長い年月を作りあげたトレイル。引き継がれたトレイルを僕らが走っているのだから。
浄発願寺奥の院を抜けて橋を渡り、左手に見えるのがクアハウス山小屋。川に面したサンデッキもある山小屋は、まさに山のオアシス。
地ビール、地酒、カレー、ピザ、マスやイワナの魚料理などなど、思わず長居したいくなるスポットだ。お風呂も完備しているのも休憩処として高ポイント。
時間が許すなら思い切ってランチしてもいい。おすすめはベーコンピザとカレー。ぜひ東丹沢の絶景を眺めながら味わってほしい。きっとまた訪れたくなることだろう。
ただしランチ後に走りたいなら、ビールはグッとガマンだ。
見晴らし台へ向かう九十九曲を登っていると、陽気なハイカーさんと遭遇した。元気に挨拶したら、元気に挨拶を返してくれた。ジャンルは異なれど、お互い山を楽しむ仲間同志。心地いいやりとりを心がけたいものだ。スピードを緩めて、元気に挨拶を。
見晴台に到着したら、大山山頂までもうひと踏ん張り。大山をはじめとした丹沢山塊を眺めながら休憩しよう。
整備中の登山道に出くわす。登山道は誰かしらが整備している道。山で遊ばせてもらっている身としては感謝の思いが募るばかり。登山道整備やクリーンアップは各大会でも募集しているはずなので、ぜひとも参加してほしい。(僕自身、大会運営もしている身としては切に思う(泣))
しばらくすると不動尻方面への道標を目にするが、ひとまず曲がらず大山山頂へ進む。
山頂ではお決まりの記念写真をパチリ。山頂からの眺めのショットはお楽しみ。
山頂から先ほどの曲がりまで走る。ただハイカーさんが多い時もあるので、ハイカーさんには配慮した行動をしよう。必要に応じ徒歩に切り替えるくらいのスタンスで。
不動尻への道標がある分岐には、東丹沢七沢温泉郷のガイドマップが掲示されている。下山後どこの温泉に入るか思いを馳せらせるのも、これ一興。
いっそう、旅館宿泊も◎
不動尻に向かうトレイルはスピードが出しやすい下り基調のトレイルが続く。気持ちに任せて駆けるトレイルパートだ。ただし倒木やガレ場には気をつけよう。
不動尻付近はミツマタが見惚れるくらい一面に咲き誇っていた。最後の見どころとも言えるので季節限定の自然美をゆっくり観賞しよう。
不動尻から先はロードパート。谷太郎川沿いに足を進める。釣り人が多いこともあって仮設トイレの設置もある。熊鈴の音が迷惑にならないよう外しておいたほうがベター。
山神トンネルと抜け、しばらくすると広沢寺温泉。歴史ある、のどかな街並みを眺めながら走れば七沢温泉。
七沢荘をはじめ、温泉施設や地元ならではの食事処にありつける。猪鍋が有名なので、ぜひ味わってほしい。山里にある一軒宿の玉翠楼なら温泉もある。もうトレランというよりも旅そのもの。
帰路に向かうバス停。比較的本数があり、厚木行きと伊勢原行きがある。バス停後ろには、お楽しみの酒屋さん。トレイルで撮影した写真でも眺めながらバスを待とう。
現代でも愛用されている登山道は古の人々も足を運んだトレイル。そこは歴史と文化を運ぶ大切な道でもあったわけだ。ちょっと大げさに言うのであれば伝統高き古道を走るスポーツ。それがトレイルランニング。大会に出ることがすべてではない。速さが強さではない。
思いのまま山を走り、山を愛すること。それがトレイルランニング。古の人のように自然に還り、人を想う。山を愛で、山を走る。
僕自身お気に入りのフィールド「七沢温泉~大山ラウンド」。本書を参考に、ぜひ七沢温泉に出かけてみてほしい。
東京周辺トレイルランニングコースガイド
あらゆるランナーに対応する、トレイルランコースガイドの決定版!東京周辺のトレイルランニングコースガイドを24コース紹介する単行本。
高尾山・奥多摩エリア、奥武蔵、逗子・三浦、丹沢、富士山周辺など、東京周辺には公共交通機関でアクセスできる多くの山々があり、初心者でものんびり走れる郊外トレイルから、本格急登コースを含む上級者向けまで、バリエーションも豊富です。そんな数あるトレイルランコースの中から厳選した24コースを、詳細な地図と写真で紹介します。
高尾山・奥多摩エリア、奥武蔵、逗子・三浦、丹沢、富士山周辺から厳選したトレイルを実走取材、コースのポイントや走行時の注意点などを分かりやすく紹介しています。
<掲載コース>
奥多摩・高尾周辺のコース(雲取山ラウンド/本仁田山~川苔山/倉戸山~鷹ノ巣山 ほか)/奥武蔵周辺のコース(武甲山/丸山/関八州見晴台 ほか)/丹沢・箱根・富士山・三浦周辺のコース(三ノ塔尾根~長尾尾根~大山北尾根/渋沢丘陵イージーコース/七沢温泉~大山ラウンド ほか)