絶対に雨が降らないと予測をたてるのは山では難しい局面が多いです。里山に日帰りトレッキング・トレイルランぐらいであれば天気予報をみて、レイングッズを省くようなことも行いますが、基本レイングッズは登山時の必須装備として考えています。そんな僕が1年を通して愛用しているレイングローブを紹介します。
おすすめポイント
- 寒さによって使い分けるレイングローブ
- 安価に手に入れることができる
- それぞれに特性があり選択肢が広い
紹介するグローブ
※横スクロールで表がスクロールできます。アイテム名 | テムレス No281 | シールスキンズ DragonEye | ダイローブ102F |
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イメージ | |||
重量 | 50g | 63.5g | 173g |
価格 | ¥565 | ¥7,821 | ¥3,987 |
保温力 | 低 | 中 | 高 |
指先感覚 | 5/5 | 4/5 | 3/5 |
3種類のレイングローブを使い分け
僕が愛用しているレイングローブは3点です。この3つのグローブを登山の内容=高山or低山×南or北×季節で考えて、持っていくものを定めています。
暖かい時期に使うレイングローブ テムレス
テムレスは農業、園芸など水を扱う作業のために作られたグローブです。これが登山用グローブとしてもなかなか使えるのです。全てに万能という訳ではなく、シーンに応じて使い分けることが大事です。1つの手段として使い心地を試してみようと使うようになってからは、僕の登山スタイルにはマッチしているなあと感じています。
以前山旅旅のFacebookに「防寒テムレスを秋の北アルプス、雨の中の早月尾根で、レインウェアの袖先を上に重ねて使いましたが、早月小屋に着く頃には中は蒸れてびしょ濡れになり冷えました。」というコメントがありました。
透湿があるといっても、グローブの中と外に湿度の差がなければ、中の湿度は外に排出されづらくなってしまいます。このコメントによって注意喚起となり、手が蒸れないように、中にメリノウールのインナーグローブをしてテムレスをするようにしています。
また次のコメントもテムレスを使用する人にとって非常に理解が深まると思うので紹介します。
「アイスクライミングや雪山中心に季節問わず良く使っています。でも、名前に裏腹に蒸れます。ひどい時はびしょ濡れになります。それだけ、激しく発汗する運動ですから…。
アルパインアイスでは稜線に抜けて風に吹かれた時、急激に痛み出して凍傷になりそうでした。極寒環境なので中ボア付きですけど…。林間のラッセルには強い味方です。
万能ではないので、冬山ではスペアをいくつか用意する、他のウールや皮のグローブを用意するなど対策が必要かと思います。使い方によってはいいグローブです。
赤岳鉱泉のアイスキャンディーで使用禁止になっているのは、長所のグリップ力が災いして、ビレイディパイスに巻き込まれる可能性があるからです。アイスクライミングでのアックスのグリップのしやすさ、スクリューの打ちやすさなど操作性は良いです。」という内容です。
また何でも使い方次第だと改めてコメントも頂きました。山の中では(特に寒い時期)、平地と違って一日中装着しているという条件の差があり、その違いを考えることは重要で、例えば行動してテムレスの中が汗で濡れてもシュラフに入れるなどしても乾かない。だからスペアは必要というご意見でした。
寒い場所ではグローブが濡れてしまうと、そのあと凍傷の危険が高まるため乾かしたいけど乾きづらい(もしくは乾かない)ということも念頭に入れて、グローブのスペアは必ず持ち歩きましょう。
肌寒い時期に使うレイングローブ シールスキンズ
シールスキンズの手袋は、特許技術によって完全防水、防風で透湿性も兼ね備えた作りで、ソックスの種類が多く、ソックスが非常に良かったのでグローブを購入したという経緯で使うようになりました。
テムレスとは異なって、レイヤリングの必要がなく、シールスキンズのレイングローブ1つで、防風、防寒対策にもなるという優れものです。
グローブの中にメンブレン(防水・透湿性に優れた被膜)が外側の生地の次にあって、肌にあたるインナーにはフリースとメリノウールが入った素材という3層構造になっています。だから手を暖かく保持してくれ雨も凌いでくれます。
これは突然の雨にもレイングローブをザックから出す手間が省けて、リスク回避(手が濡れるのを少しでも防ぐ)にもなるので、良い選択肢だと思っています。
寒い時期に使うレイングローブ 防寒用手袋 ダイローブ102F
ダイヤゴム株式会社が工業用手袋というカテゴリーで販売しているのがダイローブです。僕が使っている防寒用手袋 ダイローブ102Fの主な用途は
- 冷凍・冷蔵倉庫内で使用する
- 食品を扱う
- アウトドア、ウィンタースポーツで使用する
- ドライアイスを扱う
- 漁業で使用する
- 寒冷地作業に使用する
- 雪像・氷彫刻に使用する
- 熱湯・蒸気作業に使用する
と説明には書かれていて、冷たい~熱いものから手を守るという特性があることが解ります。
どちらかというと、保温力とか透湿性といった登山向けのグローブに欲しい機能が長けているというより、特殊配合のポリウレタンを使用しているから-60℃でもグローブが硬くならない特別な手袋であるとか、物性・摩耗性に優れており油にも使用可能なため様々な場面で使用が可能とか、完全防水であり冷水だけでなく熱湯でも使用可能だとか、登山シーンにおいてさほど出会わない状況での特徴に長けたグローブであるということを前提に、知識としてもっておくことが大事です。
でも極寒地ではとにかく冷たいものを触っても、冷たい風にさらされても、手が冷たいという感覚はなく、雪山では何かと重宝します。
ファスナーが付いており脱着がし易い構造で、インナーが取り出せるため洗濯も可能という優れた特徴も兼ね備えています。
中にあるインナーが取り外せるので、汗で濡れてしまっても、取り出してシュラフなどに入れれば乾きやすいという利点もあります。インナーの着脱は非常に重視ポイントです。
手の冷えをグローブに頼る?
これはパーソナルな部分もあるかと思うので、一概には言えないと思うのですが、身体の冷える仕組みは経験上、寒くなると身体の大事なところ(例えばお腹や心臓や脳)を温めようとするために、血液が大事な方に回ろうとして命に直接な危険を及ぼさない手足の先が冷えやすいという仕組みなのではと思っています。そして手足を温めると「手足は大丈夫」だと脳が思って、更に血液が手足に回らないことがあると理解しており、だから寒いときは腰やお腹を温めると脳が手足に血液を回してくれ、暖かくなってくると思っています。
だからグローブだけで冷えを凌ぐのではなく、体感を温めるという心がけもセットで考えるようにしています。