八ヶ岳の赤岳はオールシーズン登山者に人気の山として知られています。赤岳への登山ルートは様々で南八ヶ岳の縦走、ピークハントなど登山目的も多種多様。赤岳を思う存分楽しむために赤岳の魅力、難易度別の登山ルートを紹介します。
赤岳の概要・気温について
赤岳は標高2,899mに位置し、気温は最も低い月で2月の-21度を記録します。最も気温が高い月は8月で最高気温は14.2度と過ごしやすい気候です。
山域 | 八ヶ岳 |
都道府県 | 山梨県、長野県 |
標高 | 2,899m |
天気や口コミ | 赤岳の詳細 |
月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最高気温 | -12.5 | -12 | -7.5 | 0.3 | 6.3 | 10.8 | 13.1 | 14.2 | 11.4 | 5.2 | -2.2 | -8.5 |
最低気温 | -19.8 | -21 | -16 | -10 | -3.9 | 1.8 | 6.5 | 7.4 | 3.5 | -6 | -10.6 | -15.9 |
赤岳の登山が人気の理由
赤岳は八ヶ岳連峰最高峰。堂々とした山容は名実とも主峰にふさわしい山です。諏訪側の夕日に燃える西壁は、まさに赤岳の名の通り。2つのピークがあり、南峰に赤森神社が祀られています。北峰には、赤岳頂上山荘がへばり付くように建っています。この赤岳が登山者に人気の理由を紹介していきます。
八ヶ岳の全容と富士山、奥秩父、アルプスまで見渡せる眺望
赤岳の山頂からは南~北八ヶ岳の峰々の素晴らしい景色と、富士山、奥秩父、南アルプスなどの山容を広く見渡すことができます。縦走登山を楽しむならばこれから歩く南八ヶ岳の稜線も美しく見渡せます。
八ヶ岳の最高峰を制覇する満足感
地上からも八ヶ岳をみると最高峰の赤岳を視認することができます。八ヶ岳の中でも赤岳登山の難易度は高く、登頂を果たすことで八ヶ岳登山の大きな目的を達成した気持ちになることができます。
様々な登山コースで赤岳山頂を目指すことができる
赤岳へは様々な登山コースがあり、東西南北からアクセスすることができます。中でも人気なのが赤岳鉱泉側からでテント泊や山小屋泊を絡めて登山計画を練ることができます。
赤岳の難易度別おすすめ登山コース
山頂へは日帰り登山が可能ですが、初めて赤岳へ登られる場合は、小屋泊・テント泊といった計画を組むのがおすすめです。高所での岩場が続き思った以上に体力を消耗するので、十分な休息を経て山頂を目指すと良いです。
樹林帯を終えて岩場に入ると視界が一気に開け、南八ヶ岳ならではの眺望と気持ちの良い緊張感が赤岳登山の特徴で、実力をつけて北八ヶ岳からのアプローチ、よりシビアな岩場が続く権現岳方面への縦走など、生涯を通じて挑戦できる魅力があります。
今回は、赤岳登山でメジャーな人気ルートからおすすめの縦走ルートをご紹介します。
美濃戸から登る赤岳登山のおすすめルート
スタート地点 | 美濃戸 |
ゴール地点 | 赤岳頂上 |
地点間の距離 | 5.3km |
片道コースタイム | 4時間10分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
赤岳を日帰りで登る際の最短ルートです。登山口である美濃戸まではマイカーアクセスが便利です。体力的な余裕が作れ、早朝から登山を開始することで天気が良い内に登れるといったメリットがあります。
始めは樹林帯でゆっくり標高を上げ、行者小屋を過ぎ文三郎尾根に取り付くと、標高は一気に上がり、阿弥陀岳を望みながら赤岳を目指します。
足場が狭く急勾配の岩場が続き気は抜けませんが、その緊張感と引き換えに見る山頂からの眺望と最高峰登頂の達成感は赤岳ならではです。山頂や行者小屋で適宜休憩を入れて、美濃戸まで下山します。
赤岳鉱泉で1泊し、硫黄岳から赤岳までの王道縦走ルート
スタート地点 | 美濃戸口 |
ゴール地点 | 美濃戸口 |
地点間の距離 | 21.7km |
コースタイム | 12時間25分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
爆裂火口で有名な南八ヶ岳の一峰、硫黄岳から赤岳までを縦走するルートで、赤岳縦走プランの中で特に人気があります。
人気の理由は登山口までのアクセスの良さと赤岳鉱泉にあります。登山口の美濃戸口までは休日であれば茅野駅からバスが出ており、ベースとなる赤岳鉱泉は水場やトイレ完備、お食事やお風呂、テント泊可能など、十分な休息をもって臨める環境が魅力です。
本格的な行動となる2日目、硫黄岳からの縦走は緊張感のある岩場が続きます。特に硫黄岳を越えて以降はシビアな場所もありますが、次第に近づいていく赤岳の雄姿を見ていると、これまでにない高揚を感じられます。
難所を越えて赤岳を登頂して以降は、テントや宿泊道具を回収するため赤岳鉱泉に戻り、その後美濃戸口に下山します。
1泊2日で堪能-北八ヶ岳の天狗岳を経て赤岳へ
スタート地点 | 唐沢鉱泉 |
ゴール地点 | 美濃戸口 |
地点間の距離 | 21.7km |
コースタイム | 13時間10分 |
難易度 | ★★★★☆ |
険しい岩場が続く南八ヶ岳と異なり、穏やかで歩きやすく、豊かな植生を持つ北八ヶ岳。秘湯として有名な唐沢鉱泉から、双耳峰で個性的な山容を持つ天狗岳を目指し、オーレン小屋で1泊、2日目に南八ヶ岳の入り赤岳を目指すプランです。
北八ヶ岳北端から赤岳を目指すのは日数を要しますが、この計画であれば1泊で北八ヶ岳を味わいながら南八ヶ岳も同時に歩けるのが魅力です。天狗岳は北八ヶ岳の最高峰で眺望は素晴らしく、ここから見る赤岳方面の稜線は必見で、八ヶ岳が古くから信仰の対象とされているのが頷けるほど、惹きつけられる姿をしています。
赤岳登頂後は地蔵尾根を下り、行者小屋を経由して美濃戸口を目指します。
赤岳登山時におすすめの山小屋|予約方法・テント場
赤岳登山をする際には多くの山小屋を利用することができる。今回は代表的な山小屋を紹介します。
赤岳鉱泉
通年営業の山小屋で、小屋泊、テント泊が可能です。5月末から10月末まで利用できるお風呂、綺麗な個室、ステーキ・鍋といった名物メニューがあり、非常に整った環境とサービスが魅力です。水場とトイレも完備されています。
営業期間 | 5月上旬〜10月下旬 |
収容人数 | 100名 |
標高 | 2220m |
お風呂 | あり |
予約方法 | 電話予約:090-4824-9986 |
宿泊料金
1泊2食付き | ¥12,000 |
1泊夕食付き | ¥11,500 |
1泊朝食付き | ¥10,000 |
素泊まり | ¥9,000 |
昼弁当 | ¥1,000 |
二階個室 | ¥8,000 |
下の棟個室 | ¥5,000 |
上の棟個室 | ¥4,000 |
テント場
料金 | ¥2,000 |
テント夕食 | ¥2,500 |
テント朝食 | ¥1,000 |
テント入浴 | ¥1,000 |
行者小屋
文三郎尾根と地蔵尾根の分岐に位置する山小屋で、赤岳・阿弥陀岳を目標にする場合には山頂までの距離も近くおすすめです。赤岳鉱泉と同じくトイレと水場が完備されています。静かにのんびりと過ごせる畳敷きの個室や食堂はとても癒やされます。
収容人数 | 120名 |
標高 | 2,340m |
お風呂 | なし |
予約方法 | 電話予約:090-4740-3808 |
宿泊料金
1泊2食付き | ¥12,000 |
1泊夕食付き | ¥11,500 |
1泊朝食付き | ¥10,000 |
素泊まり | ¥9,000 |
昼弁当 | ¥1,000 |
個室料 | ¥4,000 |
テント場
料金 | ¥2,000 |
テント夕食 | ¥2,500 |
テント朝食 | ¥1,000 |
青年小屋
営業期間 | 要問合せ |
収容人数 | 30~40名(平日6~8名) |
標高 | 2,400m |
お風呂 | なし |
宿泊料金
1泊2食付き | ¥9,500 |
素泊まり | ¥6,500 |
1泊2食付き(子供) | ¥7,500 |
素泊まり(子供) | ¥5,500 |
お弁当(おにぎり2コ) | ¥500 |
テント場
料金 | ¥800 |
赤岳展望荘
営業期間 | 要問合せ |
収容人数 | 200名 |
標高 | 2,722m |
お風呂 | お風呂(6月~10月上旬) ※宿泊者のみ |
付帯 | お茶、コーヒー、お湯サービス |
予約方法 | 電話予約:0266-74-2728 |
WEB予約 | http://www.yatsugatake.gr.jp/reserve.html |
宿泊料金
1泊2食付き | ¥15,000 |
1泊2食付き(個室) | ¥13,000 |
テント場
なし
赤岳直下にある山小屋で、稜線上にあるため展望が非常に良く、2,000m以上の高所で宿泊できるという贅沢な時間を過ごせます。宿泊のほか、赤岳縦走登山における最後の休憩地点であり、要となる山小屋です。ここから見る迫りくる赤岳は圧巻の一言です。
赤岳頂上山荘
赤岳山頂のそばに位置する山小屋です。7月〜10月頃までの営業で、頂上で宿泊という特別な時間が過ごせます。八ヶ岳縦走登山においても重要な場所であり、稜線上に位置するためタイムロスがなく、利用の計画もしやすいです。
営業期間 | 7月16(土)~10月22日(土)ご宿泊まで |
収容人数 | 150人 |
標高 | 2899m |
お風呂 | なし |
予約方法 | 電話予約:090-4824-9986 |
宿泊料金
1泊2食付き | ¥12,000 |
1泊夕食付き | ¥11,000 |
1泊朝食付き | ¥10,000 |
素泊まり | ¥9,000 |
弁当 | ¥1,000 |
1泊2食付き(子供) | ¥8,000 |
1泊夕食付き(子供) | ¥7,000 |
1泊朝食付き(子供) | ¥6,000 |
素泊まり(子供) | ¥5,000 |
テント場
なし
オーレン小屋
標高2,330mに位置する山小屋で、テント泊も可能です。登山口である桜平から80分という好立地にあり、天狗岳や硫黄岳、赤岳までの縦走のベースとしておすすめです。薪ストーブのある談話室は風情があり、気温の低い高所において芯から温まる場所があるのはとても嬉しいです。水場も完備されています。
営業期間 | 4月下旬〜11月上旬 |
収容人数 | 60名 |
標高 | 2,330m |
お風呂 | あり |
予約方法 | WEB予約 |
https://www.o-ren.net/reserve |
宿泊料金
※横スクロールで表がスクロールできます。大人(中学生以上) | 子供(小学生) | 幼児(4歳児より) | |
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1泊2食付 | 12,000円 (内消費税1,090円) | 8,400円 (内消費税763円) | 6,000円 (内消費税545円) |
1泊夕食付 | 11,000円 (内消費税1,000円) | 7,700円 (内消費税700円) | 5,500円 (内消費税500円) |
1泊朝食付 | 9,500円 (内消費税863円) | 6,700円 (内消費税609円) | 4,800円 (内消費税436円) |
素泊り | 8,500円 (内消費税772円) | 6,000円 (内消費税545円) | 4,300円 (内消費税390円) |
キャンプ1名 | 2,000円 (内消費税181円) | 1,000円 (内消費税90円) | |
入浴 ※テント泊の方のみ | 1,000円 (内消費税90円) | 500円 (内消費税45円) | 無料 |
お弁当 (おにぎり2個) | 500円 (内消費税37円) | 500円 (内消費税37円) | |
昼食 | 900円〜 | 900円〜 | 900円〜 |
テント場
料金 | ¥2,000 |
テント場 | 60張 |
入浴料 | 大人1,000円、小学生500円 |
赤岳トイレ情報
各登山口、山小屋にトイレがあります。ルート上には設置されていないので、各山小屋で利用します。八ヶ岳は山小屋も多くあるので、トイレ事情に困ることが少ないのは嬉しいですね。
赤岳駐車場情報
赤岳登山のメジャーな登山口である美濃戸と美濃戸口にはそれぞれ有料駐車場があります。ハイシーズン中はすぐに埋まってしまうこともあるので、早めの到着が良いです。唐沢鉱泉にも無料駐車場があり、周回ルートとする際に利用できます。
赤岳周辺の観光&温泉情報
登山の他、優れた観光スポットでもある八ヶ岳。地産のお土産から入浴、お食事処が沢山あり、下山後すぐに帰るのが勿体ないくらいです。ここでは是非立ち寄ってもらいたいスポットをご紹介します。
唐沢鉱泉
登山口でもある唐沢鉱泉は、美濃戸からも比較的近く、登山後の疲れを癒やすにはとてもおすすめです。どこか懐かしい館内と足を伸ばせる浴室で過ごす時間は、登山の締めくくりにピッタリです。
テンホウ塚原店
長野県のソウルフードとして有名な食事処のテンホウ。八ヶ岳登山の入ぐりである茅野市に住んでいた時、よく利用していました。特に観光地っぽいメニューはありませんが、肉揚げ、テンホウメン、テンホウのぎょうざなど、ここでしか食べられないメニューと、登山後でスカスカのお腹を満たすメニューは、食べたら八ヶ岳登山の思い出となることは間違いありません。
個人的には肉揚げがおすすめです。
パンドトナリテ
八ヶ岳・車山エリアの登山口に向かう道中に静かに佇むパン屋さんです。通り沿いには色々なお店があり通り過ぎてしまいそうになりますが、初めて入った時、今まで入らなかったことを後悔したのを覚えています。定番メニューから時々お目にかかれるパンなど、ここでしか味わえないパンが沢山あります。イートインスペースもあり、小腹を満たすも良し、お土産や帰路で食べるも良しです。
たてしな自由農園 原村店
美濃戸口から程近い場所にある、地元のお野菜から八ヶ岳エリアの加工品などを扱うお店です。季節で店頭に並ぶものが異なり、個人的には春の山菜シーズンが一番好きです。頑張って登った自身へのご褒美に、家族へのお土産に、山の香りを感じさせる食材は、帰宅後も八ヶ岳を思い出させる最高の品物になります。
赤岳登山のQ&A
難易度は?
梯子や鎖場、岩場などが多いのが赤岳の位置する南八ヶ岳エリア。登山経験があり梯子、鎖場、岩場でも安全に移動ができる体力が必要です。高度感があるので、不安な方は事前に2,000m以上の山や岩場の多い山などで慣れておくと良いです。ルートによっては難所の多い赤岳登山ですが、岩稜帯から見る赤岳山頂は、恐怖と信仰心が表裏一体となった神々しさを放っており、一度見たら忘れることはありません。
降雪は?
10月頃より雪があり、6月頃まで雪が残ります。厳冬期となるとアイゼン、ピッケルが必携となり、十分な雪山技術が求められます。山頂の神々しさはさらに増し、高揚感と恐怖が入り交じる不思議な感覚の中頂を目指します。雪崩も発生するので、焦らず山小屋で情報入手し、安全登山に努めます。