後立山連峰と呼ばれる北アルプス北部の中の最北部にあたるのが白馬岳で、白馬連峰とは一般的に、白馬岳(2932m)、杓子岳(2812m)、鑓ヶ岳(2903m)を白馬三山と呼び、その周辺の山岳一帯を白馬連峰と呼んでいます。白馬大雪渓は日本三大雪渓のひとつとして有名で、山域一帯は高山植物が豊富なことでも知られています。今回は白馬岳登山の最もポピュラーな猿倉登山口から大雪渓を通り白馬岳へ向かう登山コースの注意点と難易度、コース内容について紹介する。
大雪渓を通る際の注意点
大雪渓は雪がない場合は落石、崩落に気をつける必要があります。以下の写真は2020年9月21日における登山情報だが、大雪渓ルートが通行止めとなっていることがわかります。計画前、出発前と頻繁に登山道情報を山小屋や自治体のウェブサイトで確認をしましょう。
猿倉から大雪渓を通る白馬岳の登山ルート概要・難易度
①猿倉登山口→②白馬尻山荘→③岩室跡→④白馬山荘→⑤白馬岳
場所 | 富山県 長野県 |
山域 | 北アルプス北部 |
標高 | 白馬岳(2,932m) |
必要日数 | 1泊2日登山 |
コースタイム(片道) | 6時間15分 |
距離(片道) | 約6.6km |
累積標高 | 約1,763m |
難易度 | ★★★☆☆ |
山の名前 | 白馬岳 |
都道府県 | 富山県・長野県 |
標高 | 2,932m |
天気・アクセスなど | 白馬岳の詳細情報 |
猿倉登山口までのアクセスと必要な装備
白馬周辺でも最もポピュラーなコースで、シーズンには大勢の登山者で賑わう登山コースです。簡単なコースとみなされがちですが、雪渓の登降には十分な注意が必要です。
アクセス方法はJR大糸線白馬駅からバスかタクシーで猿倉に入るか、自家用者で登山口近くまでアクセスできます。
猿倉では、樹林帯の中に猿倉荘があります。山荘手前より登山道に入り10分ほどで工事用林道に出ます。前方に白馬岳から小蓮華山への稜線が見えてくると大雪渓までもうすぐです。7月後半にもなるとシラネアオイやキヌガサソウなどがみられるようになります。白馬尻には水場があります。
大雪渓を通る白馬岳登山の魅力と注意点
小屋の前から灌木帯を少し登ると広い台地に出て、ケルンが立っている。このあたりから、いよいよ大雪渓に取り付きます。雪渓に登山者が長い列をなして登って行く様子が見えるのが7月後半の高山植物が多くみられる時期の特徴です。雪渓ではコース沿いにベンガラの赤い筋が引かれているので、ガスで視界が悪い時などは、これを目印に歩きましょう。
また、雪上の落石は音をたてずに転がるので、視界が悪い時にはとくに注意しましょう。止まっている岩でも自然に転がりだす時があるので、うっかり岩に腰掛けたりするのは禁物です。
白馬岳の大雪渓は末端の白馬尻から葱平まで約2kmに達し、一年中消えることがありません。しかし、8月下旬からはクレバスができたりして危険なため通行止めになることもあります。
また雷が生じるような天気には決して歩くのを避けましょう。逃げる場所がなく、また強風が雪渓に降りるとホワイトアウトで視界が悪くなり、気づかないうちに間違った雪渓を登り、登ることも後戻りもできなくなります。
猿倉登山口より大雪渓、白馬岳への登山ルート内容
ゆるやかな斜面がだんだんきつくなり、ひと息入れるころ、上方に葱平が見えてきます。葱平の登りはきつい斜面で人工落石も多いため十分注意が必要です。混雑時は前方の登山者と間隔をあけるなど登山技術も重要です。
年にもよりますが8月初旬頃まで雪渓道は葱平の上部で小雪渓をトラバースすることになります。足場は切ってありますが急斜面なので慎重にゆっくり歩きましょう。この時期まではアイゼンは10本爪以上がおすすめです。
お花畑は最盛期にはシナノキンバイやミヤマキンポウゲで咲き乱れます。稜線に頂上宿舎が見えてくるころ、左手に赤い巨岩があります。その岩肌に付いた擦痕は氷河の名残といわれており多くの人はスルーしてしまうので、気に留めておきましょう。このあたりは、高山植物の宝庫とされておりまるで天国のような景色に驚かされます。
やがて頂上宿舎に出ると、先ほどまでの景色とはまるで変り杓子岳から白馬槍の景色、剣岳を遠くにみる雄大な景色に感動することでしょう。ここから白馬山荘を経て30分あまりで白馬岳頂上です。360度の大展望を存分に楽しみましょう。