奥多摩一帯の森林は東京の水源林でもある。林業と水源かん養が共存し、7割の自然林と3割の人工林が共生している。都会生活者にも、そんな森林の自然に触れ合う場を提供しようと、東京都が奥多摩主脈エリアに2ヶ所の都民の森を開設した。三頭山の檜原都民の森と、御前山の奥多摩都民の森(体験の森)である。森林を知ることによって、山登りはより豊かになるだろう。
檜原都民の森
三頭山と奥多摩周遊道路(当時は有料道路)に挟まれた一帯に、自然公園としての都民の森が開設されたのは1990年5月31日である。197ヘクタールに及ぶ広大な敷地は次の5つのゾーンに分かれている。
出会いの森
都民の森とここを訪れる人たちのふれあいの場で、森林館や木工工芸センターなどのある利用上の拠点となる森である。
生活の森
出会いの森のすぐ裏の山で、炭焼小屋、ワサビ田、山菜園、きのこの栽培など、山の生活の一端を見学することができる森である。
冒険の森
森の中で冒険がしたいのなら冒険の森へ。自然の地形や林をうまく生かして配置したアスレチックが完備してある。
野鳥の森
野鳥の森では四季を通して多くの野鳥が見られる。鳥や小動物の観察も出来る野鳥観察小屋がある。
ブナの森
都民の森の一番の魅力は、全体の約半分を占めるブナの自然林、三頭山山頂、展望台、30mの高さから落ちる三頭大滝などがある。
各ゾーンでは子どもから大人まで、様々な角度から森の楽しさを満喫できる。森林の専門家である野外利用指導員が日程やコースをアドバイスしてくれる。
住所 | 〒190-0221 東京都西多摩郡檜原村7146 |
TEL | 042-598-6006 |
奥多摩都民の森
1993年7月1日、御前山北面の栃寄地区にオープンした奥多摩都民の森は、前記の檜原都民の森と区別して「体験の森」の通称で呼ばれることがある。
その名の通り、体験学習などの教育活動に重点を置いた自然公園となっている。82.4ヘクタールの敷地は、「針葉樹育成エリアA,B」「針·広混交林育成エリアA,B」「見本林エリア」「山地保全エリア」「風致保全エリア」の各区画に分かれる。
このうちいくつかのエリアでは植栽、下刈り、枝打ち、間伐作業などの「森づくり体験」ができる。「栃寄集落ゾーン」には宿泊・研修施設があり、体験活動のオリエンテーションや講演が行われる。この他に「山里体験」として、自然染め、栃餅作り、そば作り、味噌作り、しいたけ作り、押し花(葉)作り、リース作り、炭焼きなどが体験できる。丸太を使った木工クラフトは子どもに大人気だ。
わさび田見学や、近隣の山道での森林浴やバードウォッチングなどの自然観察も行える。なお、1泊2日の時間割が組まれた「森作り体験」や「山里体験」は森林インストラクターが指導し、予約申し込みが必要だが、御前山登山の帰りに立ち寄って木工に参加したり、散策したり、というような利用の仕方も可能。
住所 | 〒198-0222 東京都西多摩郡奥多摩町境654番地 |
TEL | 0428-83-3631 |