マウンテンカラ部、初回の管理釣り場での練習から、おおよそ1ヵ月間の個人練習期間をはさみ、第2回全体ミーティングとなる今回は大自然に出てテンカラ実践。「渓が広く初心者にも竿が振りやすい場所を」とマウンテンカラ部、師匠のムッチーくんが、場所を調べてくれ皆に共有。
するとこのアウトドア大好き少年、いや中年な面々は「沢すじで野営だね」「ツエルト、タープどっち?」「食事はどうする?」と疑問を投げかけては、こうする、あーするとアイデアがどんどん導き出されていき、おおよそのプランはあっという間に決定。結果どうなったかはまた後ほどのお楽しみ。
場所もプランもおおよそ決まると、気持ちはテンカラへと、そしてイワナ、ヤマメを釣り上げる気持ちへとシフトしていく。
1回目の管理釣り場での練習では、竿も仕掛けも、全て師匠ムッチーくんに頼りっぱなしだった僕らは大きく成長を遂げた。竿や糸はみんなで情報収集を重ね購入し、仕掛け作りも見よう見まねで準備をしてきた。
20~40リッター前後のザックの側面に竿を収め、まずはファストパッキングスタイルで沢まで登りつめる。
今回参加のメンバーはマウンテンカラ部師匠のムッチーくん、高橋くん、ナミネムくん、ジローくん、ここまでは前回同様。山屋くんは残念ながら仕事の都合で欠席。
新たに参加は以前「マウンテンカラ面白そうだね」と参加表明らしき言葉を残し、その後僕の脳裏にこびり付いていたサンダースポーツの雷太さんを誘ってみた。「面白いギア持ってきたよー」と皆をウキウキさせて今回参加。(次回の野営編で正体が明らかに!)
約10キロほどの林道と山道を駆け抜け、沢すじに少し開けたスペースを見つけた。ここをベースにマウンテンカラを楽しむ準備をする。
川に出た瞬間に急いで逃げる魚影をみつけたムッチーくん。一言「ここはいますよ」と皆のテンションを一機に上げる。人数が人数だけに、皆で1つの渓に向かうのはただただ魚を驚かせに行くだけ。2つのグループで渓を分けてそれぞれでマウンテンカラを楽しむ計画を経てる。
ベースでテンカラ釣りの準備を終えた僕らは、ここからまた沢の奥へと足を向ける。トレランシューズは4名。
高橋くんはアルトラ「スペリオール2.0」、僕はホカオネオネ「ラパヌイターマック」、ムッチーくんはパタゴニア「ツァリ2.0」、ジローくんはパールイズミ「EM Trail N1」。ナミネムくんは沢シューズで、エアリスタ「ウルトラライト ウォーターサンダル」。雷太さんは長靴というセレクト。
トレランシューズはもちろん水陸両用で駆け抜ける前提。実際沢の中に入って、そのあと走ってもぐちょぐちょ感はあるものの、そんなに気持ち悪くない。とっても暑い夏模様には足元が冷えて気持ちがいいくらい、だけど、
それと踏み込む場所は自然の川だから、くるぶしを岩にあてて怪我をしないように、くるぶしがちゃんと隠れる靴下、もしくはネオプレインソックスをセレクトする。藪こぎをするようなハードな山行であればタイツ着用も必須だろう。
「よし釣るぞ~」と掛け声と共にスタートを切ったその瞬間、早速アクシデント。ナミネムくんのアメリカから取り寄せた超軽量コンパクト竿がトラブルを起こす。こういうのも1つ1つ勉強になるわけだが、この日のナミネムくんは面白いほど運の悪さが光っていた。
そしてアウトドアマンだからこそ、あえてここで注意喚起。「これから向かう場所は魚がいる場所、いわゆる人がいない場所に足を踏み入れるわけだから、できる限りの自然保護はもちろん、動物には注意しよう。」と意識統一をはかる。熊はもちろん、いのしし、猿といった動物も危ない。マダニ、ヒル、ブヨといった外的にも注意が必要だ。
目当ての沢までは歩きやすいトレイルがない。ヤブ山をトラバースしながらスポットに近づく。すると開けた立派な沢が!「おー!」驚きの声を上げるとともにテンションマックスに!
沢の分岐点に着くと、僕とムッチーくんとジローくん。高橋くんとナミネムくんと雷太さんというグループに分かれて釣りが始まった。ここでも熊鈴は手元に、必要以上にリンリン鳴らして渓を登っていく。
歩くこと10分、師匠ムッチーくんの動きをチェックする。腰をかがめ、偏向レンズをフィルターに魚影を捉える。何よりも自分の思ったポイントにフライを正確に投げ入れる技術には感嘆する。「すげえなあ~。格好いいなあ~」とみとれていると。
速攻でヤマメをゲット!おお~すごい!それにしてもとても綺麗なヤマメ。渓流の女王と呼ばれる容姿にしばし見惚れる。
ムッチーくんのフライを投げている場所にも驚いた。僕は勝手に浅い場所に魚はいない、と思い込んでいたけど、「そんなことないよ。こういう浅い場所にも沢山いるよ」という事なのだ。こうしちゃいられない、俺も絶対釣ってやる!と心意気を新たにフライを投げる。
するとだ。釣れたのである。人生初のヤマメ。人生初の渓での成果。合わせも何もできず、正直気づいたら釣れていたっていう按配。魚影も何も見れたものじゃなかった、けど釣れちゃった(笑)。でもなんだか「こういうところに居るんだな」っていう体感はできたような気がする。ヤバイ。泣きそうだ。
こうなると僕はなんとかジローくんにもこの喜びを感じ取ってもらいたい。と思うわけで、その気持ちはムッチーくんも同様のようだった。堰堤を何度も抜け、源流に近づくほどに魚影は濃くなる。
「よし!やったあ!」と声がする方に駆け寄ってみると、今度はイワナが!!先ほどのヤマメと比べてみると、背中の模様が楕円ではなく細かい丸。地域や河川によって、体色や斑紋の変異が著しいと言われ謎の多いイワナ。これから色々な場所に行ってイワナの違いを見てみるのも楽しみの1つになりそうだ。
釣ったのはジローくん!「いやあ~嬉しい!」これで3人とも1匹以上は釣った事になる。今日の夜に食す、大事なタンパク源として僕ら3人分の魚だけを持ち帰らせて戴くことにした。
岩魚の締め方、持ち帰り方もムッチーくんから学ぶ。まずは魚の口に指をあてて首を持ち上げ息を止める。その後お腹を割き内臓物を取り除く。「こうやって胃の中に何が入っているかみると、今食べているものがわかるんだよ」と言い、中身を見てみる。
すると胃の中からはコガネムシや蟻など、僕が思っている以上の大型昆虫がでてきた。その他にも多くの砂利もでてきた。「砂利を多く飲んでるっていうのは体を重くして流されない為らしく、そういう時はこれから雨が降る可能性が高かったりするんだよね」とムッチーくん。まるで理科の勉強をしているような気持ちでただただ関心するばかり。
もうそろそろ日が暮れるというその時まで釣りに没頭し、僕らは登り詰めた渓を下り野営場所に戻った。
食事の準備も考えると、野営場所での準備は急がなくてはいけない。まずは暗くなる前に、就寝場所の確保を急ぐ。
高橋くんが今回選んだののはツエルト。ファイントラックのツエルト2ロングをテキパキとたてる。おおー早い!このツエルト、とても張り姿が良く、移住スペースも広い。ジップを全開にして、タープとしても使えるらしい。「う〜ん、欲しい・・・」
ナミネムくんはゼログラムという韓国のメーカーのテントを持参。600グラムちょっとのテントという軽さと、見たことのない張り姿に驚く。「おもしろい!」
そしてジローくんも同じくファイントラックのツエルト2ロング。やっぱり壁があり囲まれていると虫は安心だよなあ、と考える。
そして僕はインテグラルデザインのシルタープ2の下にマットとシュラフ。今回は雷太さんも一緒に寝るということで、2人寝れて軽いということでこれをセレクト。虫はハッカ油を顔に塗りたくり、蚊取り線香を四方に置いておけばなんとかなるでしょうという安易な考え。
ムッチーくんはオールウェザーブランケットのみの”キャンディースタイル”。雨が降ったらオールウェザーブランケットに体を包み込んで、上下を紐で結んで、市販で売っている飴のようになることからの命名。これには笑えてしまった。色々試してみたら行きつく所はこういう事なのかも?と難しく考えてしまったけど、理由はもっと単純なものだった。
こうしてあたりは暗くなり、食事の準備に取り掛かるのだった。
・マウンテンカラVol.2「1日目釣り編」
・マウンテンカラVol.2「野営編」
・マウンテンカラVol.2「2日目釣り編」