マウンテンカラ部、初回の管理釣り場での練習から、おおよそ1ヵ月間の個人練習期間を挟み、第2回となる今回は大自然に出てマウンテンカラ実践。1日目のレポ、野営のレポにつづいて今回は最終章となる2日目のマウンテンカラについてのレポ。
1日目、2つのグループに別れてどちらのほうが釣果があったかなど話し合った結果、2日目は全員で1つの沢に照準を合わせて釣り上がることになった。少し疲れが見える雷太さんはテン場の近くで釣りを選択。その他のメンバーはより深く沢を登ってみようという事で奥へと向かった。
1日目同様にヤブ山をトラバースし、ふた手に別れて渓に入った。僕はナミネムくんと、そしてムッチーくんはジローくんと高橋くんを引き連れて沢の核心部へと向かった。熊鈴をこれでもかと鳴らしながら、奥へ奥へと歩を進める。熊鈴1つとっても響き方や鳴りの持続の違いなどがあり、実際に山の中で熊に恐れながら使うと『少しぐらい重量があっても遠くまで聞こえるだろう響きの強いものがいいなあ』と感じた。1つ勉強。
昨日に比べると、「うむぅ~」当たりが全くない。なんというか昨日の馬力というか精神の部分が散漫になっているのか、なんとも集中に欠ける。少なくとも僕はそんな状態だった。だからなのかライントラブルも多く、1日目は1度もフライを無くさなかったのに2日目の午前中だけで2つも無くしてしまった。
悪循環とはこういうもので、集中力が欠けてトラブルを起こし、トラブルが起きると心が萎える。これを繰り返していくとどんどん深みにはまっていく。スポーツ選手もこういう悪循環を回避すべく精神の鍛錬をしているんだろう・・。そんな事を思いながら『あ~釣りっていうのは精神統一という己との戦いっていう側面もあるのかなあ』なんて考えていた。2つ勉強
僕とナミネムくんの釣りのゴール地点に決めた堰堤の上には3人の姿が。『うわあ~あそこまでどうやって登ったんだろう?』と不思議な気持ちになりつつ、釣りを続ける。
後から聞けば、堰堤の高巻きには相当難儀したらしい。もろい土壌の崖を登りトラバースしてたどり着いたそうだ。堰堤の先に広がるであろう岩魚の楽園を夢みて・・・。
とうとうゴールの堰堤に到着。しかしながら釣果はなし。後日お疲れ様会の席でナミネムくんに言われた。「JUNくん、遠くからみていてもやる気というかオーラーなかったもん」と。
やっぱりそうなのである。釣りはスポーツであり、どんなスポーツでも言えることだけど精神集中がなければ結果は出ない。マウンテンカラ部の皆口々に「そうだよねー。釣りは精神的なスポーツだよね。1日目と2日目とでやっぱり精神集中の差はあったもんね」と。
みんなで合流してあの高い堰堤の上の様子を聞くと、魚はほとんどいなかったという。それよりも堰堤までの道のりが相当なものだったらしい。しかしながら渓の反対側には緩やかな道があって、ジローくん曰く「なんともラグジュアリーな道」だったという事。ジローくんの表現はおもしろい。
そうして、一同集まり全員に釣果がなかった事を話し合うと野営場所に戻りはじめた。一日目、山に入ったばかりの皆の笑顔とあまりにも違う黄昏の絵。GPSのログを見ると2日間の移動距離は39キロ!テンカラへの集中もありおじさん達は疲れ果てたのだった。(笑)
そうして野営場所に戻りながらの道のりで、高橋くんから「面白いものを見つけたよ」と受け取ったのは、なにかの動物の骨。戻って調べてみたら恥骨のよう。これ記事の表紙にしようと疲れ果てた頭で訳のわからないことを言ったら「なんだかわからないよ」と回答。あたりまえだ。
野営場所の片付けも済まし、バスの時間と、バス停でビールを飲む時間を逆算して林道を走り抜ける。「1キロ5分のペースで走らないとビール買う時間ないよ」と声がすれば不思議と気力が沸いてくる。ペースが落ちると「ビィ~ル」と声がかかる。さっきまで頭は岩魚や山女だったのに、凄い勢いでビールが皆の頭の中を侵食する。
ぼくはふと思うのだった。「バス停にビール、売ってなかったらどうなるんだろう?」と。
そうしてバス停に時間前に到着を果たし強いビール要求の中、売店に駆け込む。「おいおい!ノンアルコールしかないよ」「え~」「うえ~」「まじ~」と面白いように思った通りの結末に。すると売店の女将さん「あのぉ。家で買ったビール差し上げますよ。」と女神のような一声。
今思えば、汗だくだくの中年のおっさん達がいきなり売店に入ってきて、不思議な格好で「ビール!ビール!」「ノンアルゥ~!!」なんて叫んでいる様は異様にも程がある。大変ご迷惑をおかけしました。そしてこのご恩、一生忘れません!
何事もなく無事に終えた僕たちの頑張りに乾杯をし、第2弾のマウンテンカラは終わりを迎えたのだった。
今回はどちらかというと比較的緩やかな渓だったのかもしれない。それでも危険はいつでも近くに存在していたし、楽しみもいつでも感じる贅沢なひとときだった。嬉しい釣果、悔しい釣果から、僕たちは色々なものを学び取り、次へのマウンテンカラへの教訓として生かしていく。
・マウンテンカラVol.2「1日目釣り編」
・マウンテンカラVol.2「野営編」
・マウンテンカラVol.2「2日目釣り編」