南アルプスのマウンテンカラ1日目に続いて2日目のレポ。
完全に寝坊の僕。4時に出発なのに4時に起きる始末。ナミネムくんに起こされて急いで準備。4時間30分頃にスタートした僕らはコースタイム約3時間のコースを2時間で目指して向かう。
約8キロほどの荷物を背負って「下りは走ろう」ということで先を急ぐ。なかなか朝からの運動としてはハードだったけど程よく曇り、涼しい気候の中リフレッシュできた時間となった。
目標の6時30分よりも前に広河原山荘のテント場に到着し、まずはテントを設営。準備も整い待っていると向こうから聞きなれた2人の声が。いつもは駅とか街中で待ち合わせる事が多い中、こういうフィールドで顔を合わせるのはなんだか新鮮。お互いの近況を語りながら2人もまずはテントの設営にとりかかる。
高橋くんのテントはビッグアグネス フライクリーク1。ムッチーくんはMSRのハバハバ。2人ともダブルウォールテントで結露対策を考えて選択したということ。夏場であっても南アルプスであればある程度の寒さ対策は必要だし、結露の少ないダブルウォールテントの方が安心。
今回はこの広河原に設営したベーステントを拠点としてアクティビティを行うため、テントは一度設営すれば持ち運ばない、帰るときに片付けるだけ。だから軽さというより快適重視。
4人のテントを並べてみると皆グレー。そんなギア談義に話を咲かせていると、ナミネムくんがなにやらザックをごそごそ。
「今回の秘密兵器はこれ!」と出してきたのは岩魚を捕まえた時のネット。「たまねぎ用ネットっぽいものが上州屋で売ってたからいいかなあと思って」ということ。毎度こういうナミネムくんの発想に驚かされる。「ウルトラライトな装備じゃん!」と話が弾む。
野呂川には魚のリリース区間というのが定められており、それ以外の箇所は指定がないというスタンス。だからといって釣った魚をばかばか捕って良いということではなく摂理を持つことが大事。おまけに今回の釣行場所はヤマトイワナという貴重な魚が生息している場所。僕らは釣った魚を食するのか否かは、釣った魚を見て判断しようということに決めた。
広河原山荘のテント場からあるき沢橋まで整地された道をくだり、そこから野呂川へと降りる。野呂川はとにかく渓が広く、思い切ってフライを投げることができるのが何よりも嬉しい。
このあるき沢橋から広河原方面に野呂川を上り詰めて行くのだけど、距離にしたら相当なものがある。最初は小さな岩がゴロゴロとあり、歩きやすい場所も多いから釣りを楽しむ人もポツポツと見受けられる。
しかし後半になってくると岩場も大きくなり、それこそクライミング技術が必要になってくる危ない箇所も出てくる。それに谷深いため林道に上がるのに相当難儀する。だから釣り人の気配も少ない。
人の気配に感づいたイワナはなかなかフライに食いつかない。理由は簡単。警戒心を抱くことで岩陰に隠れ何も食べようとしなくなる。そんなところに幾らフライを投げても釣れないわけで、こちらの気配に気づかれず、フライを魚の気づく場所に落とす技術に成果がかかっている。
だから人がいたとわかる場所での釣果はなかなか見込めない。それは誰もが解っている事なので自分より上流で釣りを楽しんでいる人を追い越して、釣りを始めるのはマナー違反になるんじゃないかと思う。だから僕らは一声かけては、その人から遠く離れた場所から釣りを始める。移動中は出来るだけ魚に気づかれないように心がけるなどマナーは大事にしたい。
いよいよポイントを定めて釣りを始めた僕ら。最初にヒットしたのは僕らの師匠ムッチーくんだった。しかも尺越えのイワナ。「でかい!」
近くにいたのは僕だけだったので実際に目にすることが出来たのは僕ら2人だけ。
とにかく全ての大きさに驚かされると共に、綺麗な模様に見とれる。「尾びれ、こんなに大きいんだ」とか「顔大きいねえ」とか「こんなにも大きなイワナになるまでにどれだけの時間を要したのだろうか・・・?」とそんな事を考え、話をしリリース。こんな大きなイワナを釣った時の引きの強さを知りたい。そんな一心に駆られ釣りを続行する僕。
何度かあたりはあるものの調子を合わせることが出来ず逃してしまったり、食いついて「よっしゃ!」と吊り上げてみたら糸が切れてしまったりと悔しい思いをする。後から聞いたらナミネムくんも同じような悔しい思いをしたという。「かなり大きいイワナで、あたりも抜群だったんだけど糸が切れちゃったんだよ~!」と悔しい思いを共有した。
そんな中、高橋くんにヒット!こちらがライントラブルで悪戦苦闘しているちょっと先で吊り上げていた。「ヤマトイワナっぽかったからリリースしておいたよ。」という事でその魚の姿は見ることが出来なかったけど、釣れた喜びを感じれて興奮した。
中間地点あたりには大きな岩(ボルダ―)が多数鎮座しており、クライミング経験豊富な高橋くんは「ここを超えるの厳しいね~」なんて満面のにこにこ顔で岩(ボルダ―)に取りついていた。
そんな気ままに釣りを楽しむ僕らにムッチーくん。「この先、岩も大きくなって歩きづらくなるのと、距離もまだまだあるので先を急ごう」と注意喚起。こんな河原で暗くなってテント場に到着出来なかったら大変!という気持ちが皆に沸き、竿と仕掛けを仕舞って帰り支度をはじめる。
終盤の河原は思った以上に大きな岩場がごろごろ。そうして「うわー!ここは絶対釣れるでしょう!」というスポットも数多く見つけるも、ここは我慢してスルー。「最初のポイントで時間を使いすぎたね」と皆で反省。今度くることがあったら、奥まで歩みを進めて釣りを楽しんでもいいかもしれない。
ナミネムくんは高所が苦手で、足場が不安定な岩場の連続に対して「ほんとに嫌だなあ~」という感想。一方高橋くんはクライミング経験もあり岩場走り、岩登りに「すっごく楽しい~」という感想の対照的な2人。最後にはトラバース箇所を見つけて日が暮れるまえに無事に河原から脱出。
最後に話を聞けば、ナミネムくんは足を岩に強打したらしく、一人岩陰に隠れて痛みと戦っていたということ。アウトドアフィールドで同じ楽しみをする中でも、仲間それぞれの得手・不得手を知ることが出来るのは面白く、今後助け合いの精神も芽生えるような気がしてグループとして成長した気持ちになる。
皆で尺イワナを釣り上げる!という目標からは程遠い結果に終わったけど、体を沢山動かした性か心地よい疲れに満たされ山小屋で乾杯した生ビールは最高の味わいで身体に浸みた。
アスファルトで整地された40分の歩みを、岩場ごろごろの河原や沢の中を折り返し戻ってきたのだから、相当いろいろな筋肉を使っているはず。明日は山登りの計画だけど大丈夫だろうか…。そうして明日はどんな挑戦が待ち受けてるんだろうか…。不安と期待に胸を膨らませながら夜の飲み会へとスライドしていった。
・マウンテンカラVol.3「1日目」
・マウンテンカラVol.3「2日目」
・マウンテンカラVol.3「最終日」