ピステスキーからバックカントリースキー、高所冬山登山におけるアウターとしてハードシェルジャケットは欠かせません。ハードな環境におけるハードシェルは高い防風性と耐久性、そして軽量性を備えたゴアテックスプロが安心なファブリックで、これを採用したジャケットを取り入れています。
ゴアテックスプロを採用したハードシェルジャケットでは、アークテリクス べータSVかノローナ ロフォテンのいづれかが個人的な好みで、他のゴアテックスプロを採用したハードシェルはポケット、フード、ジッパー、重量など何かしらストレスを感じてしまう作りで満足出来ませんでした。
今回Rabから『Rab Latok GTXというゴアテックスプロのジャケットがあるので使ってみてください』と声をかけていただき、燕岳への雪山登山とピステスキーで使用してみたのでレビューしていきたいと思います。
商品概要
ブランド | Rab |
商品名 | Latok GTX |
商品説明 | GORE-TEX® Proの生地が持つ性能と、Rabの持つフィット感・機能性・デザインを組み合わせた、 ハイスペックアルパインジャケット。長期の悪天候や過酷な環境向けでも高い耐候性を提供するように設計されているので厳冬期の遠征登山などに最適です。 |
価格 | ¥81,400 |
重量 | 579g |
管理人の評価・レビュー
総合評価 | ★★★★☆ |
軽量性 | ★★★★★ |
コストパフォーマンス | ★★★★★ |
透湿性 | ★★★★☆ |
保温性 | ★★★★☆ |
まずはスペックから見ていこう
結論から話すと、アークテリクスのベータSVやノローナのロフォテンと比較しても、全く見劣りしない。またRabならではの使い勝手の良さが随所に見ることができるかなり快適なハードシェルでした。
生地は70デニールで、ベータSVの80デニール、ノローナの70デニールとほぼ同様。同環境で着用し、試したわけではないのですが、耐風性や耐久性は同等クラスを備えているでしょう。
重量は579gで、ベータSVが最も軽く約500g、ノローナが最も重く約700gです。これだけの耐風性を備え、安心感がありながら500g台のハードシェルは、他ではあまり見かけません。
雪山のアクティビティでポケットの数と配置は重要
雪山のアクティビティの中でも特にピステスキーはザックを持ち歩きません。なので小腹が減った時の行動食や、500mlほどのペットボトル、財布と鍵などの貴重品、スマホは最低でもポケットに収納してスキーをすることになります。
状況に応じてはゴーグルやグローブをポケットにしまうこともあります。こう考えるとハードシェルには、アクセスしやすく使いやすいポケットがあることは重要なんです。
RabのLatok GTXは、ポケットの数が多く、大小様々で、使いやすい位置に配置されています。
胸ポケットには左右にそれぞれポケットが配置されており、縦に長い長方形のポケットなのでグローブ1つをしまうことができます。
両脇にも胸ポケットとほぼ同じ大きさのポケットがあり、斜めに裁断されたポケットなのでハンドウォーマーポケットに活用できます。リフトに乗ってグローブをした状態なのに手がかじかんでしまう時など、このポケットに手を突っ込んで手の悴みを凌ぐことができます。
ハンドウォーマーポケットとピットジップのジッパータブはグローブをしたまま手で開け閉めがしづらいので、3mmのパラコードに替えて自作でジッパータブを作ってストレスを回避しています。殆どのハードシェルに同じような対処を施しています。
内側にはジッパーなしのストレッチポケットとジッパー付きのストレッチポケットが配されています。 ジッパー付きのポケットにはスマホや貴重品、ジッパーなしのポケットには行動食を入れています。貴重品は外側のポケットに入れてしまうと、何かの拍子に落としてしまうので気をつけています。
フード周りの特徴
フードはヘルメットをしたまま被ることができ、調整は頭長周辺と後頭部周辺に横方向2つと、顔の側面に1つ、合計3つのドローコードがついて頭部全体にフィット感を与えて強風から守るよう設計されています。
吹雪いた時にヘルメットをしたまま頭全体を覆い隠し、その際に鼻の上ほどまでくるジッパーで、ハードシェルをバラクラバのような状態で顔を覆い隠すことで凍傷を防ぐことができます。
フードを使用しない時はくるくる巻いて収納しておくことが可能です。こうすることで木に着いた雪が落下してくるとき、フードの中に雪がたまることを防ぎ、また滑走中にフードがバタつくことを防ぎます。
温度調整機構で暑くても寒くても使いやすい
ゴアテックスプロのハードシェルを選ぶときにピットジップの有る無しと、どれだけ開閉するかは重視ポイントの1つです。
厳冬期といえども晴天時にスキーをしていると体が熱くなりがちです。そんな時に有効なのがビットジップです。Rab Latok GTXは実寸で約43cm(Lサイズ)と大きく開くのが特徴です。
さらに前面はダブルジッパーなので、上からも下からもジッパーを開くことで熱の解放が可能です。ハイクアップが必要なバックカントリースキーシーンでは、このような温度調整機構があるのは快適に過ごせる一因になるのではないでしょうか。
ハードシェル購入時に迷うサイズ感
今回着用したハードシェルのサイズは日本サイズのLで、中に薄手のミッドレイヤーを着用してもかなり大きく感じるサイズ感でした。しかし実際にスキーに出かけて着用すると、大きめのサイズが多くのメリットを享受してくれました。
まずポケットにグローブやペットボトルなどを入れる時にサイズが大きいことで出し入れがしやすいことが挙げられます。
次にミッドレイヤーの調整がしやすい点も挙げられます。薄手から厚手のミッドレイヤーを着用しても、手を上げるなどの動作にハードシェルが邪魔になることがありません。
最後に風の影響ですが、ゴアテックスプロのハードシェルはハリのある素材なので風のバタつきはほぼ気になりません。袖口や裾についたストラップやドローコードで、風の侵入を防いだ状態で、体全体ではハードシェルがピタッと密着していないことで冷たい風がダイレクトに体に当たることが少なく、冷たく感じることが少なくなります。
これらのことからハードシェルは大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。