関東圏内で登山を始める人が、まず登ってみたいと思う山が、年間登山者数世界一でも知られる高尾山です。登山口までのアクセスが良好で、山頂までの豊富な登山道、下山後の麓での充実した観光など、登山初体験として最適な山ですが、動植物の豊かさ、人間との歴史も深いのが魅力で、また登山のステップアップとしてもおすすめです。今回は国内を代表する低山、高尾山をご紹介します。
高尾山登山が人気の理由
高尾山は標高599m、東京都内に位置する山です。実は歴史のある山で、開山は744年、古くから霊山として知られる山で、現在は登山、観光としても広く知られています。関東在住の登山者としては、ここで経験やコンディションを整え、富士山や高峰への練習としたり、ファミリーハイクや山岳会の歓迎会山行など、多様な目的で登られています。
ミシュラン観光ガイドで3つ星評価を受けたことも相まって、来訪者は世界一とされる年間300万人が訪れており、信仰、観光、登山など、様々な要素を併せ持った特別な山で、登山者にとっては初めて山登りをする場所として選ばれることが多いです。
山の名前 | 高尾山 |
都道府県 | 東京都 |
標高 | 599m |
天気・アクセスなど | 高尾山の詳細情報 |
登山口までの便利なアクセス
主要な登山口である高尾山口までは、京王高尾線でアクセスできます。ここから登山道までも非常に近く、アプローチまでに時間を要さないのが高尾山登山が高い人気を誇る理由です。
私が本格的に登山を始めようと思い、神奈川県の自宅から頻繁に通ったのが、高尾山口駅から登る高尾山でした。あまりの便利さに何度も登り、高尾山が無ければ、もしかしたら登山にのめり込むことも無かったかもしれません。駅を降りてわずか数分で登山が開始できる驚異的な利便性は、その後も山岳会の歓迎山行や職場の同僚との登山など、沢山の場面で高尾山を利用する要因ともなりました。
マイカーでもアクセスでき、下山後の長い林道歩きといったストレスもないのは嬉しいですね。
下山後に楽しむグルメやお土産
温泉、土産、食事といった、登山を総合的に楽しめる要素が気軽に、そして存分に楽しめるのも高尾山登山の魅力です。
私は登山後の温泉が楽しみで、時間があれば必ず登山口近くの温泉に寄っています。登山を始めた頃は、山登りそのものに夢中になっていましたが、気軽に山に登りたい日や観光とセットにして家族と楽しめる登山にしたりなど、山に登る行為以外にも山を楽しめる要素を探すようになったのがきっかけです。高尾山は、非常にコンパクトに下山後の楽しみを抱えており、山の楽しみを1日で余すところなく味わえます。
山頂までの登山を純粋に楽しみたい方、登山だけでなく観光もしたい方、登山とはいえば食事な方など、目的に合わせた多様な時間を過ごせるのは嬉しいですね。
豊かな自然と歴史の二面性
高尾山には1,200年以上の歴史を持つ薬王院があり、かつ高尾山は豊かな動植物を抱いていることでも知られえています。
高尾山は、人の好奇心を様々な角度から刺激する個性的な山です。中でも動植物と歴史は高尾山がその内に持つ代表的な個性であり、動物はサルやモモンガを始めとした多くの動物が生息し、植物は1,600種もあるなど、知れば知るほど、登れば登るほど、高尾山の世界の奥深さを感じられます。そして1,000年以上の歴史を現在に伝え、その長き時間を肌で実感する面白さもあります。
豊富な登山コースと相まって、登りは自然を感じられるルートを選び、下山は寺院を通っていくなど、他の山では楽しめない山での時間を堪能できます。
高尾山の難易度別おすすめ登山コース
高尾山は京王高尾線の高尾山口から登るルートが一般的で、1号路から6号路までの6ルート、また登山道を使う稲荷山ルートがあります。この他、西方にある登山道からアプローチを始め、多方から豊富な登山計画を立てることができます。どれも日帰り圏内のルートで標高差もさほどないため、基本的な登山技術と体力があればあるき通すことができます。
今回は高尾山口駅からの2ルート、陣馬山からの縦走ルートをご紹介します。
稲荷山ルートから山頂へ−城山縦走で相模湖駅に
スタート地点 | 高尾山口駅 |
ゴール地点 | 千木良バス停 |
地点間の距離 | 8.4km |
コースタイム | 3時間35分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
高尾山口駅から稲荷山ルートを登り、高尾山を登頂。その後隣の城山まで縦走し、千木良バス停に降りて相模湖駅まで行くルートです。
高尾山までの稲荷山ルートは登山道として整備されており、初めて山登りを経験する方にはおすすめの環境です。滑りやすい路面、木道、階段など様々な状況がありますが、予想できない自然の環境の一端を味わえ、途中の稲荷山展望台から見る眺望など、標高を上げて景色が変わっていく様子などもテンションが上ります。
高尾山を登頂して以降は、高尾山までの観光客と別れ、ハイカーのみの静かな山歩きとなります。高尾山エリアの持つ自然をのんびり眺めながら歩けるルートで眺望もあります。
城山山頂でランチタイムといった長めの休憩を取ったら、千木良方面に下山します。樹林帯を抜けて国道に降りれば、バス停は近くです。
清滝コースから高尾山の自然を感じる−下山は稲荷山ルートで
スタート地点 | 高尾山口駅 |
ゴール地点 | 高尾山口駅 |
地点間の距離 | 7.4km |
コースタイム | 3時間 |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
6号路を経て山頂に至り、その後稲荷山ルートで下山する周回ルートです。
6号路は沢沿いとなっており、稲荷山ルートとは一味違う高尾山の自然を見ることができます。夏場や涼しい場所を歩きたい時におすすめで、沢沿いを経て次第に山頂へ至る様子も、山の地形を感じるには最適な登山ルートです。
山頂でゆっくり休憩したら、稲荷山ルートで登山口まで戻ります。
陣馬山から高尾山へ縦走−歩きごたえのある充実プラン
スタート地点 | 陣馬登山口 |
ゴール地点 | 高尾山口駅 |
地点間の距離 | 18.3km |
コースタイム | 7時間20分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
高尾山の西方にある陣馬山を登頂し、その後景信山、城山と縦走、高尾山に登頂するルートです。距離があり8時間近くの長丁場になるので、歩き通す十分な体力と準備が必要なため、高尾山での登山を何度か経験した後に登るのが良いです。
陣馬山を登頂すると樹林帯を歩く縦走となり、明王峠を始めとしたスポットで適宜休憩しながら歩を進めます。途中の景信山は眺望が良く、高尾山まで体力が持たない場合や天候が悪化する場合は、近くの小仏峠でエスケープするなどといった対応もできます。
長丁場を終えて下山する高尾山口駅は、これまでの高尾山登山とは違う大きな充実感を感じます。
高尾山のトイレ情報
登山口となる陣馬登山口、高尾山口駅にはそれぞれトイレがあります。陣馬山、景信山、城山、高尾山にもトイレがあり、縦走の際は安心です。とはいえ時期によって使用できないトイレもあるので、利用できるトイレがあればなるべく済ませておくのが良いです。
高尾山の駐車場情報
高尾山口駅周辺に有料駐車場があり、シーズン中は混み合いますが利用できます。混み合う日中を避け、なるべく早めに入るのがおすすめです。
陣馬登山口の近くに駐車場があり、縦走の際は利用できませんが、陣馬山登山の際に利用できます。
高尾山周辺の観光情報
観光地としても名高い高尾山。麓には沢山のお土産屋やお食事処があり、下山時に寄り道に事欠きません。友人、ご家族と登った際のお楽しみとして、自分へのご褒美として立ち寄ってみてください。
京王高尾山温泉 極楽湯
高尾山口駅のそばにある温泉です。温泉はアルカリ性単純温泉で、筋肉痛を始めとした登山にはありがたい効能があります。露天風呂から季節によって替わるお湯など、登山の疲れをゆっくり癒やし、館内でお食事をすれば、最高の気分で帰路につくことができます。
TAKAO COFFEE
登山との親和性が高いコーヒー。登山前、登山中に飲むのも良いですが、下山後の一息にスイーツと一緒に飲むのもまた格別です。
TAKAO COFFEEは高尾山口駅の近くにあり、オリジナルブレンドを始めとしたドリンクからタルト、ソフトクリームなどのスイーツまで楽しめ、1日の思い出話や、次の山のお話などをするのにおすすめなお店です。コーヒー豆の販売のほか、山の記念に良いオリジナルグッズも取り扱っています。
髙橋家 高尾山店
高尾山周辺を歩いていると気がつくキーワードが「お蕎麦」です。何店もあるお蕎麦屋さんの中で、高尾山口駅にほど近く、ハイカーの方なら必ず目にするお店が高橋屋さんです。長い歴史を持つお店で、定番のお蕎麦からご飯物、甘味やおつまみまで揃っています。味はもちろんのこと、高尾山と共に歩んできた歴史も感じられ、一度は立ち寄って欲しいお店です。
高尾山に登って山登りの魅力を体感しよう
高尾山は地元の方、登山者など、多くの人々に親しまれてきた、歴史ある山です。信仰、登山、観光など、時代とともに歩んできた高尾山ですが、その魅力は現在も豊かな自然を有する場所として、そして霊山としての厚い信仰の山として在り続けているところにあります。
初めての山登りの場として、親交を深める山として、登山としてもアルプスを始めとした高峰とはまた違う楽しみがあります。
高尾山に登って、山登りと自然の魅力をぜひ体感してみてください。