東北の山には花の名山が多く、鳥海山や飯豊山、月山や栗駒山など魅力的な山が多くあります。花の種類、量ともにすこぶる豊富で、特に6月から7月中旬にかけて咲く初夏の花は圧倒的で、梅雨の時期にしか楽しむことができない高山植物も多くあります。この記事では、東北エリアの高山植物が美しい山と登山プランを紹介します。
梅雨の時期の登山を楽しむ心がけ
梅雨の時期の登山では天気予報と気圧配置をしっかりとチェックして、雨の降らないタイミングを見計らって山に出かけることが重要です。
また、高山植物に足を止めることが多いことを想定し、コースタイムはできるだけ短く設定をして計画を立てるようにしましょう。
梅雨の時期に咲く高山植物は様々です。その中でも梅雨時期に特に高山植物を多く咲かせる山をピックアップしておすすめの登山ルートを紹介します。
タテヤマリンドウとイワカガミの群落が見事な栗駒山
タテヤマリンドウは清楚な美しい花を咲かせる高山植物です。山によって色の違いがある高山植物で、例えば今回紹介する栗駒山や栂池あたりでは薄い青紫系統の花びらなのに対して立山では白い花びらであったりします。
イワカガミはその名の通り岩場に咲く高山植物で、美しく鮮やかなピンクの花を咲かせ、岩場の冷たい雰囲気に彩りを与える高山植物です。
栗駒山はこのイワカガミとタテヤマリンドウの群落を楽しむことができ、他の山では見ることができない見事な数の花を咲かせます。また展望岩頭に咲くイワウメ、名残ヶ原のワタスゲ、秋田湿原のミズバショウ、世界谷地のニッコウキスゲなどがこの梅雨の時期に楽しめます。
山の名前 | 栗駒山(くりこまやま) |
都道府県 | 岩手県・宮城県 |
標高 | 1,626m |
天気・アクセスなど | 栗駒山の詳細情報 |
【日帰り登山】周回コースで様々な高山植物を楽しむ梅雨登山ルート
総距離 | 約12.9km |
累積標高 | 上り:約888m 下り:約888m |
コースタイム | 5時間21分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
梅雨の時期の高山植物を楽しむのにおすすめの日帰り登山ルートは須川温泉からスタートし、産沼コースを通り栗駒山へ向かう周回コースです。須川コースは2022年5月21日時点で高濃度の火山ガスが観測されたため、引き続き登山道、上部は通行止めとなる模様です。
栗駒山に到着したら須川分岐に向かい、展望岩頭へと稜線を歩いていきます。頂上からこの稜線上で高山植物を楽しむことができます。帰りは天馬尾根を歩いて行き、スタート地点の須川温泉へと下山をします。下山途中にある白銀草原では多くの鉱山植物を楽しめ、美しい草原の中に咲き乱れる様々な花の色は圧巻の景色です。
圧倒的な高山植物の種類と数に魅了される月山
月山では実に様々な高山植物を楽しむことができます。ミヤマクロユリ、ミヤマシオガマなど限られた期間で判で押したように咲く高山植物や、ハクサンイチゲの群生、ハヤチネユキソウやミヤマキンバイ、チングルマやイワカガミなどとにかく様々な高山植物を楽しむことができるのが月山です。
山の名前 | 月山(がっさん) |
都道府県 | 山形県 |
標高 | 1,984m |
天気・アクセスなど | 月山の詳細情報 |
【日帰り登山】月山リフトで無理なく登山を楽しむ梅雨登山ルート
総距離 | 約6.4km |
累積標高 | 上り:約621m 下り:約621m |
コースタイム | 4時間30分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
梅雨の時期の高山植物を楽しむのにおすすめの日帰り登山ルートは月山リフトを利用してリフト上駅までアクセスし、金姥、牛首を経由して頂上小屋に向かいます。月山の頂上まで足を運んだら、元来た道に戻り、牛首から左手に下山をしてリフト分岐を経由して上駅へと戻ります。
登山開始から終わりまで高山植物が咲き乱れる登山道を歩く、贅沢な1日です。高山植物に足を止めることが多くなることを想定して、コースタイムを短くすると良いでしょう。
ハヤチネユキソウに彩られる早池峰山
ハヤチネユキソウは得意な地質や岩石などに咲く花で早池峰山でしか見ることができない高山植物です。
6月中旬に山開きが行われる早池峰山は毎年約1000人もの登山客が訪れ、小田越登山口で入山式の後には一斉に山頂を目指します。このシーズンの登山ではハヤチネユキソウを初めとした様々な高山植物を楽しむことができます。
ハヤチネユキソウは小田越コースでの見頃が6月後半から7月前半にかけてで、多くの登山者がこの高山植物を楽しみに訪れます。小田越コースでは、ナンブイヌナズナやナンブトウウチソウが特に美しく必見です。
山の名前 | 早池峰山(はやちねさん) |
都道府県 | 岩手県 |
標高 | 1,917m |
天気・アクセスなど | 早池峰山の詳細情報 |
【日帰り登山】ゆっくりと早池峰山の高山植物を楽しめる梅雨登山ルート
総距離 | 約5.0km |
累積標高 | 上り:約670m 下り:約670m |
コースタイム | 4時間10分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
登山コースは小田越登山口から小田越コースを歩くのが最もスタンダードで、梅雨の時期におすすめの日帰り登山コースです。総合休憩所から正面コースの登山道は通行止め(2022年6月6日時点)となっているので注意しましょう。
ハクサンイチゲとミヤマキンバイとゼブラ柄を楽しむ鳥海山
鳥海山は7月上旬まで雪が残り、ゼブラ柄が楽しめます。そしてこの時期に咲き乱れるのがハクサンイチゲとミヤマキンバイです。花々の彩りと、緑と白が織りなすゼブラ柄の景色は、鳥海山ならではで、梅雨の時期にいつかは見てみたい皆が憧れる景色です。
山の名前 | 鳥海山(ちょうかいざん|ちょうかいさん) |
都道府県 | 山形県 |
標高 | 2,236m |
天気・アクセスなど | 鳥海山の詳細情報 |
【日帰り登山】象潟口ルートで鳥海山を楽しむ梅雨登山ルート
総距離 | 約14.7km |
累積標高 | 上り:約1,383m 下り:約1,383m |
コースタイム | 7時間59分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
梅雨の時期の高山植物を楽しむのにおすすめの日帰り登山ルートは初心者にもおすすめできる鉾立から象潟口ルートです。鳥海山の登山ルートの中では、比較的初心者の方にも安心して楽しめる登山ルートです。
中間地点にある鳥海湖周辺は広大なお花畑が広がり、ハクサンイチゲとミヤマキンバイの群落は圧倒的です。ここから約1時間半、登山をすることで鳥海山頂上に到着します。下山ルートは登ってきた道を戻ります。
まとめ
東北の山は特に高山植物が美しく、梅雨の時期だけにしか見ることができない景色があります。梅雨が明けて7月から8月はアブやブヨの大群に悩まされる山が多くなり注意が必要です。
また、今回紹介した山々は比較的標高が低く、気温が高いとレインウェアの着用によるムレや汗対策も万全にしておきましょう。