壮大な湿原に高山植物が咲き誇る八幡平。頂稜部や湿原内には遊歩道が整備されており、登山者をはじめ、ハイカーや観光客も気軽に楽しめる山です。以下では八幡平のおすすめポイントや登山コースをご紹介します。まるで山上の楽園のような八幡平の景色を楽しみましょう。
八幡平ってどんな山?
岩手県と秋田県の県境に位置する八幡平。山名に「平」とつくように、八幡平はなだらかな山容の高原台地です。八幡平は壮大な湿原と豊富な高山植物が魅力で、日本百名山、花の百名山に選ばれています。
山名 | 八幡平(はちまんたい) |
場所 | 岩手県と秋田県にまたがる |
標高 | 1,613m |
天気・アクセスなど | 八幡平の詳細情報 |
なだらかな高原台地【八幡平】の魅力
壮大な湿原をもつ八幡平。以下では八幡平の魅力をシンプルに紹介します。
壮大な湿原と高山植物のお花畑
八幡平は壮大な湿原と数多くの高山植物が見られるのが魅力です。ニッコウキスゲやコバイケイソウ、ワタスゲなどが湿原一帯に彩りを添え、まさに自然庭園のような光景が広がります。さらに、大小さまざまな湖沼が点在し、これらが相まって美しい風景を作りだしています。
▼八幡平の花カレンダーはこちらから
花カレンダー[八幡平開花時期カレンダー]|八幡平市観光協会 (hachimantai.or.jp)
【ドラゴンアイ】雪解け時に見られる神秘の光景
八幡平といえば、雪解け時に見られるドラゴンアイが有名です。八幡平頂上付近にある鏡沼の雪解けの様子が、まるで竜の目の様に見えることから『ドラゴンアイ』と呼ばれています。
ドラゴンアイが見られるのは5月下旬~6月上旬の約2週間ほど。限られた場所・限られた時期にしか見られない神秘な光景なのです。
【八幡平三大展望地】高原や岩手山を一望できる
八幡平には、『八幡平三大展望地』と呼ばれる景観がよい場所があります。その場所とは、畚岳(もっこだけ)・源太森(げんたもり)・茶臼岳(ちゃうすだけ)の山頂。八幡平周辺にある山々で、八幡平の高原や風格ある岩手山の眺望が見られます。
八幡平の難易度別登山コース
山頂付近に登山口があるため、頂を踏むだけなら百名山の中でもっとも容易な山といわれています。登山初心者向けの山ではありますが、周辺の山々へと足を伸ばすともっと八幡平の登山を楽しめます。以下では、八幡平のおすすめ登山コースを難易度別にご紹介します。
初級者向け:【八幡平周回コース】壮大な湿原と湖沼群を楽しむハイキングルート
八幡平周辺をぐるっと周回するルートで、ハイカーに人気のコースです。登山道が整備されており、八幡平山頂までは石畳の道、八幡沼周辺は木道の遊歩道になっているため歩きやすいです。気持のよい湿原歩き、そして大小さまざまな湖沼めぐりが楽しめます。とくに八幡沼展望テラスからの眺めがよく、大きな八幡沼と湿原の美しいコントラストが見られます。
スタート・ゴール地点 | 八幡平登山口 |
地点間の距離 | 約4.0km |
累積標高差 | 約127m |
コースタイム | 約1時間40分 |
難易度 | 初級者向け |
※コースタイムは休憩時間を含まず
初級者向け:【八幡平~源太森コース】壮大な湿原を一望できるコース
ハイキングコースである八幡沼を超えて、源太森を目指すコースです。八幡沼を過ぎると遊歩道がなくなり、地面がデコボコした登山道になります。難所はなく、距離も近いので手軽に登頂できます。ただ、木道が一部崩れていたり、浮石があったりするため、転倒しないよう注意して歩きましょう。
源太森の山頂からは、見晴らしのよい眺望が楽しめます。歩いてきた壮大な湿原や、風格ある岩手山の展望は見物です。
スタート・ゴール地点 | 八幡平登山口 |
地点間の距離 | 約5.0km |
累積標高差 | 約153m |
コースタイム | 約2時間 |
難易度 | 初級者向け |
※コースタイムは休憩時間を含まず
中級者向け:八幡平三大展望地をめぐる縦走コース
体力に自信のある方は、八幡平三大展望地(畚岳・源太森・茶臼岳)をめぐる縦走コースがおすすめです。八幡平登山口を起点に、八幡平周辺にある3つの山を登ります。難所はないですが、歩行距離が長いため、時間にゆとりをもって行動すると良いでしょう。
それぞれの展望地からは、八幡平周辺の山並み、風格ある岩手山、広大な湿原の展望が見られます。各展望地で岩手山の眺望が異なるので、視点の違いも面白いです。
スタート・ゴール地点 | 八幡平登山口 |
地点間の距離 | 約15.0km |
累積標高差 | 約645m |
コースタイム | 約6時間30分 |
難易度 | 中級者向け |
※コースタイムは休憩時間を含まず
上級者向け:【裏岩手縦走路】八幡平と岩手山をつなぐ約50㎞のロングトレイル
安比高原から八幡平や三ツ石山、岩手山を縦走する、全長約50㎞におよぶロングトレイルコースです。「裏岩手縦走路」と呼ばれるこのコースは、東北の名峰を眺めながら稜線を歩けるのが魅力。3泊4日の行程で、道中は避難小屋へ泊まります。
行程 | 区間 | 歩行時間 | 宿泊場所 |
---|---|---|---|
1日目 | 安比高原ゴンドラ山頂~八幡平 | 約5時間25分 | 陵雲荘 |
2日目 | 八幡平~三ツ石山 | 約8時間50分 | 三ツ石山荘 |
3日目 | 三ツ石山~岩手山 | 約6時間35分 | 岩手山8合目避難小屋 |
4日目 | 岩手山~焼走り登山口 | 約4時間35分 |
八幡平おすすめの登山時期
八幡平の見どころはシーズンによって変わります。下記ではおすすめの登山時期と見どころについて解説します。
【5月下旬~6月上旬】ドラゴンアイが見られる時期
ドラゴンアイが見られるのは5月下旬から6月下旬頃です。気温によって雪解けの進み具合がかわるので、最新情報を確認しながら訪れるとよいでしょう。登山道には残雪があるので、必要に応じて軽アイゼンを準備して登るようにします。
【6~8月】夏の高山植物が咲き乱れる時期
八幡平は高山植物が豊富で、時期によりさまざまな高山植物が見られます。初夏にはショウジョウバカマやヒナザクラ、盛夏にはニッコウキスゲやワタスゲなどが見られます。湿原と花に囲まれた散策が楽しめるでしょう。
【9月下旬~10月中旬】秋の紅葉が色づく時期
八幡平の湿原は9月中旬頃から草紅葉が進み、9月下旬頃には黄金色に輝く草紅葉が見られます。登山口へつながる道路のアスピーテラインの紅葉もキレイで、登山口までの紅葉のドライブコースも楽しめます。
【1月~3月】厳冬期に見られる樹氷
八幡平登山口の見返り峠を中心に、アオモリトドマツの樹海が広がっています。アオモリトドマツは、冬には氷結して樹氷となり「スノーモンスター」と呼ばれるまで成長します。八幡平の厳冬期登山は、中腹から歩かなければいけないため、雪山装備をしっかり持って登りましょう。
八幡平登山口へのアクセス方法
起点になる八幡平登山口へのアクセス方法は以下のとおりです。
・マイカー
駐車場:八幡平展望駐車場(普通車500円)
東北自動車道 松尾八幡平I.C.より約40分(約26km)
※八幡平展望駐車場を岩手側に少し下ったところに無料の駐車場もあります
・電車/バス
東北新幹線 東京駅~盛岡駅まで約2時間20分
岩手県北バス 盛岡駅~八幡平頂上まで約2時間
▼岩手県北バスの時刻表はこちらから
盛岡~八幡平 | 岩手県北バス(公式サイト)
▼八幡平登山口のマップはこちらから
八幡平登山後に寄りたいおすすめ山旅スポット
自然豊かな八幡平の麓には、温泉地がたくさんあります。下山後には温泉に立ち寄り、登山の疲れを癒していくとよいでしょう。以下では、八幡平の登山後に寄りたい山旅スポットのおすすめをご紹介します。
【八幡平ハイツ】庭園風露天岩風呂で疲れを癒そう
八幡平を岩手県側に下ると、八幡平温泉郷があります。なかでも「八幡平ハイツ」には庭園風露天岩風呂があり、風情が感じられる温泉です。さらに、露天風呂からは岩手山の山容が望め、山の風景を楽しみながら入浴できます。
名称 | 八幡平ハイツ |
住所 | 岩手県八幡平市松尾寄木1-590-4 |
泉質 | 単純硫黄温泉(硫化水素型) |
入浴料 | 大人630円、子供300円 |
施設HP | 岩手県 八幡平温泉郷 八幡平ハイツ 公式ホームページ (8mantai.jp) |
【ふけの湯温泉】八幡平最古の温泉
約400年前に開湯した、八幡平最古の温泉『ふけの湯温泉』。バリエーション豊かなお風呂と、自然の趣きあふれるお風呂が魅力です。内風呂・露天風呂・野天風呂・岩風呂・樽風呂・枡風呂と6つの種類があります。また、オンドルという蒸し風呂も楽しむことができます。
名称 | ふけの湯温泉 |
住所 | 秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林 |
泉質 | 単純泉・弱酸性泉 (敷地内に泉質の異なる3本の源泉) |
入浴料 | 大人600円/子供300円 |
施設HP | 【公式】蒸ノ湯温泉 l ホーム (fukenoyu.jp) |
【ふうせつ花】大豆のごちそうを堪能しよう
岩手県で有名な豆腐屋さんの「ふうせつ花」。豆乳を使用したドーナツやワッフル、ソフトクリームなどのデザートが人気です。こだわりの大豆、そして八幡平の上質な井戸水を使用することで素材本来のおいしさを味わえます。
名称 | ふうせつ花 |
住所 | 岩手県八幡平市保戸坂236 |
施設HP | ふうせつ花 [岩手八幡平・安比] (fusetsuka.com) |
▼下山後に寄りたいスポットのマップはこちらから
【おかわりハイキング】麓の湖沼群を眺める散策路
八幡平は初心者向けに整備された山なので、登山者によっては物足りないと思う人もいるでしょう。そこで、八幡平に登った後の「おかわりハイキング」におすすめの場所をご紹介します。八幡平の麓にあるので、下山後にふらっと立ち寄れます。
【御在所沼湿原】季節によって湖面が変わる赤沼と湿原散策
八幡平の岩手県側、アスピーテラインゲートの入口付近にある「御在所沼湿原」。1周約90分の散策路で、御在所沼と赤沼の2つの湖沼の周りを歩けます。赤沼は別名、「五色沼」とも呼ばれ、光の加減によって湖面の色を変化させるのが特徴です。夏はコバルトブルーに輝き、秋は黄土色に色づきます。
【大沼散策】新緑とお花が楽しめる散策路
八幡平の秋田県側山麓にある「大沼」。周囲約2㎞の沼で、周りに遊歩道が整備されています。1周は約30分ほどで、春から夏にかけてミズバショウやレンゲツツジ、シャクナゲなどのお花が見られます。
▼おかわりハイキングの場所はこちらから
【八幡平の登山ツアー】岩手県にある日本百名山3座を踏破しよう
登山に不安のある人は、登山ツアーに参加するのがおすすめです。「クラブツーリズム」の登山ツアーは、ガイド付き、送迎付きでお手軽に登山を楽しめます。
岩手県内には、八幡平や岩手山、早池峰山の3山が日本百名山として選ばれています。これら3つの山に登るツアープランもあるので、日本百名山踏破を目指している人にもおすすめです。
▼安全・お手軽に登山を楽しむなら登山ツアーの参加がおすすめ
八幡平登山で広大な湿原と湖沼群の織りなす山岳風景を堪能しよう!
八幡平の魅力や登山コースについてご紹介しました。八幡平はなだらかな山容で難所がなく、初心者でも楽しめる山です。体力に自信のある方は、八幡平三大展望地をめぐる縦走コースにチャレンジしてみてください。壮大な景色に感動すること間違いなしです。そして、八幡平登山後は、ご紹介した温泉やお豆腐屋さんに立ち寄り、充実した山旅を過ごしましょう。