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甲斐駒ヶ岳登山-黒戸尾根の難易度と七丈小屋での山小屋泊レポ

甲斐駒ヶ岳登山-黒戸尾根の難易度と七丈小屋での山小屋泊レポ

ずっと憧れていた山、甲斐駒ヶ岳に登山をしてきました。ルートは、日本三大急登の一つである黒戸尾根をピストンで登山を行います。七丈小屋で一泊する山小屋泊登山です。今回で10回目の甲斐駒ヶ岳登頂を果たす友人とペアで、朝8時ごろ尾白川渓谷駐車場を出発しました。黒戸尾根の難易度がわかる動画、七丈小屋での山小屋泊について紹介します。

尾白川渓谷駐車場

尾白川渓谷駐車場は黒戸尾根を使って甲斐駒ヶ岳の登山に挑戦する登山者、日向山登山を楽しむ登山者、尾白川渓谷へのハイキング利用者の多い駐車場です。7月上旬土曜の朝7時半頃でしたが駐車場にはまだ余裕がありました。近隣には「売店おじろ」、山梨県北杜市が管理している綺麗な公衆トイレがあります。

駐車場は約100台の駐車が可能で無料で利用できます。当日は曇り予報でしたが、尾白川渓谷駐車場に着くとまさかの雨…この先どうなることやら。

黒戸尾根の難易度・甲斐駒ヶ岳への登りルート

朝7時半ごろに到着し準備して8時ごろ出発。この時間は日向山に向かう方が多く、甲斐駒ヶ岳に向かう方はいませんでした。もう少し、早く出発する方が多いようです。

必要日数1泊2日登山(七丈小屋での山小屋泊)
片道コースタイム※12時間43分
距離約19.8km
累積標高約2578m
難易度★★★★☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

竹宇駒ケ岳神社を過ぎてから本格的登山が開始します。

祠や石碑が迎えてくれる山岳信仰の道

黒戸尾根は駒ヶ岳神社に由来する石碑や祠、剣がたくさん祭られている、山岳信仰の登山道です。

尾白川渓谷を渡るつり橋
南アルプスの深い森 スタートから一気に高度を上げる

最初は九折の道で一気に高度を上げます。
尾根に入ってからも比較的厳しいのぼりが続きます。
うっすらと霧がかった山道は、南アルプスらしい深みを感じます。いつの間にか雨は弱まり、木々の隙間から日差しがさしてきました。

2合目の石碑

難易度で刻まれる1合目から頂上までの目安

2合目に到着。
甲斐駒ヶ岳は富士山のように1合目から頂上までの目安があります。
頂上が10号目で、7合目にあるのが七丈小屋です。

距離で合目が決まっているのではなく、難易度で刻まれているらしいです。
体感的に、スタートから2号目まではすごく長く感じました。
注意したいのは、黒戸尾根は七丈小屋まで水場がありません
7月上旬の今日、恐らく下界の街は30度を超える暑さ。標高が高いとはいえ、七丈小屋まで1.5リットル以上の飲料水を持参した方が良さそうです。

南アルプスの苔むす森

2合目を過ぎると緑が一層深くなってきます。
苔の森といえば八ヶ岳ですが、決して負けない緑の森です。この辺りはずっと霧がかっていたので、晴れて光が注いでいる風景も見てみたかったです。

刃渡りの岩場(上から)

刃渡りを過ぎてからはしごや鎖の連続に

深い森を抜けると岩稜帯が現れ、刃渡り(ナイフリッジ)を渡ります。以下の動画の1分ぐらいのところでその怖さが解ります。

鎖がありますので、安全にわたることができます。
このナイフリッジから黒戸山をトラバースして100mほど高度を下げると、やがて5合目小屋跡から鞍部に至ります。

5合目の鞍部

ここから先が黒戸尾根の核心部です。梯子と鎖が連続します。
ここまでかなり体力が削られていますから、集中力が必要となります。

梯子や鎖が連続する

私は高度感ある場所が苦手なので、ヘルメットを装着して臨みました。
右側が大きく切れ落ちている梯子や鎖もあり、緊張する場面もあります。雨でぬれている場合は特に注意が必要です。
最近も滑落事故が起きたばかりのようです。過信せず、一歩一歩丁寧に進みます。

七丈小屋

七丈小屋に不要な荷物をデポして、いざ山頂へ

6合目前後の核心部を終えると七丈小屋に到着です。
ここまで約4時間半ほどでした。いいペースで登ってこれました。標準コースタイムは6時間くらいです。

なお、トイレは七丈小屋までまでありません。

翌日は天気が悪そうでしたので、宿泊の受付を済ませ、不要な荷物をデポして、そのまま山頂を目指すことにしました。

宿泊した七丈第二小屋

七丈小屋からテント場を抜け、やがて森林限界に達します。
気が付くと青空が広がってきました。
尖った山容の鋸岳もはっきりと望めました。

鋸岳の山容
ほぼ垂直の壁

ここからは、高度感あるような場所はありませんが、急峻な岩場が続きます。
疲労の溜まった足と心にさらに追い打ちをかけられますが、周囲の景色と相殺され、気持ちが高ぶります。

大きな岩から点を突き刺す2本の剣
9合目から山頂を望む

9合目からは山頂の祠まではっきりと確認できました。
その山容はとても男らしく、一言でいうとカッコいいです。わたしもこんな男になりたいです。
この辺りから花崗岩の白砂の道になります。
山頂まであと少しです。

甲斐駒ヶ岳山頂に到着
雲が多く周囲の山々の姿ははっきり望めませんでした

長く厳しい道のりだから、達成感も大きい

七丈小屋から約1時間半で山頂に到着。標準コースタイムは2時間くらいです。
思わず漏れた言葉が、「やっと着いた」です。
ここまで長く厳しい道のりだっただけに、大きな達成感で包まれました。
あいにく雲が多く、周囲の山々をはっきり望むことはできませんでしたが、同じ苦労を知っている他のパーティーの方々と談笑したりして、山頂で長い時間を過ごしました。

七丈小屋の晩御飯、カレーはおかわり自由

七丈小屋で一泊-山小屋ならではの交流で心が温かくなる

降りてしまうのが名残惜しい。そんな気持ちで、山頂を後に、小屋まで戻ってきました。
宿泊場所は七丈第二小屋です。そして、晩御飯はカレーライス!なんと、おかわり自由です。
お酒好きの私は、早速ビールと共にカレーを流し込みます。
すると、地元山梨のパーティーの皆さんが、持参したワインを振舞ってくれました。
鳥居平100%という甲州の赤ワインです。甲斐駒ヶ岳にふさわしい、男らしくキリッとした印象のワインでした。この場を借りて、改めてご馳走様でした。

お隣のパーティーが振る舞ってくれたワイン
七丈第二小屋の寝室
第二小屋からの眺め。鳳凰三山が一瞬だけ姿を表してくれました

宿泊は七丈第二小屋です。
扉のないカプセルホテルのような作りで、プライベートが確保されています。
敷布団や枕は用意されていますが、掛け布団がありませんので、シュラフを持参する必要があります。
また、第二小屋からは鳳凰三山が望めます。この日は一瞬だけ、その姿を見せてくれました。

夏山営業期間5月30日~11月27日(予定)
例年6月中旬ごろまでは、黒戸尾根ルート上の一部に若干の残雪あり
小屋宿泊定員最大24名・完全予約制
テント泊定員上限20張または30名程度
※土曜日と連休時のみ完全予約制
予約の受け付け090-3226-2967
七丈小屋直通電話(電話受付時間13時から20時)
※予約状況はこちらから確認可能
料金
2022年時点
1泊2食付き  9500円
1泊夕食付き 8500円
素泊まり  6500円
テント泊  1000円(水道・トイレ使用料込、食事の提供はなし)

無事下山・下山後に感じたことのまとめ

下山の梯子と鎖に注意が必要です。特に雨の日は慎重に下山を行いましょう。

翌日、天候は雨。
今日山頂を目指すパーティーも多く、山頂が晴れていることを願いながら朝6時前に下山を開始しました。
6合目前後の核心部付近は雨で滑りやすく、とても緊張する場面の連続でした。
切れ落ちている方向に少し傾いた梯子など、登りよりもくだりの方が数倍怖く感じました。
刃渡りを超えてから、友人が「後は塔ノ岳のバカ尾根(大倉尾根)降ると思えば大丈夫」といい、「それなら行けるか」と妙に納得してしまいました。

むかわの湯は朝10時からやっています

9時半前には無事尾白川渓谷駐車場まで戻ってきました。
尾白の湯が12時からだったので、10時からやっているむかわの湯へつかり、山行を締めくくりました。

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