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大和路の巡礼写真家 入江泰吉 作品展 『心の原風景 奈良大和路』

大和路の巡礼写真家 入江泰吉 作品展 『心の原風景 奈良大和路』

FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア)写真歴史博物館では、2017年1月4日(水)から3月22日(水)まで、奈良大和路に心の原風景を求めつづけた写真家・入江泰吉の作品展を開催します。

飛鳥上畑秋景 1982年頃
撮影:入江泰吉

入江泰吉は1905年、奈良県に生まれ、幼い頃は画家を夢見る少年でした。17歳の頃、長兄から譲り受けたカメラで写真をはじめ、26歳で大阪に写真店「光藝社」を開業。ところが1945年、戦災に遭い、妻とともに故郷奈良へと引き揚げました。

宵月薬師寺伽藍 1982年頃
撮影:入江泰吉

遥かな歴史をたたえ、豊かな自然と美しい古寺が溶け合う奈良の穏やかな風景は、虚脱状態にあった入江の心を深く癒しましたが、ある時、入江は奈良の仏像がアメリカに接収されるとの噂に出合います。入江は日本人の心の拠りどころである仏像を「せめて写真に記録しよう」と奮い立ち、以来、約半世紀にわたり奈良大和路の古寺風物を撮り続けました。

斑鳩の里落陽(法隆寺塔) 1980年頃
撮影:入江泰吉

奈良大和路とは、京都の山城南部から奈良県に広がる地域を表し、飛鳥から天平の時代、自然崇拝と仏教思想とが調和して独自の文化がかたちづくられた日本のふるさとです。先人たちへの敬意を込め、また万人の心に響くよう、入江は定型の美に思いを託し、大和の心象風景を追い求めました。

蒼古の色濃き玄賓庵への道 1972年頃
撮影:入江泰吉

本展では、入江がモノクロ写真からカラー写真に転向した1964年以降の作品から、鮮やかな夕景に法隆寺塔のシルエットが映える「斑鳩の里落陽(法隆寺塔)」(1980年頃)や霧の立ち込める田園風景に二上山が浮かび上がる「二上山への道」(1968年頃)など、繊細な色調で描き出された奈良大和路の作品を展示します。カラーに転換した当初、色彩の表現に戸惑ったという入江でしたが、抑制の効いたカラー作品は「入江調」と称され、今や入江の代表作となっています。古代人の心までをも彷彿とさせる味わい深い作品は、見る者の胸に眠る歴史への憧憬や故郷への想いを呼び覚ますことでしょう。余情あふれる色彩で表現された入江調の世界を心ゆくまでご堪能ください。

プロフィール

入江 泰吉(いりえ たいきち) 1905-1992
1905年、奈良県奈良市に生まれる。画家を夢見ていたが、家族の反対に遭い、17歳の頃から長兄より譲り受けたカメラで写真をはじめる。1931年、大阪鰻谷[うなぎだに]に写真店「光藝社」を開く。1945年3月、大阪大空襲で自宅兼店舗を焼失、故郷の奈良へ引き揚げる。同年、奈良の仏像がアメリカに接収されるとの噂を聞き、写真に記録することを決意。以来、奈良大和路の仏像や風景、伝統行事の撮影に専念し、1964年頃からはカラー撮影を主として作品を撮り続け、奈良大和路のイメージを広く世間に浸透させた。『大和路』(東京創元社、1958年)をはじめ、『入江泰吉写真全集』(全8巻、集英社、1981年)など数多くの写真集を刊行。第24回菊池寛賞、勲四等瑞宝章など受賞、受章多数。1992年1月16日、86歳で逝去。同年4月、全作品を寄贈した奈良市写真美術館(現 入江泰吉記念奈良市写真美術館)開館。2015年3月、往時の面影を残す水門町の自宅が「入江泰吉旧居」として開館した。

開催概要

開催期間 2017年1月4日(水) ~ 2017年3月22日(水)
開館時間 10:00~19:00(入館は18:50まで) 会期中無休
会場 FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館(地図
作品点数 25点(予定)
入場料 無料

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