テント泊登山におすすめの軽量なソロテントをランキング形式で紹介します。最も軽いもので500g台で、紹介するすべてのテントが総重量で1kg以内と驚きの軽さです。そして全てがダブルウォールテントで、テラノバのテントを除き全てが自立式です。登山装備の軽量化にインパクトを及ぼすソロテントをチェックしてみてください。
登山向け軽量テントの選び方
登山用の軽量テントを選ぶ時に、注目するポイントがいくつかあります。以下から説明するポイントを押さえて自分にとって最適な軽量テントを選ぶようにしましょう。
シングルウォールかダブルウォールか?
登山用のテントには2種類の構造があり、インナーテントとフライシートの二重構造のものをダブルウォールと呼びます。シングルウォールは生地(壁)が1枚のテントを言います。
それぞれメリットとデメリットがあります。以下の表を確認してどちらが良いか検討しましょう。
※横スクロールで表がスクロールできます。構造 | ダブルウォール | シングルウォール |
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イメージ | ||
前室 | 【ある】 ・汚れた道具を置ける ・登山靴を置ける ・雨天時に煮炊きができる ・雨がテント内に入りづらい | 【なし】 ・全ての道具をテント内に入れる ・雨天時に煮炊きができない ・雨天時に雨がテント内に入る |
結露 | 生じづらい | 生じやすい |
設営&撤収 | 時間がかかる | 直ぐにできる |
シングルウォールは上の表を見てもわかるように検討材料が多いため、テント泊初心者の方はダブルウォールをお勧めします。特に雨天時のシングルウォールテントは濡れによる扱いにくさがデメリットです。
自立式か非自立式か?
自立式は、その名の通りテントとポールがあれば設営が可能です。対して非自立式は、細引とペグを使ってテンションをかけないとテントが立ちません。
それぞれメリットとデメリットがあります。以下の表を確認してどちらが良いか検討しましょう。
※横スクロールで表がスクロールできます。構造 | 自立式 | 非自立式 |
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イメージ | ||
設営&撤収 | 非自立式よりも早い | 時間がかかる |
スペース | 少ないスペースでも可 | ペグを打つため検討が必要 |
自立式は、上の表を見てもわかるように、自立式よりも軽量なものが多く、しかしながら設営までに時間がかかるなど扱いにくい点が挙げられます。テント泊初心者の方は自立式をお勧めします。
3シーズンか雪山登山向けか?
春夏秋を3シーズンと呼び、この季節は雪がなく、冬の登山と比較すると気温が比較的穏やかなことが挙げられます。
雪山登山向けのテントは外気温がテント内に入ってこないように多くの生地が使用されています。
雪山登山にも使用できるテントを選ぶ場合は、軽量であることよりも、冬の外気温や積雪に対応する耐久性と耐候性に重きを置いたテントを選ぶ必要があります。この記事では3シーズン用テントの紹介となります。
テントの居住空間を考える
軽量なテントの多くは1人用のテントです。1人用のテントは短辺が短く設計されていて、その分使用する生地量を減らし軽量化が行われています。
テント内で過ごす時間が多い人は、居住性が高い方が軽量化よりも優先順位が高い場合もあります。インナーテントの長辺、短辺、高さのサイズを確認しましょう。
生地の厚みを確認する
フライ素材とフロア素材で生地の厚みを確認するようにしましょう。
薄い生地を使用している場合は、耐久性が弱く、耐水圧も弱くなります。このようなテントの場合は、強い雨に叩かれる登山では、テント内が浸水しやすく、またハードな登山で破損のリスクも考える必要があります。
メッシュ素材が使用されている範囲を確認する
軽量なテントの多くがインナーテントにメッシュ素材を採用しています。
メッシュが多いと風の侵入があり、これによってテント内の気温が低くなります。
夏山登山では気持ちよく過ごせますが、初春や晩秋ではテント内が寒くなり、そのために防寒着やシュラフが重くなることも想定しておく必要があります。
テントの最小重量と総重量の違い
テントのスペックを確認する際、最小重量と総重量という表記があります。最小重量とはテント本体(インナーテント)、フライシート(レインフライ)、テントポールの合計重量を指します。
総重量とは、これらに追加してペグ(テントステーク)、ガイコード(張り綱)、スタッフサックの合計重量を指します。
最小重量で比較して、テントを選び、ペグやガイコード、スタッフサックはより軽量なものを自分で選んで購入することでさらなる軽量化を行うことができます。
登山向け超軽量テントをランキング形式で紹介
現在、手に入れることができる軽量なソロテントを10張りピックアップし、軽いものを1位としてランキング形式で紹介していきます。もっとも軽いテントはダブルウォールで400g台と驚くような軽さです。
10位:ゼログラム Thru Hiker 1p
非常にユニークなダブルウォールテントです。まず初めに物を置く場所が出入り口の前室だけでなく、インナーテントからアクセスすることができる短辺側に前室スペースが確保されています。登山装備を整理するのに非常に便利な作りです。
もう1つが設営スピードと片付けが早くできるようにフライ・インナー・フットプリンとを連結して一度に設営できる一体型構造です。雨が降っている時に大変便利なギミックです。
また素材には結露の不快感がほぼゼロになる、モノフィラメントを使用しており、結露による重量追加が避けられます。
ブランド | ゼログラム |
商品名 | Thru Hiker 1p |
価格(税込) | 53900 |
最小重量 | 947g |
総重量 | 1.076㎏ |
収納サイズ | 40×15㎝ |
長辺 | 210㎝ |
短辺 | 70~90㎝ |
高さ | 最大93㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | 20D monofila |
フライ素材 | 15D N/R silicone/PU coated |
フロア素材 | 15D N/R silicone/PU coated |
ポール | DAC NSL 8.5mm |
出入口 | 長辺 |
インナードア | モノフィラメント |
9位:ヘリテイジ ハイレヴォ
日本のメーカーが作った通気性に特徴を持たせたダブルウォールテントです。出入り口の上下角にメッシュのベンチレーターが設置されており、後方には吹き流し式のベンチレーターが備わり、効果的な換気が可能になっています。テントポールは吊り下げ式ではなくスリーブ式なので、テント内の高さが100cmで、更にフロアが長方形なので居住性が高く作られています。横幅93cmは他のテントと比較しても広めに設計されています。
ブランド | ヘリテイジ |
商品名 | ハイレヴォ |
価格(税込) | ¥60,500 |
最小重量 | -- |
総重量 | 960g |
収納サイズ | -- |
長辺 | 203㎝ |
短辺 | 93㎝ |
高さ | 最大100㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | 15Dナイロンリップストップ |
フライ素材 | 15Dナイロンリップストップ・PUコート |
フロア素材 | 20Dポリエステルリップストップ・PUコート |
ポール | アルミ合金中空ポール(7001-T6)7.5mm径ショックコード内蔵 |
出入口 | 長辺 |
インナードア | メッシュのベンチレーター付き15Dナイロン |
8位:テラノバ レーサーコンパクト 1
テラノバのレーサーシリーズの象徴である、弧を描いた1本のポールを前後左右に引っ張って出来上がるテントです。非自立式のため設営に若干時間を要します。このテントより約半分の重量のレーサーパルス1と比較すると、横幅が広く高さも最も高い所で95cmあり、居住性が確保されています。
ブランド | テラノバ |
商品名 | レーサーコンパクト 1 |
価格(税込) | ¥61,600 |
最小重量 | 860g |
総重量 | 970g |
収納サイズ | 30×14cm |
長辺 | 220cm |
短辺 | 62〜93cm |
高さ | 40〜95cm |
使用人数 | 1~2名 |
本体 | Watershed R/S Si2 2000mm |
フライ素材 | Watershed Si Si2 R/S 3000mm |
フロア素材 | Waterbloc R/S 7000mm |
ポール | 8.7mm DAC NFL |
出入口 | 長辺 |
インナードア | ハーフメッシュ |
7位:ビッグアグネス フライクリークHV UL1 ソリューションダイ
ウルトラライト志向の登山者に大変人気なビッグアグネスの超軽量テント、フライクリークです。ビッグアグネスの登山用テントで最も人気があり、素材を変更したことでさらに軽量化が行われたダブルウォールテントです。出入り口のインナーテントの立ち上がりは居住空間を広く保ち、テント内での食事が快適に行えます。
ブランド | ビッグアグネス |
商品名 | フライクリークHV UL1 ソリューションダイ |
価格(税込) | ¥52,800 |
最小重量 | -- |
総重量 | 907g |
収納サイズ | 47×12㎝ |
長辺 | 218㎝ |
短辺 | 71~97㎝ |
高さ | 最大102㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | ソリューションダイ 通気加工リップストップナイロン、ポリエステルメッシュ |
フライ素材 | ソリューションダイ リップストップナイロン |
フロア素材 | ソリューションダイ リップストップナイロン |
ポール | DACフェザーライトNFL |
出入口 | 短辺 |
インナードア | フルメッシュ |
6位:ニーモ ホーネットストーム1
ニーモのテントの中で最も軽量なモデルがホーネットです。登山での使用が可能な耐久性を保ちながらも、非常に薄い素材を使用しながら耐候性にも優れた特徴ある作りに仕上がっています。
フロアのコーナーにはストラットと呼ばれる支柱を採用し、居住空間を広げつつバスタブを高くした事で雨の入りを防ぎます。天井には独自のクリップで居住空間を確保し、テント内での食事や着替えなどをストレスなく行えます。
ブランド | ニーモ |
商品名 | ホーネットストーム1 |
価格(税込) | ¥48,400 |
最小重量 | 760g |
総重量 | -- |
収納サイズ | -- |
長辺 | 221㎝ |
短辺 | 79~108㎝ |
高さ | 最大98㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | メッシュ/10D ナイロン |
フライ素材 | 10D Sil/PeUナイロン |
フロア素材 | 15D Sil/PeUナイロン |
ポール | -- |
出入口 | 長辺 |
インナードア | メッシュ/10D ナイロン |
5位:MSR フリーライト1
従来のフリーライトよりもさらに素材を薄くし700g 台に仕上げてきました。素材を薄くすることによるプロテクションは、デュラシールド防水コーティングによって耐水圧1200mm まで上げ、軽量ながらも安心して使用できる登山用テントに仕上がっています。
ブランド | MSR |
商品名 | フリーライト1 |
価格(税込) | ¥51,700 |
最小重量 | 740g |
総重量 | 890g |
収納サイズ | 46×10㎝ |
長辺 | 221㎝ |
短辺 | 84㎝ |
高さ | 最大100㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | 10D ポリエステルマイクロメッシュ |
フライ素材 | 15D リップストップナイロン |
フロア素材 | 15D リップストップナイロン |
ポール | DAC NFL 8.7mm |
出入口 | 長辺 |
インナードア | フルメッシュ |
4位:MSR カーボンリフレックス1
テントポールにイーストン社製のカーボンを使用し、さらに非常に薄い生地によってMSRの中で最も軽量なテントに仕上がっています。必要最低限の居住空間は、登山ではメリットとして働くこともあり、例えば強い風に吹かれてもビクともしない構造は安心感をもたらします。カーボンは折れると割れる素材であることは念頭におく必要があります。
ブランド | MSR |
商品名 | カーボンリフレックス1 |
価格(税込) | ¥69,300 |
最小重量 | 660g |
総重量 | 820g |
収納サイズ | 43×13cm |
長辺 | 213㎝ |
短辺 | 76㎝ |
高さ | 最大86㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | 10D ポリエステルマイクロメッシュ |
フライ素材 | 7D リップストップナイロン |
フロア素材 | 15D リップストップナイロン |
ポール | イーストンカーボンION |
出入口 | 長辺 |
インナードア | フルメッシュ |
3位:ニーモ ホーネットエリート オズモ 1P
2022年よりリリースされたニーモ至上最も軽量な山岳用テントがホーネットエリート オズモ です。ホーネットストームと外見は非常に似ていますが、横幅が若干広く作られており、その分前室が狭くなっています。
高さも1cmホーネットストームよりも高く作られています。ヘッドランプを点灯させた状態で天井のポケットに入れることでランタンになるようなポケットや、居住空間を広くする天井部分のクリップなどはホーネットストームを継承しています。
ブランド | ニーモ |
商品名 | ホーネットエリート オズモ 1P |
価格(税込) | ¥57,200 |
最小重量 | 657g |
総重量 | -- |
収納サイズ | -- |
長辺 | 221㎝ |
短辺 | 81~102㎝ |
高さ | 最大99㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | ナイロンリップストップ/ No-See-Umメッシュ |
フライ素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン/ポリエステル) |
フロア素材 | OSMO™ リップストップ (ナイロン/ポリエステル) |
ポール | -- |
出入口 | 長辺 |
インナードア | フルメッシュ |
2位:ビッグアグネス フライクリーク HV1カーボン W/ダイニーマ
ダブルウォールで自立式テントの中で世界最軽量なテントがDyneema®ファブリックを採用したフライクリーク HV1カーボン W/ダイニーマです。ポールにはイーストン社製のカーボンポールを使用し、総重量500g台に仕上げています。テント内の居住空間や、ポケットの作りなど、ビッグアグネスのフライクリークを継承しています。
ブランド | ビッグアグネス |
商品名 | フライクリーク HV1カーボン W/ダイニーマ |
価格(税込) | ¥140,800 |
最小重量 | -- |
総重量 | 595g |
収納サイズ | 46×13㎝ |
長辺 | 219㎝ |
短辺 | 71~97㎝ |
高さ | 最大99㎝ |
使用人数 | 1名 |
本体 | 7d通気加工リップストップナイロン |
フライ素材 | Dyneema®(12g/m²u) |
フロア素材 | Dyneema®(18g/m²u) |
ポール | Easton®製 カーボン+アルミニウムハブ |
出入口 | 短辺 |
インナードア | フルクローズドナイロン |
1位:テラノバ レーサーパルス1
テラノバのレーサーシリーズの象徴である、弧を描いた1本のポールを前後左右に引っ張って出来上がるテントです。非自立式のため設営に若干時間を要しますが、500mlのペットボトルと同じくらいのサイズに収まるコンパクト性と、全て含めても525g という軽さは登山の軽量化に大きなインパクトを及ぼします。テント内の高さは最も高い所で82cmと低めですが、身長175cmの男性で猫背であぐらをかけるくらいの高さです。
ブランド | テラノバ |
商品名 | レーサーパルス1 |
価格(税込) | ¥68,200 |
最小重量 | 485g |
総重量 | 525g |
収納サイズ | 30×10cm |
長辺 | 220cm |
短辺 | 50〜81cm |
高さ | 35〜82cm |
使用人数 | 1名 |
本体 | Watershed R/S Si2 2000mm |
フライ素材 | Watershed R/S 7D Si 1500mm |
フロア素材 | Watershed R/S Si2 2000mm |
ポール | DAC 8.7mm NFL |
出入口 | 長辺 |
インナードア | ハーフメッシュ |
登山向け超軽量テント-400~900g台のダブルウォールテント比較表
今回紹介したテントはすべて総重量で1kg 以内に収まるモデルです。すべてが比較できるように表形式で紹介します。
※横スクロールで表がスクロールできます。順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ブランド | テラノバ | ビッグアグネス | ニーモ | MSR | MSR | ニーモ | ビッグアグネス | テラノバ | ヘリテイジ | ゼログラム |
商品名 | レーサーパルス1 | フライクリーク HV1カーボン W/ダイニーマ | ホーネットエリート オズモ 1P | カーボンリフレックス1 | フリーライト1 | ホーネットストーム1 | フライクリークHV UL1 ソリューションダイ | レーサーコンパクト 1 | ハイレヴォ | Thru Hiker 1p |
価格(税込) | ¥68,200 | ¥140,800 | ¥57,200 | ¥69,300 | ¥51,700 | ¥48,400 | ¥52,800 | ¥61,600 | ¥60,500 | 53900 |
最小重量 | 485g | -- | 657g | 660g | 740g | 760g | -- | 860g | -- | 947g |
総重量 | 525g | 595g | -- | 820g | 890g | -- | 907g | 970g | 960g | 1.076㎏ |
収納サイズ | 30×10cm | 46×13㎝ | -- | 43×13cm | 46×10㎝ | -- | 4 |