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シュラフ
2022.09.25
3シーズンをシュラフを重ねて活用−冬用シュラフを使わず暖かく寝る方法を考察

3シーズンをシュラフを重ねて活用−冬用シュラフを使わず暖かく寝る方法を考察

冬用のシュラフは冬だけの活用に限られるため、3シーズンは部屋の中に閉まっておくことになります。また冬用のシュラフは仕舞うのにとっても嵩張ります。そこで3シーズン用のシュラフを重ねて活用できないか考察してみました。

シュラフを重ねて活用するメリットとデメリット

シュラフを重ねて活用するメリットとデメリット

メリット

  • 2つのシュラフをオールシーズン使える
  • 温度域の異なったシュラフであれば汎用性が高い
  • すでに3シーズン用のシュラフを持っていれば、3シーズン用のシュラフをひとつ買い足すだけで済む
  • 冬用のシュラフは高額なので費用負担が少ない
  • 自宅での収納に困らない

デメリット

  • 保温力がどの程度なのか未知数(ある程度の想定は可能)
  • 厳冬期登山ではスペックが不明瞭なためリスクがある
  • 同じサイズのシュラフだと窮屈になる
  • シュラフの組み合わせに迷う
  • サイドジッパーを2つ開け閉めの必要がある
  • シュラフの表面生地の分重くなる

シュラフを重ねて活用する際には、上にあげたメリットとデメリットを理解して、どの組み合わせがベストか考える必要があります。

シュラフを重ねて活用するおすすめシーン

  • 晩秋から初冬のテント泊
  • 厳冬期における車中泊
  • 標高が低い場所におけるファミリーキャンプ

シュラフを重ねて活用する場合は、事前にリスクの少ない場所で活用してみて、ある程度の実感値を得た後に、登山などの使用に移行することをおすすめします。

またシュラフだけで保温力を考えるのではなく、就寝時は地面からの冷気対策が重要になるので、テントマットは必ずR値の高い(最低でも4以上)アイテムを選ぶようにしましょう。

2枚重ねのシュラフについてベストな組み合わせを考察

シュラフを重ねる際、どこまで保温力を上げたいかによって組み合わせは様々です。しかしながら寝心地が窮屈にならないために、また体の近い内側にくるシュラフのダウンが潰れないようにするために、どのような組み合わせがベストかを考えることはできると思います。

そこで考えたのがマミー型シュラフとキルトタイプのシュラフの組み合わせをベースとし、コクーンのリップストップシルクとシュラフカバーを更に追加するという組み合わせです。

重ねて活用するシュラフを選ぶ際、重要な点をまとめてみました。

  • ダウンの質にこだわったシュラフメーカーをセレクトする(軽量化になる)
  • ヨーロピアンノームを採用しているシュラフを選ぶ(保温力の想定がしやすい)
  • シュラフで使用する生地のデニールが厚いシュラフは避ける(重量が追加されてしまう)

これらを踏まえて温度域別でベストなシュラフの組み合わせを紹介します。

温度域別のシュラフの重ね術−考察前の確認

今回シュラフを重ねて活用する際に、まず初めに冬山で使用できる保温力を備えたシュラフがどのようなものなのかを理解するために、ヨーロピアンノームを採用したシュラフメーカーの冬山モデルを表にしてみました。

※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカーシートゥサミットモンベルNANGA
モデル名スパークSpⅣシームレス ダウンハガー800 #0オーロラライト 750 DX
重量(g)880g995g1280g
ダウン量(g)620g不明750g
中綿850+フィルパワー800FP760FP
撥水ダウン××
生地7D&10D10D(撥水加工)15D(防水コーティング)
価格(税込)¥65,560¥55,000¥63,800
収納サイズ(cm)18×26cm18×36cm19×31cm
コンフォート温度(摂氏)-8度-6度-8度
リミット温度(摂氏)-15度-13度-16度
エクストリーム温度(摂氏)-36度---22度
バッフル構造ボックスキルトスパイダーバッフルシステムボックスキルト
バッフル位置胴から上に縦型バッフル--横型バッフル
胸回り155㎝ストレッチ--
腰回り135㎝ストレッチ--
足回り94㎝ストレッチ--
ドラフトチューブ
フードドラフトカラー

ISUKA、ウエスタンマウンテニアリングはヨーロピアンノームを採用していないため省いています。

冬用シュラフのコンフォート温度は−7度前後と考えることができそうです。

シュラフを重ねて考察するにあたって、シュラフに向上温度の記述があれば足し算で組み合わせを簡単に考えることができるのですが、向上温度の情報がないため考察が難しいということ、また人により体感が違うので人によってはベストなアイデアではない可能性があることはご容赦ください。

シュラフを重ねて使用する際に軽量性を重視するならばシートゥサミット一択です。モンベルのダウンハガーはストレッチ性があるので、寝心地を重視する方は内側のシュラフに採用するのもおすすめです。これらを踏まえてシートゥサミットとモンベルのシュラフ重ねでいくつかのパターンを紹介します。

組み合わせで重視するのは同じ温度域のシュラフを2つを選択しないことです。3シーズン内でシュラフの使い分けができるように季節に応じて単体で使用することも目的にしています。

汎用性の高いスパークSp1を取り入れたシュラフ重ね

体の近い内側にスパークSp1、上に重ねるシュラフはエンバーEb2というシュラフ重ねアイデアです。

※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカーシートゥサミットシートゥサミット
モデル名スパークSpⅠエンバーEbII
サイズレギュラーレギュラー
重量(g)350g600g
ダウン量(g)180g350g
価格(税込)¥35,750¥44,110
収納サイズ(cm)11×16cm15×35cm
コンフォート温度(摂氏)9度-4~2度
リミット温度(摂氏)5度--
エクストリーム温度(摂氏)-9度--
バッフル構造シングルキルトボックスキルト
バッフル位置胴から上に縦型バッフル胴から上に縦型バッフル
胸回り150㎝120㎝
腰回り130㎝150㎝
足回り88㎝87㎝
ドラフトチューブ××
フードドラフトカラー××

スタッフバッグを抜きにしたシュラフ単体での総重量は950gです。

スパークSp1は、スリーシーズンの登山で最も汎用性の高いモデルです。スパークSp0は、冬山用シュラフのインナーとの組み合わせで活用することができますが、頭から首回りの保温機能に欠けるため、キルトタイプのエンバーEb2との組み合わせだと、首周りの保温性に不安が生じるためSp1を選びました。

スパークSp1がコンフォート温度9度で、エンバーEb2が-4から2度。ここにコクーンのリップストップシルクとシュラフカバーを活用し、保温性を高めるというアイデアです。

もっとも体に近いシュラフにシングルキルトのシュラフを活用しているため、コールドスポットが生じやすい為、寒がりな人には次のアイデアがおすすめです。

ボックスキルトを採用したSp2を取り入れたシュラフ重ね

体の近い内側にスパークSp2、上に重ねるシュラフはエンバーEb1というシュラフ重ねアイデアです。

※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカーシートゥサミットシートゥサミット
モデル名スパークSpⅡエンバーEbI
サイズレギュラーレギュラー
重量(g)505g420g
ダウン量(g)300g200g
価格(税込)¥44,110¥35,450
収納サイズ(cm)13×19cm13×25cm
コンフォート温度(摂氏)4度4~10度
リミット温度(摂氏)-2度--
エクストリーム温度(摂氏)-18度--
バッフル構造胴から上にボックスキルトシングルキルト
バッフル位置胴から上に縦型バッフルパネル型
胸回り150㎝120㎝
腰回り130㎝150㎝
足回り88㎝87㎝
ドラフトチューブ×
フードドラフトカラー×

スタッフバッグを抜きにしたシュラフ単体での総重量は925gです。

スパークSp2になると、胴から上がボックスキルトになり、さらにドラフトチューブとフードドラフトカラーが追加されるので、保温性能に大きな違いが生じます。

スパークSp2は春の残雪期や晩秋の登山で単体で使用できるスペックで、3シーズンはエンバーEb1を単体で使用するという整理が可能です。

モンベルのストレッチ性で寝心地を重視したシュラフ重ね

シートゥサミットのSp1と同等のスペックを持つシュラフが、モンベルの場合シームレスダウンハガー800#5になります。

※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカーモンベルシートゥサミット
モデル名シームレス ダウンハガー800 #5エンバーEbII
サイズ最大183cmレギュラー
重量(g)441g600g
ダウン量(g)不明350g
価格(税込)¥28,600¥44,110
収納サイズ(cm)12×24cm15×35cm
コンフォート温度(摂氏)EN13537採用
コンフォート温度=8度(摂氏)
リミット温度=3度(摂氏)
-4~2度
リミット温度(摂氏)800フィルパワー--
エクストリーム温度(摂氏)10D--
バッフル構造--ボックスキルト
バッフル位置--胴から上に縦型バッフル
胸回り--120㎝
腰回り--150㎝
足回り--87㎝
ドラフトチューブ××
フードドラフトカラー××

スタッフバッグを抜きにしたシュラフ単体での総重量は1041gです。

シートゥサミットSp1同様、モンベルのシームレス ダウンハガー800 #5は、3シーズンの登山で汎用性が高いため、すでにこのシュラフを持っている人も多いと思います。

これにシートゥサミットのエンバーEb2を追加することで保温力を高め、冬山登山で組み合わせて活用するというアイデアです。

追加するマミーライナーについて

追加するマミーライナーについて

今回紹介したシュラフの重ねアイデアの中でおすすめしたコクーンのマミーライナー以外に温度を向上させるアイテムとしておすすめなのがシートゥーサミットのサーモリアクターです。

以下で重量に対する向上温度のパフォーマンスを表にしてみました。

※横スクロールで表がスクロールできます。
ブランド名コクーンコクーンシートゥサミットシートゥサミットシートゥサミットシートゥサミット
商品名100%リップストップシルクメリノウールサーモライトリアクターサーモライトリアクター コンパクトプラスサーモライトリアクター エクストリームサーモライトリアクター フリースライナー
価格(税込)¥13,750¥15,400¥7,150¥7,700¥8,360¥10,120
重量110g600g248g263g399g420g
向上温度5℃7℃8℃11℃15℃18℃
重量あたりの向上温度率4.82%1.17%3.23%4.18%3.76%4.29%
注意点--起毛素材なので摩擦で出入りにしくい起毛素材なので摩擦で出入りにしくい起毛素材なので摩擦で出入りにしくい起毛素材なので摩擦で出入りにしくい起毛素材なので摩擦で出入りにしくい

最もパフォーマンスが高かったのはコクーンの100%リップストップシルクです。シルクなのでツルツルとした素材で、ダウンウェアを着用していなくとも出入りがしやすいです。

対して他のライナーは起毛素材なのでダウンを着用していないと摩擦で出入りしにくいことを念頭に置いておく必要があります。

追加するシュラフカバーについて

追加するシュラフカバーについて

シュラフカバーを活用することで向上温度を追加することができます。ここで重要なのが透湿素材を使っているか、ということです。

透湿素材を使っていないと、内側で発生した湿気が外へ逃げず、シュラフカバーの内側で結露が発生しシュラフを濡らしてしまいます。

透湿性に優れ多くの登山者に愛用されている代表的なシュラフカバーは以下の表にあるアイテムです。

※横スクロールで表がスクロールできます。
ブランド名SOLモンベルモンベル
商品名エスケープライトヴィヴィブリーズ ドライテック プラス スリーピングバッグカバーブリーズ ドライテック プラス スリーピングバッグカバー ワイド
価格¥7,480¥19,580¥22,000
重量156g180g208g
使用サイズ81×208cm77×224cm83×243cm
収納サイズΦ8×15cm8×5×18cm9×5×19cm
アルミ面反射度70%なしなし
透湿の有無ありありあり
耐水性なし20,000mm以上20,000mm以上

それぞれ向上温度は未知数ですが、実際に使用していて暖かさに大きな違いを感じます。

寒い季節は結露は凍るので耐水性を重視しないという考え方もありますが、太陽が出てくれば凍った結露も溶けるので、結露によるシュラフの濡れが不安な方はモンベルのシュラフカバーがおすすめです。

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