一般的には天気予報をもとに天候判断をしますが、それは登山でも同様です。予報期間によって天気予報の精度が変わるため、
- 長期予報や週間予報で大よその状況を判断
- 短期予報で登山の決行判断を行い
- 時間予報で登山開始時刻などの具体的な登山プランを計画する
というように使い分けると良いでしょう。※写真は突然の降雪に見舞われた10月の赤岳鉱泉。
天気予報を見る際にチェックすること
ニュースなどでよく目にする平野部の天気予報は山には当てはまらないと考えるべきです。平野部と山の上では風の強さも気温も異なり、平野部では晴れでも、山は雨ということも不思議ではありません。
山の上の天気を考察するには天気図や天気予報の解説に注目する必要があります。そのためには以下の2点に着目しましょう。
- 標高と天気の関わりについて
- 天気予報でよく耳にするキーワードについて理解を深める
標高と天気の関わりについて
標高が高いと気温が低いということは誰でも知っていることですが、登山ではより具体的に知る必要があります。
100m標高をあげると0.6度下がる
というのは様々な登山専門メディアなどで説明がありますが、これを知っておくことで登山口で気温が30度でも、標高1,000mあげることで−6度も気温が下がることを知っておくと、防寒着や行動着の準備に精度が上がります。
また標高をあげると風が強くなります。登山では風の強さにおいても注意する必要があります。それは
体感温度で風速1mにつき体感温度は1度下がる
と言われています。
登山で覚えておくべき天気のキーワード
天気予報でよく耳にするキーワードについて意味を理解しておくことで、天気による登山計画の精度が上がると共に、リスクヘッジにもなります。
低気圧
低気圧は漢字の通り、周りに比べて空気の密度が低く上昇気流を発生させやすい特徴があります。気圧が低く上空がスカスカな状態なので、海面から水蒸気が蒸発し、雲ができやすい為、天気が不安定になりやすいです。
気圧の谷
低気圧と同様、周りより気圧の低い所を言います。気圧の谷が通過し雨が降ると言った説明をよく耳にします。気圧の谷は寒気を伴っていることが多く、下層に暖かく湿った空気があると大気の状態が不安定になり上昇気流によって雲が発達しやすく雷を伴った強い雨や竜巻などの激しい突風を引き起こすことがあります。
暖かく湿った空気
湿度が高く水蒸気を多く含んだ空気で、軽いために上昇しやすく雨雲が発生しやすい状態のときにこのキーワードが出てきます。登山をしているとこの暖かく湿った空気が山にぶつかり、上昇している様を見ることがあります。この上昇気流によって雨雲を発生させるため、天気が悪くなる兆候として覚えておくと良いでしょう。
大気が不安定
上空には冷たい空気があり、地上に暖かく湿った空気がある状態を言います。冷たい空気は下降しようとするために、対流が起きて雷が起きやすいです。
前線
梅雨前線や秋雨前線など、暖かい空気と冷たい空気の境界線で、雲が発生しやすい状態のときに、よく出てくる言葉です。前線の活動が活発になると、前線から遠く離れた場所でも豪雨となりやすく、大雨になりやすい状態を指します。
その他にも天気予報でよく耳にするキーワードを覚えておき、理解することで天気に詳しくなることができます。
登山に便利な天気アプリ・サービス
ここでは過去に使用していて、登山の天気予報の精度が高い天気アプリとサービスを紹介します。
ヤマテン
山岳気象専門会社ヤマテンが運営する天気予報サイトです。UI UXがおろそかで大変見づらく使いづらい点は否めませんが、全国18山域の山頂天気予報、高度天気図、山のライブカメラなどを提供しています。
高度天気図は例えば2500m 付近の寒気状況を確認することができ、登山ウェアの計画に大変役立ちます。冬山登山では雪の状況を確認するのに大いに役立つサービスです。
WINDY
世界中の風、気温、雲、雨、雷、気圧の状態を確認することができるアプリです。ヨーロッパ、アメリカなどの天気予報衛星ごとで予報を確認することができ、それらを比較して雨の確率などを予測することができます。よく行く山やエリアはお気に入り登録することもでき、無料で使用することができます。
SCW
天気予報を確認するまでに慣れが必要ですが、使いこなす事で精度が高い情報を得ることができます。スーパーコンピューターが予測する高解像度の天気予報で精密な雨量、雲量、気圧を確認することができます。