ヘビーデューティーな山旅『スノーキャンプ&スノーランニング VOL.3』

第3回:身体をドライに保つことができたレイヤリング考察編

帰り支度を済ませた僕たちは、赤城山ビジターセンターに向けて来た道を戻る。榛名山、妙義山と並び、上毛三山の一つに数えられる赤城山でのアクティビティはお互いにとっての初体験だった。カルデラを持つ特殊な地形は、カルデラ湖の大沼や覚満淵、火口湖の小沼があるわけだが、アウトドアフィールドとして非常に面白い場所なんだなと改めて考え深く「今度は釣竿を携えて遊びに来たいね」なんて会話をしながら大沼を歩いた。

 

大沼ではワカサギ釣り

赤城山の魅力を再確認

凍結した大沼ではワカサギ釣りを楽しめる。

 

大人も子供もソリ遊び

カルデラ地形によって形成された緩やかな斜面では大人も子供もソリ遊びではしゃいでいる。

場所を見つけてクロスカントリーを楽しんだり、大沼にそそぐ川では釣りも楽しめそうだし、赤城大沼周回は5キロということだからほぼ皇居と同じくらいで、ロードマラソンにもちょうどいい。

山登り、トレイルランにおいても色々なコースがあるから初級、中級、上級と自分の体力にあわせてコースを組み立てるのも楽しいだろうし、子連れでのハイキングも可能だろう。

 

赤城山

今回スノーランニングを楽しんでいるとアイゼンを装着している人、スノーシューで歩いている人・・・様々な山好きな方々と遭遇した。アルプスや南八ヶ岳など難易度の高い冬山に出向く前にこれら冬山装備をつけて登山練習をする場として赤城山はちょうどいいのかもしれない。

赤城山。知れば知るほど可能性を秘めたフィールドだと感じる。

ドライに保てたレイヤリング

ドライに保てたレイヤリング

帰りの道中、僕は気になっていたことを高橋くんに聞いてみた。
「今回僕はミッドレイヤーにibexのシャックフーディーを選んだんだけど、ウールだから暑くならないか心配だったんだよね。それにちょっと重さも気になってたんだけどチョイスとしてどうだったんだろう?」

すると高橋くん「すごくいい選択だったと思うよ。今回山頂付近の体感気温は-10度前後だったと思うから、いくら雪の低山ランニングとはいえベースレイヤーとウィンドブレーカーだけじゃ厳しかったと思う。だからミッドレイヤーが必要になるわけだけど、そこにメリノウールウェアを選択したのは理に適っていると思うな。

 

雪の低山ランニング

もし心拍が上がり汗をかいたとしても、メリノウールは急激な汗の蒸発が少なく体温ロスが低い。ベースに着ているキャプリーンサーマルが蓄えた汗もその上にかさねたメリノウールがしっかりと吸ってくれるから、メリノウールの吸湿性と程よい発散性で今回の発汗量ぐらいであれば、さらに上に着用したフーディニジャケットの結露も少なく常に身体の表面をドライを保てる。だからリスクが少ないよね。それに適度にあたたかいでしょ?。

それとibexのシャックフーディーはメリノウールウェアにしては丈夫だし、確かにちょっと重くて価格が高いけど快適だよね」となんだかお褒めの言葉をもらい照れてしまった(笑)

「おお~そうなんだね~」と嬉しい気持ちになりながらこの見解に感心する。僕はトレランをする時にウールウェアっていう選択肢が、特に夏場にはなかったものだから、夏のレイヤリングの考えをそのままスノーランニングにもスライドして考えていた。休憩着&就寝着として持ってきたシャックフーディーがアクティビティでこんなに活躍するとは思ってもみなかった。

ザ・ノース・フェースのハイブリッドアルファフーディ―

ザ・ノース・フェースのハイブリッドアルファフーディ―

僕の行動着が3枚重ねなのに対して高橋くんは2枚。それを適えたのは今注目を集めている化繊綿ものだけど行動中にも使えるという通気性の高いインサレーションを取り入れたからなのかもしれない。

高橋くんは言う「ベースレイヤーにザ・ノース・フェースのハイブリッドアルファフーディ―を選んだのには理由があって、全体の生地はポーラテックパワーグリッドなので寒い時期の運動には最適な速乾性があるがやや寒い。ただこのウェアは前面胸下部分のみポーラテックアルファが使われているのでその部分は通気性と若干の保温性とが両立され体幹を冷やしづらいんだ。暑くなったら上着を脱いでこれ1枚で走ることを考えたので体幹の冷えが気になったからこれを選択したんだよね。もちろん僕の体質での話だけど」

1つベースレイヤーをとってみても保温という視点、オーバーヒートしないための通気性という視点。どこを高めるかというのは自分の体質に対して、環境とその時のレイヤリングで考えることが大事で、いわゆる経験の豊富さという土台の上でいかに想像力を膨らませることが出来るか?なんだなあ~と、ここでもまた感心してしまった。

 

実際に一緒にスノーランニングを楽しむ最中にアークテリクスのプロトンLTフーディ―を脱いだ場面が1回あって、それは標高を落として気温が上がった時だった。そうはいってもその時の気温でもマイナス数値ではあったと思うので、いくらランをしているとはいえ1枚のベースレイヤーだけでは寒いはずだ。

そんな時でもザ・ノース・フェースのハイブリッドアルファフーディ―で心地よくランニング楽しんでいた高橋くんの姿を思い出す。

アークテリクスのプロトンLTフーディ―

アークテリクスのプロトンLTフーディ―

アークテリクスという見た目の格好良さにも惹かれたのだが、高橋くんが「あのアトムLTフーディのものよりも湿気の抜けがいいコアロフトを採用したウェアで、より低温化での行動中に特化したウェア」という紹介に更に気になったのが、高橋くんが着ていたプロトンLTフーディ―というジャケット。

実際どうだったのか聞くと「すこぶる良好!ほんと綿ものを着ながら行動するなんて、昔は絶対考えられなかったのに、今ではここまで技術が進歩してきているんだもんね。凄いことだと感じるよ。」と考え深そうに快適性について語ってくれた。

「このジャケットに採用されているインサレーション“Coreloft™ Continuous”ってアークテリクスの独自開発のものなのね。で、この素材を採用しているのがプロトンっていうシリーズになるんだけど、僕が着ているLTは1平方メートルに65グラムの綿が使用されているモデルで、プロトンARの90グラムに対して少ない綿である分、より通気性に優れているんだ。そんなインサレーションを使用しながらも表面の生地自体はアトムLTのそれよりもコシがあり防風・はっ水性が高く感じるんだよね!それにわきの部分も綿が入っているため僕はあたたかく感じる。だから低温化でのハードなアクティビティには非常に相性がいいと思うんだ。

 

アークテリクスのプロトンLTフーディ―

保温性がある程度保たれているのにウェア内のオーバーヒートを防ぐという、運動量に対して透湿性と保温性とのバランスをコントロールするパフォーマンス素材を使用したウェアだから今回のようなアクティビティにはばっちりなんじゃと思って今日はじめて試してみたんだよね。じっさいに山の中ではなんだかずっとぬるい感じがして寒すぎず暑すぎず衣服内が汗ばんでいない!結果はバ・ツ・グ・ン(笑)」

欲しい!その一言に尽きた。

 

そんな話に花をさかせながら僕らはバスで前橋に向かい、前橋駅前の天然温泉施設「ゆ~ゆ」に向かった。立派な施設で清潔な上に源泉を楽しめる非常にパフォーマンスのいいお風呂だった。アクティビティを楽しんだあとにはお決まりの黄金プロセス。それは風呂そしてビール。

 

前橋駅前の天然温泉施設「ゆ~ゆ」

風呂上りにどこかの居酒屋にと思ったのだがまだ夕刻前とあり開いているお店がなかなかない。温泉施設の中に運よくビールを飲めるお食事処があったので、とりあえず一杯だけ乾杯しよう!ということにしたが非常にメニューが豊富でしかも安い。「いいじゃん、ここで!笑」ということでそのまま満足いくまで食事とビールを楽しんだ。

 

充分に満足して前橋を後にするも「やっぱりIPA飲みたい!」と勢いづいたクラフトビール党の僕たち2人はすぐに高崎駅で下車してIPA散策に。赤城のキャンプ場でも楽しんだ「インドの青鬼」をゲットし、ふと目にとまった駅弁屋さんに潜り込む。
本当はお互いに高崎名物「峠の釜飯」をゲットしたかったのだが既に売り切れ。

それぞれに違う駅弁を買ってホームでIPAを飲みながら米を食らう「あー満足!!(笑)」。
こうして電車にゆられながら残り少ない冬をどうやって楽しもうか、次のアクティビティ計画で会話を楽しんだのだった。

 

ヘビーデューティーな山旅。色々な考えがあるかと思うけどルールに縛られず、自分なりのアウトドアの楽しみ方を模索した結果こういう方法になった。やりたいことが複数あるならそれを実行する、もちろんマナーは守りながら。装備に縛られるんじゃなくて、装備で遊び楽しむ。また来年も再来年も定番的に楽しんでいきたい。