冬山登山用のテントは、3シーズン向けのテントと異なった特徴を備えています。冬の登山でも快適に過ごせる冬山登山向けのテントの選び方と、メーカー別おすすめテントを紹介します。
冬山登山向けテントの選び方
3シーズン用テントと異なった冬山登山向けテントは注目するポイントがいくつかあります。しっかりとポイントを抑えて自分に合ったテントを見つけましょう。
素材のデニール数
冬山登山向けのテントの多くが素材に厚手の生地を使用しています。これによって防風性を高め、外気温の侵入を防いでいます。
軽量な3シーズン用のテントが10〜15デニールを使用しているのに対し、冬山登山用のテントは20〜30デニールです。これによって重量のあるテントに仕上がっています。
追加オプションで3シーズンテントを冬山用に
今回紹介する冬山用テントの中で、
- フライシートの交換
- インナーテントとフライシートの間に保温力を高めるためのカバーを追加
- フライシートを交換
といったオプションを活用することで、スリーシーズン用のテントを冬山用のテントにすることができるメーカーがあります。
このオプションを活用することで、スリーシーズン用と冬山用と2つのテントを購入するのではなく、オプション追加で価格を抑えてオールシーズン活用することができます。
インナーテントのメッシュ面積
冬山における結露は大敵です。氷点下になるため、結露は凍るため、取り除くのは比較的容易ですが、できるだけ結露ができないようにベンチレーションは重要です。
ベンチレーションの大きさや設けられている場所を確認して、過ごしやすいテントなのかを確認するようにしましょう。
居住空間
インナーテント内に結露がついて、その後煮炊きをするなどしてテント内が暖かくなると、結露が溶けていきます。
その時にダウンジャケットやダウンシュラフがテントウォールに触れていると、それらを濡らしてしまいます。
このようなことがないように地面からほぼ垂直にテントが立つように構造を工夫しているモデルがあります。すべてのテントがこのように作られているわけではないので、注意して確認をしましょう。
フライシートと地面の間隔
雨とは違って雪は降雪すると、その場所にどんどんと雪が重なっていきます。フライシートの中に雪が入ってしまうと、テントから出る事はおろか、インナーテント内に雪が入ってきてしまいます。
このようなことがないようにフライシートと地面に間隔をあけずに、べったりくっついているタイプが見受けられます。
降雪が多いバックカントリースキーや高所登山ではこのような構造を持ったテントを選ぶようにしましょう。
テントポールの構造と耐久性
上に挙げたように降雪するとテントの上に雪が積もっていきます。雪が重くなるとテントが潰れてしまいます。
このようなことがないようにテントポールがしっかりと空間を作り、上から重いものがのしかかってもテントの形を維持し続けることが重要です。
テント上部に雪が溜まり、頭をつぶしてしまいます。
メーカー別おすすめ冬山用テント
次にメーカー別でおすすめの冬山登山用のテントを紹介します。以下は紹介するテントの比較表です。
※横スクロールで表がスクロールできます。ブランド | MSR | Nemo | モンベル | ネイチャーハイク | アライテント | ファイントラック | ヘリテイジ | プロモンテ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モデル名 | アクセス1 | クナイ | ステラリッジ テント1+スノーフライ | サイクリング 1 | エアライズ+ウィンターカバー | カミナドーム1+ウィンターライナー | エスパース・マキシム ナノ+レインフライ | VL-17+VL15S |
最小重量 | 1370g | 1710g | 1340+710=2050g | 1750g | 1360+570=1930g | 1280+170=1450g | 1250+640=1890g | 1340-300+685=1725g |
価格(税込) | ¥103,400 | ¥71,500 | ¥49,500 | ¥15,990 | ¥58,300 | ¥75,680 | ¥67,650 | ¥78,100 |
就寝人数 | 1人 | 2人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1~2人 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 213×84×104㎝ | 208×104×112㎝ | 210×90×105㎝ | 205×95×110 | 205×100×100 | 205×90×100 | 210×110×110 | 205×90×100 |
前室の奥行き | 76㎝ | 71㎝ | 55㎝ | 約40㎝ | 72cm | 50㎝ | 不明 | 60㎝ |
入口 | 長辺 | 短辺 | 短辺 | 長辺 | 短辺 | 長辺 | 長辺 | 長辺 |
フライシート | 20D | 15D | 70D | 20D | 30D | 15D | 30D | 30D |
インナーテント | 20D | 20D | 10D | 20D | 28D | 7D | 30D | 10D |
グランド部分 | 30D | 30D | 30D | 20D | 40D | 15D | 40D | 30D |
ポール | イーストンサイクロン | DAC | DAC | 7001高強度アルミニウム | DAC | 不明 | DAC | DAC |
備考 | カバー追加 | カバー追加 | カバー追加 | フライシート追加 | フライシート交換 |
MSR アクセス1
今回紹介する冬山登山向けテントの中では最も軽量なモデルです。MSRならではの高い弾力性を備えたイーストンサイクロンポールの使用、地面からテントの天井に向かって、直立するポールによる居住空間の広さなど、特徴的な構造です。
テント内で座っていても衣類に結露が付きづらく、使いやすく安心感の高い冬山登山向けテントです。
ブランド | MSR |
モデル名 | アクセス1 |
最小重量 | 1370g |
価格(税込) | ¥103,400 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 213×84×104㎝ |
前室の奥行き | 76㎝ |
入口 | 長辺 |
フライシート | 20D |
インナーテント | 20D |
グランド部分 | 30D |
ポール | イーストンサイクロン |
Nemo クナイ
リッジフレームを加え、出入りのしやすい居住空間と前室部分のクリアランスが広い、過ごしやすいテントです。このテントポールは全体の剛性を飛躍的に高め、雪が積もってもしっかりとテントの形状を維持する構造を備えています。
インナーテントには、高強度セイルクロスを混紡し強度を高め、大型のベンチレーションを備え、オールシーズン使用することができるテントに仕上げています。
ブランド | Nemo |
モデル名 | クナイ |
最小重量 | 1710g |
価格(税込) | ¥71,500 |
就寝人数 | 2人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 208×104×112㎝ |
前室の奥行き | 71㎝ |
入口 | 短辺 |
フライシート | 15D |
インナーテント | 20D |
グランド部分 | 30D |
ポール | DAC |
モンベル ステラリッジ テント1+スノーフライ
スリーシーズン用の軽量テントで大人気のステラリッジにスノーフライを加えることでオールシーズン使用することが可能になります。このスノーフライはインナーテントに取り付けて防寒・防風性を高めます。
このスノーフライは、70デニールの厚めの生地を使用し、耐候性に優れフライの四隅に耐久性を高めるための補強を施すなど安心して使用することができます。このスノーフライを取り付けて、上からフライシートを追加することも可能です。以下の表ではフライシートを取り付けた場合の重量を紹介しています。
ブランド | モンベル |
モデル名 | ステラリッジ テント1+スノーフライ |
最小重量 | 1340+710=2050g |
価格(税込) | ¥49,500 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 210×90×105㎝ |
前室の奥行き | 55㎝ |
入口 | 短辺 |
フライシート | 70D |
インナーテント | 10D |
グランド部分 | 30D |
ポール | DAC |
備考 | フライシート交換 |
プロモンテ VL-17+VL15S
日本の山岳シーンで、使い心地に優れたプロモンテのVL17のフライシートをVL15Sと呼ばれる雪山用のフライに交換することで、冬山登山に使用できるようになります。
以下の表では、VL17のフライシートを300gと設定して重量を紹介しています。このVL17は軽量コンパクトに仕上げたアルパインテントに位置づけられています。
ブランド | プロモンテ |
モデル名 | VL-17+VL15S |
最小重量 | 1340-300+685=1725g |
価格(税込) | ¥78,100 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×90×100 |
前室の奥行き | 60㎝ |
入口 | 長辺 |
フライシート | 30D |
インナーテント | 10D |
グランド部分 | 30D |
ポール | DAC |
備考 | フライシート交換 |
ヘリテイジ エスパース・マキシム ナノ+レインフライ
厳しい環境下においての登山の使用を想定した高強度で耐候性に優れたテントです。このテントの上からレインフライを追加することで前室の利用を可能にしています。
今回紹介するテントの中では、最も横幅が広く互い違いに減ることで、2人まで就寝することができます。
ブランド | ヘリテイジ |
モデル名 | エスパース・マキシム ナノ+レインフライ |
最小重量 | 1250+640=1890g |
価格(税込) | ¥67,650 |
就寝人数 | 1~2人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 210×110×110 |
前室の奥行き | 不明 |
入口 | 長辺 |
フライシート | 30D |
インナーテント | 30D |
グランド部分 | 40D |
ポール | DAC |
備考 | フライシート追加 |
アライテント エアライズ+ウィンターカバー
アライテントの軽量コンパクトシステムテントとして紹介されているエアライズに外張りを追加することで、冬山使用時の保温性と防風性を向上させることができます。
オプションはこれだけでなく、カヤライズやDXフライなど豊富のオプションで様々な使い方ができる人気のテントです。
ブランド | アライテント |
モデル名 | エアライズ+ウィンターカバー |
最小重量 | 1360+570=1930g |
価格(税込) | ¥58,300 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×100×100 |
前室の奥行き | 72cm |
入口 | 短辺 |
フライシート | 30D |
インナーテント | 28D |
グランド部分 | 40D |
ポール | DAC |
備考 | カバー追加 |
ファイントラック カミナドーム1+ウィンターライナー
ファイントラックには、厳冬期に使用するためのオプションが2種類準備されています。今回紹介しているのは、内張りと言って、保温性と防風性を向上させるためのオプションを紹介していますが、それ以外に降雪が多い場所で使いやすいスノーフライも準備されています。
優れた骨格構造を備え強度の高いテントに仕上がっているため、様々なシーンで安心して使用できるテントです。
ブランド | ファイントラック |
モデル名 | カミナドーム1+ウィンターライナー |
最小重量 | 1280+170=1450g |
価格(税込) | ¥75,680 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×90×100 |
前室の奥行き | 50㎝ |
入口 | 長辺 |
フライシート | 15D |
インナーテント | 7D |
グランド部分 | 15D |
ポール | 不明 |
備考 | カバー追加 |
ネイチャーハイク サイクリング 1
バイクパッキング用テントとして開発されたウルトラライト仕様に仕上がっています。価格は圧倒的に安く軽量性にも優れています。
インナーテントにメッシュ素材が多いこと、ポールは価格を抑えたネイチャーハイクオリジナルのポールであることから耐候性と耐久性に少し心配があります。降雪時の使用は避け、寒い場所での使用に留めておくのが良いでしょう。
ブランド | ネイチャーハイク |
モデル名 | サイクリング 1 |
最小重量 | 1750g |
価格(税込) | ¥15,990 |
就寝人数 | 1人 |
テント内サイズ(縦×横×深さ) | 205×95×110 |
前室の奥行き | 約40㎝ |
入口 | 長辺 |
フライシート | 20D |
インナーテント | 20D |
グランド部分 | 20D |
ポール | 7001高強度アルミニウム |