登山における難所と呼ばれる場所には様々な地形があります。いづれも不安定で、転倒や滑落の危険がある場所です。このような難所と呼ばれる場所では以下のことが重要となります。
- 姿勢を安定させる
- 足をうまく使う
- 重心移動を行う
それぞれの難所ごとに基本的な体の使い方があります。これらをマスターしておくことで、転倒・滑落を防ぎ自分の身を守ることができます。
岩場の登り
岩場にも様々な場所がありますが、ここでは自分の背丈以上の岩場を登る時の基本的な登り方について考えていきます。
岩場に取り付く時は両手両足を使うため、ストックやカメラ、サコッシュなどはザックの中にしまうようにしましょう。またザックのストラップが邪魔にならないように確認をしましょう。岩場に登っている最中にこれらの道具に気を取られないことが重要です。
手足を動かしやすい状態になったら、安全で歩行しやすいルートと足場を考えながら登っていきます。
岩場を登る時の姿勢は疲れないように登ることが重要です。腕や足を曲げながら腰が引けた状態で登ると徐々に体力が奪われてしまいます。
胸を張り、手足と背筋を伸ばすことを意識して登ることで疲れにくく安定した登りが可能になります。
登る時は三点支持を意識して、両足は適度に離れた状態を維持しながら登ることで、岩場の上で止まった時に安定させることができ、落ち着いてルートを決めることができます。
三点支持とは
三点支持とは登山における危険な場所を通過するときに基本となる姿勢です。2本の手とこのような場所では足、合計4本の内3肢を使って体を支える姿勢のことです。
三点で支持して一肢だけを自由にして次の手がかりへ移動することで安全に登ることができます。この方法で岩場や梯子を登ることを覚えておきましょう。
鎖場の通過
鎖場がある場所は、その多くが切り立った岩場であることが多いです。鎖があると、それを必ず利用しなければいけないというルールはないので、傾斜や周りの状況を見極めながら鎖を利用するかどうかを考えましょう。
鎖を使用する時には、鎖場の支点に対して真下で鎖をしっかり張ってから登り始めるようにしましょう。降りる時も同様です。鎖が横に逸れてしまうと体が振られやすく安定して上り下りができません。
また1支点間に複数人が鎖を利用してしまうと、1人がバランスを崩した時に他の人が巻き込まれてしまうので、1支点間には必ず1人で鎖を利用するようにしましょう。
鎖を使って登るときはクライミングの基本でもある、足を先に出して登っていくことが重要です。腕を伸ばして後から足を使うような登り方だとバランスが悪く、疲れやすいです。
梯子の通過
梯子がある場所も、その多くが鎖場と同様に切り立った岩場であることが多いです。高度感を感じやすく、足がすくみがちですが、しっかりと胸を張って、足元をよく見て一歩ずつ登ることが重要です。
梯子にも様々な素材、形状があるため、破損していないか、またしっかり固定されているかを確認して階段を上るように1歩ずつ交互に足をおいて登りましょう。こうすることで、途中梯子に破損があっても、滑落する危険を防ぐことができます。
トラバースの歩き方
トラバースとは直訳すると「横切る・横断する」という意味になります。登山用語としてのトラバースは山の斜面を水平に移動することを言います。
このような場所では落石が多く、また斜面から転げ落ちた石や岩が足元に散乱している、いわゆる砂礫地で滑りやすいため歩行には注意が必要です。
このような場所では谷川の足をやや外向きにすることで、滑った時にバランスを崩しにくく安定した歩行が可能です。
また小さなステップで歩くことで、重心移動を少なくすることができるので滑りづらく通過することができます。
雪渓の歩き方
雪渓は冬だけでなく夏でも残るため歩き方を学んでおくことは重要です。雪渓で落石が起こると、大きな岩が転がっても雪によって音がしないため気づかない間に自分に近づいていることがあります。
雪渓を歩く時は歩く方向だけでなく、周辺を確認しながら登るようにしましょう。
またどこを通れば安全であるかを確認し、ルート取りを常に意識して歩くようにしましょう。
傾斜角度がきつい場所ではアイゼンの使用を心がけるようにしましょう。
また雪渓の状態を見極めることも大事です。日中日差しが強い場合は雪が溶けて柔らかくなっており、登山靴だけでも歩ける場合もありますが、凍結した硬い雪の場合はスリップしやすいため気を付ける必要があります。
山の雪渓は季節が進むごとに次第に薄くなるため刻々と状況が変わります。事前にできるだけ多くの情報を得て通過する場所や、必要な道具を事前に確認しておきましょう。