これから登山を始めようと考えている方で、寒い季節のハイキングなどにユニクロのヒートテックやワークマンのウォームクルーネックなどのアンダーウェアを着用している方が多いようです。
確かに運動が少なく発汗がほとんどない、キャンプや街着としては大変重宝するアンダーウェアですが、登山の時はヒートテックやワークマンのウォームクルーネックは着用をしない方が良いです。
その理由について紹介をしていきます。
ユニクロのヒートテックの種類
ユニクロのヒートテックは暖かさと素材で4種類の中から選ぶことができます。
スタンダードなヒートテックに対し、ヒートテックエクストラウォーム、ヒートテックウルトラウォームという順に暖かなアンダーウェアとなります。
それぞれの素材は以下の通りです。
- ヒートテック…39%ポリエステル,32%アクリル,21%レーヨン,8%ポリウレタン
- ヒートテックコットン…52%綿,34%アクリル,7%レーヨン,7%ポリウレタン
- ヒートテックエクストラウォーム…50%アクリル,33%レーヨン,13%ポリエステル,4%ポリウレタン
- ヒートテックウルトラウォーム…41%アクリル,32%ポリエステル,20%レーヨン,7%ポリウレタン/ウエスト部分:84%ナイロン,16%ポリウレタン
4種類のヒートテックに共通しているのが、レーヨンという素材が混紡されていることです。このレーヨンが登山での使用に不向きなのです。
ワークマンのウォームクルーネック
ワークマンには登山での使用に適したウェアが多くあります。ワークマンのウェアはゆったりとしたシルエットなので、ベースレイヤーとして使用した時に、肌とベースレイヤーの間に空間ができてしまわないか着用して確認するようにしましょう。
またワークマンの最重要ブランドである「HEATASSIST」として展開しているウォームクルーネックは25%ポリエステル,50%アクリル,20%レーヨン,5%ポリウレタンの混紡比率で、こちらもユニクロのヒートテック同様にレーヨンが混紡されています。
ワークマンでベースレイヤーを選ぶときには、レーヨンのありなしに注意しましょう。
レーヨンが登山のベースレイヤーに適さない理由
レーヨンは天然原料由来の再生繊維です。上質な光沢感があり優れた通気性と吸水性と吸湿性を備えた素材として知られています。
優れた吸水性は、多くの汗を吸い取り、レーヨン単体だけだと乾きが遅いため飽和状態になってしまいます。いわゆるベースレイヤーが汗を溜め込んでしまう状態のことです。
ベースレイヤーが汗を溜め込んでしまうと、汗が乾く時に『気化熱』が生じます。その結果、蒸発する時に周りの熱が奪われます。これによって肌が冷えを起こします。
このような状態に陥りやすいのがヒートテックとワークマンのウォームクルーネックなのですが、直近のアイテムはアクリルの混紡比率が高くなり、乾きが早くなっています。
それでも登山用ベースレイヤーとしてはリスクのあるアイテムであることを念頭に置く必要があります。
レーヨンが混紡されているとなぜ暖かいのか?
それではなぜヒートテックやワークマンのアンダーウェアは暖かいのか?と言うと、レーヨンは吸湿性が高い素材だからです。
湿気を多く溜め込むレーヨンは、多くの湿気を含むことで湿気が凝縮し水に変わります。このように湿気から水に変わるときに熱を生み出すことを吸着熱と言います。
メリノウールもこのように吸着熱が生じる素材として知られています。
よって体が熱くなり汗をかきそうになると、ヒートテックやワークマンのウォームクルーネックはベースレイヤーそのものが暖かくなり、さらに発汗を促進させてしまうことになります。
ヒートテックやワークマンのアンダーウェアは登山で上手に使えば武器になる
ここまで話したことをまとめると、
- 汗をたくさんかく登山では、レーヨンが混紡されていることで気化熱が生じやすく肌が冷えやすい。
- レーヨンが混紡されているベースレイヤーは行動が続くことで暖かくなり発汗を促進してしまう。
- 水滴になるほどの汗をかかなければ、ヒートテックやワークマンのアンダーウェアは暖かい。
上に挙げた1と2は登山の行動中で発汗を促進させてしまうことがわかります。
3は汗をかくことがない運動量が少ないハイキングやキャンプ、行動が止まる山小屋やテント場での休憩着として大活躍するベースレイヤーであると考えられます。
しかも価格が安くどこでも手に入れることができます。
このように素材の特徴と、熱が奪われる仕組みと、 熱が生じる仕組みを知っておくと、登山ウェアを選ぶときに他力本願ではなく自分の力で選別することができます。
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