登山やハイキングなどのアウトドア活動をする人にとって、登山用コンパスは必須アイテムです。しかし、コンパスの種類は多く、スマートフォンや時計でも方角を知ることができるため、どれを選べばいいのか迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、登山用コンパスの選び方や使い方、おすすめモデルなどをご紹介します。登山初心者から上級者まで、幅広い層の方に役立つ内容となっています。ぜひ、この記事の情報を参考に、自分にぴったりの登山用コンパスを選んでみてください。
登山用コンパスの種類と特徴
登山用コンパスを選ぶ際には、コンパスの種類と機能を考慮することが重要です。登山用コンパスの一般的なタイプは、ベースプレートと調整可能なベゼルで構成されるベースプレートタイプのコンパスです。ベースプレートには進行方向の矢印、回転ベゼル、エッジに定規のマークがあります。調整可能なベゼルには、方向を決めるためのスプリング式針先と、針を目立つものに向けるための照準鏡があります。
また、地形の角度を測定するクリノメーターや、コンパスのマークを見やすくする拡大レンズなどの機能を備えたコンパスもあります。また、コンパスの材質は、アルミニウムやプラスチックなど様々で、重量や耐久性、精度に影響します。一般的に、登山には軽量なアルミ製のベースプレートが最適です。
基本的なコンパスの特徴と名前
オイル注入済みのカプセルを持つベースプレートコンパスは使い方もシンプルで実用的です。回転するカプセルとベースプレートの組合せは地図を使って素早く方向を調べるには理想的なコンパスです。コンパスの名称を覚えておくことは読図技術の基本です。
- ベースプレート
- オイル注入済みカプセル
- クリノメーター(傾斜計)
- 磁気偏差目盛り(固定)
- 磁気偏差調整部
- 磁針
- ベゼル
- 測定リング
- ノースマーク
- 定規
- インデックスライン(角度読取線)
- 記号書込みガイド
- 拡大鏡
- 指示進行線
- 蛍光マーク/リング
- 滑り止めラバー
コンパスの正しい使い方は地図を正置する
コンパスと地図を使用するにあたり最も簡単な方法は地図を北に向けることです。 地図上の磁北線とコンパスの磁針が平行になるように揃えます。 (磁北線の書いていない場合は地図の北とコンパスの磁針を北を揃えます。この場合は多少ずれが出ます) この作業を正置と呼びます。
地図を正置することで、周りの状況と地図上の情報が一致させることができます。 ルートに沿って行動するときは磁北線と磁針が平行になるように地図を回してください。こうすることによりルートを非常に簡単にたどることが可能になります。
地図上で右に曲がれば、 地面上でも右に曲がることになるからです。 素早く地図を正確に方向付けることが、ミスを防ぐベストな方法なのです。
コンパスを使った目的地の方角の調べ方
地図の方向と環境の方向を一致させる
まずコンパスを地図上に置き現在位置と目的地を結ぶように置きます。
測定リングで進行方向を見つける
測定リングは、方向を見つけるために使用します。リングを回してリングの底にある赤と黒の直線を磁北線と並行になるように調整します。直線の赤が北側を向くように合わせます。
コンパスを使うには、上の写真のように体の正面に水平に構えます。磁針の赤い針とカプセルの底にある赤い矢印(ノースマーク)が一致するまで体の向きを変えていきます。この2つが一致した時、進行線が示す方向に目的地があります。
おすすめの登山用コンパスの紹介
登山用コンパスには様々な種類があり、それぞれに特徴があります。ここでは、おすすめのコンパスをいくつかご紹介します。最適な登山を目指す人にとって、適切なコンパスを選択することは重要です。
シルバ No.3 Black
全てのベースプレートコンパスの元になったシルバコンパスの原点と言われるのが「No.3 Black」です。大きなカプセルは一目で磁針を確認出来るようにデザインされています。カプセルの底にあるNS線は北側のみが赤く着色されており誤操作を防ぐデザインが採用されており、特許取得済みです。また回しやすいカプセルのトルク感は地図と一緒に使用する際に他社との違いを一番感じる部分です。
シルバ リストコンパス Begin
常にコンパスを確認しながら行動するのに便利な両手が使えて常時方位を確認出来るリストコンパスです。手首と親指に装着するこのコンパスは、シンプルでありながら充分な性能を持つ頼りあるアイテムです。手に地図を持ちながらでも見やすく、登山やアドベンチャーレースなどでの基本的な読図に最適です。
シルバ Compass Expedition S
シルバのコンパスの中で最上位モデルに位置付けられるコンパスです。偏差対応機能付きベースプレートです。偏角(実際の北と磁北との差)の差を補正することができるためコンパスの指す北と地図上の北を一致させることができます。
SUUNTO A-30
高級スチール磁針を使用したスントのコンパスの中で最もコストパフォーマンスに優れたモデルです。登山での使用にも適した蛍光マークが付いて、光が弱い場所でも操作可能です。
SUUNTO AIM-30 NH COMPASS
読みやすく、測定スピードと安定性に極めて優れた磁針を採用したベースプレートコンパスです。世界オリエンテーリング選手権スプリント競技優勝者のモーテン・ボストロムとの協力により開発された高性能なモデルです。
アルミ地板タイプのコンパスで、クリノメーター、サイティングミラー、拡大レンズが付属しています。経験豊富な登山家向けの製品で、やや高めの価格設定となっています。
SUUNTO CLIPPER
アウトドアギアに手軽に装着できるコンパクトなCLIPPERはSuuntoの隠れたロングセラーモデルです。わずか5gと軽量なのでウォッチストラップ、スリーブ、バックパックのストラップ、地図などに取り付けるのに適しています。
自分に合った登山用コンパスの選び方
登山用コンパスを選ぶ際には、いくつかの要素を考慮する必要があります。まず、自分の経験レベルと、どのようなナビゲーション作業を行うかを考慮します。初心者の方は、ベースプレートタイプのコンパスをお勧めします。経験豊富な登山家であれば、クリノメーターや拡大鏡などの追加機能を備えたコンパスを検討するのもよいでしょう。
次に、コンパスの重さと大きさについて考えてみましょう。軽量でアルミ製のベースプレートは、装備の重量を最小限に抑えたい登山家にとって良い選択です。
最後に、コンパスの価格について考えてみましょう。コンパスの種類は多岐にわたるので、予算内に収まるものを見つけるのは難しいことではありません。 価格は安いもので3,000円台、高価なもので10,000円程度のものまで様々です。
スマートフォンでコンパスを使う方法
近年、スマホでコンパスを使うことが流行っています。ナビゲーションや地図機能を提供するアプリもありますが、やはり安全のために別途コンパスを用意するようにしましょう。コンパスアプリを使用する場合、これらのアプリのほとんどは、適切に機能するためにデバイスからかなりの量の電力を必要とすることを知っておくことが重要です。アプリはバッテリーを急速に消耗する可能性が高いので、デバイスのバッテリー寿命に注意する必要があります。
腕時計のコンパスを使う方法
現在では、多くの登山用時計が便利な機能としてデジタルコンパスを搭載しています。これらのコンパスは時計に内蔵されており、周囲の状況や方向に関する詳細な情報を得ることができます。コンパスの精度は時計のキャリブレーションに依存するため、コンパスを使用する前に必ずマニュアルを確認する必要があります。さらに、これらのコンパスは通常、正しく機能するためにかなりのエネルギーを必要としますので、使用する前に必ずバッテリーを確認してください。
2023年にはApple WatchのULTRAが高性能なコンパスを内蔵しており、非常に精度が高いものに仕上がっています。コンパスを必ず必要とするアドベンチャーレースの参加者から多くの支持を得ています。
まとめ
登山用コンパスを選ぶ際には、個々のニーズを考慮し、自分に最適な選択肢を選ぶことが重要です。ハンドヘルドコンパスであれ、デジタルコンパスであれ、様々なタイプがあるため、自分にとって使い心地の良いモデルを十分に調べ、その特徴や精度を考慮した上で選択するようにしましょう。