ザックカバーは登山をする際にザック(リュック・バックパック)本体やその中身を濡れから守るために使用するギアです。大事な登山道具を守るために必須のギアとの意見がある一方、不要との声もきかれるザックカバー。今回はそんなザックカバーの役割を紹介したうえで登山に本当に必要かどうかを検証、購入の際の注意点とおすすめ商品も紹介します。
ザックカバーの役割
ザックカバーの主な役割は以下の3つです。
ザック本体を濡れや汚れから守る
ザック本体に取り付けることで雨や泥汚れからザックを守ります。急な天候変化に対応できるよう、フロントポケットや雨蓋などの取りやすい位置にいれておきましょう。
ザックの中身を濡れから守る
登山の際はカメラやモバイルバッテリー、着替えといった濡らしてはならないものを持って行くことが多々あります。ザックカバーを取り付けることによって、そうしたザックの中身を濡れから守ることができます。
ザックが水を含むことによる重量増や不快感を避ける
ザックは水を含むことにより重量が増します。また、濡れたザックを長時間背負い続けるのは大変不快なもの。ザックが水を含むことによるデメリットを防ぐのもザックカバーの役割です。
ザックカバーは登山に必要?
上記のとおりザックカバーはあなたのザックを濡れから守る便利なギアですが、必ずしも必要ではない、という意見もきかれます。なぜ不要との意見があるのか、ザックカバーのデメリットを以下でみていきましょう。
完全防水ではないものもある
ザックカバーの防水性能は使用する素材や加工方法によって異なり、全てが完全防水というわけはないことに注意しなければなりません。防水性を示す目安として耐水圧があり、こちらが10,000mmを超えているような製品であれば、完全防水と考えてもらって間違いないでしょう。しかしながら。耐水圧を公開していない製品も多いため、カメラやモバイルバッテリーのような濡れにデリケートなものを濡れから守るためには、防水スタッフバッグやパックライナーも併用することをおすすめします。
荷物の取り出しが面倒
ザックカバーはザックの背面を覆う設計のため、ザック内の荷物を出す際はいったんカバーを外す必要があります。また、装着時はサイドポケットの飲み物も取りにくくなってしまうこともザックカバーを使用する際のデメリットのひとつです。
強風時のリスク
ザックカバーのサイズが合っておらず、ザックとカバーとの間にすき間ができてしまうと強風であおられてしまい危険です。また、しっかりと固定できるタイプのものでない場合、風でカバーが飛ばされてしまうことがあるため、購入時にフィット感の確認が必要です。
以上ザックカバーのデメリットについてみてきました。上記のとおり、ザックカバーは万能の道具ではなく使用に注意が必要です。しかしながら、ザックカバーの一番の役割はザック本体を濡れから守ること。ザックが濡れた状態で背負うのは不快ですし、濡れたままザックを山小屋やバス、電車などに持ちこむと、周囲に迷惑をかけてしまう可能性があります。
軽量コンパクトで持ち運びの負担がないこともザックカバーのメリットです。急な天候変化に備え、ザックに常に忍ばせておきましょう。
ザックカバーを購入する際の注意点
ザックカバーを購入する際はどのような点に注意が必要でしょうか。以下では購入時の注意点について説明します。
ザックとのフィット感を確認する
お持ちのザック容量に対応するザックカバーであっても、ザックの形状によってはうまくフィットしない場合があります。ザックには細長、幅広などの形状のちがいや、メーカー・製品によるサイズのちがいがあるため、ザックのリットル表示に対応したザックカバーを購入した場合でもカバーとザックの間にすき間ができたり、きつくてうまくフィットしないことがあります。そのため店頭で実際に装着し、フィット感を確認してから購入することをおすすめします。
簡単に装着可能で、外れにくいものを選ぶ
ザックカバーを購入する際は急な天候変化の場合でもすぐに装着できるものを選びましょう。また、ザックカバーには被せるだけのタイプもありますが、風で飛ばさたり、枝に引っかかって外れたりするリスクがあるため、ザックにしっかりと固定できるものを選びましょう。
素材を確認する
ザックカバーの素材は主にナイロンとポリエステルの2種類です。素材ごとに特徴がありますので、購入の前によく確認しましょう。
- ポリエステル・・・ナイロンと比べると強度の面では劣りますが、耐熱性や紫外線劣化に強いところがメリット。また、安価に購入できることも魅力のひとつです。
- ナイロン・・・強度や速乾性の高さから登山ウエアなどにも幅広く使用される素材です。リップストップ加工がされているものであれば薄くても破れにくいため、特におすすめです。
また、素材の厚さを表す単位であるD(デニール)の値が高いものほど強度や防水性が一般的に高くなりますが、そのぶん重量も増します。軽量であってもシームレスコーティングや高機能の素材を使用することで高い性能を実現している製品もありますので、検討の際は素材についてもよく確認しましょう。
【ザック容量別】ザックカバーのおすすめ商品
ここではザックカバーのおすすめ商品を容量別にご紹介します。
20~30Lのザック(日帰り登山向け)におすすめのザックカバー
※横スクロールで表がスクロールできます。メーカー | 商品名 | 価格(税込) | 重量 | 容量 | 素材 | ザックへの固定方法 | その他特徴 |
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イスカ | パックカバー 25 | 2,530円 | 80g | 20~25L | ナイロン100%(防水コーティング加工) | クリップでザックに固定 | 底部に排水穴あり |
エクスペッド | レインカバー S | 3,690円 | 80g | 25L | 70Dタフタナイロン (PUコーティング) | ショックコード、ストッパー | 耐水圧10,000mmと高い防水性能を誇る |
コールマン | レインカバー XS | 2,255円 | 75g | 20~25L | ナイロン | ショルダーストラップにフックで固定 | ボトム部にリップストップ加工 |
【20~25L】イスカ『パックカバー 25』
防水コーティング加工を施したナイロンを使用したザックカバーで、コストパフォーマンスの高い商品です。底部には排水用の穴もあるため、カバー内に水が貯まる心配もありません。
【25L】エクスペッド『レインカバー S』
PUコーティングされたシームテープナイロンを使用しており、耐水圧10,000mmと高い防水性能を有しているのが特徴です。
【20~25L】コールマン『レインカバー XS』
ダメージを受けやすい底面部にダブルリップストップナイロンを用いることで耐久性を補っているザックカバーです。競合製品に比べると安価なことも魅力のひとつです。
30~50Lのザック(小屋泊から短期のテント泊向け)におすすめのザックカバー
※横スクロールで表がスクロールできます。メーカー | 商品名 | 価格(税込) | 重量 | 容量 | 素材 | ザックへの固定方法 | その他特徴 |
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シートゥーサミット | ウルトラシルパックカバーS | 4,620円 | 85g | 30~50L | 30Dウルトラシル®シリコナイズドコーデュラ | ドローコード、固定用ストラップ | 強度、軽量性、防水性に優れるコーヂュラナイロン使用 |
オスプレー | ULレインカバーM | 5,720円 | 112g | 30~50L | 40D高強度ナイロン | 上部バックル、ヒップベルトバンジーコード | 2023年モデルはブルーサイン認証リサイクル素材が生地の100%使用 |
ノースフェイス | スタンダードレインカバー50L | 3,740円 | 100g | 50L | 70Dリップストップナイロン | ドローコード、固定用ストラップ | ドローコードと固定用ストラップで高いフィット感 |
【30~50L】シートゥーサミット『ウルトラシルパックカバー S』
30Dと薄手ながら高機能素材のウルトラシルコーヂュラを採用しているため、軽量性、防水性、強度の面でいずれも高い性能を有しているのが特徴のザックカバーです。底部に水抜き用の穴があるため、カバー内に水がたまる心配もありません。
【30~50L】オスプレー『ULレインカバー M』
大きくプリントされたブランドロゴが特徴の軽量レインカバーです。上部のバックルとヒップベルトのバンジーコードを組み合わせることにより、強風でも外れにくい構造です。
【50L】ノースフェイス『スタンダードレインカバー 50L』
ドローコードと固定用ストラップでザックの形状にあわせてフィットさせることができます。また、70Dリップストップナイロンを使用しているため、高い強度と撥水性を有していることも特徴です。
50L以上のザック(長期縦走向け)におすすめのザックカバー
※横スクロールで表がスクロールできます。メーカー | 商品名 | 価格(税込) | 重量 | 容量 | 素材 | ザックへの固定方法 | その他特徴 |
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モンベル | ジャストフィット パックカバー 70L | 4,510円 | 157gg | 70L | 40Dリップストップナイロン 裏面:ハイドロプロ® | ドローコード、バックル | 独自のジャストフィットシステム |
イスカ | ウルトラライト パックカバー LL | 5,280円 | 110g | 60~80L | 30Dのシリコナイズド ・コーデュラ | コードストッパー、背面ストラップ | 高価なぶん高い強度と防水性能 |
カリマー | サックマックレインカバー 70-95 | 4,620円 | 160g | 70~95L | 190Dナイロン・PUコーディング | ベルクロ・ドローコード | 重量があるぶん強度、防水性にすぐれる |
【70L】モンベル『ジャストフィット パックカバー 70L』
ドローコードとバックルを併用した独自のフィットシステムを採用しているため、フィット感の高い軽量パックカバーです。また、40Dのリップストップナイロンにコーティングを施し、高い防水性能を実現しています。
【60~80L】イスカ『ウルトラライト パックカバー LL』
同社の「パックカバー」と比較すると高価ですが、30Dのシリコナイズド・コーデュラを使用した本製品は非常に軽量でありながら高い防水性能と強度をほこっています。上部にあるコードストッパーを使用することで締め加減を細かく調節できるほか、ザックにしっかり固定できるよう背面ストラップも備えています。
【70~95L】カリマー『サックマックレインカバー 70-95』
耐久性の高い190デニールのナイロンにPUコーティングしたレインカバーです。かなり厚めの素材のため重量はそれなりにありますが、そのぶん高い防水性と強度を誇ります。内側にベルクロとドローコードが備わっているため、リュックの形状に合わせてしっかりフィットするよう調整が可能です。
まとめ
本記事では登山用ザックカバーについて紹介しました。
ザックカバーはザック本体や中に入っているギアを守るためにとても役に立つギアです。急な天候変化に対応できるよう、晴天時の登山でも忘れずにザックに入れておくことをおすすめします。しっかりと防水対策をしたうえで快適な登山ライフを満喫しましょう。