霧訪山(きりとうやま)は、長野県塩尻市にある山で、日本百低山や信州ふるさと120山、信州の名峰百選に選ばれている山です。
低山ながらも信州の多くの山を望むことができる展望スポットで人気です。比較的標高差が少なく、よく整備されており、平日でも登る方が多い山ですので初心者の方にもおススメです。
今回は、そんな霧訪山のおススメコースを4つ紹介します。あわせて、登山口情報やアクセス、付近の立ち寄りスポットもおすすめのものを厳選して紹介していますので、参考にしてみてください。
霧訪山の基本情報と魅力
霧訪山は、長野県塩尻市の南、中央アルプスの端のような位置にある標高1,305mの低山です。
霧訪山の名前の由来は諸説ありますが、その山域の谷間からよく霧が発生したこと、隣の大芝山とのキリト(鞍部)に位置するからという説が有力です。古くから人々の歴史とともにあった山で、川鳥城跡や信濃の国28牧の一つ、また木曽御嶽信仰の一箇所であったようです。
霧訪山は1年中登ることが可能ですが、冬にはもちろん積雪があります。冬山用の登山装備はもちろんのこと、登山口までのアクセスにもスタッドレスタイヤなどの十分な装備が必要です。
霧訪山登山におススメは、4~5月の山頂にオキナグサが花を咲かせる時期、10月ごろの紅葉の時期です。また、冬山初心者の方の入門にもちょうどいいでしょう。
山の名前 | 霧訪山(きりとうやま) |
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標高 | 1,305m |
エリア | 甲信越 |
詳細情報 | 霧訪山の地図・天気 |
魅力その①山頂からの大パノラマ
霧訪山の魅力は、何といっても山頂からのその壮大な景観にあります。霧訪山のある塩尻市は、北・中央・南アルプスの間に位置し、まさに360°の絶景を眺めることができます。
北アルプスは御嶽山から白馬までのほとんど全てを、そこから時計回りに美ヶ原、八ヶ岳、南アルプス、中央アルプスと長野県内のほとんどの山々を展望できます。季節折々の風景を楽しむことができますが、冬山装備を持っているようであれば空気の澄んだ冬が一押しです。
魅力その②種類豊富な季節の山野草
霧訪山の登山道には多くの山野草が花を咲かせます。登り口の山ノ神自然園では、ミズバショウや桜、フクジュソウが花を咲かせます。また登山道には、ミツバツツジやカタクリ、タムシバ、ニリンソウなどの山野草の群生地があり、目を楽しませてくれます。
山頂には、環境省の「絶滅危惧種Ⅱ」に指定されているオキナグサが花を咲かせます。オキナグサは、春になり暖かい日差しが注ぎ始めた4月下旬ごろに見ごろを迎えます。短い白いうぶ毛のようなものをまとい、下向きに咲いた上品な赤紫色の花がかわいらしいお花です。
魅力その③山城跡や神社など歴史を楽しめる
霧訪山周辺には、登山コース名にもなっているかっとり(川鳥)城址をはじめ、西条城(洞ノ峰)や姫城、嵐城、飯縄城などの多くの山城の跡があります。かつて、この地を治めていた小笠原一族が在城していたのではないかと言われています。
この山域は、諏訪から塩尻峠を越えた先、伊那から善知鳥峠を越えた先、そして木曽から木曽路を抜けた先と各地の通り道を見渡せる場所になります。有名な小笠原氏と武田軍との戦場となった場所にも近く、そんな歴史を感じながらの登山も面白いでしょう。
霧訪山の難易度別おすすめ登山コース
霧訪山は人気の山ですが、いくつもの登山コースがあります。どのコースでも標高差は500mほどで、あまり変わりませんが、趣がそれぞれ異なります。今回は、そんな霧訪山を楽しめるコースを4つ紹介します。
【自然豊かな山ノ神自然園から行く】下西条ピストンコース
①山ノ神自然園→15分→②霧訪山登山口→35分→③標高1027m地点→40分→④大芝山分岐→15分→⑤霧訪山→10分→⑥大芝山分岐→30分→⑦標高1027m地点→25分→⑧霧訪山登山口→15分→⑨山ノ神自然園
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 3時間05分 |
距離 | 約5.2km |
累積標高 | 約530m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
登山口へは、山ノ神自然園の駐車場に停めて15分ほど自然園を歩いていきます。自然園の駐車場は10台ほどのスペースがあり、男女1つずつのトイレも設置されています。
駐車場から自然園内を進んでいきますが、女神水という水飲み場やミズバショウの群生地、雄床山神社、桜の綺麗なたまらずの池など見どころが満載です。15分ほど歩くと、霧訪山登山口に到着です。
ここからはジグザグにそれなりの急登を行きます。ツツジやスミレなどの数多くの花々を楽しみながら標高1027m地点の鉄塔まで約35分ほどです。
ここからは、尾根上の気持ちの良い登山道を進んでいきます。途中にはちょっとした展望台もあり、山頂の絶景に期待を込めながら休憩するのも良いでしょう。40分ほど登ると、大芝山との分岐に到着です。
大芝山分岐からは、15分ほどで山頂です。途中に男坂・女坂という2つの坂道の分岐があります。男坂の方が急坂で、女坂の方が緩めになっています。どちらでも山頂に着くので、体力と相談して選びましょう。
【足を延ばして松本平を見渡す】大芝山周回コース
①山ノ神自然園→15分→②霧訪山登山口→35分→③標高1027m地点→40分→④大芝山分岐→15分→⑤霧訪山→10分→⑥大芝山分岐→5分→⑦分岐→25分→⑧たきあらしの峰→20分→⑨大芝山→10分→⑩分岐→10分→⑪洞ノ峰→20分→⑫分岐→50分→⑬山ノ神自然園
必要日数 | 日帰り登山 |
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総コースタイム※ | 4時間15分 |
距離 | 約7.1km |
累積標高 | 約680m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
山ノ神駐車場から、自然園を行き山頂までは下西条本コースと一緒です。体力に余裕があれば、帰りは大芝山まで周回しても良いでしょう。
山頂から男坂・女坂を下り、大芝山分岐からは大芝山方面へ進んでいきます。すぐに南沢との分岐になりますが、左方向大芝山へと下っていきます。稜線を進み、たきあらしの峰を過ぎてしばらく行くと大芝山に到着です。見晴らしはありませんが、カタクリやニリンソウのお花畑を楽しめます。
大芝山から10分で善知鳥峠との分岐になりますので、山ノ神自然園方面に下っていきます。途中、洞ノ峰からは松本市方面が開けており、休憩スポットにちょうど良いです。
洞ノ峰からはそこそこ急な坂を下り、山ノ神自然園に帰ってきます。山ノ神自然園から大芝山の区間が急坂ですので、周回する際には下りで使う方がほとんどです。
【中央分水嶺から行く】中央分水嶺ピストンコース
①善知鳥峠登山口→30分→②標高1025m地点→25分→③標高1144m地点→10分→④分岐→10分→⑤大芝山→15分→⑥たきあらしの峰→25分→⑦分岐→10分→⑧下西条本コース分岐→15分→⑨霧訪山→10分→⑩下西条本コース分岐→5分→⑪分岐→25分→⑫たきあらしの峰→20分→⑬大芝山→10分→⑭分岐→10分→⑮標高1144m地点→15分→⑯標高1025m地点→20分→⑰善知鳥峠登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 4時間15分 |
距離 | 約7.8km |
累積標高 | 約683m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
中央分水嶺の善知鳥峠から登るコースです。善知鳥峠のやや塩尻側に駐車場があり、そこに登山口があります。約10台ほどのスペースがありますが、トイレなどの施設はありません。
スタートは、きれいな緑のトンネルのような小道を歩きます。小さな尾根を登っていくと30分ほどで、大芝山の尾根に出ます。尾根を進むと25分ほどで鉄塔のある1144m地点、そこから10分で洞ノ峰との分岐です。
ここからは、少し広めで緩やかな稜線を、大芝山、たきあらしの峰と進んでいきます。大芝山からおおよそ1時間ほどで山頂に到着です。
【歴史を感じる最短ルート】かっとり城址ピストンコース
①かっとり登山口→30分→②かっとり城址→5分→③分岐→40分→④霧訪山→30分→⑤分岐→5分→⑥かっとり城址→20分→⑦かっとり登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム※ | 2時間10分 |
距離 | 約2.9km |
累積標高 | 約435m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
北小野の住宅街を抜けた田んぼ道の先に登山口はあります。駐車場は10台ほどのスペースがありますが、道が狭めなので大きな車で向かう場合には注意が必要です。簡易トイレが一つありますが、冬季は閉鎖されます。
かっとりコースは、霧訪山の登山コースの中で最も短いコースです。ただし、勾配はきつく結構な急登が続きます。
登山口からスタートすると、257段の階段が始まります。鉄塔が出てくると、眺望が開け南アルプス北部の山々が良く見えるようになります。その後も急登を登っていくと、かっとり城址となります。
かっとり城址から5分で南沢との分岐になります。分岐を過ぎるとすぐに避難小屋があります。松林の中の急登をこなすと展望ベンチに到着です。大芝山や鉢伏山、北アルプスが良く見えます。ここまでくるとすぐに山頂となります。
登山口へのアクセス・各種情報
霧訪山の登山口はいずれもバスでアクセスするには難があります。おすすめは車ですが、駅からは遠くないのでタクシーでも良いでしょう。
山ノ神自然園
登山口情報
塩尻市側から登る際には、山ノ神自然園の駐車場からスタートになります。
駐車場は15台ほどと広くはないですが、ところどころに駐車スペースがあるので、駐車できなくても困ることはないでしょう。仮設トイレですが、駐車場付近に男女各1つのトイレが設置されています。
登山口までのアクセス
※霧訪山登山口までは、自然園内を15分ほど歩いたところにあります。ここでは、山ノ神自然園へのアクセスを紹介します。
塩尻ICから
塩尻ICから山ノ神自然園まで車で約15分
塩尻駅から
塩尻駅から車で約10分、歩くと1時間ほど
善知鳥峠登山口
登山口情報
善知鳥(うとう)峠は、中央分水嶺であり、ここを境に太平洋側と日本海側に分かれます。
駐車場は10台ほどと広くはないですが、近くに分水嶺公園もありこちらにも駐車できます。トイレ等の施設はありません。事前に済ませておくことをおススメします。
登山口までのアクセス
塩尻側から
塩尻ICから車で約10分
伊那側から
伊北ICから車で約20分
かっとりコース登山口
登山口情報
国道153号線から北小野の住宅街を通り、田んぼ道を進んだ先にあります。道がやや狭いので、大きな車で行く場合には注意が必要です。駐車場は10台ほどと広くはありません。簡易トイレはありますが、冬季は閉鎖します。
登山口までのアクセス
塩尻側から
塩尻ICから車で約15分
伊那側から
伊北ICから車で約20分
霧訪山のQA
太郎山に関する質問で多いのは、登山に関することや近くの観光スポットに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
霧訪山の登山レベルは?初心者でも登れる?
霧訪山は、初心者の方でも問題なく登れます。特にメインルートの山ノ神自然園から行く下西条コースは、標高差530mほどで総コースタイムも3時間です。朝ゆっくりと出発し、昼ごろに山頂へ、ランチをとって下山するくらいのペースで計画しても良いでしょう。
かっとりコースは、最短ルートではありますが急登が続きます。初心者の方がいけないわけではありませんが、自然園をはじめ多くの種類の山の花を楽しめる下西条コースがおすすめです。
霧訪山の冬山登山の様子は?
もちろん冬には積雪があります。踏み固められて、凍っていることが多いので十分な装備のもと、注意して行くようにしましょう。
とはいえ、冬の霧訪山からは圧巻の景色が広がっています。一年で空気が最も澄んでいて、遠くの山々まで見渡せ、真っ青な霧訪山ブルーを見れたら良いですね。
霧訪山で楽しめる山のお花は?
霧訪山では多くのお花を楽しむことができます。以下の表に見ごろをまとめましたので、参考にしてください。
フクジュソウ | 2月下旬ごろから |
カタクリ | 3月中旬から4月上旬 |
ミズバショウ | 4月下旬ごろ |
ミツバツツジ | 4月下旬から5月ごろ |
ニリンソウ | 4月から5月ごろ |
霧訪山周辺のおすすめ山旅スポット
①たつのパークホテル
霧訪山のふもと、辰野町にあるホテルです。こちらでは、肌がすべすべになるナトリウム・炭酸水素塩泉の天然温泉に、大人600円で日帰り入浴をすることができます。
広い大浴場には、加温している浴槽と源泉の湯船の2種類あり、露天風呂は広く開放的な空間になっています。ランチのレベルが高く人気ですので、ランチセットの入浴がおすすめです。
②農民家ふぇ あずかぼ
あるがままの味を大切にした植物性素材で作る優しい味わいのお食事とお菓子がいただけるカフェ。明治時代からある古民家をDIYしていて、とても落ち着く空間になっています。
人気のランチプレートは1100円で、ヘルシーでやさしいお食事が楽しめます。季節によっては無農薬野菜の販売もしていますので、お土産にいかがでしょうか。
店主がお一人でやられているので、少し時間がかかることもあるようです。金土日だけの営業ですが、霧訪山の絶景を見た後にゆっくりまったりランチに寄ってみてはいかがでしょうか。
③やなのうなぎ 観光荘 岡谷本店
塩尻市のとなり、岡谷市はうなぎの町として有名です。諏訪湖から流れ出る天竜川で「やな」と呼ばれる仕掛けでうなぎを獲り始めたのが始まりです。
天竜川のすぐほとりにあるこの「やなのうなぎ 観光荘」は、昭和29年からうなぎを提供し続けています。いまでは非常に人気で、いつ行っても満席で待ち時間があります。
うなぎは蒸し焼きにせず炭火焼しているのが特徴で、ふんわりやわらかい身が気持ちパリッとしていてとてもジューシーでおいしい蒲焼です。少し足を延ばして、諏訪湖観光などと組み合わせても良いでしょう。