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【初心者にもおすすめ】ブナの森の四季を感じる鍋倉山の難易度別登山コース紹介

【初心者にもおすすめ】ブナの森の四季を感じる鍋倉山の難易度別登山コース紹介

鍋倉山(なべくらやま)は、長野県と新潟県の県境に位置しており、信州百名山や新潟100名山に選ばれています。

鍋倉山には、ブナの森が広がっており、樹齢何百年というブナの巨木があります。爽やかなブナの森の空気、紅葉の時期には幻想的な黄金の森、保水力のあるブナの森から湧き出る清水など、四季折々の自然を楽しむことのできる里山です。

この記事では、鍋倉山の基本情報や魅力、登山コースごとの特徴などを紹介しています。鍋倉山登山を計画している方や、興味がある方はぜひ参考にしてみて下さい。

鍋倉山の基本情報と魅力

長野県と新潟県の県境に連なる開田山脈に位置し、ふもとの長野県飯山市から1000mほどの山々が弧を描くように連なる穏やかな山脈です。その中でも、戸狩温泉から見上げる三角形の穏やかな山容の標高1289mの里山が、鍋倉山です。

鍋倉山は、立派なブナの森で覆われており、昔から人々の暮らしとともにありました。ブナは、他の木々と比較しても保水力が高く、耳を当てると水の音が聞こえると言われるほどです。この鍋倉山も、ふもとの水源林として大切にされてきました。

また、ブナの紅葉はとても美しく、山全体が黄金色に輝き壮大な景色を見せてくれます。冬の時期には、木々の間隔が広いブナの森に日本海側特有の豪雪が、バックカントリースキーのフィールドとして人々を楽しませる場所となります。

鍋倉山は1年中登ることが可能ですが、冬には豪雪地帯であり、十分な装備と経験が必要です。おすすめの時期は秋で、ブナの森の紅葉は一面に広がる黄金の世界で、何とも形容しがたい圧巻の景色を楽しめます。

山の名前 鍋倉山(なべくらやま)
標高 1,289m
エリア 甲信越
詳細情報 鍋倉山の地図・天気

魅力その①黄金色に輝くブナの森の紅葉

鍋倉山の特徴は、何といっても辺り一面に広がるブナの森です。ブナの森は、木々の間隔が広めの疎林で、一本一本のブナが大きくなる巨木の森が広がります。また、保水力が非常に高く幹に耳を当てると水の音が聞こえると言われるほどで、豊かな水源地になっています。

芽吹きの新緑、枝葉を大きく広げる深緑の夏、黄金色に染まる秋、葉が落ちて明るく豪雪の冬と、ブナの森では四季折々の豊かな表情を見ることができます。中でも、特におすすめの時期は紅葉の秋です。

鍋倉山のブナの森は、秋になると一斉に黄色く色づき、山全体が赤みがかった黄金色の世界に包まれます。その中を歩いていると、足元から目線の高さに見える小木たちも色づいており、見上げれば空の明るさをブナの黄金色の葉がすかしていて、幻想的な風景が広がっています。

毎年10月中旬ごろから11月にかけて、鍋倉山の紅葉は見ごろを迎えます。登山をする方もしない方も、ぜひ一度は見ていただきたい絶景の一つです。

魅力その②様々な山野草のお花が楽しめる

オオイワカガミ

鍋倉山登山では、あまり眺望が開ける場所が少なく、景色には期待できません。しかし、鍋倉山で様々な種類の山のお花を楽しむことができます。

開田峠から黒倉山へ行く稜線では、多雪地域のブナ林に見られるオオイワカガミが群生しており、残雪が溶けた6月ごろに、かわいらしいお花を咲かせています。また、2002年に鍋倉山で新種発見されたナベクラザゼンソウは、夏に葉の展開と同時に包まれているような花を咲かせます。

登山道は全体的にユキツバキが咲いており、いつもの山のお花から多雪地域特有のお花まで楽しめます。

魅力その③春夏秋冬の移ろいを感じる里山

バックカントリースキーをする方にとっては、鍋倉山と聞くと冬のパウダースノーのイメージが真っ先に浮かび上がるのではないでしょうか。日本海側に位置する鍋倉山は、長野県内でも有数の豪雪地帯で、冬場にはバックカントリースキーのメッカとして多くの方が訪れます。夏のブナの森からは想像ができないような雪景色が広がり、ブナの疎林を多くのスキーヤーがツリーランを楽しんでいます。

里が春になっても、鍋倉山の雪は残り、5月下旬ごろにようやく溶けます。雪解けを待たずして、ブナの森には新緑の芽が出始め、残雪と新緑のコントラストが美しくとても明るく清々しい森へと変わります。

残雪が無くなると、山の花々が咲き始め、また一味違った里山らしい低山へと変貌していきます。短い夏が終わり、秋になるとブナの森は一斉に紅葉し始め、辺り一面を黄金色の世界で包み込んでいきます。

標高1289mの里山でありながら、鍋倉山は四季折々の季節の移ろいを味わせてくれます。

鍋倉山の難易度別おすすめ登山コース

ブナの森の稜線を行く開田峠ピストンコース

①開田峠登山口→8分→②分岐→10分→③分岐→45分→④黒倉山→6分→⑤久々野峠→15分→⑥鍋倉山→10分→⑦久々野峠→6分→⑧黒倉山→35分→⑨分岐→10分→⑩分岐→8分→⑪開田峠登山口

必要日数 日帰り登山
総コースタイム※ 2時間33分
距離 約5.3km
累積標高 約335m
難易度 ★☆☆☆☆

飯山市戸狩温泉から、県道95号線を開田山脈の方向へ延々と登っていくと、開田峠に到着します。冬期間は、ふもとの温井地区から先は積雪のため通行止めになりますので注意が必要です。

開田峠登山口には、路肩に舗装された5,6台ほどの駐車スペースがあります。少し下の茶屋池はうすや大神楽展望台にも駐車スペースがあり、茶屋池はうすでは休憩所やトイレを使用することができます。

開田峠より登山道へ入ると、ジブリの世界のような森のトンネルが始まります。豪雪の重みによって、木の根が曲がり地を這うように伸びていますので引っかからないように注意しましょう。

茶屋池の池廻りコースと接続している分岐を2つ過ぎると、左手にモリアオガエルやクロサンショウウオが生息している黒倉小池が現れます。ユキツバキが咲き乱れる森の小径を進んでいくと、日本海側の景色が開け天気が良ければ日本海まで眺望できます。

稜線を登り、オオイワカガミの群生地を過ぎれば、鍋倉山と双耳峰のようにそびえる黒倉山に到着します。景色にはあまり期待できない鍋倉山登山ですが、ここも休憩適地で日本海まで遠望できます。

黒倉山からは、久々野峠へ下って、小さな祠のある鍋倉山に到着です。山頂からは、木々の合間から苗場山や黒姫山、妙高山などの山々を垣間見ることができます。

ブナの大木をめぐる巨木の森ピストンコース

①巨木の森登山口→40分→②巨木の森案内標識→10分→③森姫→20分→④森太郎→15分→⑤分岐→45分→⑥久々野峠→15分→⑦鍋倉山→10分→⑧久々野峠→6分→⑨黒倉山→6分→⑩久々野峠→35分→⑪分岐→10分→⑨巨木の森案内標識→30分→⑩巨木の森登山口

必要日数 日帰り登山
総コースタイム※ 4時間2分
距離 約5.8km
累積標高 約500m
難易度 ★☆☆☆☆

開田峠へ登っていく県道95号線の途中に、左右に大きな路肩スペースがあり20台ほど駐車が可能です。トイレや休憩所などの施設はありませんので注意してください。

駐車場から少し下った右手に、登山道の入り口があります。標識などは無く、草木が鬱蒼と生い茂っている時期には非常に見つけにくくなっています。事前にGPS等でよく確認されるか、ガイドとともに入山することをおすすめします。

ブナの巨木が乱立する片斜面を進み、大きく左に曲がって行くと、巨木の森の案内標識が現れます。山頂方面には、まっすぐ進んだ方が近いですが、せっかくなので森姫や森太郎を経由していくといいでしょう。

森姫は樹齢300年以上と言われ、鍋倉山のブナの巨木の一つでしたが、2009年に枯死したとされています。今でも、大きな幹が残っていて、元気であった当時の姿を伺い知ることができます。また、森太郎は樹齢400年にもなると言われている、鍋倉のブナの象徴ともいえる巨木でした。こちらも2022年に天寿を迎え、残雪の時期に倒れてしまいました

森姫や森太郎の周りでは、また新たな巨木が成長していて世代交代が進んでいます。亡くなってしまった巨木に思いを馳せながら、新たな生命の希望を感じるような、趣深い森です。残雪に新緑の春から、鬱蒼と生い茂る夏、一面が黄金色に輝く紅葉の秋に、豪雪に閉ざされた冬。時代の移ろいとともに四季の移ろいを感じる森が、鍋倉山には広がっています。

巨木の森から山頂方面へは、左手に尾根、右手に谷を見ながら片斜面を久々野峠へ向けて登っていきます。傾斜が急な場所や、足元の悪い場所もあるため、注意品がら進んでいきましょう。久々野峠に着くと、鍋倉山まで15分、黒倉山までは6分ほどで登頂です。

鍋倉山のQA

鍋倉山に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。

鍋倉山の登山レベルは?初心者でも登れる?

写真はイメージです

鍋倉山の登山ルートは、開田峠県境ピストンコース、巨木の森ピストンコースどちらも初心者の方でも十分に登ることができます。特に開田峠県境ピストンコースは、稜線を伝っていくため標高差335mほどで体力に自信のない方でも十分に頂上まで行けます。

また、登山道自体はよく整備されており道迷いの心配もありませんし、岩場・鎖場もありませんので初心者の方や登山デビューの方でも問題なく登れるでしょう。ただし、巨木の森は最小限の登山道整備に抑えているため、不明瞭な箇所や歩きづらい箇所もありますので注意が必要です。

鍋倉山の気温は?どんな服装で行けばいい?

鍋倉山のある飯山市の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬の最高気温は1桁ですが、夏は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10℃ほどの差があり、寒暖差の激しい地域です。

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高 2.5 3.6 8.0 16.1 22.5 25.6 29.1 30.6 26.0 19.7 13.0 5.9
最低 -6.2 -6.3 -2.7 3.3 9.4 15.1 19.7 20.4 16.1 9.1 2.6 -2.5

夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。7,8月を除けば、日によっては冷え込む場合があるので春や秋でも上着を持っていくといいでしょう。

冬期間はしっかり冷え込みますし、長野県内でも豪雪地域に位置しています。バックカントリースキーのメッカとなっていますが、十分な経験と装備のうえ、ガイドとともに入山するようにしましょう

鍋倉山で見られる山の花は?見ごろは?

ユキツバキ

鍋倉山では晩春から初夏にかけて様々な山野草のお花を見ることができます。ブナの森とあわせて、足元のお花にも目を向けてみてください。下の表に見ごろと一緒にまとめて紹介しますので、参考にしてみてください。

山の花 見ごろ 山の花 見ごろ
オクチョウジザクラ 4月 タニウツギ 5,6月
ユキツバキ 4月 ギンリョウソウ 6月
チゴユリ 5月 ナベクラザゼンソウ 6月
タムシバ 5,6月 オオイワカガミ 6,7月
エゾユズリハ 5,6月 エゾアジサイ 7,8月

登山口へのアクセス・各種情報

どちらの登山口へも、アクセスは車がおすすめです。開田峠登山口近くには複数の駐車場がありますので、紹介します。

開田峠駐車場

登山口情報

長野県飯山市街地から、千曲川沿いを北上していくと左手に戸狩温泉が出てきます。左手に折れて県道95号線へ入ると、戸狩温泉スキー場の前を通り、開田峠へ向かって延々と上っていきます。

上りきって新潟県との県境に到着すると、そこが開田峠です。路肩に駐車スペースが用意されていて、5,6台ほどの駐車が可能です。トイレや休憩所等の施設はありませんので、利用する場合には下の茶屋池はうすを利用するようにしましょう。

登山口までのアクセス

飯山市方面から

豊田飯山ICから車で約40分

妙高市方面から

寺町ICから車で約35分

茶屋池はうす駐車場

登山口情報

鍋倉山へのメインルートは、開田峠から始まります。しかし、長野県側のそのすぐ下には茶屋池という池があり、その脇に茶屋池はうすという施設があります。

路肩と施設前に10台ほど駐車できるスペースがあります。こちらには、トイレや休憩所がありますので、利用する場合にはこちらに駐車すると良いでしょう。

また、茶屋池の周りを廻る遊歩道や、ブナの森を歩くコースもあるためおすすめです。

アクセス情報

大神楽展望台駐車場

登山口情報

茶屋池はうすの更に下には、大神楽展望台があります。眼下には千曲川沿いに延びる飯山市の風景や、苗場山や野沢温泉・毛無山、志賀高原に四阿山など上信越地方の山々を眺めることができます。

こちらには、10台ほど駐車可能な大きな駐車場もあり、茶屋池はうすまで歩いても5分程度です。混雑している場合などには利用すると良いでしょう。

アクセス情報

巨木の森登山口

登山口情報

巨木の森への入り口は、開田峠から長野県側へ下った県道沿いにあります。駐車場は、入り口のすぐ上に道の両側の路肩が広がっているスペースがありますので、そちらに駐車します。

道の両側の路肩スペースあわせて20台ほど駐車が可能です。トイレ等の施設はありません。

夏場の草木が鬱蒼としている時期は、巨木の森への入り口が見つけにくくなっていますので、事前にGPS等でチェックするなどしておいた方が良いでしょう。また、なべくら高原・森の家ではトレッキングツアーを開催しているので、初心者の方などは利用することをおすすめします。

登山口までのアクセス

飯山市方面から

豊田飯山ICから車で約40分

妙高市方面から

寺町ICから車で約40分

鍋倉山周辺のおすすめ山旅スポット

いいやま湯滝温泉

鍋倉山のふもと・千曲川のほとりにある日帰り温泉施設です。毎分900リットルが湧き出る天然温泉で、古くから「湯滝」と呼ばれていた地にあります。

大きな湯船に大開口の窓から美しい景色を眺められる内湯に、露天風呂からは大きく開放的で四季折々の景観を楽しめます。春の桜並木、夏の川風、秋の紅葉に、冬の雪景色、いつ訪れても季節を感じられる温泉です。

館内には食事処や売店・農産物直売所があり、ゆっくり休憩したり、お土産に地の物を購入してはいかがでしょうか。

野沢温泉共同浴場

出典:野沢温泉観光協会

鍋倉山からは、千曲川の川向うに古くから温泉地として栄えており、全国的にも有名な野沢温泉があります。

温泉街には13の「外湯」と呼ばれる天然100%かけ流しの共同浴場があり、それぞれ無料で入浴することができます。地域住民が、電気量や水道料なども負担しながら維持管理していますので、マナーを守って入浴するようにしましょう。

13の外湯は、それぞれの個性があり、雰囲気の異なる温泉です。すべてを回るには、それなりの時間がかかりますので、野沢温泉の古き良き温泉旅館に宿泊して、ゆっくり温泉巡りも良いでしょう。

そば処 棚田の杜 ほくずい

最後にご紹介するのは、絶品の信州そばをいただける「棚田の杜 ほくずい」です。こちらは、市内のそば農家や飲食店などで作る一般社団法人「飯山そば振興研究会」が運営しているそば処になります。

特徴的なのは、豪雪地帯という特色を生かして、そばの実を雪室で3か月以上熟成させて、風味や甘さを増しています。この雪室熟成そばは、腰も香りも良く、とても美味しいお蕎麦です。

金土日のランチのみの営業と、限られた営業時間ではありますが、絶品の雪室熟成そばを堪能するために寄ってみてはいかがでしょうか。

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