四季の風景作品から、季節の息づかいや気象の変化する光景を捉えた作品。柔らかな光沢の和紙で表現する作品をギャラリーIで展示。長年ライフワークで取組んだ“日本の海岸線”の作品をギャラリーIIで展示。ともに自然の奥行きと広がりを瑞々しく捉えたカラー35点で構成。
作品コメント
“山々のもつエネルギーと息づかい、「自然の創造」をテーマに撮影する私にとって、切り離せない被写体。”と、話した青野恭典。それは高嶺での千変万化する光景に魅せられ、表情を余すことなく表現したいと、被写体に向かってゆく挑戦の場所でした。“四季折々に光景が移ろうように、私自身もまた変わってゆきます。目前の光景を生かし、今の自分を作品に生かしながら挑む。”また、“自然を見つめれば見つめるほど、その奥深さに気づかされる。”と語りました。幼少からの体験や学生時代の研究、岩登りなどで培った自然観は、やがて海岸山脈である日本列島を一つの山脈と考え、その生い立ちを知りたいと海岸線に強い興味を抱くことになりました。以降、「生きている大地」という作品づくりの命題が始まりました。この展示では、海岸線の撮影行で捉えた作品と、作者が切望した和紙での表現をご覧いただきます。和紙作品は、自然に向き合いつづけた青野恭典のプロフィール(横顔)を感じていただきたく選びました。
アオノネイチャーフォトスタジオ 青野ハツ子
作家プロフィール
1937年 東京都渋谷区生まれ。
1961年 日本獣医生命科学大学(現:獣医学科)卒業。獣医師免許取得。
株式会社上野科学社 研究室に勤務。動物組織学、生物・地学の教材研究に従事。
1966年 R.C.C.IIカフカズ遠征隊にて、ディフタウ南壁より日本人として初登頂。
1967年 企業研究室を経て、フリーランスの写真家となる。
1996年 山形県観光協会より観光事業功労者として表彰される。
2002年 長野県伊那市・伊那食品工業株式会社本社敷地内に「青野恭典フォトアートギャラリー」開館。
2016年 永眠。(享年78歳)
主な写真展
1980年 「高嶺への誘い」オリンパスギャラリー。
1981年 「列島海景」小西六ギャラリー。
1990年 「自然讃歌 鳥海山」をペンタックスフォーラム(現リコーイメージングスクエア新宿)、同大阪で開催。
1991年 「四季鳥海山」を東京、大阪、秋田など各地で開催。
1993年 「みちのく光彩」コニカフォトギャラリー東京、大阪、名古屋、福岡、並びに中国・天津。
1996年 「上高地・槍・穂高」富士フォトサロン東京、大阪、長野県梓川村アカデミア館。
1998年 「列島光彩」秋田市アトリオン。
1999年 「みちのく彩時季」酒田市美術館全館にて一ヶ月間開催。
2002年 「伊那路はるか」 富士フォトサロン東京。
青野恭典フォトアートギャラリー「伊那路はるか」「みちのく彩時季」「山・生きている大地」ほか。
2006年 「伊那路の四季」をペンタックスフォーラム(現リコーイメージングスクエア新宿)で開催。
常設で「信州の高嶺」「日本の山河」ほか。
2012年 開館10周年記念「青野恭典の世界」「伊那路、木曽路、そして飛騨路」「森のいのち」「山紫水明」。
2017年 青野恭典フォトアートギャラリー開館15周年。現在「秋景色-山から里から」開催中。
その他
写真集に「日本の海岸」「列島海景「四季鳥海山」「上高地・槍・穂高」「信州伊那路の四季」など多数。
生前、日本山岳写真協会副会長、公益社団法人日本写真協会会員、日本風景写真協会指導会員、ネイチャーフォト「青」の会顧問、野生動物救護獣医師協会会員として活躍。
使用機材:PENTAX 67、645NII
写真展概要
作者:青野恭典 (あおのきょうすけ)
作品名:「風のことづて」 (かぜのことづて)
会期:2017年11月22日(水)~12月4日(月)
時間:10:30~18:30(最終日16:00終了)
定休日:火曜日
入場:無料
会場:リコーイメージングスクエア新宿 ギャラリーI&II