黒倉山(くろくらやま)は、長野県と新潟県の県境に位置しており、「信州百名山」や「新潟100名山」に選ばれている鍋倉山のすぐ隣に位置する山です。
黒倉山・鍋倉山一帯には、巨木のブナの森が広がっており、樹齢何百年という木々が乱立しています。冬の豪雪、さわやかな新緑に、冷たくきれいな湧水、そして秋にはブナの森の美しい紅葉が広がり、四季の移ろいを感じられる自然豊かな空間となっています。
この記事では、黒倉山の基本情報や魅力、登山コースごとの特徴などを紹介しています。黒倉山・鍋倉山登山を計画している方や、飯山市周辺観光に興味がある方はぜひ参考にしてみて下さい。
黒倉山の基本情報と魅力
長野県と新潟県の県境に連なる関田山脈に位置し、1000mほどの山々が弧を描くように連なる穏やかな山脈です。斑尾山から始まり、苗場山まで続く全長110kmにも及ぶ信越トレイルの一部となっており、稜線上を多くのトレイルランナーが通っていきます。
黒倉山と鍋倉山は、距離にして500mほどしか離れておらず、双耳峰のように隣り合っています。二つの山の間には久々野峠があり、長野県側の巨木の森や新潟県側の柄山やよし八池から登ってくることができます。
関田山脈一帯では、冬には8mを超えるほどの積雪を記録するような豪雪地帯です。そのため、冬にはバックカントリースキーのフィールドとなり、多くのスキーヤーが深雪のパウダースノーを求めて集まってきます。
黒倉山は1年中登ることが可能な山ですが、春まで残雪が残るため、十分な装備と経験を必要とします。おすすめの時期は秋で、ブナの森の紅葉は一面に広がる黄金の世界で、何とも形容しがたい圧巻の景色を楽しめます。
山の名前 | 黒倉山(くろくらやま) |
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標高 | 1242m |
エリア | 上信越 |
詳細情報 | 黒倉山の地図・天気 |
魅力その①季節を感じるブナの森
黒倉山や鍋倉山で見られる深いブナの森では、季節によって様々な表情を見ることができ、季節の移ろいを楽しむことができます。
豪雪地帯である黒倉山周辺では、5月の芽吹きから新緑の季節でも残雪が残っています。ブナの新芽が、太陽光や残雪の照り返しによって照らされ、透き通るようなきれいなライトグリーンの空が広がりとても明るく清々しい空間を作り出します。
夏になると、セミなどの昆虫や小動物、山野草の花々など多くの生物活動が行われ、にぎやかで自然豊かな森へと姿を変えます。
そして、秋にはブナの葉が一斉に色づき始め、橙色から黄色の葉で辺り一面を覆いつくします。ブナの森は疎林となるため、程よく散らされた枝葉が陽の光に照らされ、黄金色の幻想的な空間を作り出します。
ブナの森は、いつ訪れても季節ごとの魅力があり、自然を感じる楽しい山行となるでしょう。
魅力その②里山をめぐる全長110kmにおよぶ信越トレイル
信越トレイルとは、斑尾山から苗場山まで長野県と新潟県の県境に連なるロングトレイルコースです。全長100kmにもおよぶ全行程は10のセクションに分けられており、それぞれの区間ごとに雰囲気が異なり、見どころ満載の10セクションです。時間を見つけては、1セクションずつクリアしていき、信越トレイルの全行程走破を目指してみてはいかがでしょうか。
黒倉山は、仏ヶ峰から開田峠までのセクション4に位置しており、ブナの森が美しい区間です。距離にして8.2km、5,6時間の行程ですので、時間と体力に余裕のある方は挑戦してみても良いでしょう。
魅力その③豪雪地帯ならではのツリーラン
黒倉山や鍋倉山は、バックカントリースキーのフィールドとしても有名な山です。冬には、日本国内有数の豪雪地帯であり、豊富な雪とブナの疎林によって快適で気持ちのいいツリーランを楽しむことができます。
黒倉山の北側斜面は、急斜面ですが北斜面ならではの雪質の良さがおすすめです。また、久々野峠を中心に巨木の谷方面や鍋倉山東斜面など、何回も登り返して遊べるフィールドです。
バックカントリースキーには、雪崩や遭難などの危険がありますので、十分な装備をもって入山するようにしましょう。また、ガイドや経験者などと入山し、リスク管理をしたうえで楽しむようにしましょう。
黒倉山の難易度別おすすめ登山コース
【開田峠ピストンコース】
①開田峠登山口→8分→②分岐→10分→③分岐→45分→④黒倉山→6分→⑤久々野峠→15分→⑥鍋倉山→10分→⑦久々野峠→6分→⑧黒倉山→35分→⑨分岐→10分→⑩分岐→8分→⑪開田峠登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
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総コースタイム※ | 2時間33分 |
距離 | 約5.3km |
累積標高 | 約335m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
黒倉山やその隣の鍋倉山に登る最も簡単なコースです。スタート地点は、標高1100mほどの開田峠で、10台ほどが駐車可能なスペースがあります。また、近くには茶屋池はうすや大神楽展望台駐車場などがあり、そちらに駐車して登山することもできます。茶屋池はうすには、トイレや休憩所もあります。
開田峠からは、稜線上を歩く比較的アップダウンの少ないコースです。稜線上でも木々に覆われており、緑のトンネルの中を進んでいきます。途中左手に、天然記念物に指定されているモリアオガエルやクロサンショウウオが生息している黒倉小池があります。
登山口から1時間弱で黒倉山山頂に到着します。山頂部は、木々に覆われていますが、北側は若干ひらけており、天気のいい日には日本海を望むこともできます。黒倉山からは、久々野峠に下って15分ほど樹林帯の中を登り返すと鍋倉山山頂に到着です。
【巨木の森ピストンコース】
①巨木の森登山口→40分→②巨木の森案内標識→10分→③森姫→20分→④森太郎→15分→⑤分岐→45分→⑥久々野峠→15分→⑦鍋倉山→10分→⑧久々野峠→6分→⑨黒倉山→6分→⑩久々野峠→35分→⑪分岐→10分→⑨巨木の森案内標識→30分→⑩巨木の森登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
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総コースタイム※ | 4時間2分 |
距離 | 約5.8km |
累積標高 | 約500m |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
開田峠へ登っていく県道95号線の途中に、左右に大きな路肩スペースがあり20台ほど駐車が可能です。トイレや休憩所などの施設はありませんので注意してください。駐車場から少し下ったところに登山道の入口があります。草木が生い茂っている時期には非常に見つけにくくなっています。事前にGPS等でよく確認されるか、ガイドとともに入山することをおすすめします。
巨木の森コースでは、ブナの森を堪能することができます。森太郎や森姫といった樹齢が400年にもなると言われている巨木は、残念ながら枯死してしまいましたが、世代交代が進み、また新たな巨木が成長しています。
ブナの森は、四季の移ろいを感じやすく、どの季節に行っても美しい自然美を楽しませてくれます。残雪が残る春の新緑やあたり一面が黄金色に輝く紅葉の秋などは、特におすすめのシーズンです。
柄山ピストンコース
①柄山口登山口→120分→②柄山越→90分→③久々野峠→10分→④黒倉山→5分→⑤久々野峠→20分→⑥鍋倉山→10分→⑦久々野峠→55分→⑧柄山越→65分→⑨柄山口登山口
必要日数 | 日帰り登山 |
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総コースタイム※ | 6時間15分 |
距離 | 約6.7km |
累積標高 | 約700m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
新潟県側から登るコースですが、入山者の数は少なくマイナーなコースです。そのため、難路と言われており道迷いなどに注意が必要です。
積雪8mを記録した豪雪地帯である上越市板倉区久々野集落から、南東に林道を進んでいくと柄山登山口駐車場があります。駐車場は、路肩の舗装スペースで10台ほどが駐車可能です。トイレ等の施設はありませんので、注意しましょう。
駐車場から、来た道を登っていくとカーブに差し掛かる手前に登山口があります。看板等は壊れてしまっており、見つけづらくなっているので注意が必要です。柄山口からの登山道は、北側斜面ですので薄暗く湿気ぽさがありますが、落ち着いた雰囲気のブナの森が広がっています。
こちらのコースは、久々野峠まで破線ルートとなっております。十分な下調べと経験、そして装備のうえ気を付けて入山するようにしましょう。
黒倉山のQA
黒倉山に関する質問で多いのは、登山ルートや気温・積雪などに関することです。このような質問について以下QAを紹介します。
黒倉山の登山レベルは?初心者でも登れる?
黒倉山の登山ルートは、開田峠や巨木の森のルートであれば、初心者の方でも十分に登ることができます。特に開田峠県境ピストンコースは、稜線を伝っていくため標高差335mほどで、体力に自信のない方でも十分に頂上まで行けるでしょう。
また、登山道はよく整備されており道迷いの心配はありませんし、岩場・鎖場もありません。ただし、柄山口からのルートは、難路と表示されており注意が必要です。
黒倉山の気温は?どんな服装で行けばいい?
黒倉山のある飯山市の月ごとの平均最低気温と最高気温を下記の表にまとめました。冬の最高気温は1桁ですが、夏は30℃を超えてきます。また、同じ月でも最高と最低が10℃ほどの差があり、寒暖差の激しい地域です。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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最高 | 2.5 | 3.6 | 8.0 | 16.1 | 22.5 | 25.6 | 29.1 | 30.6 | 26.0 | 19.7 | 13.0 | 5.9 |
最低 | -6.2 | -6.3 | -2.7 | 3.3 | 9.4 | 15.1 | 19.7 | 20.4 | 16.1 | 9.1 | 2.6 | -2.5 |
夏は非常に暑くなります、熱中症予防をきちんとするようにしましょう。7,8月を除けば、日によっては冷え込む場合があるので春や秋でも上着を持っていくといいでしょう。
冬期間はしっかり冷え込みますし、長野県内でも豪雪地域に位置しています。バックカントリースキーのメッカとなっていますが、十分な経験と装備のうえ、ガイドとともに入山するようにしましょう。
黒倉山で見られる山の花は?見ごろは?
黒倉山や鍋倉山では、晩春から初夏にかけて様々な山野草のお花を見ることができます。ブナの森とあわせて、足元のお花にも目を向けてみてください。下の表に見ごろと一緒にまとめて紹介しますので、参考にしてみてください。
山の花 | 見ごろ | 山の花 | 見ごろ |
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オクチョウジザクラ | 4月 | タニウツギ | 5,6月 |
ユキツバキ | 4月 | ギンリョウソウ | 6月 |
チゴユリ | 5月 | ナベクラザゼンソウ | 6月 |
タムシバ | 5,6月 | オオイワカガミ | 6,7月 |
エゾユズリハ | 5,6月 | エゾアジサイ | 7,8月 |
登山口へのアクセス・各種情報
どちらの登山口へも、アクセスは車がおすすめです。開田峠登山口近くには複数の駐車場がありますので、紹介します。
開田峠駐車場
登山口情報
長野県飯山市街地から、千曲川沿いを北上していくと左手に戸狩温泉が出てきます。左手に折れて県道95号線へ入ると、戸狩温泉スキー場の前を通り、開田峠へ向かって延々と上っていきます。
上りきって新潟県との県境に到着すると、そこが開田峠です。路肩に駐車スペースが用意されていて、5,6台ほどの駐車が可能です。トイレや休憩所等の施設はありませんので、利用する場合には下の茶屋池はうすを利用するようにしましょう。
登山口までのアクセス
飯山市方面から
豊田飯山ICから車で約40分
妙高市方面から
寺町ICから車で約35分
茶屋池はうす駐車場
登山口情報
鍋倉山へのメインルートは、開田峠から始まります。しかし、長野県側のそのすぐ下には茶屋池という池があり、その脇に茶屋池はうすという施設があります。
路肩と施設前に10台ほど駐車できるスペースがあります。こちらには、トイレや休憩所がありますので、利用する場合にはこちらに駐車すると良いでしょう。
また、茶屋池の周りを廻る遊歩道や、ブナの森を歩くコースもあるためおすすめです。
アクセス情報
大神楽展望台駐車場
登山口情報
茶屋池はうすの更に下には、大神楽展望台があります。眼下には千曲川沿いに延びる飯山市の風景や、苗場山や野沢温泉・毛無山、志賀高原に四阿山など上信越地方の山々を眺めることができます。
こちらには、10台ほど駐車可能な大きな駐車場もあり、茶屋池はうすまで歩いても5分程度です。混雑している場合などには利用すると良いでしょう。
アクセス情報
巨木の森登山口
登山口情報
巨木の森への入り口は、開田峠から長野県側へ下った県道沿いにあります。駐車場は、入り口のすぐ上に道の両側の路肩が広がっているスペースがありますので、そちらに駐車します。
道の両側の路肩スペースあわせて20台ほど駐車が可能です。トイレ等の施設はありません。
夏場の草木が鬱蒼としている時期は、巨木の森への入り口が見つけにくくなっていますので、事前にGPS等でチェックするなどしておいた方が良いでしょう。また、なべくら高原・森の家ではトレッキングツアーを開催しているので、初心者の方などは利用することをおすすめします。
登山口までのアクセス
飯山市方面から
豊田飯山ICから車で約40分
妙高市方面から
寺町ICから車で約40分
柄山口登山口
登山口情報
柄山口登山口の少し手前に、柄山口駐車場があります。道路わきに作られた舗装スペースで、10台ほど駐車可能です。トイレ等の施設はありません。
登山口までのアクセス
妙高市方面から
寺町ICから車で約35分
黒倉山周辺のおすすめ山旅スポット
いいやま湯滝温泉
本年もたくさんのご愛顧を賜り、本当にありがとうございました。良いお年をお迎えくださいませ!
— いいやま湯滝温泉 (@yutakionsen01) December 31, 2022
元旦は11時OPENでお待ちしております。
いいやま湯滝温泉スタッフ一同 pic.twitter.com/dfK7vqOfeg
黒倉山のふもと・千曲川のほとりにある日帰り温泉施設です。毎分900リットルが湧き出る天然温泉で、その豊富な湧出量から「湯滝」と呼ばれている地にあります。
大きな湯船に大開口の窓から美しい景色を眺められる内湯に、露天風呂からは大きく開放的で四季折々の景観を楽しめます。春の桜並木、夏の川風、秋の紅葉に、冬の雪景色、いつ訪れても季節を感じられる温泉です。
館内には食事処や売店・農産物直売所があり、ゆっくり休憩したり、お土産に地の物を購入してはいかがでしょうか。
野沢温泉共同浴場
黒倉山から千曲川の川向う、毛無山のふもとに広がる温泉地で、全国的に有名な野沢温泉にある共同浴場です。
温泉街には13の「外湯」と呼ばれる天然100%かけ流しの共同浴場があり、それぞれ無料で入浴することができます。地域住民が、電気量や水道料なども負担しながら維持管理していますので、マナーを守って入浴するようにしましょう。
13の外湯は、それぞれの個性があり、雰囲気の異なる温泉です。すべてを回るには、それなりの時間がかかりますので、野沢温泉の古き良き温泉旅館に宿泊して、ゆっくり温泉巡りも良いでしょう。
そば処 幸輪
黒倉山のある温井集落から、車で20分ほど離れている飯山市街地にある塩で食べる手打ちそばのお店です。無農薬栽培のそば粉と木島平村の湧水のみで打たれた生粉打ち蕎麦は、そば本来の香りと味わいがとても豊かです。そのため幸輪では、つゆにつけて食べる前に塩で食べるように勧めています。
口コミでも「そば本来の味を楽しめる」と人気のお店です。こだわりの食材に、こだわりの手打ちそば、そしてこだわりの茹で加減で作られた自慢のそばは、飯山市に寄った際には一度は訪れたい絶品のそばです。