シートゥサミットの登山ユーザー向けシュラフ「スパーク」は、僕にとっての登山装備軽量化において重要なアイテムの1つです。このスパークシリーズが2024年に大きくリニューアルをして、4つのモデルに整理されました。
今回の動画ではスパークシリーズがどのようにリニューアルしたのかその概要を紹介するとともに、スパーク-9℃を北アルプスの登山で使ったので、暖かさとともにデザインの特徴をレビューしていきます。
スパークシリーズのリニューアルポイント
最も大きく変わったのはそのラインナップです。これまではスパークSPⅠ、スパークSPⅡ、スパークSPⅢというように数字で製品が分けられ、全部で5つのモデル展開でしたが、2024年モデルからはスパーク7℃、スパーク-1℃、スパーク-9℃、スパーク-18℃の4モデルに整理されました。
商品名から各シュラフのロワーリミットが分かり、使用時期に合わせて商品選びが容易になりました。
モデル名 | コンフォート温度 | 重量(レギュラーサイズ) | ダウン重量(レギュラーサイズ) | 価格(税込) |
スパーク 7℃ | 11℃ | 363g | 150g | ¥38,060 |
スパーク -1℃ | 4℃ | 493g | 265g | ¥51,810 |
スパーク-9 ℃ | -2℃ | 730g | 480g | ¥63,360 |
スパーク-18℃ | -10℃ | 1,113g | 840g | ¥80,630 |
ちなみにシュラフはコンフォート温度で選ぶ必要があるので、個人的には商品名にコンフォート温度を使用してもらった方が分かりやすいのに!と思いました。
上の表からもわかるように、以下のような使い方が個人的には良いと思います。
- スパーク7℃:夏山登山限定で幅広く活用(北アルプスなどの高所でも使える)、また雪山登山のインナーシュラフとしても活用、中低山であれば3シーズンで幅広く活用
- スパーク-1℃:3シーズンの登山で幅広く活用(北アルプスなどの高所でも使える)
- スパーク-9℃:初春、晩秋から中低山の雪山登山で活用(初春、晩秋は北アルプスなどの高所でも使える)
- スパーク-18℃:厳冬期登山やBCスキーなどウィンターシーズンで活用
ご自分が最もテント泊をするシーズンやエリアなどから最適なシュラフを選ばれると良いでしょう。
スパークの全モデルに共通しているリニューアルポイント
新しくなったシートゥサミットの軽量シュラフ『スパーク』の全モデルに共通している点から紹介をしていきます。
まずはじめに使用しているダウンは850+FPのウルトラ ドライ プレミアム グースダウンです。この段は濡れに強く高温多湿な日本でも保温性が失われにくい特徴があります。さらにフードとフットボックスには防水透湿素材を使用しているので、テント内壁の結露でシュラフが触れて濡れてしまっても、ダウンが濡れづらく安心して就寝することができます。
さらに軽量化のためにシェルとライニングには撥水性を備えた10デニールのナイロン素材を使用しています。
メインジッパーは長さを3/4にして軽量化を行い、内側の生地が噛み込まない構造のスライダーを採用しています。ファスナー自体もコイルがより大きく、故障しにくいのも特徴です。そしてジッパータブもフード周りの調整に使用されているバンジーコードも厚みのある素材で、就寝中に体温調整を目的のために、ジッパーを開け閉めしたり、フードのフィット感を調整したりするのに、目を閉じたままでも容易に行えるように施されています。
また「3シーズンシュラフを重ねて活用」という記事でも紹介しましたが、冬用のシュラフは冬だけ、3シーズンのシュラフは3シーズンだけという使い方ではなく、キルトを重ねて使用することで幅広い季節で活用することができます。
新しいスパークにはシートゥサミットのエンバーと呼ばれるダウンキルトをジョイントすることができるように首の部分にスナップボタンを配して止められるようにできています。寝ている時に以前はキルトがずれてしまって肩や首部分が寒かったのですがこのようなことがなくなりました。
そして全モデルが、上半身は縦型バッフルでダウン移動を抑えて保温性を確保し、下半身は横型バッフルで軽量化を行いつつも足元をしっかり温めるデザインが採用されています。
首回り部分においてもしっかりと体を温めるデザインが採用されています。その1つに全てのモデルに首元の冷気の侵入を抑えるフロントドラフトカラーがついています。さらにフードが深めにデザインされているので、頭全体をしっかりと包み込んで保温力を維持しつつも、首を動かしやすく寝心地が快適です。
重量だけ見ても他のメーカよりも軽く作られていますが、それ以外のデザイン部分に目を向けるとわかるように保温力に優れたシュラフであることが分かります
スパーク-9℃のデザインの特徴と暖かさ
ここまでスパークの全モデルに共通しているリニューアルポイントを紹介してきましたが、ここから保温性に優れたスパーク-9℃の特徴を見ていきましょう。この4モデルのデザインの違いを知ることで、保温力と軽量性の違いに納得ができるようになります。
最も分かりやすい点としてはダウンの重量が挙げられます。以下の表を見てもわかるようにスパーク7℃と-1℃では約100gのダウン重量差、スパーク-1℃と-9℃では約200gの重量差、スパーク-9℃と-18℃では約400gの重量差があります。
モデル名 | コンフォート温度 | 重量(レギュラーサイズ) | ダウン重量(レギュラーサイズ) | 価格(税込) |
スパーク 7℃ | 11℃ | 363g | 150g | ¥38,060 |
スパーク -1℃ | 4℃ | 493g | 265g | ¥51,810 |
スパーク-9 ℃ | -2℃ | 730g | 480g | ¥63,360 |
スパーク-18℃ | -10℃ | 1,113g | 840g | ¥80,630 |
これは単純に同じデザインの中にダウン量が増えているだけではなく、ドラフトチューブが使用されていたり、縫いつぶしのキルト構造からボックスウォールバッフル構造に変わっているなど様々な点で保温力向上のための機能やデザインが加わっています。
スパーク-9℃は、ジッパーからの冷気の侵入を防ぐためにドラフトチューブがジッパー沿いに装備されており、全体でボックスウォールバッフル構造が使用され、塗りつぶしのキルト構造で生じやすいコールドスポットが省かれています。
またメンズモデルはシュラフを正面に見て右手側にジッパーが施されているのに対し、ウィメンズモデルは左手側にジッパーが施されています。スパーク-9℃からメンズモデルとウィメンズモデルをペアリングすることが可能になります。