ミニ飯豊と形容されるほどすばらしい稜線が魅力の三倉山・大倉山・流石山。この魅惑の稜線を歩くことで縦走登山の雰囲気を手軽に味わえると人気の山です。
展望抜群の快適な稜線歩きと三倉山からの360°の大パノラマはこのルートの醍醐味。グラマラスに延びる稜線と吹き抜ける爽やかな風に心奪われること必至です。
にぎやかな表那須に比べ静かな山行ができる裏那須。是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
裏那須三倉山の基本情報と魅力
那須連峰の一角であり、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳などを「表那須」、甲子山・甲子旭岳(赤崩山)を「北那須」、そして三倉山(1,888m)・流石山(ながれいしやま 1,813m)・大倉山(おおくらやま1,885m)を「裏那須」と呼んでいます。
山の名前 | 三倉山(みくらやま) |
エリア/都道府県 | 東北/福島県・栃木県 |
山域 | 裏那須 |
標高 | 1,888m |
基本情報 | 三倉山 難易度・天気などの最新登山情報 |
魅力その1:流石山~大倉山へ延びる魅惑の稜線
ミニ飯豊と称賛される魅惑の稜線、流石山から大倉山へ延びるルートは見れば誰でもが心躍ってしまうものです。そして大倉山から流石山を振り返れば稜線の奥に那須岳の姿。まるで天空の回廊を散歩しているかのようです。
この稜線が見たかったというハイカーは多く、那須岳登山で朝日岳や三本槍岳のピークを踏んだ人なら誰でもその稜線美に憧れ魅了されてしまうのです。
魅力その2:三倉山山頂は360°の大パノラマ
頂上は、御影石製の真新しい石祠と山名標柱を中心に広々としており360度の展望が得られます。三倉山は3つのピーク(一ノ倉、二ノ倉、三ノ倉)からとなっていて、二ノ倉が最高峰の三倉山です。
小野岳や大戸岳、飯豊連峰、会津駒ヶ岳、燧ケ岳、日光連山そして福島側へと続く稜線。どこをとってもすばらしい眺望ですが、三倉山山頂から目を引くのはやはり美しい大倉山~流石山へと続く稜線です。流石山越しには那須連峰が横たわっています。
魅力その3:大峠~流石山~大倉山への道中は花の楽園
大峠から流石山へは登りの連続になりますが、抜群の展望が得られるため景色を楽しみながら歩を進めることができます。周りは花の道ですからできれば時間をかけて歩きたいところです。
このルートはニッコウキスゲの群落地帯で、7月中旬にもなれば斜面一帯に黄色の花が咲き乱れる夢のような景色を見ることができます。またウスユキソウ、ハクサンフウロ、シナノキンバイ、ヒメシジャンなども咲いていてまさにお花畑。
そして流石山から大倉山にかけてはシャクナゲロードと化し、眺望の良さと相まって見事な景観を見せてくれます。
裏那須・三倉山の難易度別登山ルート
①大峠~流石山~三倉山|往復コース
裏那須の稜線歩き定番コース。流石山までは直登となりますが、時期が合えばお花畑の中を楽しく歩くことができます。
必要日数 | 日帰り登山 |
コースタイム | 7時間43分 |
距離 | 14.4Km |
累積標高 | 1,147m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 4時間9分
駐車場→(16分)→林道終点→(25分)→鏡ヶ沼西側分岐→(28分)→大峠→(1時間20分)→流石山→(1時間)→大倉山→(40分)→三倉山 - くだりタイム 3時間34分
三倉山→(40分)→大倉山→(50分)→流石山→(1時間)→大峠→(28分)→鏡ヶ沼西側分岐→(20分)→林道終点→(16分)→駐車場
コース詳細
駐車場から舗装された道そして砂利道を経て林道終点の石碑がある場所へ。ここからは会津中街道の歴史ある道を歩いていき鏡ヶ沼西側分岐を過ぎれば大峠です。お地蔵様が見守っておられますので安全祈願を。
『会津中街道(松川街道)とは1883年、日光大地震で会津西街道が通行不能になったためにできた代替街道。氏家宿から矢板宿、板室宿、三斗小屋宿、標高1468mの大峠、松川宿などを経て会津に至っていましたが、のちに会津西街道が再整備され次第に使われなくなりました。峠には会津戦争(戊辰戦争)の時、会津藩が構築した塹壕跡が146メートル、峠の両側に深さ約80センチの塹壕と砲台跡が残っています。会津戦争の時、会津兵は下郷へ退却してしまいここでの戦いはありませんでした』
視界は開け大峠分岐に。ここは三本槍岳や三斗小屋温泉と流石山、三倉山へアクセスできる要衝です。
流石山への急登の始まりですが、まわりを見渡せばニッコウキスゲの大群落が広がる場所。眺望の良さとともにキスゲの黄色と緑の草原、青い空と白い雲のコントラストが絶妙に配置され上りのキツさなど忘れてしまいます。
登りきると快適な尾根歩きです。流石山へは足元には笹原が広がりますが視界を遮るほどではないため気持ちよく歩けます。大峠から1時間ちょっとで流石山(1,813m)山頂です。流石山から大倉山へ快適な天空回廊の始まりです。
やはり笹原の道ですが爽やかな風と大倉山へ続く稜線にしばし心を奪わること必至。沼ッ原調整池や深山ダムも見えます。
途中、モリアオガエルやサンショウウオが生息する五葉ノ泉(池塘)を通過すると間もなく大倉山山頂へ到着です。
大倉山(1,885m)を踏んだ後は緩やかな下りと登り返しで三倉山です。一つ目は三ノ倉(1,854m)で三等三角点はここに設置されています。2つ目の二ノ倉が本峰の三倉山(1,888m)で、石祠と山名の標柱はこちらにあります。
三倉山山頂は遮るもののない大展望。日光連山、燧ケ岳、会津駒ヶ岳、飯豊連峰そして那須連峰や甲子旭岳などすばらしい眺め。そして下山を開始すれば、今度は大倉山へ延びる稜線がまた魅力的です。
笹原は朝露しっとりで靴がびしょびしょに濡れます。ゲイター装着などの対策をすることをおすすめします。
②三倉山登山口~唐沢山~三倉山~大峠~観音沼森林公園~|周回コース
このコースは10㎞以上アスファルト上を歩きますので登山ルートとしては12Kmほどです。さらに唐沢山から三倉山へは腰高上の薮こぎ必至、踏み後も不明瞭なところがあります。情報を集めてよく検討してから挑んでください。
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 8時間15分(休憩36分) |
距離 | 23.7Km |
累積標高 | 1,557m |
難易度 | ★★★☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 4時間8分
観音沼森林公園駐車場→(35分)→十文字上バス停→(32分)→音金上坪バス停→(2分)→三倉山登山口→(2時間16分)→唐沢山→(43分)→三倉山 - くだりタイム 3時間7分
三倉山→(19分)→大倉山→(38分)→流石山→(27分)→大峠→(1時間9分)→日暮の滝観瀑台→(34分)→観音沼森林公園駐車場
コース詳細
観音沼森林公園に車を置き十文字そば街道へ向かうように進み、音金集会所近くの三倉山登山口、獣除けの電気柵を開きそこから入山します。
傾斜のある登山道というより、涸れ沢を登り尾根に出ればあとは緩やかな稜線を登るだけ、唐沢山(1,691m)に到着です。甲子旭岳や二岐山、尾瀬の燧ケ岳など見渡せます。
三倉山までは腰高ほどの笹薮をかき分けて登りますが、山頂に立てばあのすばらしい稜線の景色が待っていますので踏ん張りどころ。大倉山から流石山へ続く魅惑の稜線の始まりです。
③峰の茶屋~三本槍岳(表那須)~大峠~三倉山(裏那須)|往復コース
那須岳登山の王道である峠の茶屋駐車場の登山口から峰の茶屋~剣が峰~朝日岳~三本槍岳といういわゆる表那須を経由し、大峠を経て三倉山までの裏那須の稜線を歩き倒すコース。
相当な距離を歩くため中級以上の健脚向きですが、三斗小屋温泉に宿泊し2日目に裏那須の天空散歩とすれば初心者でも十分に楽しめるのでおすすめです。
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 10時間39分(休憩1時間22分) |
距離 | 23.4Km |
累積標高 | 2,099m |
難易度 | ★★★☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 4時間21分
峠の茶屋→(27分)→峰の茶屋→(3分)→剣ヶ峰→(16分)→朝日岳→(9分)→1900m峰→(46分)→三本槍岳→(47分)→大峠→(43分)→流石山→(46分)→大倉山→(24分)→三倉山 - くだりタイム 4時間9分
三倉山→(23分)→大倉山→(39分)→流石山→(30分)→大峠→(1時間6分)→三本槍岳→(41分)→1900m峰→(23分)→剣ヶ峰→(3分)→峰の茶屋→(24分)→峠の茶屋
那須岳登山は危険な箇所もほとんど無く登山口も数か所あるため、三斗小屋温泉での宿泊を取り入れれば初級者でも多彩なコースを組むことができます。
裏那須・三倉山のQ&A
Q:三倉山の山開きはいつですか?
現段階では2024年の開山祭はまだ未定です。ただ例年ですと7月の第2または第3日曜日に行われています。流石山のニッコウキスゲが咲く頃になるようです。
Q:流石山の花の時期はいつ頃?
流石山は栃木県随一の花の山。大峠から流石山にかけてのさわやかな稜線はお花畑が広がり、ニッコウキスゲの大群落やハクサンフウロに彩られます。ニッコウキスゲの開花が始まるのは7月初旬ですが、見頃は7月中旬です。
また、大倉山にはハクサンシャクナゲが咲き乱れ、すばらしい稜線とのコラボを見せてくれます。その他には、ハクサンチドリ、ウスユキソウ、ウサギギク、シモツケソウ、ギボウシ、ウラジロヨウラク、イワカガミなどなど。
登山口駐車場へのアクセスと各種情報
公共交通機関を利用するには会津鉄道会津線、養鱒公園駅で下車し
大峠林道口 鎧沢駐車場
裏那須への最短登山口で、観音沼森林公園駐車場から大峠林道を進んだ先にある林道終点手前の駐車スペース。 鎧沢橋の老朽化によりこれより先の車輌の進入は禁止されています 。
この手前にも日暮の滝駐車場(約5台)があります。
駐車台数 | 10台(路肩) |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 1,295m |
トイレ | 無し |
- 白河インターチェンジを下りて国道4号線(奥州街道)の郡山方面へ進みすぐの交差点を下郷・甲子温泉方面へ左折
⇒国道289号線(甲子道路)との交差点を下郷方面へ左折
⇒甲子トンネル・道の駅しもごうを過ぎた先で観音沼森林公園の道標を左折
⇒つき当たりを案内に従い左折して観音沼森林公園駐車場を過ぎ野田新田集落の先
観音沼森林公園駐車場
美しい観音沼の周囲を散策できるコースが整備されている森林公園駐車場です。きれいなトイレが設置されています。この先にトイレはありませんので必ずここで済ませてから先へ進んでください。
駐車台数 | 108台 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 910m |
トイレ | 有り |
- 白河インターチェンジを下りて国道4号線(奥州街道)の郡山方面へ進みすぐの交差点を下郷・甲子温泉方面へ左折
⇒国道289号線(甲子道路)との交差点を下郷方面へ左折
⇒甲子トンネル・道の駅しもごうを過ぎた先で観音沼森林公園の道標を左折
⇒つき当たりを案内に従い左折して1.1kmほどの所。
音金公民館駐車場
三倉山の登山口付近にあり、7月半ばの開山祭の際の会場にもなる音金地区の集会所の駐車場です。
駐車台数 | 20台 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 715m |
トイレ | 無し |
- 白河インターチェンジを下りて国道4号線(奥州街道)の郡山方面へ進みすぐの交差点を下郷・甲子温泉方面へ左折
⇒国道289号線(甲子道路)との交差点を下郷方面へ左折
⇒甲子トンネル・道の駅しもごうを過ぎた先で観音沼森林公園の道標を左折
⇒つき当たりを養鱒公園方面へ右折、2.6kmほど先で音金の標識がある交差点を左折
⇒加藤谷川を渡り農地を過ぎて最初の民家前の交差点を左折すると右手にある
登山口は公民館を出て右手に進み、音金稲荷神社(正一位稲荷神社)の手前の農道を奥へと進む
裏那須・三倉山の山旅スポット
韓国料理 平野屋
実家が韓国ソウルの老舗食堂だったという女将さんが腕を振るう地元でも評判の店。何といってもおすすめはプルコギ石焼ビビンバで、熱々をかき混ぜフーフー言いながら食べるとアッという間に完食してしまいます。辛さも普通、中辛、大辛と選べますよ。
本場仕込みのキムチは絶品、トッポギもおいしいと人気です。テイクアウトコーナーも全部手作りのもので、夏の間は傷みやすいためキムチのみとしているそうですが、秋になればいろいろ並ぶそうです。
冬季は休業で、その間奥さんはソウルに帰るのだそう。なので営業は雪のない季節のみとなりますので、気になる方は調べてから行かれることをおすすめします。
営業時間 | 11:30~15:00 17:00~19:00 |
定休日 | 木曜日 |
TEL | 0241-67-2838 |
住所 | 〒969-5342福島県南会津郡下郷町音金十文字3192 |
猿楽台地
下郷町の南西部にある猿楽台地(さるがくだいち)は、昭和40年代に国営農地開発事業により整備された農地で、約40ヘクタールの蕎麦畑面積をほこります。
毎年8月下旬から9月上旬ごろに咲く蕎麦の花が台地一面に広がることで有名で、平成10年度農林水産省などが主催した「第7回美しい日本のむらコンテスト」の生産部門で農林水産大臣省に輝いた場所です。
猿楽そば
ここの蕎麦を食べれるのが「猿楽そば」で、2022年11月に放送された「鶴瓶の家族に乾杯」で郷ひろみが訪れました。昼時はいつも混んでいる人気店で盛りがよく天ぷらがサービスで付いてきます。
営業時間 | 11:00~14:00(平日) 11:00~15:00(土・日・祝) |
定休日 | 火曜日 |
TEL | 0241-67-2311 |
住所 | 〒969-5343 福島県南会津郡下郷町落合下の原850−1 |
甲子温泉 大黒屋
甲子山麓にある「日本秘湯を守る会」会員の宿。350年以上の歴史を持ち、江戸時代には白河藩主松平定信公に愛された一軒宿で、今でも楽翁公が滞在した「勝花亭」が現存されています。
150年の歴史をもつ大浴場「大岩風呂」は、縦5メートル、横15メートル、深さ最大で1.2メートルの大きな湯船。鳥居の湯口からどっと流れ出す44~45℃の温泉、岩盤の足元からじんわりと自噴する31~34℃の温泉、透明のお湯は心までリラックスさせる、やわらかくやさしいお湯です。
立ち寄り湯
利用時間 | 10:00~15:00 |
利用料金 | 大人 800円 小学生 450円 2歳児まで無料 |
TEL | 0248-36-2301 |
住所 | 〒961-8071 福島県西白河郡西郷村真船字寺平1 |
観音沼森林公園
公園一帯は、野鳥の宝庫であり、四季を通じてさえずりを楽しめます。観音沼の周囲には四季折々の美しさを楽しめる花木等が植栽され、散策路が9コース整備されています。
春・夏・秋それぞれに違う表情を見せる観音沼は、その神秘的な景観に魅了された多くのカメラマンが訪れることでも有名。新緑の季節の清々しさと錦秋の湖畔の色鮮やかさは必見です。