サロモンはトレイルランニング、ファストハイク、ハイキング、登山など様々なアクティビティにフィットしたシューズをリリースしています。「X ULTRA(エックスウルトラ)」シリーズは、サロモンを代表するハイキングシューズで、ハイキングだけでなくファストハイク、軽登山でも使用できる汎用性の高さが魅力です。
今回紹介する「X ULTRA ALPINE GORE-TEX」は、岩場が多い登山、標高差のある登山でも活用できる機能を追加したシューズに仕上がっています。今回は「X ULTRA ALPINE GORE-TEX」が備えた4つの特徴にフォーカスしながら、登山での使用感をレビューしていきます。
4種類のラグパターンによる安定した方向を実現
アウトソールにはサロモンのオリジナルソール「Contagrip®Alpine(コンタグリップアルパイン)」を採用しています。サロモンのソールの中では最も粘りがあり、様々な登山道でグリップ力を発揮するラバー素材が使われています。
特徴的なのは4種類のラグパターンを組み合わせ、様々な登山道と、その登山道における足の置き方で安定した歩行を可能にしています。
上の写真にあるように4種類のラグパターンはいずれもグリップ力はあるのですが、それぞれに異なった特徴を備えています。
まず緑色の「摩擦による強いグリップ」と記載されたつま先部分ですが、ここには特徴的な丸いラグパターンが採用され、吸盤のように石や木の表面に吸い付くようにグリップを効かせます。そして吸盤のような丸いラグパターンと切り込みの入ったパターンによって強い摩擦力を備えています。これは岩のわずかなスタンスで体重をかけて滑りづらい実感がありました。しかしながら雨の日や朝露などが多い時間帯の山歩きでは滑ることがあるので全てをシューズに頼るということは避けるようにしましょう。
続いてオレンジ色の「防滑力による安定歩行」と記載された足の内側に配された部分ですが、こちらも上記同様丸い吸盤のようなラグパターンによって接地面に吸い付くようにグリップします。
「滑りそうだけどどうしてもそこに足を置きたい」場合は、少し親指に力を入れると自然と腹筋にも力が入り、緑とオレンジの丸い部分と接地面とに力が加わります。これによって斜面がある岩場でのグリップ力は他のシューズと比較して大きな差を感じることができました。そしてガレた登山道でも思わぬひっかかりが起こりにくく歩きやすい特徴も備えています。
続いて赤色の「索引力によるブレ軽減」と記載された足の外側に配された部分ですが、こちらは様々な路面状況で滑りにくくアルパインエリアにおける岩場、木の根、土や砂地などでもしっかりとグリップを発揮します。これによって足元のブレが軽減し長時間の歩行で疲れにくいというのが特徴となっています。
続いて青色の「コントロールによるサポート」と記載されたかかと部分に配されたラグパターンは特に下りでのグリップが特徴で、足を出してから着地するまでの動作での安定した歩行をサポートしてくれます。
エッジングシャーシによる縦方向への動き向上と横方向のブレを抑制
X ULTRA4を以前履いていましたが、こちらのモデルはADV-Cシャーシによって可動域を制限せず歩行時の安定性を高める働きがあり、捻挫予防にも働きがありました。「X ULTRA ALPINE GORE-TEX」では、上のイメージ写真のように前足部分に横溝が入っており、これによって縦方向への働きを向上させています。
これによってトレイルランニングシューズの柔らかさはなく、アウトソールに程よい剛性が備わっており、一般的なハイキングシューズと比較しても安定した歩行が可能です。
しかしながら硬いソールを特徴とするアルパイン向けのハイカット登山靴と比較すると、柔らかく屈曲性があるので、重い荷物を背負って不安定な登山道を歩く時は足の筋肉が必要となり、意識して体勢を保持する必要があります。だから脚の筋肉に自信がある方が「X ULTRA ALPINE GORE-TEX」を履いて高所登山を楽しむのは選択肢としてありえますが、足の筋肉に自信のない方がより軽量な登山靴で登山を楽しみたいと考えて、選ぶのはこの点注意が必要です。あくまでもハイキングシューズよりも剛性があるという認識を忘れないようにしてください。
横方向のブレは90度に立ち上がったウォール構造によって安定感を高めています。これによって長距離歩いても疲れづらく、1日歩いても疲労感が少ないハイキングシューズです。
高いフィット感とプロテクションで快適な登山が可能
ミッドソールにはエナジーセルによるクッション性が備わり、長い距離を歩いても足裏が痛くなるようなことが非常に少ないハイキングシューズです。このエナジーセルは程よい跳ね返りがあり、硬い岩場を歩いていても疲れづらい特徴を備えています。
シューレースにはクイックレースが採用され、紐を引っ張って素早くフィット感を高めたり、足を休ませたい時にも素早く開放させることができます。また余った紐はシュータン部分に収納することができるので登山道で紐が引っかかったり、意図せず紐がほどけたりするストレスから解放されます。
そしてこのシューレースは足全体を包み込むようにフィットさせる特徴が備わっており、アクティブサポートと呼ばれるホールド感をより向上させるパネルによって、シューズが足の一部になるような感覚を味わうことができます。アクティブサポートによって外側へ体が倒れづらくなることで捻挫抑制にも効果を発揮しています。
さらにゴアテックスによるプロテクションで外側からの濡れを守り、さらに足の蒸れの排出にも優れているので梅雨の時期はもちろん、天候が読めない山の中では非常に安心することができるハイキングシューズです。
カラーとミッドカットモデルの展開
今回僕が試したシューズはネイビー色で普段使いしやすいデザインも特徴です。足の側面には高級感のあるヌバックをあしらい、全体的に落ち着いたカラーリングで雨の日の待ちを手術としてもおすすめです。
ローカット以外もミッドカットモデルも展開しており、足首のサポート、岩などからくるぶしの保護、砂や砂利などの侵入が気になる方はミッドカットモデルの選択も可能です。