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甲斐駒ヶ岳 / 砂浜の白と雲の白

甲斐駒ヶ岳 / 砂浜の白と雲の白

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07 | 登山開始

ここから登り始める。

登山口のところに甲斐駒ヶ岳2合目と書いてあって、バスで40分くらい上がってきたから6合目、せめて4合目くらいにいるだろと思っていたので、すごくびっくりした。めっちゃ不思議。なんで?

登り道、おしゃべりに夢中になっていたのと、たくさん生えているきのこが可愛くてぐいぐい登れたので、「コースタイム0.7くらいで2人ともすごいじゃない」と褒められて調子に乗りそうになった。


しかし途中から靴が重いということを思い出してどんどん足が重たくなっていき、2人にどんどん差がつけられてしまうから、困っていた。でもどんなに遅れても急ぐとか絶対に無理とかしたくないから(自己中)、どんなに置いていかれてもひたすら自分のペースで登り続けることにした。

途中で休憩の時に、柳原さんに1番好きな行動食を聞いたら、梅のおにぎりだと言っていて、そのエピソードも含めてとてもよかった。やっぱおにぎりが1番生きてる感じがするよね、わかる。

それぞれのお気に入り行動食の話をした時に、私がドライマンゴーが好きだと言ったら、ドライマンゴーは水で戻せるという話になって、後でやってみようと話した。

ジュンはその時ピンキーみたいな塩タブレットを食べていたな。
一粒もらって食べたら、マンゴーがしょっぱくなってしまった。
おにぎりには合いそうだと思った。


ここで、「柳原さん」っていうのがどうしても呼びづらいので、「やなさん」と呼ばせてもらうことになった。(タモさんみたいでなんかいい)

ジュンとやなさんの服装の色合いがシミラールックになっていてとても可愛かった。
2人とも淡いグリーンとか青系の色味でマッチしていてとても可愛い。ジュンは最近ベージュと水色の組み合わせが好きだと言っていた。似合っていてとても可愛くて好きだ。

やなさんは背負っているザックが亀の甲羅みたいで可愛かった。
私が遅いので、見上げると2人が揃ってこちらをみていることが多く、その時の2人の立ち姿のかっこよさに「わぁ〜」となっていた。(はよ登れ)

08 | 森林限界を抜け見えたものは

森林限界を抜けたところで、急に景色がパーっと見えるようになって、感動した!!!

今まで歩いてきた樹林帯では、きのこがたくさんあるのが楽しくて、ほぼ足元しか見ていなかったから、一気に光が刺して昼に囲まれた感じだった。

川がずっと見えるのがいいし、アルプスらしくそこらじゅうが山に囲まれていて、しかも隣の仙丈ヶ岳と同じ位置から木がなくなっていることがよく見えて、ここから先見えない空気の層があるんだと思って面白かった。

雲が上にいたり下にいたりするんだけど、共通して言えることは雲がものすごく白いこと。

雲の白に生命のエネルギーが凝縮されている気がした。

立体感のある濃すぎる白は、実は色の中で1番パワーがあるんだなと思った。


何も知らないけど、南アルプスって濃い緑の山肌の谷間に白い雲がこびりついているイメージがあって、日向山の時に何度も見上げていたそんな景色を上から見られていることが不思議だった。


とにかく、パワフルな山の力の中にいる感覚ではあるんだけど、同時に足が疲れすぎて「きちい」っていう思いが脳みその40%くらいを常に占めているので、景色の感動を100%感動と受け取れないメンタルで、そこは悲しかった。

とはいえ登っていくと流石に景色はすごくて圧巻だった。

岩岩しているのと、下が砂浜なのが、ほんと日向山レベル100って感じで最高に楽しかった。

日向山山頂の、先にある岩の景色、あそこでみんなが感動して遊ぶのがいつも楽しいけど、BBQで言うと「玉ねぎの中心の1番美味しいとこ」だけが目の前に大量に並べられた感じで、超贅沢で胃もたれしそうだった。


空の青は、青すぎてもはや黒だった。

山が白いから、青とか、人間の持ってきた人工的な道具の色がとても映えていて、なんていう色彩センスなの神様、と思った。


ジュンも、やなさんも、思い思いの気持ちで感動しているんじゃないかなと思ったし、それぞれが山に馴染んでいてカッコよくて、私もこんなにへばっているけどきっと今この瞬間山と一体になっているんだと思った。

綺麗な景色を風景画にするときに、馴染まないなと思うものは描き手の美的センスで消される。もしこの瞬間を絵に描く人がいるのなら、私たちはきっと山と一緒に描かれるだろうと、思った。

09 | きつい

一生懸命登って2人に追いついた休憩どころ、6合目って書いてあった時はキレそうだった。

でも周りにいた人も「流石に8合目でいいでしょ」って言ってて、だよねと思った。後からジュンに聞いたらジュンも同じことを思っていたらしくて、とても嬉しくなった。


ここで休憩の時に、ジュンが金のバームクーヘンを出してくれて、3人で分けて食べるようにしてくれた。1個の金のバームクーヘンを三等分して分け与えられるジュンの器にいつも感動する。とても美味しかったし、分けてもらって3人で同じ味を共有している瞬間がとてもよかった。

やなさんはこれにいたく感動していて、「女子と山に来ているって感じがする!」とすごく喜んでいたけど、これに関しては何のことを指しているのかいまだによくわからない。

でも、私も街で女の子らしい人に対して「ああこの人には敵わないな」って思うことあるし、そこと自分との違いを説明するのも難しいのわかるから、そういう感覚なのかなと思った。男の人にも同じことは思うけど。

だとしたら、私らが自然に選ぶものが、登山男性からしたら「女の子っぽくてキラキラしてて憧れる」となるということだから、それって素のままの自分たちにとても価値があると思えて嬉しいなと思った。(と考えながら1人で3つのドーナツをここで食べ切った)

この後から少し下りもありつつで「楽ちん〜」と思っていたのだけど、登ってくる人とすれ違うときに全員激しくハァハァしていて、数時間後私もこうなるんだということを思い出して嫌な気持ちになった。

そうだ、私には、今日は家でお留守番している彼氏から奪ってきた魔法の杖があるんだ!!

と、8合目(6合目)の休憩の後ポールを取り出して歩きに入ったが、そこから下山だったもんだから全然使いこなせないし、のぼりになっても岩なので邪魔でしかなく、とても不機嫌案件だった。

そのあとポールを2人にしまってもらったのだが、あんまり小さく折り畳めないのでずっと頭にポールの持ち手の紐?の部分がバシバシ当たってて、頭叩かれて馬鹿にされてるみたいで不愉快だった。

登りの時も下りの時も、やなさんはめちゃくちゃ声をかけられていてさすがだったし、みんな必ず「いつも参考にしています」って言うので、やなさんが刺したいと思ってる刺し方をきちんとできているんだと思って尊敬した。私たちも、ビジョンミッションバリューのワークするべきだなと思った。


あと挨拶するときの声がとても大きくて、紳士的なイメージでいいなと思った。(私は不機嫌な時の挨拶ちゃんと元気ないから)

途中からかなりきつい岩場になっていったのだけど、両手両足目一杯使って歩いていかなければならなくて、それがアドベンチャーでとても楽しかった。

すごく大きな岩が、ごろごろ…じゃないな。私の中で「ごろごろ」って転がってるイメージで、ただ最初っからそこに在るって感じの岩たちだったからごろごろではないんだけど、とにかく岩だらけの道だった。

174cmの私が目一杯足を伸ばして届くかどうか見たいな道ばっかりだったから、手足が長くて便利だなと思ったし、だからこそあんまり考える力が身につかないのかなとも思った。


途中から「↑直登」と書いている道があって、そこはもう私的には壁登りみたいな感じで超大変だったけど、今思い返すとめちゃくちゃ楽しかったな。全身使って体を持ち上げて一個一個岩をクリアしていく感じたまらなくよかった。岩の触り心地もざらざらつぶつぶしていて、宇宙の岩みたいで面白いと思った。(宇宙の岩知らないけど、オレンジと白が混ざった色味がスターウォーズとかの景色の印象)


この辺りから、ジュンは私が見えるところで登ってくれてて、「つらい」とか「もう無理」とかに「頑張れユウチャン」と声をかけてくれて、私も「頑張れユウチャン」と思いながら登った。(山の中にいる時のユウチャンを私は俯瞰して人ごとみたいに見ている感覚がある)

登っていって、向こう側が見えた時は、綺麗で嬉しい!!!と、もうちょっとで嬉しい!!!がちょうど半々くらいの感覚だったので、めっちゃ疲れてたんだと思う。だって相当綺麗だったもん。

10 | そして頂へ

最後の登りを登っているところで、山頂が見えた!看板が見えた!と思って見上げたら、看板に「東駒ヶ岳」って書いてあって、ガーーーーーーーンってなった。

え、山頂じゃないの?と困惑していたら、視聴者さんが「もしかして山歩きJPさんですか?」と声をかけてくれて、すんごい嬉しかった反面すごい絶望的な顔している瞬間だったかなと思った。ジュンの時に気づいていたらしいけど、2人目が登場して確信を持てたらしい。

一緒に写真を撮るために、残りの登りをチャッと登ったら、看板に「甲斐駒ヶ岳」とちゃんと書いてあって、ぬるりと登頂したことになった。

ぬるりと登頂したので、一応やなさんも呼んで登頂したぜ的な動画を撮ってさっさと次の山頂?に向かった。やなさんはやなさんで多分登頂してから少し時間が経っているので感情が落ち着いているし、私らは私らで東駒ヶ岳に騙されたりのぬるり登頂だったからよくわからない感情になっていて、あとちょうど曇ってきたのもあって、そんなに景色を楽しむことなくささっと降りた。

山頂のこと何も覚えてねーや。

山頂の隣のところに剣が刺さっていて、先についたジュンが「わぁ〜渋い!」と言っていて、見たらまあそうだね渋いねって感じの見た目の剣で、私は「趣深いね」と言う言葉に逃げたけど、あれなんて表現したらよかったかな。私と趣深い剣で並んで背比べするという謎の動画を撮った記憶はある。

11 | 下山

下山は、砂を滑るように降りれるので結構楽だった気がする。

分岐があって、そっちにいったらジュンの憧れの先輩に会える山小屋があるらしいから行ってあげたかったけど、普通に無理だったのでどうする?と聞かれた時にものすごく嫌そうな顔をしていたと思う。汲み取って「今日は行かなくていいかな」とジュンが言ってくれてマジでサンキューだった。

下山中に、やなさんとジュンの解釈が完全一致したのがとても嬉しかった。

ジュンのあの少年っぽさがたまらなくかっこいいし、でも顔は可愛らしいから顔を見た時にドキッとする感覚よくわかる。すごく健康的で、笑った顔がヘルシーで少女っぽくも少年っぽくもあるのが不思議。陽に照らされた肌の反射がきれいで、緑や青の寒色がよく似合うかっこよさと、性格の無邪気な可愛らしさが対照的でそのギャップがエロい。

って話、距離が近すぎる私が褒めるとさすがにキモすぎると思って今まで言語化してこなかったことをやなさんがつらつら言ってくれて、共感の嵐だった。ジュンは全くピンときてなかったけど、ピンとこないままでいいし、ピンとこないのがジュンの奥ゆかしさでいいんだよねん。


やなさんがジュンのファンみたいになってくれたことがすっごいうれしくて、もっとジュンのあんなとこ見たいよね!!!っていうので話を盛り上げてしまった。結果、ジュンの話をしているのにジュンは置いてけぼりになっていたようで、ちょっと反省。でも楽しかった。

やなさんが、私たちのやりたいことできることと可能性を汲み取って、いろんな提案をしてくれるのがとても嬉しかった。

私は自分の夢に向けて少しずつ少しずつ前進している感覚があったが、5年分くらい一気に引き上げてくれた感覚だった。こういう協力してくれる人の存在をずっと待っていたし、それが思った以上に早く、しかも最高の形で現れてくれて、神様みたいに見えた。でも話てても普通に楽しいし、尊敬できるし、センスもいいし、とにかく最高。


昔読んだ本に「褒めるのは上の人が下の人にする行為で、対等に思っていなくて失礼だからやめた方が良い」みたいなことが書いてあったんだけど、

私は完全にそれに対して「は?良いと思ったもんは口に出したほうが絶対にいいやろ」としか思っているせいで、目上の人だろうが何だろうが、人のこと「良い!」って思った時に全力で褒めちゃってそれが普通に失礼、みたいなところがある。

例によってこの日やなさんのことも「まじ話うまいっす!結論から話してくれるから!」とか「私が思ってたこと言語化してくれて最高です!」とかまあとにかく思った通りのことを口から出していたんだけど、1日の終わりにやなさんに「てか今日言われたこと冷静になって考えると全部意味わかんない」って言われたのが、最高に面白かった。

下山の途中で、ジュンがわらび餅をくれた。ラムネわらびといちごわらびを持ってきていて、その片っ方をやなさんにあげて、もう片っ方を私にくれて、ギバーすぎて意味がわからなかった。2個あるわらび餅をどちらもくれるのは優しすぎるだろ。いちごわらび餅は、いちごジャムを固めたみたいな味がして、とても美味しかった。やなさんはラムネわらびに感動していたのと、手が不器用なんだよとわらびもちを全然上手に開けられていなかったんだけど、このわらび餅を上手に開けられない人初めて見たからめちゃくちゃ面白かった。

下山して、テント場に戻る前に、小屋で山バッチを買った。それから、スタンプも押した。お店の中にいた数人の中に1人とんでもなく汗臭い人がいて、小屋中がとんでもなく汗臭い匂いになっていて、ちょっと面白かった。

下山した時点で正直眠すぎてもう無理かもと思っていたけど、やなさんがせっせとご飯の支度してくれているのを見たらだんだんお腹が空いてきて、ご飯を食べる準備ができていた(やってもらってるのにワガママスタンス)


こんな幸せなことが人生で起こっていいのかというくらいハッピーだった。
乾杯したビールが、最高に美味しかった。
ジュンはジュンで、金の煮込みハンバーグやら金のソーセージやら、普段家で食べられないセブンの高級お惣菜をたくさん買ってきて煮込みハンバーグを作ってくれていて、デミグラス一滴残さず全部飲み干すくらい美味しかった。こういう時に特別感を演出するのが、本当に上手。


私はというと、山で役に立たないのだから料理くらいでは役に立ちたいと思う一方で、料理も苦手というポンコツ具合なので、カルディで買ったいぶりがっこチーズで対抗したら、2人とも喜んでくれて、最高に大人だった。


振り返ってやっぱり私の介在価値は、こうして記録が残せることだと思うよ。

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