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04 | 転売ヤーさん
教えてもらった通り、開始1時間は人の量がすごかった。そして来る人たちは本当に転売ヤーらしく、大きなバッグを持っていてその中にたくさんものを詰め込んでいた。メルカリやヤフオクで売るのかな。チケットなどを正規品で買って高く売るなどの転売ヤーはいただけないけど、でもこうして自分の足で安いものを開拓しているわけだからバイヤーと一緒だよなと思う。むしろ売れるべき適切な場所に商品を運んでくれるなら、SDGsだしありがたいなー。などと考えるくらいの暇があった。
転売ヤーの方の流れを観察していたら、ONCメリノのシャツを着たお兄さんが「コラム書いている方はどちらですか」と声をかけてくれた。この方が1人めのお客さんだった。まだ始まったばかりだったので、前述の緊張があり何を話したのかあんまり覚えていないけど、文章が読みやすいと褒めてくれたのと、ダウ90000が好きなんだということを話した。緊張していたせいでいつものコミュ力がきちんと発揮できず、ソワソワしていて空をなぞるように会話してしまった。また私はユウの方でダウ90000が好きって言った記憶も曖昧だったので、何で私のことを知ってくれてる方なのか結局よく理解できないまま会話が終了してしまってとても後悔している(説明された気がしなくもないが、私がふわふわしていたせいで忘れてしまった)。いつから好きなんですか、と聞いてくれたのに、私の方が彼が何でダウを知ったのか聞くの忘れた。あと、普通に「スッテカー買っていかれますか?」と言えなかった。文章好きでダウが好きって、今考えると一番アツいお客さんだったな。普通にもっと話したかった。
ジュンは私の初対面コミュ力に期待してくれていたようだったが、ちょっと流石に朝からアウェイすぎて緊張していた。ただ、この世の「緊張してます」と自己申告した人を集めたら私はその中で緊張していない部類に入るんだろうなというレベルの緊張感である。緊張緩和の打ち手として、開始10分でビールを買いに行った。私はアルコールのコスパがいいので、お酒を飲めば10分以内にご機嫌になることができる。
05 | かけつけてくれた視聴者さんたち
アルコールが入ってふわふわとしていたら、オシャレお姉さんが声をかけてくれた。そこだけよく声が聞き取れなかったけど、「会えて嬉しい、泣きそうだ」みたいなことを言ってくれてた気がする。最新の動画も見てくれてて、感想を言ってくれた。ジュンにテントのことを質問していたので、山の話になると私はやることがなくなるので、ジュンの横顔とお姉さんの顔を交互に見るなどして過ごしていた。テントの話している時、2人ともキラキラしていて可愛かったな。こういう時に「あ、ジュンの領域だ」と思うと全く話を聞かなくなるから、私はいつまでもおもしろ登山歴30年女なんだよなと思う。
山マダムが声をかけてくれたのも嬉しかった。私は息子しかいないから、娘みたいで可愛いんだ、と言って、昨日あげたカルディの動画の詳細について話してくれた。私たちの一番のファンは私のお母さんだけど、私のお母さんみたいな視点で見てくれている方の存在を知って超驚いた。そんなの超嬉しいよ。
開始1時間半くらいしたら人の波が落ち着いてきたので、運営の立石さんにお願いして似顔絵のスペースをもらった。本当はもっと広いところ使っていいよと言ってくれていたんだけど、このアウェイ空間の中で少しでも心理的安全性をあげたく、やっと馴染んできたボーズマンのブースから離れたくなかった。なので「私たち女なんで、なるべく連れでいたいんでここでやっていいですか」と言って似顔絵は自分たちのブースの脇でやることの許可をもらった。そういえば立石さんに最後挨拶できなかったな。ずっとすごく優しかった。
似顔絵を始めたところで、ぼーっとお客さんを眺めながら、ジュンに「あの方、前髪が短くて可愛い、似顔絵描かせてくれないかな」とコソコソ言っていたらどんどんJPのブースに近づいてきて、「いつも見てます」と言ってくれた。なんと視聴者さんで、似顔絵も描いてほしいと言ってくれたので、言ってたことが本当に叶って記念すべき似顔絵第一号のお客様になった。手が震えて上手く描けなかったのは、アルコールのせいにしたけど、その次に描いた時には震えてなかったから、やっぱものすごく緊張していたのだと思う。線が揺れちゃったけど、それも私の初めてが故だから思い出として持って帰ってくれたら嬉しいな。
アソビ姉さんも来てくれた。前日一緒に山に登っているので、二日連続で会えて嬉しかったし、美味しいドーナツを差し入れでくれたし、ステッカー買ってくれたし、似顔絵も描かせてくれた。本当に本当に嬉しい。
私が似顔絵を描いている途中、横からさっと差し入れを渡してくれた人がいて、それが高校の同級生のかりちゃんだったのは超驚いた。イベント初出店おめでとう!とわざわざ来てくれたのと、なんか結婚式の前らしくやたら綺麗な格好をキメめており、かつ滞在時間2分くらいだったので、正直意味わかんなかった。お客さんが帰ったあと、「なんかさっきかりちゃん来てた気がするんだけど」とジュンに言ったし、帰る時にも「なんか今日かりちゃん来た気がするんだけど、夢?」と確認した。そんなにも時間がなくて忙しい中わざわざ来てくれるなんて、嬉しすぎるんだよな。差し入れの内容もウィダーと玄米ブランで、かりちゃんの優しさが詰まっていた。
昨日のカルディの動画見ました、と言ってカルディに寄ってマウイチップスを食べながら来てくれたかたがいて、とても可愛くて嬉しかった。いつも見てくれているはずなのに、とっても控えめで大人の距離感が心地いい。もらったドライマンゴー、家帰ってすぐに食べちゃった。
視聴者じゃないけど、純粋に似顔絵を描いてほしいと頼んでくれた方とか、雷鳥や景色のステッカーを買ってくれた方とか、そういう新たな出会いも本当に嬉しかったな。初め転売ヤーしかいなかった頃、頑張って接客しなきゃと思って、私らのこと知らない人に「このステッカー私たちの似顔絵なんですぅエヘヘ」と言って心が折れそうになっていたが、雷鳥や景色のステッカーなら私たちのこと知らない人にも価値があると思ってもらえるんだとわかって嬉しかった。
似顔絵は「1000円だけどチャンネル登録者さんは100円引きにする」という料金形態にしたとき、こりゃナイスなアイデアだぜと思ったけど、実際には似顔絵を頼んでくれる方は視聴者さんが多かったので、1000円払ってもらったあと「チャンネル登録してくれているので」とお小遣いみたいに100円を渡す構図になってしまい、かなり変だったから次はやらなくていいかもなと思った。
神奈川から来てくれた3人がとても可愛くて、私のお母さんのYouTubeまで見てくれているといっていたので驚いた。動画も出たらすぐ見てくれるらしいし、過去にジュンが作った数少ない動画を「いつもと違くていい」と言ってくれてて、想像してる何倍も細かく見てくれていることに驚いた。「手ぬぐい回と山バッチ回も好きなんです」と、私が個人的にお気に入りだった動画を好きと言ってくれていて嬉しかった。
男の子2人とたくさん話して、真ん中の女の子はずっとおとなしく静かにしていたのだけど、最後に「いちばん好きです」と言って帰っていき、ちょっと可愛すぎた。私は親や彼氏以外の誰かからもらう「いちばん好き」という言葉すごくくすぐったくて暖かかった。
ジュンの仕事のつながりの子を、私のことが好きだと言ってくれてるんだよ、とジュンに紹介された。この子については私は本当に意味がわからなかった。私のこと好きっていうのは、ジュンと仲良くするための会話の中で「山歩きJPはジュンよりユウちゃん派だし〜!」「なにをー!私のことも推せしー!」みたいな絡みのために生まれたノリだと思ってたんだけど、実際に会ったら本当に顔が真っ赤になっていて私の想定していた流れと違ったのでとても驚いた。ジュンを推す人がいるのはわかるし、それとセットでアイコンとして私が推されることは想像できるけど、私単体で推す人がなにを思ってそうなるのかが不思議で、でもあんまり不思議がっていても失礼だからニコニコしていることにした。
でも、「〇〇のこと好きだな」ノリを繰り返しているうちに本人を目の前にした時に本当に好きみたいなムーブになっちゃって気づいたら本当に好きになっちゃうの、私も中2の時の生徒会長で経験済みだから、そう考えると気持ちはわかるぜと思う。裏で「生徒会長かっこいい〜」と女子のノリで言ってたら、本当に好きになっちゃって告白して付き合ったから、みんなめちゃめちゃ驚いてたな。あの感じね、わかるわかる。
06 | みんなありがとう
来てくれた全ての人に対して、その背景を考えた。一緒に写真撮ってください、と勇気を出して言えたり言えなかったりしたのかな、とか、これをどうやって持って帰ってどうやって自分の中で消化するのかな、1人で楽しむタイプか、友達に話すのか。誰かに応援されているということ以上に、多分発信をしていなかったら出会うこともなかった人の、知ることのなかった一面を見られることが本当に嬉しいなと思う。
私たちがインスタグラムでしか告知していなかったせいで、今日来てくれたお客さんは全員インスタを見てくれた方なのもあるのか、おしゃれな方・控えめな方がすごく多くて、それも嬉しかった。登山初めて1〜2年なんです、と言っている方が多くて、私たちが届けたい層にちゃんと届いていることがとっても嬉しかった。かつ、イベント終了後に、来てくれた方のインスタのアカウントを見に行ったら本当に全員オシャレで、こういう方たちが私たちのことを応援しているんだってことがすごくすごく嬉しかった。今日来てくれたのは、私たちを見てくれる人の中でも本当にごく一部の、わざわざ交通費をかけて私たちに会いに来てくれるくらい応援の気持ちがある人たちだけど、その人たちの人柄が最高なことで、その人たちも含めて山歩きJPだって思うし、山歩きJPがそういう人が集まってくれる場所になっていることがすんごく嬉しい。2年半やって来たこと、守って来たものにすごく価値があると思えた。
登録者の人数は数字でしか見えないから、自分たちが生きた人のもとに届いているという実感は意外とないんだけど、こうやって初めて視聴者の方と会えて、この人たちに届けるんだーっていう能動的な意識が芽生えたような。ただただ嬉しいなっていう受け身の感情のような。
まだわかんないんだけど、でもイベントが終わって登録者の人数を見た時に、これがあの彼らなんだ、っていうふうに7000人っていうのがただの表記じゃなくて、中身がぎっしり詰まったものに見えるようになった。
これからも作るものやることは変わらないんだけど、それでも確実に私たちの中で育つものがあった、そういう愛おしい日を一緒に作ってくれた全ての方に感謝したいなと思ったよ。
最後帰る時にボーズマンの店長さんが「思ってた通りにいったかい?」と聞いてくれて優しいなと思った。出店して、全然期待外れだったみたいなことになってないといいなと心配してくれてたみたい。
これは書かなければ、と思って今こうして記録を書いているから特別な1日だったことは間違いないよね。