アクティブインサレーションとは肌寒い環境下で保温を目的とした行動着に位置付けられます。10年ほど前に登場した進化版ウェアとして、今最も注目されているカテゴリーです。今回はサロモンから2024年秋冬にリリースされるClimateSync通気テクノロジーを採用したマウンテンフレックスフーデッド(MOUNTAIN FLEX HOODED)を紹介します。
まずはじめにアクティブインサレーションとはどのようなウェアなのかを分かりやすく紹介し、その上で様々なアクティブインサレーションの着用した僕なりに考えるメリットとデメリットをお話しします。
そしてサロモンのマウンテンフレックスフーデッドが、他のアクティブインサレーションとどのような点が異なっているのか、構造やデザインの紹介をして、最後に実際に着用して感じたことをレビューします。
アクティブインサレーションとはどのようなウェアなのか?
アクティブインサレーションとは旧来の中綿入りウェアと同様の構造をなしていますが、この中綿と表面生地、裏生地を新たに開発し、行動中に着用しても熱がこもりにくいウェアとして登場しました。
フリースよりも防風性に優れていることからミドルレイヤーとしてだけでなく、アウターとしても使いやすい特徴があります。
重量は表生地と裏生地がありフードがついているタイプでおおよそ400〜500g程度というのが主流です。
アクティブインサレーションのメリットとデメリット
メリットは上でもお話ししたようにフリースより防風性に優れているのでアウターとしても使いやすいところが大きなメリットです。3シーズンではアウターとして着用し、肌寒くなる冬のシーズンではミドルレイヤーとして活用するといったような使い方も可能で、オールシーズン使用することができます。
また同じ保温性のあるフリースと比較すると軽量なモデルが多く、携行性にも優れています。
デメリットは一言でアクティブインサレーションと言っても実に様々で、保温性が高いモデル、通気性が高いモデル、ストレッチ性に優れ動きやすさが特徴のモデル、軽量なモデルなど、化繊素材、表生地、裏生地の素材などの組み合わせによって特徴が変わり、選ぶ際に知識が必要です。またフリースと比較すると価格が高いものが多いことも挙げられます。
サロモンのマウンテンフレックスフーデッドの構造やデザイン
今回紹介するサロモンのマウンテンフレックスフーデッドは、非常にユニークな化繊素材を使用しているため、止まると保温性が高くなり、動くと通気性が高くなる不思議なアクティブインサレーションに仕上がっています。
そして様々なアクティブインサレーションの中でも表生地と裏生地は伸縮性に優れており登山中の自由な動きをサポートします。
使用されている素材
まず初めに使用されている化繊素材を紹介します。サロモンのマウンテンフレックスフーデッドの化繊は、ClimateSync通気テクノロジーという名で、プリマロフトのフラットなシート状の化繊素材に3点星形のレーザーカットが並んでいるような構造をなしています。
この星形のレーザーカットが動きに合わせて動くことで、アクティブに動いている最中は星形にカットされた部分が開いて通気性を確保し、行動が止まると閉じて暖かさを保つように作られています。
表生地はアクティブ・リップストップ・シェルで適度な伸縮性を備え引き裂き強度にすぐれています。また小雨程度であれば撥水加工により雨を弾きます。
裏生地は伸縮性のあるニット・ストレッチ素材を使用し非常に柔らかく肌当たりが良いだけでなく、汗や湿気を吸着すると素早く拡散して乾く能力にも優れています。また表面も裏面もツルッとした素材なのでレイヤリングがしやすいのも特徴です。
これらの素材を組み合わせたことでサロモンの中綿ウェアの中では「アクティブ」というカテゴリに位置付けられ、最も行動中に適したモデルです。
シンプルで無駄を省いたデザイン
ジッパー付きのハンドウォーマーポケットが左右2箇所備わっており、ポケットの中の素材はジャケットの裏生地同様のニット・ストレッチ素材で手を優しく包み込むデザインに仕上がっています。またジッパーはジャケットを着用した時に隠れるようなデザインとなっています。
内側には左手側にジッパー付きのポケットが備わっており、貴重品やスマートフォンを収納するのに便利です。
フードは伸縮性のあるパイピングが左右に備わり、フードを被った時に顔の左右から風の侵入を防いでくれます。さらにフィット調整ができるドローコードで頭を包み込んでくれます。このフードはアウターとして使用した時に重宝します。
裾には左右にドローコードが備わり素早く裾から冷たい冷気を防ぐことができます。袖口は伸縮性のあるパイピングのみでシンプルな構造です。
全体として必要最低限のポケットと、冷たい風の侵入を防いだ耐候性を意識したデザインに仕上がっており、ミドルレイヤーだけでなくアウターとしての汎用性の高さと、通気調整を容易にしたモデルに仕上がっている印象です。
マウンテンフレックスフーデッドを実際に着用して感じたことをレビュー
今回インプレッションをする上で最も楽しみだったのが、プリマロフトのClimateSync通気テクノロジーで、本当に実際に動くと通気をして、止まると保温をしてくれるのかという点でした。これをテストするために薄手のベースレイヤーの上からマウンテンフレックスフーデッドというレイヤリングで肌寒い山の中を歩きました。
フロントジッパーを開けて冷たい風を取り込むことができるので、動いていて体の前面が涼しく感じることがないのも良いと思いました。このようにテンションがかかると通気をして、かからないところは通気をしないということが言えそうです。
身長180cm体重66kgの僕が着用したサイズはMサイズです。着用すると少しゆったりとした着心地なので動いてジャケットが突っ張ることがないシルエットです。その上ストレッチをする素材なので行動をしていて全く突っ張る感じがないので、重量に対して着用感が非常に少なかったです。
立ち止まって寒い時にフードをかぶるととても暖かく感じました。また首回りも暖かいことからフードや襟の部分はClimateSync通気テクノロジーではない化繊が使用されていると思います。化繊素材が透けて見えるような明るい場所で見てみると想定通りでした。
重量はMサイズで459gでした。表生地と裏生地のついた保温性に優れたアクティブインサレーションとしては平均的な重量ですが持ち歩く保温着として考えると少し重さが気になります。なので3シーズンの登山用保温着というよりかは、スキーや旅行に出かけるときの防寒着として位置付けて活用しようと思います。