サロモン独自の特許技術の背面フレーム「アドバンスドエアシャーシ」と「ブレサブルコンフォートシステム」を採用した高いフィット感と、優れた通気構造による快適性と、軽量化を追求した設計と素材が特徴の、2025年大注目のザックが今回紹介するサロモンのエアロトレック30です。
今回はエアロトレック30のスペックを紹介し、デザインや素材の特徴と背負い心地についてレビューをしていきます。
エアロトレック30のスペック

- 重量:992g
- 寸法(長さx幅x奥行):63×31×22cm
- 背面長:43-49cm(S/M) 48-54cm(M/L)
- 容量:30L
- 価格(税込):¥19,800
容量30Lで1㎏以下のザックはショルダースタビライザーの無いザック本体と背中が密着するデザインを採用しているモノが多い中、エアロトレックシリーズは軽量にも関わらずショルダースタビライザーと特徴的なフレーム構造で背中の通気構造を備える珍しいザックとなっています。
背中の気持ち悪い汗とはおさらば「ブレサブルコンフォートシステム」

軽量なザックがいいけれども、多くのザックは本体と背中が密着するタイプのもので、発汗量が多い人はどうしても背中がびちょびちょになってしまい、それによってベースレイヤーが濡れ体を冷やす原因にもつながってしまいます。

この悩みを解決するのに最も効果的なのが、背中とザック本体が密着しないトランポリンのような通気する構造を備えたデザインだと思います。
この構造を備えた一般的なザックは重量は1.2kg以上、さらに価格は約3万円前後と、なかなか手に取りづらい価格です。しかしながらサロモンのエアロトレック30は、重量992gで、価格はなんと2万円以下の19,800円というから驚きです。



サロモンのブレサブルコンフォートシステムは背中の接地部分がメッシュ構造になっており、重い荷物を背負った特に負担のかかる肩回りと腰回りには高い通気性とクッション性を備えた素材採用しています。ハニカム構造仕様で体に優しくフィットする心地よいデザインとなっています。

こういった弓形形状のザックのデメリットはメインコンパートメントのボトム部分がトップから視認しづらいということがあったのですが、このザックはしっかりと奥まで視認できます。
体の動きに追従するサロモン独自の背面フレーム「アドバンスドエアシャーシ」

さらにすごいのは重量992gと軽量なザックなのにもかかわらず背面フレームが備わっていることです。簡易的な背面フレームではなく体の動きに追従する独創的なデザインです。

このフレームがすごいのはザック中心に向かってフレーム幅が狭くなっている、砂時計のようなデザインになっていることから、本体がしなやかに曲がりザックの中の荷重を分散させるようになっています。これによって体への負担が少なく、装備重量を感じさせない背負い心地の良さを体感できます。

さらにさらにすごいのは腰の部分にフレームの一部が当たるようにデザインされています。これはサスペンションの役割を果たし、腰を曲げるような行動時に、ザックの荷重を感じさせない荷重分散機能が備わっています。

これらの機能は、特にファストハイクのようなスピードのある行動時に顕著に現れ、ザックの重量で体がブレず、フレーム構造で重さを吸収しているように思います。
アクセスしやすく整理整頓が可能な複数のポケット



サロモンのエアロトレック30はポケットも非常にユニークな構造です。まずメインコンパートメントにアクセスするためのジッパーはダブルジッパーでL字に開口します。これによって例えばテント泊登山に出かけた時は、ボトム部分にパッキングした荷物を取り出しやすく、パッキングする時も便利です。

メインコンパートメントの中にはハイドレーションポケットの他に、ジッパー付き小物入れも備わっています。

ザック上部にはシングルファスナーのポケットが備わり、素早く取り出したい小物類を収納しておくのに便利です。僕の場合はサングラス、紙地図、予備の行動食、レイングローブなどを収納しています。

ザックのフロント部分にはメッシュでストレッチ素材のポケットが備わっており、レインウェアやウィンドブレーカーなどを押し込めばコンプレッションするような形で、ザックに固定しておくことができます。背中から最も離れた位置にあるので重い荷物を収納するのは避けた方が良いでしょう。

そしてこのストレッチする同素材を使用したポケットが左右に備わり水筒や行動中に出たゴミ、トレッキングポールやテントポールなどの長物を収納するのに便利です。

ウエストベルトには右手側にマチ付きのジッパー付きポケットが備わっており、行動中によく使用するスマートフォン、リップクリームや日焼け止め、夏には虫除けスプレーなどの小物を収納することができます。


ショルダーハーネスにもメッシュストレッチ素材の縦長のポケットが備わっており、この部分には500mlのソフトフラスクを収納することを想定したポケットになっています。この部分にスマホを収納すると落下する心配は防げますが、ポケットが深いので少し取り出し辛いです。

このポケットの右側にはホイッスルが備わっているので、熊よけ、自分の居場所を他人に伝える時に素早く使えます。
体へのフィット感に優れた各種ストラップ&ベルト


ショルダーストラップ、ウエストベルトの体と密着する部分にはハニカム構造のクッション性の高い素材が使用されています。汗が出ても素早くこれらの素材が吸水してくれ拡散し乾いてくれます。またハニカム構造でさらに高い通気性を備えているので接触する部分に熱がこもりづらいのも特徴です。

ウエストベルトは軽量化と通気性のために肉抜きされていますが、これが思った以上に骨盤の凹凸に沿ってしっかりとフィットしてくれて動き易さと荷重分散を両立してくれています。



個人的にショルダースタビライザーのありなしはすごく大きくて、このストラップがあることで、ザックの重さを体の中心で支えることができ、歩きやすく疲れづらい歩行が可能です。

サロモンのザックはデザインにも特徴があり、ボトム部分がシェイプしています。これはザックの荷重を背中の中心より上に持ってくるようにデザインされたもので、ザックのボトム部分から上に向かって伸びているコンプレッションベルトを使用することで、さらにザックの中の荷重を持ち上げることができます。

人をおんぶするときに荷重を上にすると歩きやすいと感じるのをイメージするとわかりやすいと思います。
このデザインのデメリットはザックを地面においた時に倒れてしまうことですが、背負い心地が重要と考えれば諦めがつきます。
幅広いシーンで使えるエアロトレックの種類



今回紹介したエアロトレック30は装備の軽量化を図った1泊以上の縦走登山や山小屋泊登山に最適な容量で、より装備を削ったULハイクや日帰り登山には20Lのエアロトレック20がおすすめです。さらにエアロトレック40は長期縦走登山におすすめのモデルです。
サイズはSM、MLの展開で、背面長に合わせて選びます。僕は背面長56cmでSMサイズを使っています。



また女性用モデルもあり、女性専用デザインで全体が若干細身で容量がメンズモデルと比較して2L少なくなっており、エアロトレック18、28、38と男性と同じ3つの容量展開です。またショルダーハーネスのデザインも男性モデルと比較してフィットに違いがあります。
久しぶりの登場となったサロモンのバックパック、前作のOUTシリーズも軽量ながら素晴らしいフィット性と荷重分散能力を持ち合わせていましたが、今回のエアロトレックシリーズも前作に負けないバックパックに仕上げてきています。サイズ展開もあるの是非お店でチェックしてみてください。