あなたは、電波がなく、有人の小屋が近くにない縦走中
ザックが壊れてしまったらどうしますか?
私たち夫婦がニュージーランドのロングトレイルに挑戦していたある日
ザックのショルダー部分が根本から取れました。
街を出て、大自然の中での出来事。次の街まで5日ほど行程がありました。
そんな時に役立った知識を今回は書き留めておきたいと思います。
※決して推奨するやり方ではありません。
私たちが海外の大自然の中、メーカー修理に出すことのできない環境下の中で
考えた方法になります。
一つの応急処置の仕方として、見ていただければと思います。
動画で見たいという方はこちらをご覧ください。
●事の経緯と応急処置
ロングトレイル中、次の街まで約1週間の山行に入るため
1週間分(+予備)の食料と多めの水を持ち街を出発しました。
出発時、私のザックはメーカーの推奨耐荷重ぎりぎり超えていたと思われます。
その要因と、毎日ロングトレイルで使用していたことが重なり
右のショルダーの付け根が3分の2程取れてしまいました。

これに気づいたときは街から30km歩いた地点、、
まさか神輿のようにかつぐ訳にもいかず、、
戻るにしても進むにしても長くは背負ってられないだろうと判断し
一旦手持ちの道具で応急処置をすることにしました。

ファーストエイドキッドの中に入れていた
【デンタルフロス】と【針2本】を使用します。
デンタルフロスは普段から使用する物、
針2本はガムテープに包んで忍ばせていました。
私達がニュージーランドから帰国した際に立ち上げる予定の
「山の帆布工房」のサコッシュをサンプルとしてこの旅で使用しており
何か修理が必要な際に使えるかもと用意していました。
「山の帆布工房」の詳細はこちらをご覧ください。 → 山の帆布工房


詳しい縫い方は後ほど説明しますが
こちらの応急処置で背負ったときにショルダーがしっかり固定できていたので
前進することを決め、ここから5日間の山行に入りました。

この時の動画はこちらをご覧ください。
●応急処置後の山行を終えて
結果的にこの時の山行中ショルダーが取れてしまうことはありませんでした。

しかし応急処置をした部分は大丈夫でしたが下の写真のように
左右のショルダーの間の部分、破れていなかった左のショルダーの一部が破けていました。
街に着いたときはギリギリザックとして機能していたという状態です。


●2度目の応急処置
まずはトップハンドルなどほつれが目立つところを対処していきます。

完全に自己責任ですが、ほつれ部分をライターで焼き止めします。
こうすることにより、これ以上糸がほつれることを防止します。


次に縫い作業です。
まず針を2本準備します。


2本の針にデンタルフロス(糸代わり)を写真のように通します。
針に通したデンタルフロスは結んだりはしていません。
デンタルフロスが針から抜けないように注意しながら作業します。

生地の模様に沿って上の写真の図のように本返し縫いで縫っていきます。
針を2本使った詳しい縫い方は動画をご覧ください。

ショルダーとショルダーの間は縦まつりで縫っていき
生地と背中のクッション部分をしっかり密着させます。
ここが結構縫いづらかったです。

縫い終わったらしっかりと結びます。
そして今後擦れなどによってデンタルフロスが切れないように
リペアシールを貼っておきます。

●やってみて思ったこと
この応急処置により、帰国するまでの半月間毎日使用しましたが
デンタルフロスがほつれたり、ショルダーが壊れることはありませんでした。
まず第一に、ザックの推奨耐荷重をしっかり守るということ。
万が一壊れてしまった際でも、無理せず山行を中断することが大前提です。
しかし、今回のようにどうしても自分でどうにかしないといけない状況になってしまった際は
この方法も一つだと思います。
この旅で、デンタルフロスと針があってよかったと心から思います。
普段の山行でも、常に様々な経験からあらゆるリスクを考え、自分のリスクマネジメントの
引き出しを増やしていくことが大切ですね。
そんな状況にならないようにすることが一番ですが
今回の記事が何かお役に立てれば幸いです!

