燃料にはガスストーブ、固形燃料、アルコールバーナー、ガスストーブなどがあります。その中で今回紹介するのは固形燃料です。中でも固形燃料の代表格エスビットの固形燃料の種類と使い方を紹介します。
エスビットとは
エスビットは"Erich Schumms Brennstoff in Tablettenform" (錠剤の形をした、エーリヒ・シュムの燃料)の頭文字で、普通名称化した固形燃料をさしています。エーリヒ・シュムは人の名前で、この人がドイツで発明しました。
エスビットは1936年に設立した会社で、発明した自分の名を使ってシュム社と名付け、“エスビット”をそのままブランド名として固形燃料とその周辺製品を製造販売し、今に至ります。
エスビットの固形燃料を使用する際の注意点
エスビット燃焼の際に少量のシアン化水素が発生すると言われています。なのでエスビットは屋外でのみ使用することが重要です。また見た目が砂糖の塊のようでサイズもお菓子のように見えるので、子供の手の届かない場所に保管しておきましょう。
エスビット固形燃料の種類
エスビットの固形燃料は現在4種類となっています。
※横スクロールで表がスクロールできます。アイテム | スタンダード | 5g×16 | ミリタリー | ミリタリー 12タブレット | 27g×8 |
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イメージ | |||||
サイズ | 4g | 5g | 14g | 14g | 27g |
価格(税込) | ¥660 | ¥660 | ¥660 | ¥1,430 | ¥1,760 |
燃焼時間 | 約5分 | 約6分 | 約12分 | 約12分 | 約12分 |
出力 | 28kcal | 35kcal | 98kcal | 98kcal | 189kcal |
500mlのお湯を沸かす場合を考えると、スタンダード4gと5gタブレットは追加燃料として考えておいて、ミリタリーか27gの燃料をベースに使用するのがおすすめです。
単純にサイズにおける燃焼時間で考えるのではなく、出力の違いも鑑みる必要があります。いわゆる弱火、強火といった火力と考えるとわかりやすいと思います。上記の表にあります「出力」をみると「27g×8」が圧倒的な火力があることがわかります。
管理人の評価・レビュー
総合評価 | ★★★★★ |
火力(他の固形燃料と比較) | ★★★★★ |
軽量性(他の固形燃料と比較) | ★★★★★ |
コンパクト性(他の固形燃料と比較) | ★★★★★ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
おすすめポイント
- 爆発性がなく安心して使える
- 燃え残りの灰が殆どない
- 高山や氷点下でも安定した炎で燃える
- 煙が出ないので山の中でも安心して使える
- 天災や大規模災害のようなときにも役立つ
- 野営時の着火剤に使える
- エマージェンシーキットの1つに加えると安心
エスビットの固形燃料は煙をたてず、燃えかすを殆ど残さずに燃焼してくれるので、山の中でも周りの人に迷惑をかけないで料理ができることから、エスビットを選んでいます。
固形燃料は燃焼時間と重量が定められているので、作りたい料理、お湯を沸かす量から逆算して重量計画を立てやすいメリットがあります。
固形燃料を使用する際の注意点
固形燃料を使う時に気を付けているのは、熱が逃げないようにすることです。僕は100均で買ったアルミの天ぷらガードを使って、固形燃料の周りを囲って熱が逃げないようにしています。夏場でも風が強いと熱が逃げてしまって、「この大きさで、これだけの量の水を沸かすことができる」と試算していても、湧かない時もしばしばあります。
ちなみにヘアピンを使って囲いを止めると使いやすいのでおすすめです。
低温下における強い風がふくような場所では、これが顕著に表れるので、固形燃料は大目に持ち歩くようにしています。最初は心配なのでガスストーブと併用して持ち歩くようにしていました。
『これだけ寒いとお湯が沸かし辛い』といった、経験を何度かしてみることをおすすめします。火力は寒くても安定するのですが、クッカーと水と空気が冷たいと夏とは違って、沸かす時間が追加で必要になります。
エスビットの固形燃料の使い方
エスビットの固形燃料には3種類の大きさがあります。スタンダードは1箱に4グラムの固形燃料が20タブレット入っています。この1タブレットで燃焼時間は約5分ほどです。
この1タブレットで水からお湯を沸かすという使い方ではなく、ミリタリーを使っていて、調理をしているときに、もう少し熱量が欲しいときタブレットを追加して火力を上げたり、飲み物やスープが冷めてしまって温めなおしたいときに使ったりと、サブとしての使い方をしています。
5グラムという大きさの固形燃料は、1箱に16タブレット入っています。スタンダードは箱の中に20タブレットがバラバラに入っているのに対して、5グラムのほうは、4タブレットづつ完全防湿のブリスターパックに収められています。雨の可能性があったり、標高を上げるような登山ではスタンダードよりも5グラムの方を持って行くことが多いです。
ミリタリーには2つの種類があって、1箱に14グラムが6タブレット入っているものと、12タブレット入っているものが販売されています。ミリタリーは、その名の通り軍隊での過酷な使用環境が考慮された作りとなっていて、3タブレットづつ完全防湿ブリスターパックに収められています。
更に、14グラムという大きさは約12分燃焼するのですが、500ミリリットルのお湯を沸かすのにちょうどよい大きさなんです。またお湯を1杯飲むのに寒さにもよりますが、タブレットの半分か、4分の1を使って沸かすこともできて、タブレットが割れやすいように、凹みが付いています。これを応用すれば、燃焼中に火力を上げるために分割したタブレットを追加することもできるので、臨機応変な対応ができる魅力がミリタリーにはあります。
よく使用するアルファ米に尾西のごはんがありますが、この1袋で160ミリリットルのお湯が必要になります。残り340ミリリットルのお湯で、スープを飲んで、お湯割り用のお湯として使うとちょうどいいので、ミリタリーの出番が多くなります。
寒くなれば、400ミリリットルと水量を減らしてお湯を早めに沸かして、更にお湯が欲しくなったら5グラムで100ミリリットルのお湯を食事後に作るといったように、状況に応じて、タブレットを使い分けています。
エスビットの固形燃料で楽しむファストハイク
1泊2日の縦走に固形燃料を持って行った場合、五徳はエスビットのチタニウムストーブで13グラム。固形燃料をミリタリー14グラムを2つ、5グラム2つで合計約50グラム。これがストーブになると、ガスで180グラム、軽いストーブで50グラム、合計約230グラムです。おまけに使いきっても缶は持ち歩かなくてはいけません。
コンパクト性は、クッカーの中に収めてしまえば、どちらもそんなに違いはないと感じていますが、切り詰めれば、それなりの違いは出てくると思います。それによって使いづらくなるのは嫌なので、僕はあまりクッカーの大きさは気にしていないです。因みに使っているのは、スノーピークのチタントレック700です。500ミリリットル以上沸かさないことを前提にするのならば、もっと小さいクッカーでも良いかもしれません。僕はお米を炊いたり、棒ラーメンを茹でたり、レトルトのカレーを暖めたりするので、深型のクッカーを選びました。
寒くなる際は、軽量化を気にしすぎて、お湯を沸かせなくなるなんていう事になると、場所やシーンによっては非常に危険なので、注意する事を前提に、燃料を考察してみると、より有意義な山旅を楽しめると思っています。