アウトドアで知らない人はいないほど歴史のある、トランギアの「メスティン」。炊飯に特化した汎用性の高いメスティンで、固形燃料を使った「ほったらかし炊飯」が大人気です。今回は3種類の固形燃料を使って、調理時間から味の違いまでを徹底レビューします。

固形燃料とは?

アウトドアでも使用される「アルコール」や「木炭」などをさらに加工し、使いやすく固形化したものが固形燃料と呼ばれています。固形燃料といっても用途や性能は様々で、着火剤として真価を発揮するものから、調理用として高火力を発揮するものとあります。

代表的な固形燃料

エスビット

エスビットはドイツ発の固形燃料で、世界各国で愛用されているアウトドアで代表的な固形燃料ブランドです。燃料に合わせた五徳からクッカーまで広く展開しており、中でも主力アイテムである「ポケットストーブ」は長い歴史と堅牢な作りとして今もほぼ形を変えずに、固形燃料と合わせ、登山者が使用する「最後の砦」となる火器として愛されています。

ニイタカ

ニイタカは1963年創業の洗剤や固形燃料を製造するメーカーで、アウトドアでは「カエンニューエース」という、アルミ箔に包まれた青い固形燃料がお馴染みです。主に調理用として使われ、この固形燃料を見ると「あっ」と懐かしさを感じてしまうほど、日本人の生活に浸透しています。

固形燃料でメスティン炊飯のメリット

メリット①:荷物がコンパクトに収まる

登山で使用される「ガス」や「ガソリン」といった燃料を始め「アルコール」などの液体燃料は、燃料を収納するボトルやガス缶が必要となり場所を取ります。固形燃料は燃料収納のための特別な容器を必要とせず、クッカーやスタッフバッグに収納することが出来るため非常にコンパクトです。固形燃料をメインでパッキングすれば、荷物の軽量化からバックパックのサイズダウンという恩恵が得られ、結果的に1日の移動距離の拡張、疲労の軽減にも繋がります。

メリット②:ほったらかし調理が可能

今話題となっている「ほったらかし調理」「自動レシピ」。固形燃料の燃焼時間を把握して調理すれば「気がついたら調理が終わっている」という非常に楽ちんな調理法が固形燃料なら可能です。ほったらかしなので、調理法も「材料を入れるだけ」と非常にシンプル。移動で疲れて手の込んだものは作れない、そもそも調理が苦手という人でも、固形燃料を使ったほったらかし調理なら、無理せず美味しいものを山で食べることが出来ます。

メリット③:静音

固形燃料は数ある燃料の中でもトップクラスの静音性が魅力です。「燃えていることに気づかない」ほど静かな燃焼は、繁忙期のテント場での早朝、夕方の調理時、周りに配慮して行うことが出来ます。仲間を就寝から起こさずに済むのも嬉しいポイントです。静かな登山を楽しみたい人にも人気が高いのが頷けます。

固形燃料でメスティン炊飯の徹底比較

エスビット:固形燃料14g

  • 燃焼時間:12分
  • 火力:98kcal
  • 燃え残り:無し
  • 煙:無し

エスビットの固形燃料で代表的なサイズです。500mlの水を7分30秒で沸かすことができ、低温下でも燃焼してくれるので、登山では非常時にも重宝します。

エスビット:固形燃料27g

  • 燃焼時間:12分
  • 火力:189kcal
  • 燃え残り:無し
  • 煙:無し

エスビット固形燃料の中で最大火力を発揮出来るのが、この27g。500mlの水を5分で沸かすことができ、そのため調理の幅も広がるのが魅力です。

ニイタカ:ニューエースE25g

  • 燃焼時間:18分30秒〜25分
  • 安定した燃焼状態
  • 消臭剤配合による消火時のニオイ低減
  • 安定した燃焼
  • 確実な着火と素早い加熱

料理やギアへのニオイ移しを気にする人にはオススメの固形燃料で、長時間の燃焼も魅力です。今回の炊飯でも使用しましたが、ニオイが殆ど気にならず、火力だけではない、カユイところに手が届く逸品です。

使用する五徳

エスビット・ポケットストーブ

  • サイズ:収納時98mm×77mm×23mm
  • 重量:85g

四角形状の五徳で、底部に設けられたスリットで空気を取り込み、十分な火力を発揮します。五徳が展開されることで風防と熱を逃さない構造になっています。が、さすがに風があると風防が欲しくなります。私は画像のポケットストーブが2代目となり、アルコールストーブの五徳としても使用します。

炊飯方法と気をつける点

気をつける点①浸水と水分量

基本はバーナー調理と同様で、浸水と分量に合わせた水を入れておくことが大切です。浸水は「30分」が目安で、メスティン(ラージサイズを除く)では1合につき内側のリベットあたりまで水を入れておけば安心です。

気をつける点②サインを見逃さない

加熱の工程が終わるまで蓋を開けられない炊飯において「サイン」を見逃さないことが大切です。「沸騰」して湯気と水分が出て「水分による振動が無くなったら」完了の合図です。ここを逃すと、どんなご飯が出来るか分からないドキドキと絶望を味わうことになります。

気をつける点③なるべく平坦な場所で

ほったらかし調理は、その名の通り「ほったらかす」ので、目を離していたらクッカーが落っこちて大惨事、なんてことがあります。炊飯は中の水分と米が加熱によって振動するので、メスティンが落下するリスクもあります。なるべく平坦で安定した場所で行うのが良いです。

気をつける点④気温

春から晩秋の気温と、真冬の厳冬期では、メスティンの温度、水温、また燃料の使用環境が変わってくるので、炊飯時間が前後します。条件によって様々ですが、寒くなれば炊飯時間は長くなるので、燃料を多めに持っておくと良いです。

気をつける点⑤蒸らし

今回、加熱してメスティンを火から離した後、10分間ご飯を蒸らしています。蓋をしたままじっくり待つこの10分がとても重要で、メスティンの中にある水分をお米が吸収し、ツヤが出て旨味も引き出されます。私はこの時間が好きで、山という静かな世界と同化する瞬間はとても落ち着きます。そして、蒸らしを終えて蓋を開ける瞬間はいつも筆舌に尽くしがたい感動があります。

徹底比較!

比較①エスビット:固形燃料14g

沸騰まで5分13秒
炊飯完了10分17秒
合計時間(蒸らし含む)20分17秒
仕上がり柔らかめ
煤の残りやや残る

燃料がほぼ無くなるまで使用し「安心してほったらかせた」のがこの固形燃料14gでした。ご飯の仕上がりはやや柔らかく、中に水分がわずかに残っている状態です。おかずなら「魚」や「汁物」といった優しい味がオススメです。

比較②エスビット:固形燃料27g

沸騰まで3分53秒
炊飯完了7分39秒
合計時間(蒸らし含む)17分39秒
仕上がり固め
煤の残り強く残る

個人的には最も好きな炊きあがりになったのが、この固形燃料27g。ツヤがあって米にも適度な弾力があり「丼もの」や肉料理、揚げ物に合いそうです。燃料もスペック値から計算すると3分の1ほど余るので、残り時間で簡単な調理が出来ます。ただ、ほったらかしておくと間違いなく焦げ付くので、ほったらかし度は低めでした。

比較③ニイタカ:カエンニューエースE25g

沸騰まで6分36秒
炊飯完了11分2秒
合計時間(蒸らし含む)21分2秒
仕上がりやや固め
煤の残り無し

調理時間は比較した燃料の中で最も長かったカエンニューエース。炊きあがりもまずまずといったところで、炊飯時間が長いためか甘みがあり、どんなおかずでもバランス良く合わせてくれる印象です。火から引き上げるのを調整すれば、仕上がりを調整出来ると思います。抜群のロングライフで「もう一品作れますよ」と言わんばかりに燃料が残り、そしてメスティンに全く煤が付いていませんでした。ニオイもなく、「調理向き」燃料の真価を発揮、証明してくれました。

結果と評価

時間炊きあがり燃料残ほったらかし度
固形燃料14g
固形燃料27g
カエンニューエースE25g

ほったらかし度は、燃料を使い果たして炊飯が完了する、固形燃料14gに軍配が上がりました。炊飯だけを目的とするなら圧倒的にオススメですが、炊飯に続けて他の調理をする場合には、上記を参考に固形燃料を選ぶと良いです。調理の味にこだわるなら、カエンニューエースが捨てがたいです。実に面白い結果になりました。

自分に合った燃料で固形燃料調理を!

固形燃料とメスティン炊飯は、携行性に優れ調理との相性も良い組み合わせです。コツさえ掴めば誰でも出来るので、調理方法として覚えると良いです。燃料の特徴を把握すれば、残量や持ち込む燃料を調整して、美味しいヤマメシが楽しめる上に山行の質も上がり、一石二鳥。是非ほったらかし調理を覚えて、快適で最高のヤマメシを堪能してください。

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