ウェアが汚れ、その汚れを長期間放置してしまうと、防水性や透湿性などの機能が十分に発揮できなくなります。アウトドアでは雨に当たる、泥が跳ねる、汗がつくなど、ウェアが汚れる条件は様々です。汚れを落とすことでウェアが長持ちするだけでなく、表生地の撥水性が回復するなど、洗濯はシンプルで重要なメンテナンス方法です。できるだけ、一般的な衣類と同じ頻度での洗濯が重要なのです。今回はそんなGORE-TEXウェアのメンテナンスについて紹介をしていきます。
GORE-TEXウェアの保管方法
「キレイな状態で風通しの良いところ」が基本です。しばらく使う予定がないときは、洗濯をしたあと、ハンガーに吊り下げておくか、軽くたたんだ状態で乾燥した所にしまいましょう。高温多湿になる屋外倉庫や車の中、直射日光の当たるところは避けてください。もしすぐに洗濯が出来ないときでも、少なくとも風通しの良いところで保管をしてください。持ち運び用のスタッフバッグは窮屈で湿気がこもりやすく、ウェアにストレスがかかってしまいます。帰ってきたら必ず取り出しておきましょう。
GORE-TEX ウェアについて
GORE-TEX ウェアのしくみ
GORE-TEX ウェアの生地は、表生地、GORE-TEXメンブレン、裏地が貼りあわさってできています。 GORE-TEXメンブレンは非常に薄い膜で、防水性、透湿性、防風性の要になります。
メンテナンスの際は、このメンブレンに傷をつけないよう、絞る、固いブラシでこすることは避けてください。
撥水と防水の違い
撥水性とは表面で水をはじく機能です。撥水がしっかり効いていれば、水は表面をコロコロと流れていきますが、圧力がかかったときには、生地は水を通してしまいます。生地の表面に水があると生地が重くなったり、冷たく感じたりします。また、水の膜により透湿性が低下すると、汗を逃がせず、濡れの原因になります。洗濯をまめに行い、必要に応じて撥水加工を行うことが大事な心がけです。
防水性は水の浸入をブロックする機能で、穴などが開いていない限り、水を通すことはありません。
撥水のしくみ
撥水加工がされている生地の表面には、撥水基がキレイに整列しています。この撥水基(微小な柱のようなもの)が整列して立っているときは水を弾きますが、撥水基が乱れたり倒れたりすると水を弾くことができずに、生地の表面に水が広がった状態になります。 倒れた撥水基は、簡単なメンテナンスで回復できます。メンテナンス方法についてはこの後紹介していきます。
GORE-TEX ウェアの洗濯方法
洗濯前
ウェアについている洗濯取り扱い表示を必ず確認して、その内容に従ってください。洗剤や汚れが残らないように、すすぎは通常の2倍を目安に、充分に行うことをおすすめします。ウェアのファスナーやベルクロはすべて止めます。収納式フードは出してください。絞ったドローコードもゆるめます。生地がからまないようにネットへ入れます。
手洗いの際はたっぷりの水でていねいに行いましょう。ドライクリーニングは撥水性に影響を与える場合があります。汚れがひどい衣類とは分けて洗ってください。
洗濯〜すすぎ
洗剤は漂白剤や柔軟剤が入っていない、液体洗剤を少量使うことをおすすめします。ぬるま湯(40°C 以下)を使用すると、より汚れが落ちやすくなります。洗剤も汚れと同じく撥水性を低下させるので、残らないよう、すすぎはしっかり行ってください。防水透湿ウェア専用洗剤を使う場合は、洗剤の説明書に従ってお使いください。頑固な汚れでも、染み抜き剤やもみ洗いはNGです。汚れのひどい部分は、一度洗剤を使い、ぬるま湯で洗ってから通常の洗濯をしてください。
漂白剤、染み抜き剤は生地を傷める可能性があります。柔軟剤、芳香剤はすすぎ後にも生地に残り、撥水機能に影響を与える可能性があります。
GORE-TEX ウェアの乾燥方法
乾燥
GORE-TEXウェアは水を通さないので、洗濯機での脱水は短時間、もしくは省略してもOKです。十分すすいだあと、水を切ったら日陰での吊干しでしっかり乾かしてください。製品によっては、そのまま乾燥機にかけることもできます。乾燥機内の水分がなくなったあとには、撥水回復のための熱処理をおすすめします。
熱処理
撥水基は、きれいな状態で熱をかけるとまた整列しなおし、撥水性が回復します。ウェアを乾かしたあとに是非この一手間を。
- 乾燥機の場合: 乾いたウェアを乾燥機に入れ 20分温風乾燥。
- アイロンの場合: アイロンの設定は低温・スチーム無しで。必ず当て布をしてください。ファスナーなどのGORE-TEX ファブリクス以外の部分を避け、ゆっくりアイロンをかけます。
冷風による乾燥では、撥水は回復しません。
GORE-TEX ウェアのメンテナンス方法
撥水剤/補修
洗濯、熱処理しても撥水性が回復しない時は、撥水加工が取れている可能性があります。 その際には市販の撥水スプレーなどをお使いください。使用の際は、お使いになる撥水剤の説明に従って取扱ってください。
GORE-TEXウェアに小さな破れや刺し傷を作ってしまったときは、「リペアキット」を使ってご自分で修理できます。 GORE-TEX ウェアを販売しているアウトドアショップなどでお求めください。ご自分で修理できないような破れや傷の場合は、購入された販売店、もしくはメーカーまでお問い合わせください。
撥水加工は摩擦などにより撥水基自体が取れてしまうことがあります。その場合は熱処理ではもどらないので、撥水処理をしてください。
GORE-TEX フットウェアについて
GORE-TEX フットウェアとは
あいにくの雨、石伝いに渡る沢。フィールドには足を濡らす要素がたくさんあります。足が濡れると不快なだけでなく、皮膚がふやけてマメになりやすかったり、冷えで疲労を早めたりします。足はとても汗をかきやすいので、シューズ内のムレ対策も必須です。 GORE-TEXフットウェアはGORE-TEXファブリクスが足を包み込むように靴下状に内蔵され、外部からの水を通さず、汗による水蒸気を外に逃がします。この構造により、足を常にドライで快適に保つことができます。
GORE-TEXフットウェアのメンテナンス
GORE-TEX ファブリクス自体に損傷がない限り、機能が低下することはありません。
メンテナンスのポイント
1つ目は防水性を損なわないためにGORE-TEX ファブリクスを傷つけないことです。 まずは中敷を取り出してからシューズに入った小石や砂は取り除き、伸びた爪など鋭利なものにも気をつけてください。
2つ目は透湿性を維持するために表面をキレイに保つことです。アッパー素材に応じて、一般的には素材がレザーであればブラシで汚れを落とし、必要に応じてクリームなどを塗ります。アッパー素材が布であれば、スポンジとぬるま湯で洗って自然乾燥してください。 ともに最後に撥水スプレーをかけるとアッパー素材が水を含みにくくなり、汚れの付着の軽減にもなります。
GORE-TEXフットウェアの保管方法
保管方法で大切なことは高温多湿な場所での保管を避けることです。湿気がこもりやすい購入時の靴箱などでの保管は、避け風通しの良い靴棚など、湿気の少ない所で保管をお願いいたします。