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おしの山放浪記  大峰山脈 大普賢岳から釈迦ヶ岳(前編)

おしの山放浪記  大峰山脈 大普賢岳から釈迦ヶ岳(前編)

何年も山をやってきて感じていることがあって、それは、
その時に登るべき山がある、ということ。

私にとってここが33歳の最後に登るべき山だと思ったし、
歩いてみてやっぱりそうだったと思ったのです。

とはいうものの、とりあえず四連休押さえてから行き先を決めたんですけどねw


1日目 和佐又山登山口バス停~大普賢岳~行者還避難小屋

あてにしていた奈良交通の路線バスが、なんと平日は夕方しかない!

すでに休みと大和八木駅行きの夜行バスをおさえたにも関わらず、
これは、計画だおれなのか?!(T_T)

と一瞬焦ったけれど、色々情報探したら大台ヶ原行きの秋の臨時バスがあった!
よかった!!
無事に予定していた和佐又山登山口バス停にたどり着けましたとさ。

さて一人降車して出発。ただひたすら車道を歩いて和佐又山ヒュッテへ。
ここから、山と私だけの時間が始まる。

紅葉も終わりかけ。森が静か。

笙の窟。修験道であることをヒシヒシと感じる。

なんでこんなに短いのにコースタイム長いんだろうー?と思っていた日本岳周辺は、はしごやアップダウンがなかなか強烈。

たまに見える景色に癒されるものの、コースタイムが全然縮まらない。

大普賢山頂ガスってる・・?

山頂について一息。

これから歩く道が続いている。

ポッコリ可愛い。けど、しんどかったとこ。

ここからは日没とのせめぎ合いだなーと感じていた。
できたら明るいうちにつきたいけど、まぁ、焦らずに行こう、
せっかくこんな遠くまで来たのだし。

途中眺めのいい箇所がところどころ。知らない土地にきて、一人で知らない山を歩いて、贅沢だなぁと思った。

大普賢岳、小普賢岳、日本岳が見えている。

苔の森が綺麗。

少し寒いけれど、お天気も最高。

分岐に荷物をうっちゃって、行者還岳に立ち寄る。

展望も何もなかったけどw
西陽のせいか、不思議な雰囲気があった。

分岐から少し進んで階段激下りを見下ろしたときの絶望感はさておき、チョロチョロでていた水場を横目に、今日の宿へ。16時。

ドキドキしながら扉を開けたものの、予想通り誰もいない。
これまで、山で泊まるときに誰もいないって経験はなかったから、
来る前から、自分がどう感じるのかなぁと少しの不安がやはりあった。

たまたまこの日は満月。弥山に夕陽が沈んだら、

東の山から満月が昇り、夜がきたのにとても明るい。

避難小屋の中までその光が届いて、すっと不安がなくなるのを感じた。

むしろ、この広い山のなかでこんなふうに泊まっているのは私だけかもしれないという幸せが体に満ちていった。

…夏用シュラフはちょっぴり寒かった。

2日目 行者還避難小屋~八経ヶ岳~深仙小屋

翌朝、満月に照らされた葉の落ちた森の稜線を1人ヘッデンをつけて歩く。

ヘッデンがなくても歩けそうだけど、動物に自分の存在を知らせるべきかなと思った。
私はお邪魔している身なんだしね。

満月の明るさに助けられて歩いていると、

東の空が紅く染まり始めて、夜明けも間近だなと感じさせる。

自分のいる稜線を挟んで
左手に太陽が昇って、右手に満月が沈んだ。同時だった。

光の色が目まぐるしく森の色をかえて、朝が来た。

葉の落ちた森の中からはドシンと構えた弥山の山肌が見える。

途中、優しい眼をした理源大師の像に一礼。
本当に優しい眼なんだけど、強い視線を感じるのはなんでだろう。

弥山への登りは階段が多い。

ちょっと疲れてきたころにキラキラと海が見え、心なしか潮の香りがした。

たどり着いた弥山から見る八経ヶ岳の山容が美しい。

山頂から戻って縦走路をたどる。
苔がところどころとても綺麗。

近畿最高峰のハ経ヶ岳は展望がとってもよい!
振り向けば弥山だし、

これから目指す山々も良く見える。(釈迦ヶ岳は小さい=遠い)

そう、今日の宿は深仙小屋。
水場と天候を考慮して長めの行程を組んだ。

さぁ進もう。

崩壊地をトラバース。振り返って見るとボロボロ。

葉の落ちた森はこれまたなかなかよい。
けれど割と道がわかりにくい。

昨日と打って変わって少し暑いので、
眺めがいいところでゆっくりと休憩したりする。

きもちいーなぁー。山ってさいこーだなぁー。

七面山の岩壁は大きくて堂々としている!

そしてやっぱり苔の森が美しい。

青空に白い雲、そして釈迦ヶ岳!(まだ遠い)

そして予想通り枯れてる水場。残念。

孔雀岳をこえると、急に笹が濃くなってくる。
笹の中の道を注意深く見ると、細いし、崩れてるところもあって、
トラップかよって思いながら気を遣って歩いた。

なるほど、歩く人も少なくなる南奥駈道の整備は大変だろうと思った。

そして、フィナーレを飾る釈迦ヶ岳が近づいてきた。

この辺は風が強いのか、木が風になびいた形状。

あーー笹で道が見えない。

ここまでくると釈迦ヶ岳の様子がよく見えて、
最後に待ち構えるのは岩場と急登だということがよくわかった。。

岩場も慎重に通過したぜ、と思ったら、最後ほんとに、急登だからね?
もう空しか見上げる気力がなくなったよ。。

さすがにもうそろそろ山頂であってほしい・・と再び見上げたら
お釈迦様の背中が見えて、あぁ、やっとついたのかと。

バッタリ同じタイミングで登られてきた女性にシャッターを押していただきました。感謝です。

疲れててもハッピーですからね、そりゃぁ笑顔ですよ。いぇーいv

弥山へ続く長かった稜線をただぼーっと30分ほど眺めていた。
単独での山の楽しみの1つはこの時間の使い方の自由さだと思う。

水場に降りる元気もないので、
お釈迦様にご挨拶をし、そのまま小屋へ。

小屋へ向かって降りる時に、南に続く大峰の山並みに光が当たって、
これは歩きたい・・・!とつくづく思った。

深仙小屋だ!やっとついた!15時半だ!今日も小屋には誰もいない!

段々と予報どおり天気が悪くなり、夜には暴風雨になった。

翌朝はまだ雨風が残ってるだろうから、
出発を遅らせようかな、とやたら寝ることになった。

今回はこれまでのこと、これからのこと、
静かな山と向かい合ってゆっくりと考えたいと思っていたから、ちょうどよかった。

自分の体のこと、今年叶った山のこと、これからの生き方とかとかとか。
あ、翌日扉開けたら超悪天候もしくは雪で停滞にでもなったら水足りないなー、
しくじった、どうしよーとかも考えた(笑)
(でも今考えると雪なら水つくれるよねw)

あと、この山旅旅の記事をどうやって書き始めようかなってことも、
実はこの山の中でじっくり考えていた。

携帯もここではつながらない。
こんな風に本当の本当に一人になれることなんて、
そう多くはないんじゃないかな。
頭ん中が、クリアになっていく。贅沢だ。

後編へつづく。

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