週末はどの山に行こうかな――。

高嶺の頂や秘境の道で非日常を味わう登山も好きですが、山里の歴史文化を探究するフィールドワーク的な山旅はもっと好きです。登山と“テーマ”を掛け合わせて、超個人的な視点と偏愛で楽しんだ山旅の思い出を、ちょっとずつ綴っていきます。

瀬戸内ブルーと奇岩巨石が良すぎる低山、王子が岳

王子が岳

車でさくっと山頂までいけること、ここから眺める夕陽が最高に綺麗だということなどなど、手軽なのに魅力がつまった「王子が岳」の人気は相当なもの。ハイカーでなくともこんな巨石の展望台に立つことができるのだから、それも納得です。

現在、新型肺炎の影響で外出自粛が続いていますが、いずれ到来するレジャー解禁の暁には岡山の旅でも計画して、ぜひコースに組み込みたいスポット。山頂の「王子が岳パークセンター」にはカフェもあるから、ドライブよし、お弁当を持って山頂付近でのんびりもよし、軽い登山はなおさらよし、なのです。

近くに住んでいたら通っちゃうだろうなあ。

海を眺め歩く絶景ハイク

海を眺め歩く絶景ハイク

倉敷市と玉野市の市境に位置する234mの低山、王子が岳。どうせなら、渋川港から登っていくのがめちゃめちゃ楽しいのでおすすめです。港のすぐそばにある登山口からスタートするので、まさしくSea to Summit。登山口の東側には岡山県でも最大クラスの海水浴場が広がり、西側にも白い砂浜が続いています。

もうこの時点で気分が高まりすぎてしまい、今日は山じゃなく海遊びにしよっかってなってもいいくらい、マリンスポーツも充実。釣りはどうだろう、できるのかな? って、山の話でしたね……。

王子が岳から望む海の景色
王子が岳から望む海の景色

登山道は1本。わかりやすくて歩きやすいので、どんどん登って行きましょう。急登もほどなく稜線となり、ここから先は発見と驚きの連続となります。青すぎて美しすぎる瀬戸内海は、水深の浅いところの白い砂と黒い岩礁が入り混じる様子までよくわかるので、それがまるで空と雲の関係を映し出したかのように感じます。

王子が岳の頂上付近
王子が岳から望む海の景色

高度を上げるたびに、海と陸と空のアングルをとらえる楽しさが待っています。シャッターもとまらないでしょう。対岸に見える大きな陸地は、四国は香川県。讃岐富士も瀬戸大橋もよーく見えます。

それにしても、手が届きそうなくらいすぐそこに海があるのは、低山ならではの大特典ですね。青いキャンバスに白い航跡波をすーっと筆で引いていくかのような船が見えます。その進む行く先に見入ってしまい、ついつい足をとめてしまいました。

ちなみに、海上にぽつんと浮かぶおにぎりのような島は、大槌島という無人島。この島を境に潮目が変わる良好な漁場だそうで、その昔は漁業の領域争いの舞台になった伝承が残っています(樽流し伝説)。

「にこにこ岩」に会いに行こう!

王子が岳のにこにこ岩

この低山が楽しいもうひとつの理由は、おびただしい奇岩巨石群の存在にあります。いやほんと、すごい岩がたくさんあるのです。巨石好きのぼくとしては、ひとつひとつ巡って歩きたいところですが、名前が付いている岩石だけでも20座!しかもそれらすべてに名付け親がいて、その一覧表がパークセンターに貼りだされていました。

中でも一番人気にして、この山の象徴的な存在が「にこにこ岩」。それがこちらです。

王子が岳のにこにこ岩

どうです? にこにこしてますね?

愛嬌のあるフェイスが人気で、インスタグラムなどで画像検索するとたくさん出てきます。

かなり大きいため、離れたところらでもその存在感は抜群。

王子が岳のにこにこ岩
王子が岳のにこにこ岩と海
王子が岳のにこにこ岩と海

この3連続写真の3つ目、わかるかなー。ついつい青い海と大槌島に目を奪われてしまいますが、よーく見てみてください。にこにこして見守ってくれていますよね。冒頭の写真は、まさにこの「にこにこ岩」の前に突き出した岩壁で撮った一枚。ここで眺める夕陽は、日本でも屈指の美しさです。

そうそう、王子が岳の山名由来は、むかし8人の王子が暮らした山だから。熊野の修験者たちとの関わりや瀬戸内海がむかし湖だった話などなどネタが尽きない低山なのですが、このコースを歩けばその秘密も解き明かしてくれる案内版があります。

蔵王権現の壁画

下山は、岩場を下る行者道が気分。目の前の海に向かって真っ逆さまに下りていくのが気持ちよくて、間もなく訪れる山とのお別れの時間に、少し寂しい気持ちになってしまったり。奈良は吉野熊野から到来した山岳信仰とのつながりを感じさせる蔵王権現の壁画が、そんなぼくらをこっそり見送ってくれています。遊びだけでなく、土地の学びもちゃんとつまった素晴らしき低山、王子が岳なのでした。

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