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テーマで歩く山の旅 #11 富士見ハイク

テーマで歩く山の旅 #11 富士見ハイク

週末はどの山に行こうかな――。

高嶺の頂や秘境の道で非日常を味わう登山も好きですが、山里の歴史文化を探究するフィールドワーク的な山旅はもっと好きです。登山と“テーマ”を掛け合わせて、超個人的な視点と偏愛で楽しんだ山旅の思い出を、ちょっとずつ綴っていきます。

年末になると、山から富士山が見たくなる不思議

富士山 眺望

富士山なら一年中だって眺めていたいじゃないですか、と言われそうだけれど。それでも思うんですよね、特に年末年始はどこかの山の上から白く雪化粧をした富嶽を眺めたいって。

読者のみなさん、それぞれにこだわりの富士見スポットやコースがあると思うんですが、ぼくにもありましてね。なんだか過去の写真を見返したくなって、ハードディスクにためこんだ膨大な記録をめくっていたところ、気がついたら手元のメモ帳に「富士見ハイクBEST10」なんてことを書き出していたりしていました。なんてヒマな……笑

いやいや、このヒマの産物を意味のあるものにせねば!

ということで、今回のテーマは極めて私的な「富士見ハイクBEST3」でいこうと思います。いやあ、3つに絞るのはとても難しいけれど、いまの気分で決めました。あまり語ることなく、淡々とその理由とか山旅の思い出だけを述べながらご案内しようと思います。

ではさっそく、とっておきの富士見フォトツアーに出かけましょう。

第3位 檜洞丸~犬越路の周回コース

檜洞丸 富士山

先月のことですが、ここ『山旅旅』の編集長・柳原くんと、連載「山の景色・山ごはん・山旅」の筆者・石橋さんとの3人で、檜洞丸を歩いてきました。

その時の下山に選んだ犬越路コースが、富士見ハイクの第3位。ここから眺める富士山は、かなりのものです。西に傾く午後の太陽を燦々と浴びた富士山が、左手にずーっと寄り添ってくれている、その存在感たるや。

檜洞丸 犬越路
檜洞丸 犬越路
檜洞丸 富士山

クサリ場と痩せ尾根がこれでもかと続く起伏あるトレイルがぼくの好みで、距離もまあまあ歩けるのが◎です。ちょっと山の心得がないと厳しいコースですが、アルプスや八ヶ岳を歩くハイカーなら、トレーニングコースだと思うとちょうどいいかも。もちろんザックには重めの荷物を仕込んで。

紹介した山檜洞丸
都道府県神奈川県
標高1,601m
天気・アクセスなど山の詳細情報

第2位 西岳~編笠山の周回コース

編笠山 富士山

八ヶ岳の南端に位置する編笠山。その南には高い山がないため、遮ることのない眺めがただただ広がっています。そして眼下には、韮崎から甲府にかけた盆地がただただ続いています。そしてその向こうには、ふわりと宙を漂うかのような富士山が幻想的。ぼくは積雪期の眺めがあまりに好き過ぎて、冬晴れがくるとわかれば、シーズン中に何度でも登りに行っています。

編笠山 富士山
編笠山 富士山

西岳をからめて周回すれば、雪をかぶった編笠山越しの富士山がよし。青年小屋から眺める富士山もまたよし。とにかく素晴らしい富士山が待っています。書きながらウズウズしてきました。そろそろ足慣らしに登ってこようと思います。

紹介した山編笠山
都道府県長野県
標高2,646m
天気・アクセスなど山の詳細情報
紹介した山西岳
都道府県長野県
標高2,398m
天気・アクセスなど山の詳細情報

第1位 王岳~鬼ヶ岳の周回コース

王岳 鬼ヶ岳 富士山

富士山の周辺をとり囲む低山の環なら、どこをとっても第一級の富士見ハイクが楽しめます。東なら山中湖や河口湖と富士山が。西なら本栖湖や精進湖と富士山が。南には湖がない代わりに駿河湾が眺められ、もちろん富士山も大迫力。

そんな中で、圧倒的優勝の富士見コースが北の鬼ヶ岳・節刀ヶ岳にあります。眼下に西湖、目の前には巨大な富士山。青木ヶ原も壮大。これを越えるのは難しいとさえ思うほどの、最上級の眺めです。

王岳 鬼ヶ岳 富士山
王岳 鬼ヶ岳 富士山

特に、王岳から鬼ヶ岳へと向かう道は険しくてスリルのある岩尾根が目白押し。その道中、常に右手に見えている秀麗な富士山に励まされながら、この荒々しいトレイルを征きます。

歴史とか地理とか、今回はそういうことナシに、とにかく「富士見」というテーマで個人的なベスト3を挙げてみました。山旅旅を読んでくれているハイカーそれぞれに心の第一位があると思いますから、いつか山で出会うことがあれば、酒でも飲みながらそういう話がしたいですね。

紹介した山鬼ヶ岳
都道府県山梨県
標高1,738m
天気・アクセスなど山の詳細情報
紹介した山王岳
都道府県山梨県
標高1,623m
天気・アクセスなど山の詳細情報
紹介した山節刀ヶ岳
都道府県山梨県
標高1,736m
天気・アクセスなど山の詳細情報

文と写真:大内 征(低山トラベラー/山旅文筆家)
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