裏銀座縦走ルートは北アルプスの高瀬ダムを起点に、2,600m以上の山々を縦走し西鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る登山道の名称です。総延長約32 kmです。裏銀座縦走ルートの楽しみ方は様々で、高瀬ダムから槍ヶ岳まで全てを歩く縦走コルート以外にも、七倉山荘起点にした周回ルートや、双六小屋から新穂高温泉へ降りて行く縦走ルートなど組み立て方は自由です。

今回は裏銀座縦走ルートを2泊3日で楽しむプランと3泊4日で楽しむプランを難易度別で紹介します。

裏銀座縦走ルートとは

裏銀座縦走ルートとは

裏銀座縦走ルートは、北アルプス山麓の中房温泉を起点とし常念山脈から大天井岳、東鎌尾根の喜作新道を経由して槍ヶ岳至る表銀座コースと比較して呼称されています。

明治の頃は中房温泉から槍ヶ岳までは4日を要するルートでしたが、小林喜作と息子が開設した喜作新道と常念小屋の開業によって槍ヶ岳までの登山に要する日程が短くなり人の流れが大きく変わりました。利用者の多い賑やかな『銀座』のイメージ通り、表銀座は多くの登山者が行き交うルートとなりました。

表銀座を歩いていると谷を境に向こう側に見えるのが裏銀座ですが、表銀座と比較して利用者が少ないことから名付けられています。

裏銀座の山々と裏銀座地図

裏銀座の山々と景色の変化

裏銀座を歩くことで10座のピークを踏むことができます。いずれも2600m以上の山々で、高瀬ダムからスタートした場合、初めは緑豊かな植生で、三ッ岳を過ぎ野口五郎岳に向かう途中から荒涼とした景色に変わります。

※横スクロールで表がスクロールできます。

※横スクロールで表がスクロールできます。
山の名前標高詳細情報
烏帽子岳2,628m烏帽子岳の詳細
三ツ岳2,845m三ツ岳の詳細
野口五郎岳2,924m野口五郎岳の詳細
真砂岳2,861m真砂岳の詳細
ワリモ岳2,888mワリモ岳の詳細
鷲羽岳2,924m鷲羽岳の詳細
三俣蓮華岳2,841m三俣蓮華岳の詳細
双六岳2,860m双六岳の詳細
樅沢岳2,755m樅沢岳の詳細
槍ヶ岳3,180m槍ヶ岳の詳細

裏銀座を歩くことで通る山小屋の地図と水場&食料情報

裏銀座を歩くことで通る山小屋と水場情報v

長い距離を歩くことになる縦走ルートにおいては山小屋の利用が欠かせません。山小屋で水や食料を調達できるか否かを事前に把握しておくことで、行動食や持ち歩く水の量を調整することができます。以下の地図を見ると解りますが、均一に山小屋が点在しているので計画を立てやすいことがわかります。

※横スクロールで表がスクロールできます。
小屋名食料テント場標高
烏帽子小屋水場なし
・小屋にて1リットル:200円
弁当1,000円
カップラーメンなど
約20張2,551m
野口五郎小屋水場なし
・水200円
・お湯500円
・白湯400円
要事前確認なし2,870m
水晶小屋水場なし
・ろ過済み天水500ml/100円(宿泊者のみ購入可能)
・ろ過済み天水お湯かお茶500ml/200円(宿泊者のみ購入可能)
・計り売りミネラルウォーター500ml/300円(通過者も購入可能)
食事可能
・スポーツドリンク、ジュース、ビール、アルコール類、菓子、パン
なし2,900m
三俣山荘水場あり
・水無料
・お湯500ml:100円
・お茶500ml:200円
食事、食料豊富約80張2,550m
双六小屋水場あり(テント泊者は無料)食事、食料豊富約100張2,600m
槍ヶ岳山荘水場あり(宿泊者のみ利用可)、1リットル200円食事、食料豊富、焼き立てパンが人気なし3,080m

裏銀座縦走ルート難易度別ルート紹介

裏銀座縦走ルートを計画する前に、登山口に向かう交通手段をどうするかが重要なポイントです。もしも移動手段が車の場合で裏銀座縦走ルートを計画するならば、七倉山荘を起点としての周回ルートがおすすめです。周回ルートは2種類あります。

移動手段が電車やバスの場合、七倉山荘をスタートして新穂高温泉に下山するか、槍ヶ岳を経由して上高地に下山するかの2種類を選択できます。新穂高温泉への下山は笠ヶ岳を経由するか、小池新道を使って下山をするかの選択が可能です。

今回はおすすめプランとして、4つの裏銀座縦走プランを紹介します。いずれもスタートは高瀬ダムとしています。

【2泊3日】烏帽子小屋と野口五郎小屋で宿泊する湯俣へ下山の周回プラン-初心者向け

【2泊3日】烏帽子小屋と野口五郎小屋で宿泊する湯俣へ下山の周回プラン-初心者向け

全行程表

総距離約25.8km
累積標高上り:約2,818m
下り:約2,818m
コースタイム18時間
難易度★★★☆☆

1日目の行程表

スタート地点高瀬ダム
ゴール地点烏帽子小屋
総距離約4.3km
累積標高上り:約1,472m
下り約219m
コースタイム6時間10分

2日目の行程表

スタート地点烏帽子小屋
ゴール地点野口五郎小屋
総距離約4.7km
累積標高上り:約570m
下り:約215m
コースタイム3時間10分

3日目の行程表

スタート地点野口五郎小屋
ゴール地点高瀬ダム
総距離約17.1km
累積標高上り:約1,041m
下り:約2,649m
コースタイム8時間40分

今回紹介するプランの中では最も距離が短い初心者も歩ける登山コースです。交通手段に車を使うことも可能なプランとなっています。

高瀬ダムを6時に出発し、ブナ立て尾根を使用して烏帽子小屋へ向かいます。烏帽子小屋到着時間はお昼12時頃です。初心者の方はここで一泊することをおすすめします。

健脚向きの方は烏帽子小屋の宿泊を止めて、野口五郎小屋まで足を延ばすのも無理はありません。この場合、野口五郎小屋の到着は15時頃予定です。この手段の場合は野口五郎小屋のみの小屋泊で1泊2日のプランにするか、湯俣温泉晴嵐荘で1泊を選ぶことができます。

次の日は野口五郎小屋を出発し竹村新道分岐で、湯俣温泉に向かって下山します。現在湯俣山荘は休業中のため、宿泊する場合は湯俣温泉晴嵐荘となります。この山小屋はテント場も温泉もあり、お酒も食事も豊富で、小屋の中は非常に清潔でおしゃれな雰囲気です。夏になるとかき氷も販売されます。

ここから高瀬ダムまでは高瀬川沿いを歩きやすい林道です。

【3泊4日】裏銀座縦走ルートと読売新道を歩く壮大な周回プラン

全行程表

総距離約37.9km
累積標高上り:約4,157m
下り:約4,369m
コースタイム33時間30分
難易度★★★★☆

1日目の行程表

スタート地点高瀬ダム
ゴール地点野口五郎小屋
総距離約9.1km
累積標高上り:約2,042m
下り:約434m
コースタイム9時間20分

2日目の行程表

スタート地点野口五郎小屋
ゴール地点奥黒部ヒュッテ
総距離約14.8km
累積標高上り:約941m
下り:約2,326m
コースタイム10時間10分

3日目の行程表

スタート地点奥黒部ヒュッテ
ゴール地点船窪小屋
総距離約11.4km
累積標高上り:約1,711m
下り:約745m
コースタイム10時間50分

4日目の行程表

スタート地点船窪小屋
ゴール地点七倉山荘
総距離約4.1km
累積標高上り:約82m
下り:約1,482m
コースタイム3時間30分

この登山プランは3泊4日で、最終日を除いてすべて9時間の歩行を要する上級者プランです。1日目は高瀬ダムから野口五郎小屋まで歩き山小屋泊を行います。野口五郎小屋をスルーすると次は水晶小屋で、テント泊にこだわる場合は三俣山荘となります。ここは己の体力と、夕立に合わない天気状況を踏まえて検討する必要があります。

2日目は野口五郎小屋を出発し水晶小屋からは水晶岳方面に向かいます。最も景色を楽しむことができる日ですが、後半の赤牛岳からの読売新道は大変辛い道のりです。まず水場がありません。水晶小屋で水をしっかりと確保し奥黒部ヒュッテに向かう必要があります。

奥黒部ヒュッテに到着するとジャンジャンと多くの水が出る水場に遭遇します。2日目の宿泊場所は奥黒部ヒュッテです。

3日目は展望がない黒部源流を見ながらのハシゴ歩きが連続します。木の橋を渡り、はしごを使って高巻きし続けて平ノ渡場に向かいます。

ここから渡船に乗ると平ノ小屋に向かうことができますが、南沢出会い方面に歩き船窪谷に向かいます。この道は何度か渡渉する必要があり、またヤブ漕ぎが多いため、肌を露出せずに歩くようにしましょう。

船窪谷からは一気に400m標高を上げる急登が続きます。3日目の後半なので最も辛い登山となるでしょう。船窪小屋の手前にテント場があり、テント泊の場合は荷物をデポし船窪小屋まで歩き食料や水を調達する必要があります。2022年現在このテント場の近くにある水場は利用しないようにしましょう。滑落の可能性があり非常に危険です。

最終日は船窪小屋から約3時間歩いて七倉山荘に向かいます。

【2泊3日】七倉山荘をスタートして新穂高温泉に下山する秘境を辿るプラン

全行程表

総距離約33.9km
累積標高上り:約3,227m
下り:約3,412m
コースタイム23時間12分
難易度★★★☆☆

1日目の行程表

スタート地点高瀬ダム
ゴール地点野口五郎小屋
総距離約9.1km
累積標高上り:約2,042m
下り:約434m
コースタイム9時間20分

2日目の行程表

スタート地点野口五郎小屋
ゴール地点三俣山荘
総距離約7.9km
累積標高上り:約702m
下り:約1,035m
コースタイム5時間35分

3日目の行程表

スタート地点三俣山荘
ゴール地点新穂高温泉
総距離約17.5km
累積標高上り:約696m
下り:約2,156m
コースタイム8時間15分

裏銀座縦走ルートの8割ほどを歩く長大な縦走登山です。高瀬ダムから野口五郎小屋までは上で紹介した3泊4日の周回プランと同様です。

水晶小屋まで歩いたら南の三俣山荘に向かいます。水晶小屋から三股山荘までは鷲羽岳を経由するコースとしています。鷲羽岳を経由しない場合と比較すると+1時間の違いがあります。2日目の宿泊は三股山荘でとなります。野口五郎小屋から三股山荘までは約5時間の方向となり無理のない登山を楽しめます。

3日目は三俣山荘から約7時間30分かけて新穂高温泉へと下山します。この道は特に景色が美しく、巻道コースではなく三俣蓮華岳を登って稜線コースを使い双六岳、双六小屋と歩いてみることをおすすめします。

双六小屋から弓折乗越へは約1時間の登山です。ここからは下り基調となり壮大な景色とはお別れとなります。

弓折乗越から鏡平山荘を経由する小池新道を使って下山をします。特に危険箇所もなく小池新道登山口まで下山すると、後はゆったりとした左俣林道を歩いて新穂高温泉へと向かいます。

【3泊4日】裏銀座縦走ルートを全て歩く縦走プラン

全行程表

総距離約45.6km
累積標高上り:約4,243m
下り:約4,009m
コースタイム31時間25分
難易度★★★★☆

1日目の行程表

スタート地点高瀬ダム
ゴール地点野口五郎小屋
総距離約9.1km
累積標高上り:約2,042m
下り:約434m
コースタイム9時間20分

2日目の行程表

スタート地点野口五郎小屋
ゴール地点双六小屋
総距離約12.7km
累積標高上り:約1,191m
下り:約1,523m
コースタイム8時間35分

3日目の行程表

スタート地点双六小屋
ゴール地点ババ平(槍沢ロッヂ)
総距離約10.6km
累積標高上り:約1,198m
下り:約1,746m
コースタイム8時間45分

4日目の行程表

スタート地点ババ平(槍沢ロッヂ)
ゴール地点上高地バスターミナル
総距離約15.2km
累積標高上り:約464m
下り:約958m
コースタイム4時間45分

上で紹介した七倉山荘から新穂高温泉に下山するプランと双六小屋までは同様の道を歩きますが、2日目の宿泊場所を三俣山荘ではなく双六小屋に変更することで3泊4日で歩くことが可能です。

三俣山荘と双六小屋の距離は約4kmで、歩行時間にすると2時間です。これを2日目に稼いでおくことで3日目にババ平(テント泊)、もしくは槍沢ロッジまで足を延ばすことができます。こうすることで4日目は約5時間の歩行とすることができ、帰りのバスに間に合わせることができます。

時間に追われず4泊5日日程が取れる場合は、三俣山荘や槍岳山荘、槍ヶ岳殺生ヒュッテを活用すると良いでしょう。

双六小屋から西鎌尾根への道のりは時にものすごい強風に見舞われることがあります。また所々滑りやすい下りや槍ヶ岳に近づくと鎖場とルンゼが出現するので足元に注意しましょう。

槍ヶ岳付近に行くとガレ場の斜面が出現し槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳頂上まではハシゴと鎖場の連続となります。長い縦走で疲れた体に応える登山となるため、細心の注意を払って行動するように心がけましょう。

槍ヶ岳頂上から槍ヶ岳殺生ヒュッテまではガレ場の急斜面をジグザグと下る危険箇所です。斜度のある下山道が大曲りまで続きます。

大曲までくると少し下山道が緩くなり約30分ほどでババ平に到着します。テント泊の場合はこの場所で宿泊となり、小屋泊の場合はここから20分下山し槍沢ロッジに向かいましょう。

最終日は約4時間半の下山となります。特に危険箇所がなく、上高地の自然を味わいながらゆっくりと歩いて行きましょう。

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