僕をテレマークスキーへと掻き立てた一言
テレマークを始めたのはもうすぐ46歳になる2021年の11月。スキーの経験は中学生の頃に1年ばかり少し遊んだ程度、だから約30年ぶりに板を履くことになります。しかもテレマークスキー。
縦走登山、渓流でのテンカラ、トレイルランニング、僕にとっての山遊びは3シーズンに限られていました。
そんな僕をテレマークスキーに掻き立てたのは、とある友人からの一言でした。
『冬山を知ると日本の山の素晴らしさがわかるものだよ』
そして友人はこうも付け加えました。『9月末日に初冠雪があって、6月上旬まで雪が残っていることを考えると、8〜9ヶ月は雪山なのが日本の山なんだよね。』『春の訪れも、夏山の短さも、山を彩る紅葉も、冬山を知ると全く景色が変わって見えるよ』
こうして僕はこの友人が冬に楽しんでいるテレマークスキーを自分のもう1つの趣味にしてみようと思ったわけです。
テレマークスキーは山の中でこそ活きる
テレマークスキーは現代スキーの原型ともいえるスタイルと言われています。このことは実際に山に入ってテレマークスキーをやってみると多くの場面で実感を得ることができます。
歩く、走る、滑る、1つの道具で全てをこなせるのがテレマークスキーであることを知れたのは、テレマークを選択して良かったと思わせる出来事でした。
テレマークを履いて山の中を移動するのが楽しくもあり、だからこそ奥が深く、道具と密に関わっている遊びと考えることができそうです。
テレマークならではの踵が上がることの不安定さは、剛性が高く安定性に優れたビンディングとブーツに助けてもらうことがある程度可能なのだけれども、そこを敢えて不安定な道具を使って楽しむテレマーカーがいたりするのも、テレマークスキーならではの遊び方の幅の広さだと思います。
テレマークターンができるまでの道のり
テレマークスキーをするのならば、テレマークをする友達を作るところから始めるのが良いと思います。それが難しければ、目白のカラファテや、白馬のラッピーに出向いて、テレマークに詳しいスタッフの方々に相談に乗ってもらうのも一考です。
僕は運良く、周りの友人がテレマークをしていたので、まず初めに道具について聞き、必要な道具を買い揃え、ゲレンデでレッスンを請いました。
憧れのブラックダイヤモンドのスキー板に、NTNのビンディング、スカルパのブーツに、Rabのハードシェルという出で立ちで、見た目だけは一丁前になりました。
ゲレンデでのレッスンは2日間。少しばかり踵が上がって滑っては転びながら喜んでいた記憶があります。
3回目のテレマークスキーはSARCの久我さんに教えてもらいました。ここで飛躍的に上達したように思います。最も僕にとって為になったキーワードは『おしっこを我慢するようにターンしてみる』でした。
後はお金と時間を使って場数を踏もうと考えていましたが、より良かったのは課題を作って取り組んで、解決できたら次のステップ、うまくいかなければ、反省して同じことを何度も繰り返すことです。これが結果に結びついたと思います。
ゲレンデに行った回数は1シーズンで15回。現地で宿泊し、2日連続で課題に取り組むと上達が早いことが分かりました。
テレマーク連続ターンは5回目ぐらいで自分なりにできたと記憶しています。しかし頭の中で描いているテレマークターンと実際に滑っている動画との乖離がありすぎて愕然としました。テレマークスキーレッスン中はできるだけ動画を撮ってもらい、それを見て反省することをおすすめします。
テレマークを難しいと考える人もいると思いますが、実際にやってみて思うのは難しいのではなく、奥が深いんだと思います。
そして登山を楽しむ人が最も楽しめるのがテレマークスキーだと思います。この辺りの話はまた後篇で綴ってみたいと思います。