7月上旬に後立山連峰の白馬三山と不帰嶮を通って唐松岳まで、テント泊縦走登山に出かけました。白馬大雪渓で見る色とりどりの高山植物、白馬三山の雄大な景色など、感じたことをレポートしていきたいと思います。まずは1日目のレポートです。
後立山連峰とは
立山三山や剣岳から見て黒部川の対岸、つまり立山の背後にある、富山県と長野県の県境を南北に連なる山々を後立山連峰と言います。
後立山連峰の最高峰は、標高2932mの白馬岳で、今回はこの白馬岳と杓子岳、白馬鑓、唐松岳をのぼる1泊2日の日程です
不帰嶮の難易度
今回の縦走登山で最も危険なポイントは不帰嶮です。日本三大キレットの一つで登山道の難易度情報『富山県の山のグレーディング』では難易度Eで、最難関とされています。
高所が苦手で剣岳や槍ヶ岳など遠ざけてきた僕にとって今回は大冒険でもありましたが、いくつかのポイントを守れば難易度が抑えられることが分かりました。こちらについては2日目の記事レポートの中で紹介していきます。
猿倉登山口から出発・駐車場の混雑情報
猿倉登山口までは高速バス、路線バス、タクシー、自家用車と様々な方法でアクセスすることができます。
高速バスは関東、関西、名古屋から猿倉山荘まで直接アクセスできます。タクシーは白馬駅からおよそ3700円程で、路線バスは白馬駅から980円です。
自家用車は約100台駐車スペースがありますが、土曜日の朝4時半に到着すると80%ほど車で埋まっていました。見てみると前泊している人もちらほら見かけました。
後立山連峰テント泊縦走登山のプラン
今回のプランは猿倉から白馬大雪渓を上り村営上場宿舎へ向かいます。ここで荷物をデポし白馬岳の頂上を踏んで、荷物をピックアップした後に杓子岳、白馬鑓ヶ岳と白馬三山を歩き、天狗山荘でテント泊をします。
2日目は天狗山荘から天狗尾根を歩き、不帰嶮、唐松岳を歩き、八方尾根を使って下山をします。
1日目の予定コースタイムは9時間30分(上記地図の①~⑦)、2日目は7時間40分です(上記地図の⑦~⑯)。
スタート地点 | 猿倉登山口 |
ゴール地点 | 八方池山荘 |
地点間の距離 | 約21.4km |
コースタイム | 17時間10分 |
累積標高差 | 上り:約2,929m 下り:約2,323m |
難易度 | ★★★★☆ |
猿倉〜白馬大雪渓を使って登山開始
猿倉は標高1230mです。村営上場宿舎が2730mなので、約1500m標高をあげます。
猿倉荘から白馬尻小屋まで約1時間、林道と登山道を歩いていきます。白馬尻小屋は営業をしていないようで、小屋は分解されて畳まれていました。今出たら何時何分に下に着くこの小屋の前に水場があります。
白馬大雪渓を歩く際の事前確認ポイント
5分ほど歩くと大雪渓に入り、大雪渓を歩いて行きます。年によって雪の量、雪の溶け方などに違いがあり、夏道が露出されず急斜面の雪渓を歩かなければいけないこともあります。
事前確認方法としては色々あると思いますが、僕は白馬山荘のFacebookと登山の投稿サイトなどで確認をしました。
2022年7月上旬は融雪が進んでおらず、比較的急斜面の雪道を歩いて行く必要がありました。僕は軽アイゼンで歩き通すことができましたが、10本爪以上のアイゼンの方が安全だと思います。
白馬大雪渓を歩く際の注意点
大きく2つの注意点があります。
1つ目は落石です。今回は先が見通せる気候で大雪渓を歩くことができましたが、霧が立ち込めて前方が見えないこともあります。大雪渓の入り口にはあまり見かけない落石跡も、大雪渓の終わり付近には多く見かけます。雪の上を転がる落石は音がしづらいので注意が必要です。
また先が見通せる場所でも葱平付近は、左の天狗菱から多くの落石があり、常に落石の音が聞こえてきます。この辺りは特に落石に注意が必要なポイントです。
2つ目はルートファインディングです。大雪渓の中部には赤いベンガラでの登るルートが示されています。登山者が複数人いれば登るルートはわかりやすいのですが、少ない場合は誤って赤いベンガラではなく別のラインを登ってしまう登山者も多くいるようです。
特に注意が必要なのは3号雪渓で、この斜面に入り込んでしまうと急斜面のため登ることも下ることもできなくなってしまいます。必ず赤いベンガラを目印にして登山を行うようにしましょう。
白馬大雪渓上部の避難小屋から村営頂上宿舎
小雪渓と呼ばれる避難小屋付近では多くの高山植物を見ることができます。避難小屋には大雪渓で2つ目の水場があります。
紫色の花はウルップソウ、黄色い花はミヤマキンポウゲ、白い花びらに黄色が鮮やかなのがハクサンイチゲです。
村営頂上宿舎から白馬岳へピストン
村営頂上宿舎の水場で水を汲んで休憩をした後、分岐点で荷物をデポし白馬岳へと向かいます。
約200mの標高を登る30分ほどの道のりは、特に危険箇所はありません。
白馬岳の頂上からは360度の展望が広がり、特に剣岳を含んだ立山側の景色と、目の前に迫る杓子岳と、杓子岳へと向かう稜線がとても美しいです。
白馬岳から白馬三山への道のり
白馬岳を後に、杓子岳、白馬鑓ヶ岳の登頂を目指します。杓子岳は巻道がありますが白馬三山全てを踏破するのならば是非とも頂上を踏んで行きたいと思って意気込んでいました。
遠方から見ると杓子岳の頂上へ向かう道が難しく感じましたが、巻道の分岐点まで行くとおよそ20分ほどで頂上を踏むことができる為、難易度は低く感じました。
杓子岳はガレ場が多い登山道で足元が不安定です。高度感は杓子岳頂上から白馬鑓ヶ岳へ向かう稜線の左手が切り立っており恐怖を感じます。
杓子岳から白馬鑓へ入るコルで植生と登山道の石の色がガラリと変わります。これは非常に面白い現象だと思います。
白馬鑓ヶ岳は非常に大きな山容で、多くの高山植物を見ることができます。危険箇所はなく1日目最後のふんばりどころです。
白馬鑓ヶ岳を後に天狗山荘へと向かいます。長い道のりを歩いてきた為にかなりの疲労感がありました。
鑓温泉分岐に到着すると白馬鑓温泉小屋への下山道は行き止まりになっていました。(2022年7月2日時点)
後で天狗山荘のスタッフの方に聞くと、雪によって夏道が出ておらず、ルートファインディングが必要であること、また雪がついている場所がかなりの急斜面なため、下山をするのは難しいとのことでした。非常に危ないので登山道は利用しないようにしてくださいとのことでした。
2022年は稜線の雪解けは早かったようですが、東側斜面の融雪は進行が遅いようです。このように季節によって登山道が閉鎖されることがあるので注意しましょう。
天狗山荘のテント場と小屋情報
天狗平のテント場は事前に予約が必要です。ネットで予約をすることができます。1人3000円と山のテント場にしては高額で驚きました。
テントを設営したら白馬村方面に怪しい黒い雲が立ち込め、冷たい風が吹いてきたため、この後の降雨の可能性が高いように感じ、宴会場所を探し求めていたら、小屋の裏側に自炊場がありました。この場所はテント泊者にも利用が可能とのことです。
天狗山荘の外側にも3箇所テーブルと椅子があり、晩御飯を仲間と囲んで食べるのには快適です。
自炊場の横には売店があり、生ビール1000円、ワイン1200円、日本酒600円、缶ビール600円とお酒も豊富です。その他食堂メニューとしてカレー、牛丼、うどん、おでんなどが10時から14時限定で頼むことができます。
カップラーメンやプロテインバー、菓子パンなども販売されており何も担いでこなくとも、宴会をすることができる豊富なメニューが特徴です。
おすすめの宴会メニュー
天狗山荘で楽しんだ宴会メニューを紹介します。
お酒はビールとワイン。宴会メニューにはチーズとコンビーフをバケットに乗せて楽しむ即席メニューと、ビールのつまみとして唐揚げを作りました。
この唐揚げは簡単につくることができるのにも関わらず、ものすごく美味しいので超おすすめです。
使用するのは大豆ミートのブロックに片栗粉をまぶしたものをジップロックに入れて持参。
これを多めの油を使ってフライパンで炒め、最後に塩と粉末醤油をかけたら完成です。調理時間は焼くだけなので約5分です。是非皆さんも試してみてください。
以下の記事では、今回の登山で使用した装備一覧です。軽量化を行い、水・食料込みで約8kgの装備重量です。
今回の縦走登山で登った山々
紹介した山 | 白馬岳(はくばだけ|しろうまだけ) |
都道府県 | 富山県・長野県 |
標高 | 2,932m |
天気・アクセスなど | 白馬岳の詳細情報 |
紹介した山 | 杓子岳(しゃくしだけ) |
都道府県 | 富山県・長野県 |
標高 | 2,812m |
天気・アクセスなど | 杓子岳の詳細情報 |
紹介した山 | 鑓ヶ岳(やりがだけ|はくばやりがだけ) |
都道府県 | 富山県・長野県 |
標高 | 2,903m |
天気・アクセスなど | 鑓ヶ岳の詳細情報 |
紹介した山 | 唐松岳(からまつだけ) |
都道府県 | 富山県・長野県 |
標高 | 2,696m |
天気・アクセスなど | 唐松岳の詳細情報 |