低山ハイクの魅力は、人里と自然が溶け込んだ風景を愛でながら歩けるところで、高所登山にはない特徴を持っています。神奈川県内で有数の観光スポットである箱根には、関東圏内のハイカーに人気の山々があり、中でも金太郎伝説ゆかりの山として知られる金時山は、低山ハイクとしておすすめの一座です。今回は金時山に登るおすすめルートをご紹介します。
金時山登山が人気の理由
人気①:気軽に登れる絶景ハイク
金時山は箱根外輪山の一峰で、芦ノ湖を始めとした箱根を望める展望の山として知られ、天気が良ければ富士山も望めます。
山頂に至るまでの所要時間は90分ほどで、登山が初めての方でも気軽に登れるので、初登山の山として、家族や友人を連れての山登りとして人気があります。
私が登山を始めた頃、良く登っていたのが金時山でした。仲間と登り、今の妻と登り、義父と登り。他愛のない話をしながら歩き、好展望の頂上でのんびり食事をしながら過ごす1日は、低山ハイクがくれる素敵な時間でした。
人気②:金太郎伝説ゆかりの地
「まさかり担いで金太郎」の歌で全国的に有名な金太郎伝説。そのゆかりの山が金時山です。金太郎(幼名、坂田金時)の故郷である足柄山が金時山(金時山から足柄峠までの山々)であり、金時山という山名は江戸時代から名付けられています。金太郎の歌にも「足柄山」と歌われており、金太郎伝説を象徴する場所として人気があります。
頂上には金太郎の歌にも出てくるマサカリが置かれ、全国の低山の中でも深い歴史を持つ山の1つとして、登ることで日本の歴史を感じられる特別な山です。
人気③:観光とセットで楽しめる
金時山が位置しているのは、観光地としても知られる箱根。麓の箱根湯本から登山口付近まで、温泉を始めとした観光スポットが点在し、登山後の観光もできるところが魅力です。時間に余裕がある分、半日は山に登り、下山後は温泉や観光を楽しむも良し、贅沢に1泊して羽根を伸ばすも良しです。
ファミリーハイクや友人を連れて登る際、観光とセットにすることでより思い出深い1日となり、曇で消しが悪かったり現地に着いて雨が降り中止となっても、光地にある山は「ここ寄っていこうか?」とリカバリーが効くのでとても重宝します。
人気④:多様なルートで登れる初心者から経験者までおすすめの山
金時山は、短時間で登れる公時神社スタートを始めとして、足柄駅からの登り、明神ヶ岳からの縦走など、距離や難易度を柔軟に設定することで、多様な登山ルートを計画できます。金時山から少しエリアを広げると、箱根外輪山全山を縦走するというツワモノもいるほどです。
ハイキングから日帰り縦走、トレイルランニングなど、ルートと共に登山スタイルの柔軟性にも富んでいるのも魅力です。
金時山登山のQ&A
難易度は?
金時山は登山道が整備され、比較的短時間で登れることから、登山の難易度は易しめです。どのルートも大きな難所はなく、十分な体力と基本的な登山装備があれば問題なく登れます。
頂上付近が岩場となっているので、初めて山を登る方や下山時には意識して通ると良いです。
アクセスと駐車場は?
マイカー利用の場合は公時神社に駐車する事となり、満車の場合は付近の施設に有料で駐車することができます。
公共交通機関の場合は、小田原駅、箱根湯本駅などからバスが出ており、仙谷バス停で下車すると、公時神社方面からスタートできます。
この他、足柄駅、御殿場駅から登ることが可能で、明神ヶ岳から縦走する場合は、大雄山線の大雄山駅で下車、バスに乗って道了尊バス停で下車します。
水場とトイレは?
明神ヶ岳方面から登る際に水場がありますが、その他に水場はなく、水分は事前に用意しておく必要があります。仙谷バス停近くにはコンビニがあり、電車アクセスの場合にも駅周辺で購入が可能です。頂上には金時茶屋があり、不足している場合はこちらで補給も可能です。
トイレは各登山口、頂上に設置されています。
雪はいつから?
12月頃に降雪があり、3月まで残雪があります。本格的なアイゼンやピッケルは必要ありませんが、軽アイゼン、チェーンスパイクがあれば、天候が良ければ雪山未経験の方が初めて登るのにおすすめです。
冬山においても大きな危険箇所はありませんが、頂上付近の岩場は滑りやすくなっているので、注意して通行します。
金時山のおすすめ登山コース
紹介した山 | 金時山 |
都道府県 | 静岡県・神奈川県 |
標高 | 1,212m |
天気・アクセスなど | 金時山の詳細情報 |
初めての金時山におすすめ−公時神社から山頂へ
スタート地点 | 公時神社 |
ゴール地点 | 金時山 |
地点間の距離 | 2.1km |
片道コースタイム | 1時間35分 |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
公時神社から山頂に至るルートで、頂上まで1時間35分という、ハイキングに丁度良い時間で登れるおすすめルートです。
バスで仙谷バス停で下車、もしくはマイカーで公時神社までと、マイカー、公共交通機関の2つの手段でアクセスできるのも嬉しいポイントです。
序盤は公時神社を過ぎ、樹林帯を登ります。踏み跡はしっかりあるので歩きやすく、道標も付いており、道なりに行けば迷うこと無く頂上を目指せます。
この日は視界が悪かったですが、樹林帯を抜けると視界が開ける場所もあり、箱根の風景がちらりと顔を出してくれます。山の奥深くにありながら、観光地として栄えている箱根は、他の山域にはない独特な眺望と懐かしさを感じさせます。
分岐まで辿り着くと、ハイカーの人も増えて頂上まで一本道になります。時間に余裕を持って登れるので、初めて山を登られる方は、このあたりで足を休めたり、自分のペースでゆっくり頂上を目指せるのが、公時神社ルートの良いところ。焦らず登れば、頂上までは20分ほどです。
箱根の山を縦走−明神ヶ岳から金時山に至る歩きごたえ抜群ルート
スタート地点 | 道了尊 |
ゴール地点 | 仙谷バス停 |
地点間の距離 | 13.1km |
コースタイム | 6時間30分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
金時山の東方に位置する明神ヶ岳から縦走するプランで、大雄山駅からバスに乗り、道了尊バス停下車の最乗寺から登ります。コースタイムは6時間30分と長丁場になりますが、縦走の達成感と疲労感を味わえる、登山を経験した方向けのルートとなります。
赤い下駄が目印の登山口からスタートし、明神ヶ岳を目指します。始めは樹林帯を歩き、ゆっくり高度を上げていきます。
ところどころ視界が開け、気持ちの良い道を歩けます。昔、この周辺にリフトを通す計画があった様で、登山道周辺にはリフトの残骸が遺跡のように残っています。
明神ヶ岳までは、3時間ほどで頂上に到達します。明神ヶ岳は麓からもそれと分かるなだらかな山容をしており、私の住む地域からも明神ヶ岳が良く見えます。山容の通り頂上付近はなだらかで広く、箱根の山並みと町並みが良く見渡せます。
明神ヶ岳を過ぎ、金時山を目指します。ところどころ視界が広がり、広く大きな山容の明神ヶ岳と異なり、切り立つ岩峰のように見える金時山が見えます。
稜線は若干の標高差はありますが、序盤は距離を稼ぐように歩き、金時山に近づくと登りが勾配が上がり、公時神社方面の分岐まで辿り着きます。分岐から20分ほどで山頂に到着です。下山は仙谷バス停を目指します。
足柄駅からスタートして山頂へ−足柄方面ルート
現在は登山道が崩れ通行不可能となっていますが、JR足柄駅から金時山を目指す、駅から山頂を目指せるルートです。足柄駅からは複数のルートがあり、足柄駅を起点として周回ルートを取ることができるのが魅力です。
銚子ヶ渕を始めとしたスポットがあり、金時山周辺のスポットを巡りながら歩けるので、通行止めが解除されれば、四季折々、足柄の自然を愛でながら登るのも楽しいですね。
スタート地点 | 足柄駅 |
ゴール地点 | 金時山 |
地点間の距離 | 8.3km |
片道コースタイム | 3時間 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
おすすめ温泉・観光情報
天然温泉 和泉
箱根湯本駅から徒歩10分ほどに位置する温泉です。こぢんまりとして情緒がある雰囲気で利用しやすく、日帰り温泉施設というところも登山後にはピッタリです。7つの源泉を持ち、内湯にある古来湯は、箱根で最も古い源泉を主に使用していて、箱根の歴史を肌で感じながら浸かれます。
鈴廣かまぼこの里
創業から150年以上の老舗、鈴廣が運営する施設です。レストランから土産物、かまぼこ作り体験など、かまぼこ製造として地元に愛される鈴廣ならではの楽しみと美味しさが詰まった場所です。マイカーで金時山に登った際に立ち寄られるのがおすすめです。
ミナカ小田原
公共交通機関で金時山登山をする際の要所、小田原駅に隣接する施設です。さくっと立ち寄れる気軽さが魅力で、14階には小田原の海を望める足湯庭園があります。土産物やレストランがあり、箱根、小田原の食を堪能して帰路につけます。
金時山で低山ハイクを楽しもう
静岡県と神奈川県に位置する金時山は、金太郎伝説ゆかりの地として地元の人々に愛され、現在は関東でハイキングが楽しめるおすすめの山として知られています。
富士山、芦ノ湖、大涌谷と、金時山から望める独特の眺望は、山に登る原点を思い出させてくれるもので、仲間や家族と共有することで、人と人との絆を深められ、何度も訪れたくなる魅力を持っています。
金時山に登って、山と箱根の魅力をぜひ体験してみてください。