登山では汗をかかないために、重ね着をすることで着脱を容易にし体温調整を行います。ミドルレイヤーとは、ベースレイヤーとアウターの中間に着用するウェアを指し、保温と通気で体温調整をする役割があります。このミドルレイヤーの選び方と、おすすめのミドルレイヤーを紹介します。
ミドルレイヤーの役割を詳しく紹介
ミドルレイヤーはべースレイヤーの上に着用する服です。ベースレイヤーが吸収した汗をさらに肌から遠ざけるために吸水し、拡散して乾きを促す役割があります。
また行動中に着用する服なので、保温性と通気性を兼ね備えたバランスが重要となります。ミドルレイヤーを保温着として着用すると『風が通って寒い』と感じるのは通気性があるためです。
ミドルレイヤーの種類
ミドルレイヤーに位置づけられる代表的なものがフリースとアクティブインサレーションです。それぞれにメリット・デメリットがあります。
※横スクロールで表がスクロールできます。種類 | フリース | アクティブインサレーション |
---|---|---|
重量 | 280~400g | 250~380g |
通気性 | 〇 | ◎ |
速乾性 | △ | 〇 |
ストレッチ性 | 〇 | △ |
フリースは重量がアクティブインサレーションよりも重いものが多く、汗で濡れると渇きづらい事がデメリットとして挙げられます。しかしながらストレッチ性に優れており動きやすいのがフリースの最大のメリットです。
最近では帝人のオクタや、プリマロフトアクティブなど、デメリットを払拭する軽量性と、通気性と保温性のバランスに優れたフリース素材のミドルレイヤーが脚光を浴びています。
アクティブインサレーションはフリースと比較すると軽量且つ通気性に優れ、乾きも早い特徴を備えています。各メーカーオリジナルの中綿素材やポーラテックアルファダイレクトなど、優れた素材を使ったアクティブインサレーションが人気です。
ミドルレイヤーの選び方
メーカーやモデルによってアクティブインサレーションもフリースも作り方は様々で、一概にどちらが良いというのは難しいのですが、運動量の多さと、汗をかく可能性を踏まえてミドルレイヤーの選び方を整理してみました。
フリースがおすすめのシーン
- 岩を登るなど大きな動きを要する
- 行動量が一定で汗をかきづらい
- 体幹だけ温めたいなどのこだわりがある
アクティブインサレーションがおすすめのシーン
- 運動量が多く登山中に汗をかく可能性が高い
- 軽量化した装備で登山をしたい
- 1泊2日以上で雨の中の登山の可能性がある
- 雪が付着するようなシーンがある
冬山登山におけるミドルレイヤー
冬山登山では低体温症にならないように保温力に重きを置いたレイヤリングを考えることとなります。この場合のミドルレイヤーは、フリースやアクティブインサレーション以外に化繊やダウンインサレーションを選択することで保温力を高めます。
おすすめのミドルレイヤー
今まで紹介してきた内容を踏まえておすすめのミドルレイヤーをフリース、アクティブインサレーション別で紹介します。
通気性とストレッチ性に優れたフリース-パタゴニア『R1エア・フルジップ・フーディ』
パタゴニアのR1の中で最も通気性に優れたフリースがR1エアです。パタゴニアのミドルレイヤーカテゴリーでテクニカル・フリースに位置付けられます。体にフィットして保温性と吸湿性を高めた作りで、通気性があり速乾性にも優れたフリースです。フードはバラクラバのようになり顔周辺を保護します。
中間的な位置づけで汎用性に優れたフリース-パタゴニア『R1デイリー』
表面が滑らかで肌触りがソフトな伸縮性素材を使用したレイヤリングがしやすいのがR1デイリーです。R1の中で中間的な位置づけで汎用性の高さが魅力です。デイリーと商品名につきますが日常使い専用というわけではなく、さまざまなアクティビティで使用ができるフリースと考えると良いでしょう。
防風性や透湿性、ストレッチ性を備えたミドルレイヤー-ファイントラック『フロウラップ』
フロウラップはニット素材で薄手のシャツやマイクロフリースより軽量でさらにコンパクトに収納することができます。動きにストレスを感じさせない立体デザインとニット生地によって動きやすい特徴があるミドルレイヤーです。
軽量で通気性に優れた普段使いもしやすいフリース-ノースフェイス『マウンテンバーサマイクロ』
軽量で優れた保温性を兼ね備えたマイクロフリースを採用したジャケットです。フリースは着脱時に静電気が起きやすいのですが、静電ケア設計を採用した点も特徴です。テクニカルすぎない見た目からシーンを問わず幅広く活用できるフリースです。
商品名 | マウンテンバーサマイクロ |
重量 | 255g(L) |
特徴 | 軽量で優れた保温性を持つマイクロフリース |
価格 | ¥11,880 |
保温力に力を入れたフリース-ノースフェイス『エクスペディショングリッドフリースフーディ』
保温力に定評のあるグリッドフリースのベースレイヤーですが、パタゴニアのキャプリーンサーマルウェイトと同様、ミドルレイヤー代わりにも使用できるアイテムです。使用している中空繊維によってデッドエアを作り保温力を出しています。春の登山でも3月中の肌寒い低山などで活躍するミドルレイヤーです。
薄手タイプで通気性に優れたフリース-アークテリクス『デルタLT』
ポーラテックのクラシック100マイクロベロアスモールグリッドを採用し速乾性と通気性に重心を置いたフリースに仕上がっています。絶妙な立体パターンによって自由な動きを可能にし、様々な用途で使い倒すことができるフリースです。
普段使いから登山まで幅広く使えるフリース‐Houdini『アウトライトフーディ』
フーディニのフラグシップモデルとして人気のあるパワーフーディの弟分のような位置付けがアウトライトフーディです。阿波フーディーよりも薄手タイプに仕上げており幅広い用途に使えるフリースです。このアウトライトフーディは北欧よりも温暖な日本のリクエストで生まれた背景があり、ハイキングからウィンターアクティビティまで活躍します。
保温力と動きやすさに優れたフリース‐Houdini『パワーフーディ』
アウトライトフーディ同様、ポーラテックのパワーストレッチプロを使用した動きを妨げず包み込むような着心地が楽しめるフリースです。テントの中や山小屋でのんびり過ごす時に使用するフリースとしてお勧めで、単体でも非常に暖かく、着心地の良さを体感するならベースレイヤーに薄手の物を持ってくると良いでしょう。
通気性に優れた動きやすいアクティブインサレーション-Rab『アルファフラッシュ』
ポーラテックアルファダイレクトを使用した通気性に優れたフリースです。この後紹介するノローナ リンゲン アルファ90 ジャケットもアルファダイレクトを採用したミドルレイヤーですが、Rabのアルファフラッシュの方が毛足の質量が多く保温力に優れています。1月の終わりから3月の初めにかけてのミドルレイヤーとして重宝しています。
速乾性と軽量性を備えたアクティブインサレーション-ノローナ『リンゲン アルファ90 ジャケット』
ポーラテックアルファダイレクトを使用した通気性に優れたフリースです。 ノローナのミドルレイヤーの中でも最も軽量で通気性に優れています。質量が少ない、だけど毛足が長いというのが特徴で、暖かいけど乾きが早く軽量、そして蒸れにくく様々なフィールドで使用できるミドルレイヤーです。
アクティブインサレーションの代表格-パタゴニア『ナノエアフーディ』
アクティブインサレーションの先駆けとして知られています。重量は346gと平均的な重量です。フルレンジ・インサレーションを化繊中綿に使用しており保温性と伸縮性を備えています。シェルと裏地の素材はメカニカルストレッチを備え、動きに追従し行動中の着心地も抜群です。
保温力 | ★★★☆☆ |
通気性 | ★★★★☆ |
通気性と軽量性に優れたアクティブインサレーション-アークテリクス『アトムSLフーディ』
アトムシリーズの中で最も軽量で中綿にはコアロフトを使用した抜けが良いアクティブインサレーションに仕上がっています。プロトンシリーズと比較するとアトムシリーズは中綿にコアロフトを使用しているため、より保温力があります。しかしながらアトムSLは最軽量シリーズで重量を抑えており通気性に優れているため軽量コンパクトなアクティブインサレーションとして活用することができます。非常に薄いですが、程よい保温性と通気性のバランスに優れています。
保温力 | ★★☆☆☆ |
通気性 | ★★★☆☆ |
ファイントラックのポリゴンアクトフーディー
シート状立体保温素材という独自の特徴ある化繊を使用しており、このシートを3枚封入したアクティブインサレーションです。シートとシートの間にデッドエアを獲得して保温力を高めた作りで、保水しにくくぬれに安心できる特徴あるアクティブインサレーションです。
保温力 | ★★★★☆ |
通気性 | ★★☆☆☆ |