身近な里山から深い信仰の対象となる高山まで、1日から数日をかけて山頂に向けて登る登山。日帰りでも終日にかけて行動する場合があり「次の休み、山に行こうかな」と思いついても、計画から準備を考えると、どうしても登るのが億劫になってしまいます。今回は、半日の行動で登れる気軽な山頂・ルートをご紹介します。
半日で登れる山のポイント
ポイント①:山頂付近までマイカーでアプローチできる
登山は基本的には麓から山頂を目指すことになります。麓から見上げる山頂は遠く「いっちょやったるか」と気合が入るものですが、時間が押していると「間に合うかな・・」と気持ちが焦り、怪我をする原因にもなります。
半日でも登れる山の特徴は山の中腹、もしくは手前までアプローチが可能であるというところが大きなポイントです。
中腹や山頂近くに駐車場があると、行動時間を大幅に短縮できます。普段は1日をかけて登る山頂であってもマイカーで前半部分をショートカットしてアプローチできれば、気軽に登りたいだけでなく、ファミリーハイクや登山デビューの人と登る場合などにもありがたいです。
私は午後から仕事に行くとき、近くの山に車で中腹まで行き、サクッと登って下山をすることがあるのですが、山に行けない日が続きもう我慢できないという時は、半日登山が可能な山の存在に助けられています。
ポイント②:登山口の目の前まで電車でアクセスできる
マイカー以外のアクセスでは必ずと言って良いほど利用されるのが電車でのアクセス。最寄り駅からバスに乗って登山口に向かうとアプローチに時間を要しますが、電車だけなら下山後の帰宅もスムーズです。
関東甲信越には電車で登山口まで行け、山頂までの所要時間も短時間で登れる山が幾つかあり、下山後の温泉や観光を明るいうちに行けたり、翌日は仕事で十分に休息したい、でも山にも行きたいというワガママさんにも応えられるのが、電車アクセスでの登山です。
マイカーと比較して運転に気を遣わなくても良いのが嬉しいですね。
ポイント③:ケーブルカーやロープウェイがある
観光で訪れた旅行先で、滅多に行けない山頂にどうしても登りたい。私はそうした経験が何度もあります。
そんな時、観光ガイドとにらめっこしていると、山頂に伸びる一本の光が見える山があります。ケーブルカー・ロープウェイがある山は、駐車場から乗ってわずかな時間で山頂に登れたり、途中駅で降りれば山の感触を確かめながらも、気軽に山頂を目指すことが可能です。
家族旅行や社員旅行、友人との観光で訪れた際に「ちょっと行ってみない?」と半日以内で企画できる、それが半日山の魅力です。
関東甲信越の半日で登れる山
【所要時間1時間50分】霧ヶ峰:日本を代表する山々を一望
八ヶ岳中信高原国定公園内のひとつとして、無積雪期は多彩な植生で美しい山として知られ、冬はスキー場としても賑わう霧ヶ峰は、車山駐車場から登れば往復1時間50分で登れる山として人気があります。
駐車場から山頂が目視でき、晴れていれば迷うことなく歩ける安心感と、展望リフトを利用すれば駐車場から山頂まで驚異の15分で辿り着けるという、ファミリーハイクからちょっとした観光まで、とにかく気軽に山に登りたいという方におすすめです。
登り始めから視界が広く、諏訪富士とも呼ばれる八ヶ岳の一峰、蓼科山を近くに望みながら、頂上では八ヶ岳、南アルプス、北アルプスまで、日本を代表する山々を独り占めできます。
こんな短時間で往復できて、見ればウットリの植生から迫力の景色まで楽しめるなんて、とにかく贅の限りを尽くせるのがこの霧ヶ峰。登山が初めての方なら、山の魅力が詰まり、磨かれたダイヤモンドの様な山頂の虜になることをお約束できます。
リフトは中腹で乗り継いで山頂に至るので、途中から歩いていくことも可能です。
【所要時間1時間55分】大山:信仰を纏う丹沢の独立峰を短時間で
神奈川県在住で山を登る人なら知らぬ人はいない名峰、大山。王道の大山ケーブル方面から登ると半日以上を想定した時間が必要ですが、西側に位置するヤビツ峠から登ると、往復2時間以内で登れる半日山に変貌します。
参道が続く大山ケーブル方面と比べ、人工物の少ないイタツミ尾根と呼ばれるルートを登り山頂に至ります。
ヤマボウシ・ツツジ・紅葉といった季節ごとに見頃な植生が登山道を彩り、登り応えのある勾配を歩いていくと、山頂手前より見る丹沢の山々。コンパクトにまとまりながらも、山に来たんだと実感させてくれるルートです。
マイカーで朝イチでアプローチすれば昼前の下山が可能で、午後は十分に身体を休めたり、近隣観光といった寄り道を陽が出ているうちに行けるので、柔軟なプランニングが出来るのも良いですね。
【所要時間1時間30分】北奥千丈岳:奥秩父最高峰へ気軽に登頂できる魅力のルート
日本最高所の車道峠からアプローチできる奥秩父最高峰の北奥千丈岳は、高所の山歩きが気軽にできることで人気のある山頂です。
奥秩父といえば山深く個性的な山々が連なる山域として知られ、北奥千丈岳はその頂点として鎮座し、広く包みこむような山体は奥秩父を象徴する名峰です。
高所に位置する山域の最高峰は、その頂きに至るために1日から数日をかけて登る必要がありますが、大弛峠の恩恵もあって登れる北奥千丈岳は、周辺の高山植物を愛でながら往復1時間30分で楽しめてしまいます。
眺望も見事で、奥秩父の山々を一望できる好立地です。
北奥千丈岳周辺は温泉や観光地も豊富にあるので、登山後の温泉に浸かり、山梨県の美味しいフルーツに舌鼓したり、都内在住の方なら観光をしても明るいうちに帰宅できてしまいます。
【所要時間1時間】吾妻山:ファミリーハイクにおすすめの気軽な山頂を二宮駅から
駅から気軽に登れる低山が豊富な関東の山々。中でも駅からすぐに登れて箱根から丹沢、富士山も見渡せるのが、老若男女に親しまれる吾妻山です。
二宮町のシンボルとして、二宮駅の目の前に位置する吾妻山は複数の登山口を持ち、どのルートも登山口から30分以内で山頂に到達できます。
山頂は芝生の広場と季節になると咲き誇る菜の花があり、この菜の花目当てで登られる方も。
アクセスはJR東海道線二宮駅で、東京からのアクセスも容易。乗り換え不要、着いたら即登山という気軽さは関東随一。
山頂からの眺望は標高136.2mとは思えない海、山、街が綺麗にまとまった宝石箱のような眺望が待っています。
とにかく気軽に登れるので、小さいお子さんの登山デビューにおすすめです。
【所要時間4時間】大野山:歩き応えのある里山を半日で
神奈川県の国府津と静岡県の沼津を繋ぐローカル線であるJR御殿場線。御殿場線にある谷峨駅からスタートし、山北駅までをルートにする大野山登山は、半日で登れて歩き応えのある山として知られています。
谷峨駅をに降り立つと、都会では感じられない自然に囲まれた景色からスタート。静かな登山道から徐々に開けていく渓谷の美しさは、個人的な大野山登山で一番の魅力です。
渓谷美を経て辿り着く大野山山頂は広く、ソロ登山では贅沢なおひとり時間を、グループ登山では食事を広げて和やかに楽しむのに最適です。
コースタイムは駅から駅を繋いで4時間と半日ギリギリの時間ですが、山頂の東方、徒歩20分ほどにある犬クビリに駐車場があり、ここから登れば往復1時間以内で大野山に登れてしまいます。
付近には牧場、麓には喫茶店があるなど、マイカーなら半日観光もできる大野山。歓迎会山行やファミリーハイクまで、グループで楽しむ登山におすすめです。
半日登山で気軽に登山を楽しもう
登山は移動含めて1日を要する場合が多いですが、半日で登れる山が沢山あります。苦労が少ない=感動も少ないかと思いきや、そんな計算式に反する感動を与えてくれる魅力ある山頂ばかりです。
ファミリーハイクで気軽に登りたい、前日の仕事疲れがあるけど山に行きたいなど、山にどうしても登りたいという欲求が抑えられない時、仲間達と気軽に登りたい時に、半日山は登山者を懐広く迎え入れてくれます。
半日登山で、気軽で充実した山登りをぜひ楽しんでください。