水分補給は登山において非常に大切なポイントです。飲料水や調理用の水を運ぶための登山用水筒には素材や容量の異なる様々な種類のものがあります。
ここでは登山用水筒を購入する際の注意点や各タイプの特徴について説明するとともに、種類別のおすすめ製品も紹介します。
登山用水筒とは?特徴と使用するメリット
登山用水筒を使用する一番の目的は、水分補給や調理のための水を運ぶこと。水を運ぶだけであればペットボトルでも可能ですが、登山用水筒には頑丈さやコンパクト性、熱湯への対応など、ペットボトルにないメリットがあります。
金属製やプラスチック製のボトルなど、水筒の種類によって特徴は様々。用途や登山スタイルにあわせての使い分けが必要です。
登山用水筒を購入するときの注意点
登山用水筒を購入する際には以下のポイントに着目しましょう。
- 保温力:一般的には金属製のボトルは保温力が高いです。非金属性のボトルは保温力が低いものが多く、お湯に対応していない製品もあるため、購入前にしっかりと確認しましょう。
- 耐久性:ペットボトルなどに比べて耐久性が高いことも登山用水筒の特徴です。金属製ボトルはもちろん、非金属でも登山用のボトルであれば、耐久性の高い素材を使用している場合が多いです。
- 容量:金属製ボトルやプラスチックボトルでは0.35~1.0l、プラティパスなどの柔らかい素材では1.0~3.0L程度の製品が主流です。容量が大きいほど重量とサイズも大きくなりますので、自身の山行に合うものを選択しましょう。
- 重量:一般的に金属製ボトルより非金属のボトル、容量の大きいものより小さなもののほうが軽量です。
登山用水筒はどうやって持ち運ぶのがベスト?
みなさんは登山のとき、登山用水筒をどのように持ち運んでいるでしょうか。予備の水はザック内、行動中の飲み水はザックのサイドポケットに入れている方が多いと思います。
ザックによってはサイドポケットに手がのばしづらく、水分補給の度にストレスを感じることも。そんなときはボトルホルダーをショルダーハーネスに取り付けておけば、素早くボトルを取ることができ、とても便利ですよ。
以下の記事ではおすすめのボトルホルダーを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
登山用水筒の種類別の特徴
登山用水筒には大きく分けて4つの種類があります。以下ではそれぞれの種類の水筒の特徴について紹介します。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ステンレス・アルミ | ・耐久性が高い ・保温保冷効果が高い |
他の素材に比べて重い |
プラスチック | ・軽量 ・残量がひとめでわかる |
・保温力は高くない ・お湯不可の製品もある |
折りたたみボトル | ・軽量かつコンパクト ・容量が大きい |
・保温力が低い(お湯不可もあり) ・飲み口が狭く、乾燥させにくい |
ハイドレーション | ・手を使わずに水分補給可能 | ・飲み口が狭く、乾燥させにくい ・用途が水分補給用に限られる |
金属製ボトル(ステンレス・アルミ)
耐久性が高く、保温保冷効果が高いことが金属製ボトルの特徴。保温力が高い金属製ボトルを使用すれば、バーナーやクッカーを携行しなくても山で熱々のコーヒーやインスタントラーメンを楽しめます。
また、手袋をしていてもグリップしやすい、落下の衝撃に強いなど、登山での使用に最適化するよう工夫された製品が多いことも特徴。一方で金属製のため、他の素材のボトルより重量があるのがデメリットです。
金属製ボトルの特徴や、おすすめの製品については以下のページでも紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
プラスチックボトル
金属製のボトルに比べて軽量であることが特徴のプラスチックボトル。透明または半透明のボトルが多いため、残量がわかりやすく、目盛りがある製品であれば調理の際に便利なのも特徴です。
熱湯に対応する製品と未対応の製品がありますが、いずれも保温保冷力はあまり高くありません。購入の際には化学物質BPA(ビスフェノールA)を使用していないことを証明するBPAフリーの記載があるか確認することをおすすめします。
折りたたみボトル
非常に軽量なこと、未使用時は折りたたんでコンパクトにできることが特徴です。1L以上の大容量のものが主流のため、できるだけ荷物の重量を減らしたい登山において大変心強い味方です。また、熱湯や冷凍に対応可能な製品もあり、保冷剤や湯たんぽ代わりにできることもメリットです。
デメリットとしては洗い口が狭いため、手入れが難しいことが挙げられます。また、中の水分が乾きにくいため、使用後しっかりと乾かさないとカビが繁殖する可能性があり、注意が必要です。
ハイドレーション
ハイドレーションはソフトタイプのボトルに吸引チューブが取り付けられたもので、移動しながら水分補給をすることが可能です。ボトルを手に取る必要なく水分補給ができるため、トレイルランやスピードハイクなどスピード重視の山行には特におすすめ。熱湯を運ぶのには適さないため、必要に応じて他のボトルと兼用しましょう。
ハイドレーションの本体は折りたたみボトルと同じくソフトタイプで、やはりカビが繁殖しやすいことがデメリット。開口部が大きく開くタイプであれば比較的手入れが楽です。
【種類別】登山用水筒のおすすめ商品
<ステンレス・アルミ>
※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカー | 製品名 | サイズ/重量/価格(税込) | 特徴 |
---|---|---|---|
サーモス | 山専用ボトル | 【0.5L】 7×23.5cm / 94g / 6,050円 【0.75L】 8×26cm / 360g / 6,600円 【0.9L】 8×30cm / 390g / 7,150円 |
・高い保温力(900mの場合、6時間=80℃以上) ・高い耐久性やグローブ装着時の使用など、登山での使用に最適化 |
モンベル | アルパインサーモボトル アクティブ | 【0.35L】 7×19.5cm / 238g / 3,300円 【0.5L】 7×24cm / 263g / 3,850円 【0.75L】 7.6×27.2cm / 348g / 4,400円 【0.9L】 7.6×30.7cm / 366g / 4,950円 |
・ 高い保温力(900mの場合、6時間=75℃以上) ・金属製ボトルとしては軽量 |
ニトリ | 真空断熱 超保温・保冷ボトルN-HEATEX | 【0.37L】 7.5×20.2cm/270g/2,490円 【0.5L】 7.8×24.5cm/380g/2,890円 【0.75L】 8.5×28.2cm/470g/3,390円 【0.9L】 8.5×31.5cm/500g/3,890円 |
・高い保温力(900mの場合、6時間=90℃以上) ・他社製品に比べてコストパフォーマンスに優れる |
【0.5L/0.75L/0.9L】サーモス 山専用ボトル
魔法ビンのパイオニアであるサーモスが山専用として開発したステンレスボトル。秋山や冬山での長時間の山行でも使用できるよう開発されているため、その保温力は折り紙付き。
グローブをしたままでも開閉しやすい、落下しても破損しないよう底部をシリコンカバーで補強するなど、登山での利用に最適化されたボトルです。
【0.35L/0.5L/0.75L/0.9L】モンベル アルパインサーモボトル アクティブ
シンプルな構造ながら高い保温保冷力と軽量性を実現したモンベルのステンレスボトル。シリコンゴム製の滑り止めや、半回転で開閉できる内栓など、グローブをしたままでも扱いやすいよう工夫が施されています。
【0.37L/0.5L/0.75L/0.9L】ニトリ 真空断熱 超保温・保冷ボトルN-HEATEX
家具やキッチン雑貨で有名なブランドのニトリが販売する登山用水筒。断熱入りの中栓や5重構造のボトルを使用しており、6時間後の保温能力は今回紹介した3製品のなかでトップです。
重量はややあるものの、他社製品と比較して価格が安いのも魅力。コストパフォーマンスの良さで定評のあるニトリですが、登山用水筒の分野でも「お値段以上」を実現しています。
最強の金属製ボトルはこれ!
金属製ボトルで最強の一本としておすすめするのは、サーモスの山専用ステンレスボトル。保温力や耐久性、登山時の使いやすさを追求したモデルのため、オールラウンドに活躍できます。
総合力ではサーモスに一歩劣りますが、ニトリのN-HEATEXも低価格ながら高い保温力を持つ大変魅力的な製品です。以下の記事ではこれら2つのボトルの性能を比較していますので、ぜひ参考にしてみてください。
<プラスチック>
※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカー | 製品名 | サイズ/重量/価格(税込) | 特徴 |
---|---|---|---|
モンベル | クリアボトル | 【0.35L】 7×14.7cm/94g/1,100円 【0.5L】 7×18.5cm/105g/1,320円 【0.75L】 7.5×22.2cm/125g/1,650円 【0.9L】 8×25.1cm/153g/2,090円 |
・90℃までの熱湯に対応 ・他社製品に比べて低価格 ・BPAフリー |
ナルゲン | トライタンボトル広口 | 【0.5L】 7×17.5cm/90g/2,200円 【1.1L】 9×21cm/180g/2,640円 【1.5L】 9×29cm/200g/3,300円 |
・マイナス20℃から100℃まで幅広い温度で使用可 ・豊富なカラーバリエーション ・BPAフリー |
ハイドラパック | リーコン | 【0.5L】 7.2×19.5cm/143g/2,750円 【0.75L】 7.1×23cm/172g/2,860円 【1.0L】 7.6×26.7cm/200g/2,970円 |
・マイナス20℃から99℃まで幅広い温度で使用可 ・ハンドルつきで持ち運びに便利 ・BPAフリー |
【0.35L/0.5L/0.75L/0.9L】モンベル クリアボトル
・90℃までの熱湯に対応
・他社製品に比べて低価格
・BPAフリー
軽量で耐久性に優れたボトルで、BPAフリーの製品のため、安心して使用が可能です。
お湯の利用も90℃まで可能。大きなキャップはグローブを着けたままでも開閉しやすくなっています。飲み口が広いため手入れがしやすく、ナッツなどの行動食を入れるのにも使えます。
【0.5L/1.1L/1.5L】ナルゲン トライタンボトル 広口
もともとは研究用のボトルとして開発され、高い耐久性と軽量性を備えるナルゲンボトル。気密性も高く、パッキンなしでも中の液体が漏れ出さないよう設計されています。
マイナス20℃から100℃まで幅広い温度で使用可能。カラーバリエーションが豊富で、自分好みのボトルが選べることも魅力です。
【0.5L/ 0.75L /1.0L】ハイドラパック リーコン
ソフトボトルで有名なハイドラパックが2021年に販売開始したプラスチックボトル。使いやすさが特徴で、キャップを半回転させるだけで開閉できるため、スピーディな水分補給が可能です。
また、ボトルにハンドルがついており、取り出しや持ち運びが容易なことも他の製品にはない特徴。 リサイクル素材を50%使用しており、環境にも配慮しているのもこの製品ならではです。
最強のプラスチックボトルはこれ!
プラスチックボトルで最強の一本としておすすめするのは、ナルゲンのトライタンボトル広口。過酷な状況にも耐用できるように設計されているため、ハードな登山にも安心して使用できます。
低価格がうれしいモンベルのボトルや、環境に配慮したハイドラパックのボトルにもそれぞれの魅力があるため、あわせてチェックしてみましょう。
<折りたたみボトル>
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メーカー | 製品名 | サイズ/重量/価格(税込) | 特徴 |
---|---|---|---|
プラティパス | ソフトボトル | 【1.0L】 15×28cm/35g/1,980円 【2.5L】 19×35cm/36g/2,530円 |
・軽量コンパクトながら高耐久 ・湯たんぽや保冷剤として使用可能 |
エバニュー | ウォーターキャリー | 【0.9L】 15×28cm/29g/1,100円 【1.5L】 17×33cm/36g/1,210円 【2.0L】 21×33cm/42g/1,320円 |
・ -20℃から90℃まで対応可能 ・他社製品に比べて低価格 ・フタがバンドで固定されているので紛失しにくい |
ハイドラパック | シーカー | 【2.0L】 13×32cm/76g/3,850円 【3.0L】 13×32cm/92g/4,290円 【4.0L】 15×42cm/104g/4,840円 【6.0L】 18.5×44cm/194g/7,480円 |
・耐久性の高い高機能素材を使用 ・最大6Lまでの大容量 ・別売りのキット使用でハイドレーションとしても使用可 |
【1.0L/2.5L】プラティパス ソフトボトル
折りたたみボトルの定番として登山者に愛されているプラティパスのソフトボトル。 軽量・コンパクトながら高い耐久性を実現し、長期の使用にも耐えられることが特徴です。 90℃までの熱湯に対応し、冷凍保存も可能。湯たんぽや保冷剤の代用としても役立ちます。
【0.9L/1.5L/2.0L】エバニュー ウォーターキャリー
-20℃から90℃まで対応可能な高性能商品ながら、他社製品に比べて低価格なのが魅力的なエバニューのウォーターキャリー。
フタがバンドで固定されており紛失の心配がない、付属のヒモで折りたたんだ際にまとめられるなど、快適な使用のための工夫が随所にあるのがこちらの製品独自の特徴です。
【2.0L/3.0L/4.0L/6.0L】ハイドラパック シーカー
ハイドラパックのシーカーは高機能素材であるウルトラデュラブルTPUを使用する、高い耐久性が特徴の折りたたみボトル。別売りのキットを装着することでハイドレーションとしても使用可能です。
最大6Lの大容量と軽量コンパクト性を両立させた高性能なボトルですが、他の製品と比べると匂いが気になるという意見も。気になる方は購入前に確認してみることをおすすめします。
最強の折りたたみボトルはこれ!
折りたたみボトルで最強の一本としておすすめするのは、プラティパスのソフトボトル。高い耐久性とコンパクトさを兼ね備えており、多くの登山家が愛用しています。
キャップ紛失防止の工夫があるエバニューや、ハイドレーションとしても使用が可能なハイドラパックのボトルなど、他の製品にもユニークな特徴があります。長期の登山であれば折りたたみボトルを2つ以上持ち運ぶことがおすすめなので、あわせて購入を検討してみてもいいですね。
<ハイドレーション>
※横スクロールで表がスクロールできます。
メーカー | 製品名 | サイズ/重量/価格(税込) | 特徴 |
---|---|---|---|
オスプレー | レザヴォア | 【2.0L】 15×35cm/300g/6,600円 【3.0L】 18.5×39cm/310g/7,040円 |
・水の量が減っても形状がくずれにくい ・開口部が大きいため注水や手入れしやすい |
ドイター | ストリーマー | 【2.0L】 19×39cm/140g/4,400円 【3.0L】 21×42cm/185g/7,150円 |
・ ボトル上部が開くため注水や手入れがしやすい ・チューブは取り外し可能 |
サロモン | ソフトリザーバー | 【1.5L】 15×31cm/120g/5,390円 【2.0L】 17×33cm/128g/6,160円 |
・ ボトル上部が開くため注水や手入れがしやすい ・温度変化に強い |
【2.0L/3.0L】オスプレー レザヴォア
ボトル背面のプレートが特徴のオスプレーのハイドレーション。水残量が減ってもボトルの形状を保てるため、ザック内のバランスがくずれることなく使用可能。プレートがあるぶん、重量はやや重めです。
大型のフタを採用し、大きく開閉できるため、水の補給や洗浄がしやすいのも特徴です。
【2.0L/3.0L】ドイター ストリーマー
スライドパック式の広口構造のため、注水がしやすいドイターのハイドレーション。
チューブが取り外し可能のため、手入れがしやすいことも特徴です。
【1.5L/2.0L】サロモン ソフトリザーバー
断熱性の高いボトルとチューブを採用しているため温度変化に強く、ハードな山行にも対応可能なハイドレーションです。
ボトル上部は開口できるため、注水時に非常に便利。
裏返して洗うことも可能で、手入れがしやすいことも特徴です。
最強のハイドレーションはこれ!
ハイドレーションで最強の一本としておすすめするのは、サロモンのソフトリザーバー。注水や手入れのしやすさのほか、温度変化に強いためハードな登山にも対応可能です。
オスプレー、ドイターの製品もそれぞれ特徴があるため、あわせて検討してみましょう。
まとめ
本記事では登山用水筒の種類別の特徴とおすすめ商品を紹介しました。登山用水筒をうまく使用することで、山行がずっと快適になりますよ。
それぞれの製品の特徴を比較しながら、自身のスタイルに合う登山用水筒を見つけてくださいね。