おおっ!と唸るようなギアやウェアに出会うことが時々ある。基準は気に入らない点がほぼ皆無であること。そして目新しい機能性によって、思ってもみなかった使いやすさを享受してくれること。この2点だ。

2019年にリリースされたサロモンのOUTバックパックシリーズは、革新性に満ちていて、僕が大好きな縦走登山からファストハイク、ロングトレイルからミニマムな山旅まで、全てにフィットしてくれる。そしてこのサロモンのバックパックは、唸る素晴らしさに満ちている。

僕がバックパックに求めるものは、飲料が行動中でも取り出しやすいこと、背中にかいた汗による不快感がすくないこと、軽量性と背負い心地のバランスに優れていること、欲しいと思ったギアやウェアが直ぐに取り出すことができ、直ぐに仕舞うことができること。

これらの希望の幾つかを叶えてくれているバックパックはあるのだけれど、全てを満たしてくれるバックパックというのには、今までお目にかかれていない。しかしサロモンのOUTバックパックは、全てを叶えてくれ、その上に驚くような特徴をプラスαで享受してくれる。それらの特徴を1つ1つ以下で紹介していく。

サロモンのOUTバックパックシリーズのモデル

日帰り登山、山小屋泊登山、縦走登山、という登山スタイルと男女別という掛け合わせでOUTバックパックシリーズのモデル展開がなされている。日帰り登山に最適な「OUT DAY 20+4」、山小屋泊登山に最適な「OUT NIGHT 30+5」、縦走登山にも使用可能な「OUT WEEK 38+6」の3型、そこに女性専用設計を施した「OUT DAY 20+4 W」と「OUT NIGHT 30+5 W」の2型、計5型というラインナップ。モデル名の数値はメインコンパートメントの容量で、+4~6とあるのはフロントポケットの容量となっている。

スタイルで選んだOUTバックパックのモデル

僕が愛用しているバックパックは「OUT NIGHT 30+5」。日帰り登山では流石にこの大きさのザックは…と躊躇することなかれ、コンプレッションを活用すれば小さくして持ち歩ける。また僕が夏場に楽しむ縦走登山スタイルは快適性を犠牲にしない事を前提にして、機動性を上げる為に、軽量性に優れたギアやウェアを装備に選んでいる。これが3~4泊で30リットル前後。ちょっと寒さが気になれば35リットルぐらいというのが想定している容量だ。そう考えると「OUT WEEK 38+6」は僕にとってはオーバースペックで「OUT NIGHT 30+5」がバッチリなサイズだった。

サロモン OUTバックパックのポケット群

OUTバックパック『OUT NIGHT 30+5』にはアクティビティ好きの意見を踏襲したと思われる箇所に、考えられた素材とサイズ感に優れたポケットが随所に配置されている。

まずフロントポケットだが、5リットルという容量を収めることができる。素材に4月2日にレビューしたWAYFARER TAPERED PANTと同じ4WAYストレッチを採用していることによって、レインウェア、ウインドブレーカー、ファーストエイドなどなど…行動中や休憩中に直ぐに取り出したくなるだろうものを、詰め込んでおけ、ほどよくコンプレッションも掛けてくれるという優れもの。とはいうものの、背中の遠い位置にあたるフロントポケットに重量を乗せてしまうと、行動中のバランスが悪くなるので注意が必要だ。

フロントポケットの反対サイドには広く開放するジッパーが施されている。このジッパーを開くとメインコンパートメントに直接アクセスできるようになっている。クッカーを使って休憩中にコーヒーを楽しんだり、肌寒くなった際にミドルウェアを取り出したりと、アクセスし易い作りで行動時を快適な時間にしてくれる。

サイドポケットは左右にあり、フロントポケット同様に4WAYストレッチ素材を採用している。バックパックを背負った状態で取り出したい、地図や行動食などを入れておくのに大変便利なポケットだ。水筒やペットボトルも入れておけ、ストレッチ素材によってホールドもしてくれるという優れものだ。

ウエストベルトにもポケットが施されている。こいつが結構便利で、僕の場合は行動食で出たゴミ箱、雨に濡れたら困るようなスマホなどを入れている。マチがあるので、コンデジなんかも入れておける。

ショルダーには左右で異なったポケットが配置されている。1つはソフトフラスクが入れておける。トレイルランニング用のザックの良いところ取りをした、サロモンならではの発想がニクイところ。

もう1つはジッパー付きの大きめのポケット。貴重品や鍵などを入れておける。更にはスマホがちょうど収まるポケットになっており、程よいコンプレッションによってハードな動きにも上下、左右に揺れることもなく快適な行動で山を楽しめる。

サロモン OUTバックパックの背面パッド

背面のパッドに目を向けると非常にユニークな作りであることがわかる。大きな特徴は3つある。その1つは背面パッドが6つのパーツに分かれているところ。パーツが1つだと屈むような動作、反り返るような動作中に、ザック背面パッドと自分の背中が反発するような感覚になるが、パーツが分かれていることで体の動作に追随してくれる。

更に面白いのが、背面パッドがバックパックの中心部分、いわゆる背骨寄りだけが縫われていて、背面パッドが羽のような状態になっている。これによって背面形状がパッキングの状態に左右されることが少なくなり、背中へのフィット感が高まるのだ。『自宅では綺麗にパッキングしていたが、2日目の朝に雨に降られて、テント場で無造作なパッキングしか出来なかったこと。これがきっかけで、バックパックが背負いづらい』なんていう経験をされた方も少なくないだろう。こういう状況に頼りになるのもOUTバックパックの良いところ。

そして背面パッドは肉抜きされていて通気性も抜群と素晴らしい作りなのだ。

OUTバックパックのフィットの秘密

背中にフィットしつつ、ハードな動きにもバックパックが揺れないのにはちゃんとした理由がある。

ハーネスの上部と背面パッド、ウエスト上部と本体の2箇所がストレッチ性のスタビライザーでつながっていることで、パックが暴れるのを防いでいる。更にハーネスも十分な厚みのパッドに肉抜きが施されており、軽量だけどしっかり荷重を受けながらのフィット感を実現してくれている。

ストラップの根元は背面パッドの脇下にあり、ハーネスエンドを経由して本体下部に繋がっている。これによって背面パッドと背中への密着が高まる。この作りはトレイルラン用のバックパックでは見たことがあり、ハードな動作でも走りやすく、動きやすいという利点を活かした作りといえるのではないだろうか。

OUTバックパックのコンプレッション

フロントのバックルはシンプルに1つだけなのだけど、下へは二又に分かれているので、全体的なコンプレッションが可能になっている。

コンプレッションは非常にスムーズに行える機構で、メインコンパートメントに入った装備を出すのも非常に簡単に行える。これは実際に使ってみるとよくわかるだろう。

天蓋は簡単に取り外すことができるようになっている。取り外した天蓋はハーネスのスタビライザーストラップにバックルをとりつけることで、チェストバッグとしても使用が可能。

天蓋に付いているバックルはクリップになっているので、素早く着脱できる。

OUTバックパックのパフォーマンスの良さ

内部にはハイドレーションポケット、フロントにはトレッキングポール装着ストラップと、これでもか!という機能美豊かなバックパックで、重量はなんと756グラム(サイズはM/L)。OUT DAYで671グラム、一番大きいOUT WEEKで815グラムと軽量性には目を見張るものがある。

これだけの優秀なバックパックなのにコストパフォーマンスにも優れており、15,000円という価格にも驚きだ。これから本格的な山のシーズンイン!今年はこのOUTバックパックシリーズが山旅を快適にしてくれるに違いない。